日刊IWJガイド 2015.4.11日号~No.941号~


■■■ 日刊IWJガイド 2015.4.11日号~No.941号~ ■■■
(2015.4.11 8時00分)

 おはようございます。IWJで主としてテキスト関係の編集を担当している平山と申します。

 4月になって、待ちに待った春到来! と思っていたら、この数日、寒い日が続いています。「寒の戻り」と申しますが、8日には、長野や栃木などで雪が舞いました。東京都心でも、早朝、降雪が観測されました。

 桜に雪が舞う「春の雪」は確かに美しいものですが、こう寒暖の差が激しいと、体調に響きます。

 気候変動ではあるけど、温暖化ではないよなぁ、と実感では思いたくなります。地球の温度変化と、人間の実感はあてにならないそうですが、とはいえ、ヘンだなと思った方は、ぜひ、IWJの地球温暖化問題特集を覗いてみてください。

【特集】地球温暖化と原発ルネッサンス
http://iwj.co.jp/wj/open/ondanka

 昨日も、夕方から、東京都内では冷たい雨が降りました。私は、最近、健康のために、夜、近所の隅田川沿いをウォーキングしているのですが、雨が降ってしまうと、なかなかそれもかないません。

 皆様も、お出かけの際は暖かい格好で、お風邪など召しませんように、どうぞご注意ください。

■AIIBと「シルクロード経済圏」構想に、日本はいかに対応していくべきか~横浜市立大学名誉教授・矢吹晋氏インタビューにご注目ください!

 昨日18時からCh1で配信した「岩上安身による横浜市立大学名誉教授・矢吹晋氏インタビュー」はご覧いただけましたでしょうか? AIIB(アジアインフラ投資銀行)と中国の「シルクロード経済圏」構想について、約5時間にわたり、岩上さんがたっぷりとお話をうかがいました。

 米国と日本が中心となって運営するADB(アジア開発銀行)が存在するという理由で、AIIBへの参加を見送った日本政府。しかし、AIIBには、アジア諸国だけでなく、英国、ドイツ、フランスなど、ヨーロッパ各国も参加を表明しています。いまや、参加表明国は53カ国にものぼり、あのイスラエルまでもが参加の意向を表明しています。日本は、完全に、取り残されてしまった格好です。

 これまで、講演やトークカフェなどの場で、あるいはテキストで、岩上さんは、この間の世界情勢について、マッキンダーなどの「地政学」の見方を敷衍(ふえん)し、議論を展開してきました。私は、それらの準備をし、岩上さんの話を身近で聞く中で、「なるほどなー」と、何回も膝を打ちました。岩上さんによれば、今回のAIIBをめぐる一連の動きも、「地政学」的に見ることができる、というのです(岩上さんが、地政学という学問や物の見方をすべて肯定しているわけではありません。念のため)。

 岩上さんによれば、中国は、このAIIBと「シルクロード経済圏」構想によって、ユーラシア大陸の鉄道やパイプライン、通信網などのインフラを整備し、中国とロシアとドイツなどの西欧とを軸としたユーラシア内奥の「ランドパワー」を興隆させようとしているように見える、といいます。

 そして、これを、内心、煙たく思っているのが、「シーパワー」である米国です。ユーロマイダンでの騒乱に始まる一連のウクライナ危機は、「シーパワー」である米国が、パイプラインの接続などによって欧州と融和しようとする「ランドパワー」のロシアに対し、楔(くさび)を打ち込もうとしたのだと、見て取ることができる、というのです。

 私は、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏が理事長を務める「地政学研究所」のワークショップをしばしば取材するのですが、こういった分析は、誰からも聞いたことがありませんでした。岩上さんの斬り口や視点は斬新だなと思いました。

 しかし、「ランドパワー」「シーパワー」と言われても、なかなかピンとこない方も多いのではないか、と思います。そのような方には、岩上さんが取材でドイツを訪れた際に行った、ヴィースバーデン在住のジャーナリスト、F.ウィリアム・イングドール氏へのインタビューをご覧いただければ、と思います。岩上さんは、自分と同じような見方で世界を見ている人に話を聞きに行くために、ドイツの南部にまで出かけて行ったわけです。

※2014/09/12 ウクライナ危機は「米国によるユーラシア不安定化のステップ」 ~岩上安身のインタビューでイングドール氏が警告、東に舵を切れ! 「ワシントンの奴隷国である限り破壊と低迷があるだけ」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/204610 

 では、今回のAIIBに関する一連の動きに対し、現在のところ、米国べったりの日本は、どのような姿勢に出るべきなのでしょうか。今回のインタビューで矢吹氏は、シルクロードの始点であり終点でもある日本は、既にこの「シルクロード経済圏」=「一帯一路」に地理的に組み込まれているのだから、AIIBと「シルクロード経済圏」に積極的に関わることで、国益を実現すべきだ、と述べました。

 このインタビューの動画アーカイブと詳細なテキストは、準備が整い次第、IWJのトップページに掲載いたします。どうぞ、ご注目ください!

 昨日のインタビューは、今夜21時から2夜連続でCh1より再配信いたします! 昨日は見逃してしまったという方は、ぜひ、本日からの再配信をご視聴ください!

視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1

 また、矢吹氏に関しては、これまで、日中関係の火種となっている尖閣諸島の領有権問題について、2回にわたりインタビューを行っています。

 矢吹氏は、『チャイメリカ~米中結託と日本の進路』『尖閣問題の核心~日中関係はどうなる』『尖閣衝突は沖縄返還に始まる~日米中三角関係の頂点としての尖閣』の3部作で、膨大な一次資料をもとに、日中関係と尖閣問題について論じています。

 こちらは、矢吹氏のサイン入りで、IWJブックショップでも販売いたします。準備が整いましたら、IWJのサイトやこの日刊IWJガイドでお知らせいたしますので、どうぞ、ご期待ください!

※2013/12/10 外務省が削除した日中「棚上げ」合意の記録 尖閣諸島問題の核心について、岩上安身が矢吹晋氏にインタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/115882

※2014/02/13 尖閣問題から見えてきた「沖縄問題」の本質とは~岩上安身による横浜市立大学名誉教授・矢吹晋氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/125015

…(後半へ続く)

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◆中継番組表◆
本日のIWJの中継番組表をお送りします。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2015.4.11 Sat.**

【Ch4】12:30~「市民シンポジウム『次世代にどのような社会を贈るのか?』~講演 鈴木邦男氏・一水会最高顧問ほか」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※「日本生物地理学会」が主催の市民シンポジウム。鈴木邦男氏(一水会最高顧問)、森中定治氏(綾瀬川を愛する会副代表、日本生物地理学会会長)らが講演予定。

【Ch5】13:30~ 「731部隊を検証する第3回学習会」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※松村高夫・慶応大学名誉教授が、講師として登壇予定。主催は、「731部隊展実行委員会」と「新宿区婦人問題を考える会」。

【グローバル大企業の悪行に迫る!第12弾 会員限定再配信】17:00~
「『米国と同じ土俵に上がる必要はない。胸を張って日本の農業を守って』──岩上安身がJA栗っこで講演、米国のグローバル資本主義に警鐘『農家の皆さんは、このままでは農業をやめざるをえなくなる』」
視聴URL: http://iwj.co.jp/wj/member/limited
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/235634
※2015年2月14日に収録した、「新春 JA栗っこの集い IWJ代表・岩上安身 農政講演『今後の農業政策の方向性と農家・JAに与える影響について』」を会員限定再配信します。
岩上安身は、米国や豪州の大規模農業は、先住民族の土地を略奪して成立したものであり、「そんなものと同じ土俵で戦う必要はまったくない」とし、日本の農業者は誇りを持って、自分たちの農業を守ってもらいたいと訴えました。

~~会員限定配信の視聴方法~~

1,会員限定視聴ページ( http://iwj.co.jp/wj/member/limited )へアクセス
2,登録メールアドレスとパスワードを入力
3,ページに表示されているパスワードを、視聴画面に入力

以上の手順で、ご視聴いただけます。ぜひ、ご覧ください。

【再配信・Ch1】21:00~「岩上安身による矢吹晋・横浜市立大学名誉教授インタビュー 前編」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
※昨日行われた、「岩上安身による矢吹晋・横浜市立大学名誉教授インタビュー 前編」を再配信します。
「ちきゅう座」に「中国経済が米国を抜いて世界一になる時、中国封じ込めに失敗した安倍ドンキホーテ政権に未来はあるか――AIIB問題で世界の孤児となった日本」(
http://chikyuza.net/archives/52164
)と題する論考を発表した矢吹晋氏に、AIIB問題を中心に、日中関係の展望についてお聞きしました。

~関連記事はこちら~
・2013/12/10 外務省が削除した日中「棚上げ」合意の記録 尖閣諸島問題の核心について、岩上安身が矢吹晋氏にインタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/115882

・2014/02/13 尖閣問題から見えてきた「沖縄問題」の本質とは~岩上安身による横浜市立大学名誉教授・矢吹晋氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/125015

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(前半の続き)…

■JA全中・萬歳章会長が辞任表明~どうなる、TPPと「農協解体」の行方

 JA全中の萬歳章会長が、4月9日に開かれた定例会見で、任期を2年残して辞任することを発表しました。辞任の理由として、「農協改革関連法案が閣議決定されたこと」をあげました。

 民主党政権時から、TPP反対を主張し続けてきたJA全中。2012年末の衆院選では、政権公約に「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」という文言を明記した自民党を支持。安倍政権誕生をバックアップしました。

 ところが、安倍総理は、2013年2月の日米首脳会談で、「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明らかになった」などとして、TPP参加を表明。

 さらに安倍総理は、「成長戦略」の名のもとに、農協の規制改革、すなわち「農協解体」を目指して産業競争力会議での議論を進めていました。このようにして、JA全中は、支持したはずの安倍政権に、ことごとく裏切られてきたのです。

 IWJはこれまで、JA全中の集会を幾度となく取材してきました。しかし、中継が許可されないなど、ネットメディア、独立メディアに対するJA全中の態度は、必ずしもオープンなものではありませんでした。

 また、岩上さんは萬歳氏へのインタビューを何度も申し込んできましたが、そのたびに断られてきました。

※2011/10/26 JA全中、TPP交渉参加に反対し日本の食と暮らし・いのちを守る全国決起集会 & デモ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/7104

 ただ、JA全中ではなく、地方のJAや日本農業新聞は、我々に冷淡であったわけではありません。

 公約を裏切ってTPP交渉に参加し、「農協改革」の名のもとに地域の農業を破壊しようとする安倍政権に疑念を抱き、岩上さんを講演に招きました。

 この講演の模様は、IWJのホームページからアーカイブ動画としてご視聴いただけます。また、日本農業新聞では、岩上さんは「万象点描」というコラムの連載も担当しています。

※2014/07/17 「JAは、何回だまされるんですか?」 岩上安身がJA関係者へ向けて講演 ~「安倍政権の本質 ―グローバリズムの脅威」 とは
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/154390

※2015/02/14 「米国と同じ土俵に上がる必要はない。胸を張って日本の農業を守って」──岩上安身がJA栗っこで講演、米国のグローバル資本主義に警鐘「農家の皆さんは、このままでは農業をやめざるをえなくなる」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/235634

 JA全中がIWJに対して決してオープンではなかったとはいえ、JAの勉強会で講演したり、日本農業新聞でコラムを書いていることからもお分かりいただけるかと思いますが、岩上さんは、決して、JAを頭から批判していたわけではありません。

 この講演をご覧になればおわかりいただけますが、全編、日本の農家の方々へエールです。本来は農家の協同組合であるはずのJAに期待をかけつつ、新自由主義路線をひた走る政府に対して弱腰のその政治姿勢を批判してきたのだと思います。

 岩上さんも僕らも、一貫して、国内の農家の味方をしてきたし、これからもその姿勢は変わらないと思います。日本に農業も農家も必要ですし、農家の営みは守られなければならないし、四季折々の田園風景も、安全で新鮮な食べ物も、私たちの暮らしにとってなくてはならないものです。IWJは、全中がどう転ぼうとも、自営農を応援するメディアでありたいと思います。

 日本の農業を破壊するTPPと新自由主義の正体について、これまでIWJでは、岩上さんによるインタビュー・シリーズを数多く配信してきました。この機会に、改めて、アーカイブ動画をチェックしてみてください!

※2012/04/04 「いまだ知られざる壊国TPP」 日本農業新聞 緒方大造編集局長 インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/69472

※2013/10/16 「重要5品目」は、TPPの本質から目を逸らせる巧妙な罠 ~岩上安身による緒方大造 日本農業新聞論説委員室長インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/106937

※2014/10/06 グローバル資本の論理に対して如何に抵抗するか 「TPPと国家戦略特区は憲法違反」~TPP交渉差止・違憲訴訟の会・山田正彦氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/174900

※2015/02/08 「今、行われているのは農家の安楽死、いや、虐殺です」──窮地に追い込まれた日本の農業、生き残りをかけた「民衆の農業」とは?~岩上安身による農業ジャーナリスト大野和興氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/231297

■天皇陛下がパラオ・ペリリュー島を訪問 「軍事国家化」に突き進む安倍政権への隠されたメッセージ

 天皇、皇后両陛下が、一昨日の9日夜、戦没者の慰霊のために訪問していた太平洋の島国パラオでの日程を終え、日本に帰国されました。

 両陛下は、太平洋戦争中に日米両軍ともに大きな犠牲を出したパラオのペリリュー島で、双方の慰霊碑に供花されました。

 太平洋の島々での天皇陛下による戦没者の慰霊は、戦後、行われないままでいましたが、戦後70年の節目となる今年、両陛下の強い希望により、実現されました。

 今回、両陛下はなぜパラオを選んだのか。

 パラオ・ペリリュー島は、太平洋戦争中、日米両軍による戦闘が凄惨を極めた場所として知られています。1944年9月、フィリピンへの進撃を目指した米軍が、日本軍の飛行場があったペリリュー島に上陸し、激戦となりました。日本軍は塹壕(ざんごう)や洞窟に身を隠しながらゲリラ戦を展開しましたが、守備隊の約1万人が全滅しました。

 ペリリュー島の海岸は、日米両軍の将兵の血で染まったことから、「オレンジビーチ」と呼ばれています。両陛下による今回のパラオ訪問には、平和への強い願いと、悲惨な戦争の記憶の継承への強い思いが込められていると考えられます。

 天皇陛下は、今年の新年の感想では、「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」と述べています。「戦後70年」にあたり、先の戦争への反省と、平和への強い願いが、天皇陛下のお言葉からは感じられます。

 にも関わらず、安倍政権は、集団的自衛権の行使容認や、特定秘密保護法、武器輸出三原則の事実上の緩和などにより、「米国とともに、戦争のできる国」づくりを急ピッチで進めています。

 いやしくも「保守」を自認する者であれば、天皇陛下による平和への願いに、耳を傾けるべきではないでしょうか。日本政府が、米国のネオコンに鼻面を引き回されて、天皇陛下の言葉に耳を貸さないでいる様子は、情けない限りです。

 IWJでは、これまで、旧日本軍による戦争の歴史について検証するインタビューシリーズを配信してきました。「戦後70年」の節目を迎える今年、ぜひ、IWJの動画アーカイブをご覧ください。

※2013/07/31 「日本の若者がアメリカの鉄砲玉になるなんて、僕は耐えられませんよ!」 ~岩上安身による山中恒氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/93907

※2014/11/13 「昭和一桁」と重なりあう、現代日本の軍事国家化 今こそ、昭和史から教訓を引き出すべき時 ~ノンフィクション作家・保阪正康氏に岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/205612

 また、天皇陛下に関しては、IWJの原佑介記者が、非常に読み応えのあるルポを出しています。

 「足尾銅山鉱毒事件」で直訴状を出したことで知られる、田中正造ゆかりの地を巡った、その名も「【IWJ検証レポート(その1)】113年の時を超えて届いた田中正造の『直訴状』~『足尾鉱毒事件』の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅」です。群馬県、栃木県を訪れた天皇、皇后両陛下の胸中に迫る、迫真のルポになっています。ぜひ、会員にご登録いただき、全編をお読みください!

※【IWJ検証レポート(その1)】113年の時を超えて届いた田中正造の「直訴状」 ~「足尾鉱毒事件」の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅(記者:原佑介)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/170196 

※【IWJ検証レポート(その2)】113年の時を超えて届いた田中正造の「直訴状」 ~「足尾鉱毒事件」の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅(記者:原佑介)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/170317 

※【IWJ検証レポート〈その3〉】113年の時を超えて届いた田中正造の「直訴状」 ~「足尾鉱毒事件」の跡をたどった天皇陛下の胸中を探る旅(記者:原佑介)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/170323 

■メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」編集作業中! 「名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏インタビュー」をまもなく発行!

 IWJでは、岩上さんが行ったインタビューの中から選りすぐりのものをフルテキスト化し、詳細な注釈とヴィジュアル素材を盛り込んだメルマガ「岩上安身のIWJ特報!」を発行しています。

 現在、「名古屋大学名誉教授・安川寿之輔氏インタビュー」の編集作業が、佳境を迎えています! 『福沢諭吉のアジア認識』『福沢諭吉と丸山眞男~「丸山諭吉」神話を解体する』などの著書で、福沢諭吉の対外拡張的な言説を指摘してきた安川氏。今回のインタビューでは、中国人や朝鮮人に対して向けられた福沢の「ヘイトスピーチ」とも言える言葉の数々を、原典に則して紹介しています。

 このインタビューの中で、安川氏がはっきりと批判しているのが、政治思想研究者で、戦後日本を代表する知識人とされている丸山眞男です。私も学生時代、丸山の「超国家主義の論理と心理」(『現代政治の思想と行動』所収)や、『忠誠と反逆~転形期日本の精神史的位相』などを読み、その流麗な文体と明確な論理構成に、強く惹きつけられました。『「である」ことと「する」こと』(『日本の思想』所収)などは、一時期国語の教科書にも載っていましたので、ご記憶にある方も多いのではないかと思います。

 丸山は、『福沢諭吉の哲学』や『「文明論之概略」を読む』など、福沢に関する論文を数多く残しています。そこで丸山は、「典型的な市民的自由主義者」として、福沢を論じています。

 しかし、安川氏によれば、それは福沢の拡張主義的な言説や差別的言説をことごとく無視し、恣意的な取捨選択と勝手な読み込みによる虚像だった、というのです。

 私は、これまで、福沢諭吉が実際に残した文章にはほとんどあたらず、丸山が書いた論文に即して、福沢諭吉のことを理解していました。しかし、安川氏が指摘する実際の福沢の言葉は、これまでの私の常識をことごとく覆していきました。

 岩上さんはこのインタビューを行うにあたり、福沢の原典にあたり、脱亜論をはじめとした福沢の論文を読み、丸山が提出したものとは別の、拡張主義的で差別主義者である福沢の実像に気づいていました。

 そして、福沢諭吉の全集まで古本屋で買い、入念に準備を行った上で、安川先生のインタビューを行っています。インタビューの冒頭、その『福沢諭吉全集』が映り込んでいますので、動画アーカイブをご覧いただければ、ご確認いただけるかと思います。

 岩上さんは私に、「学問でもジャーナリズムでも、一次資料にあたって確認することが大切だ」と、諭すようにいいました。

 学生時代、丸山の論文を読んで福沢のことが分かったような気になっていた当時の自分に、聞かせてやりたい言葉です。

 福沢諭吉とは何者だったのか。そして、安川氏が指摘するような福沢の拡張主義的で差別的な言説を可能にした「明治の時代精神」とは、どのようなものだったのか。

 安倍総理が所信表明演説で、『学問のすゝめ』の中から「一身独立して一国独立す」という言葉を引用したことからも分かるように、安倍政権の思想の背骨には、福沢諭吉の考え方が据えられていると考えられます。安倍総理の言う「独立」の内実がどういうものなのか、改めて考えるためにも、読み応え抜群のメルマガになっていると思います。

 「岩上安身のIWJ特報!」は、「まぐまぐ」と「ブロマガ」でご購読いただけます。ぜひ、この機会に、ご購読ください!

※メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」
・まぐまぐ: http://www.mag2.com/m/0001334810.html
・ブロマガ: http://ch.nicovideo.jp/iwj
・月額864円、初月無料

■IWJは統一地方選も取材しています!

 4月12日と26日の2回に分けて投開票が行われる、統一地方選挙。選挙ポスターを貼る掲示板があちこちに設置され、「選挙ムード」が高まってきたように思います。しかし、前回の衆議院選挙が戦後最低の投票率だったことから、今回の選挙でも、投票率は低くなるのではないか、との予測も出ているようです。

 IWJでは、地方の中継市民の皆さんの協力を得て、今回の統一地方選挙を可能な限り取材し、可視化しています! 4月8日には、山本太郎参議院議員と、元宇宙飛行士の秋山豊氏が応援演説に訪れた、京都市議選に立候補している白塚悦子候補の街頭演説を中継しました!

※2015/04/08 【京都】統一地方京都市議選 下京選挙区・白塚悦子候補 街頭演説 ―応援 山本太郎参議院議員、秋山豊寛氏(元宇宙飛行士)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/241927 

 投票を棄権することは、現在の暴走する安倍政権に対し、白紙委任状を出すことと同じではないでしょうか。IWJでは、皆さんが投票する際の材料を提供すべく、全国で行われる街頭演説や集会の模様を、どんどん取材・中継していきます! ぜひ、IWJの統一地方選挙に関する取材に、ご注目ください!

■岩上さんのこれからのインタビュー予定をお知らせします

 岩上さんは現在、体調と相談しつつ、少しずつインタビュー取材を再開させています。本日までのところ、今後のインタビュー・スケジュールとして、以下のラインナップが確定しています。

・4月13日(月)19時~ ジャーナリスト・樫田秀樹氏インタビュー
※『”悪夢の超特急” リニア中央新幹線』の著者である樫田氏に、リニア中央新幹線の問題点についてうかがいます。インタビュー当日は、樫田氏がリニア建設予定地を飛び回って撮影した各地の写真をまじえつつ、河川の水枯れなどリニアが地域に及ぼす深刻な影響から、JR東海の無責任体質、リニアと原発との関係まで、幅広くお話をうかがいます。

◇関連記事◇

・2014/02/26 「JR東海は充分な磁界情報を提示していない」 リニア新幹線問題で、関係省庁を交え意見交換
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/126865

・2015/03/18 リニアが新幹線より優れているのは「高速性」のみ!? 多くの懸念を残し、責任の所在もなく、議論も満足にされないまま進むリニア建設問題
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/239535

・2015/04/04 川の水枯れ、大量の残土、電磁波、そして原発との関係…問題山積みのリニア中央新幹線計画について、ジャーナリスト・樫田秀樹氏が講演
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/241467

・4月18日(土)18時30分~ 西尾正道氏・黒田洋一郎氏インタビュー
※IWJではお馴染み、昨年末の「饗宴V」にもご登壇いただいた北海道がんセンター名誉院長の西尾正道氏、『発達障害の原因と発症メカニズム~脳神経科学の視点から』の著者で、農薬「ネオニコチノイド」が人体に与える影響の問題に詳しい黒田洋一郎氏と、岩上さんが三者鼎談を行います。

◇関連記事◇

・2015/02/19 「内部被曝の影響は、これから出てくる」 放射線治療の第一人者が語る、被曝問題の隠された真実 ~岩上安身による西尾正道氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/233698

・【IWJブログ・特別寄稿】『健康被害に関するICRPの理論の問題点』(北海道がんセンター名誉院長 西尾正道)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/238989

・2015/02/18 世界中の「ミツバチ大量死」 原因はネオニコチノイド系農薬と米ハーバード大が特定! ~日本は規制なし、農水省は「実態調査中」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/233754

・2014/06/26 ミツバチの大量死と日本人の未来 ネオニコチノイド系農薬に科学者たちが警鐘~IUCN/TFSF による「浸透性農薬世界総合評価書(WIA)」研究成果発表会
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/148695

・4月21日(火)14時~ 宋文洲氏インタビュー
※ソフトブレーン株式会社の創業者で、経済評論家として、中国経済についてテレビやTwitterなどで積極的に情報発信を行っている宋文洲氏に、AIIBと中国の「シルクロード経済圏」構想について、お話をうかがいます。宋文洲氏は、IWJでは初めての登場となります。どうぞ、ご注目ください!

◇関連記事◇

・【岩上安身のツイ録】破綻した「アジア基軸(Pivot to Asia)」と「セキュリティ・ダイヤモンド構想」 AIIB不参加で孤立を深め、それでも米国に追従する「政治哲学」なき安倍政権の愚
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/241742

■新しい「定期番組」のリハーサルを行いました!

 昨日の日刊ガイドで、佐々木隼也記者も触れていましたが、一昨日、IWJの事務所内で、新しくスタートする予定の定期番組について、リハーサルを行いました。

 日々の中継配信や岩上さんのインタビューに加え、「岩上安身のニュースのトリセツ」、「IWJブログ」、「特別寄稿」、メルマガ「IWJウィークリー」、メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」、「岩上安身のツイ録」など、IWJの情報発信形態とその分量は、非常に多岐に渡ります。

 しかし、そのことによって、皆様から、「量が多すぎて見きれない!」という声をいただいています。

 そこでIWJでは、「岩上安身のニュースのトリセツ」を中心に、岩上さんの時事解説をコンパクトなかたちでお伝えすることができるような定期番組の配信を予定しています。

 一昨日のリハーサルでは、IWJスタッフのぎぎまきと芹沢あんずが、岩上さんの「聞き手役」を務めました。台本の制作から、ナレーション、ヴィジュアル素材、BGMなど、まだまだスタートまでに残された課題も多いのですが、とにかくスタートを切ります!

 番組名やコーナー案など、この定期番組について、皆様からのご意見を募集します。以下のフォームからお送りください。どうぞ、よろしくお願いいたします。

※ご意見はこちらまで!
https://pro.form-mailer.jp/fms/9ac630ed27381

 放送日など、詳細が決まりましたら、改めて告知いたします。どうぞ、ご期待ください!

■本のお買い求めはIWJブックショップで!

 「出版不況」と言われる昨今ですが、IWJでは、良書を紹介し、少しでも流通させたいとの思いから、岩上さんがインタビューした方々や、IWJとゆかりのある方々の書籍を、著者のサイン入りで販売する新しいサービス「IWJブックショップ」を始めました!

 現在、「IWJブックショップ」では、杉田聡著『天は人の上に人を造る~「福沢諭吉神話」を超えて』『福沢諭吉 朝鮮・中国・台湾論集~「国権拡張」「脱亜」の果て』の他、木村三浩著『お手軽愛国主義を斬る~新右翼の論理と行動』など、豊富なラインナップを取り揃えています。

 昨日、岩上さんがインタビューした、矢吹晋氏の著書4冊(『チャイメリカ』『尖閣問題の核心』『尖閣衝突は沖縄返還に始まる』『敗戦・沖縄・天皇~尖閣衝突の遠景』)も、準備が整い次第、販売を開始いたします。こちらも、もちろん、矢吹氏のサイン入りです!

 ぜひ、会員にご登録いただき、「IWJブックショップ」で、「とっておきの一冊」をお買い求めください!

・【大野和興さんサイン入り】『百姓が時代を創る【通常版】』※残りわずか!
http://bit.ly/1JvrwuP

・【杉田聡さんサイン入り】『福沢諭吉 朝鮮・中国・台湾論集―「国権拡張」「脱亜」の果て』
http://bit.ly/1IXYHqA

・【杉田聡さんサイン入り】『天は人の下に人を造る―「福沢諭吉神話」を超えて』
http://bit.ly/19QxhH0

・【木村三浩さんサイン入り】『お手軽愛国主義を斬る~新右翼の論理と行動』
http://bit.ly/19EJazc

・【孫崎享さんサイン入り】『崖っぷち国家 日本の決断~安倍政権の暴走と自主独立への提言』
http://bit.ly/1BWUeQ4

・【西尾正道さんサイン入り】『放射線健康被害の真実』
http://bit.ly/1BcqXPL

・【西尾正道さんサイン入り】『がん患者3万人と向きあった医師が語る正直ながんのはなし』
http://bit.ly/1AjkzHb

・【サイン入り写真集】『PANDY & MIKO ITALY』
http://bit.ly/19gftFp

・【サイン入り写真集】『PANDY & MIKO JAPAN』
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 この「ブックショップ」以外にも、IWJのサイトでは、「岩上安身によるスペシャルインタビュー」「饗宴」「クロストークカフェ」「Deep Night」などのDVD、岩上安身直筆サイン入りの『百人百話』第一・第二集、梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士とともに自民党の憲法改正草案を逐条で読み解いた『前夜』などの書籍、Tシャツ、オリジナルステッカーなどをご購入いただけます。

 こうした書籍やグッズ、DVD販売の収益も、IWJの活動の支えとなります。ぜひ、お買い求めください。

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■わとはぷ~What happened today?

 1987年の今日、「世界のサカモト」こと音楽家の坂本龍一さんが、映画「ラストエンペラー」の音楽で、日本人初となるアカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞しました。

 巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督がメガホンを取り、清の「ラストエンペラー」である溥儀の生涯を描いた本作は、1988年1月の公開とともに、世界中で大きな話題を呼びました。

 坂本さんは、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」同様、本作でも音楽だけでなく俳優としても出演。旧満州で関東軍による様々な工作を行った、甘粕正彦を演じています。

 私がこの作品をビデオで見たのは、中学3年生くらいの時だったと思います。最も印象に残っているのは、映画の中盤、溥儀との別れを決意した第二皇妃が、ドアに置手紙を差し込んで、階段を走り去り、雨の降る中を車で走りさるシーンです。

 このシーンで流れる坂本氏の「Rain」という曲は、ベルトルッチが撮るショットの美しさと相まって、見る者を陶酔させます。撮影中、この曲を聞いた映画のスタッフは、揃ってガッツポーズをした、という逸話が残っています。映画の成功を確信したのでしょう。それぐらいの名曲です。

 現在、坂本さんは、中咽頭がんの治療のため、自宅のあるニューヨークで療養生活を送っています。がんを公表する前、坂本氏は、首相官邸前の脱原発抗議行動でのスピーチで、IWJの中継に初登場しました。その後、2012年8月14日には、岩上さんによる単独インタビューが実現しました。

※2012/08/14 デモ、原発、マスメディアの偏向、今の日本を語り尽くす ~岩上安身による坂本龍一氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/26562

 その後も、一昨年の「饗宴IV」のパーティーに、サプライズゲストとして登場するなど、IWJとはゆかりの深い坂本さん。IWJの会員にもなってくださっていますし、カンパしてくださったこともあります。IWJを応援してくださっていることに改めて感謝しつつ、一日も早くがんを克服し、ステージに戻ってきてくれることを願っています。

 それでは、本日も、よろしくお願いいたします。

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 http://iwj.co.jp/

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