日刊IWJガイド 2015.1.28日号 ~No.868号~


■■■ 日刊IWJガイド 2015.1.28日号 ~No.868号~ ■■■
(2015.1.28 8時00分)

おはようございます。IWJの原です。

昨夜23時過ぎ、イスラム国側から新たなメッセージが出ました。ヨルダンで拘束されているサジダ・リシャウィ死刑囚を24時間以内に釈放させなければ、後藤さんとヨルダン軍パイロットの2人が殺害される、との警告でした。

正確な声明発表の時刻は明らかではありませんが、これまでの経緯をみても、メッセージは単なる脅しではない可能性が高いでしょう。

メッセージでは、「ボールはヨルダンに投げられた」として、後藤さんよりも先にパイロットを殺害する、と宣言しています。まさにヨルダンがどう出るか次第で、状況がまるで異なってきますが、日本政府は現在、ヨルダン政府と急ピッチで調整を進めていることかと思います。

一方、米国務省は26日、後藤さんの解放条件に、「イスラム国」が死刑囚との交換を求めていることに対し、「人質の交換に応じない」という米国の立場を改めて強調。米国務省は湯川さんが殺害される前(と思われる)の22日にも、「身代金を支払うべきではない」との考えを日本に伝えてきていました。

※米「人質の交換に応じない」とイスラム国を強く非難(テレビ朝日 01/27 11:48)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000043254.html

※日本人拘束 米国務省「身代金支払うべきでない」と日本側に伝達 (FNN 01/23 14:22)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00284980.html

本当に余計なお世話もいいところです。自分はかつてタリバンとの間で人質交換をしたことがあるというのに、それについては「軍曹は戦争捕虜だった」と述べ、民間人の人質交換とは状況が異なると主張しました。戦争捕虜と民間人の人質では命の重みが違うとでもいうのか、意味がよくわかりません。

なんとか後藤さんと、ヨルダンのパイロットの命が助かることを、ただただ祈るばかりです。

ところで今回の邦人拉致事件で、「誘拐された人間の自己責任論」「政府が全力で人質事件に取り組んでいるんだから、今は安倍政権をdisるな論」「人質奪回には軍事作戦で」など様々なトンチンカンな意見を聞いて、辟易しています。無責任だな、と。

邦人が拘束されていることを知りながらイスラム国をわざわざ挑発した安倍総理ですから、明らかな外交的失敗をしでかしたわけです。結果、一人殺された可能性がある。今すぐ安倍総理に辞めろとは言いませんが、今後、辞任も視野に入れた責任追及が当然、必要になってくるでしょう。

邦人救出できるよう自衛隊を出動できるように法改正しようなどというに至っては、この人質事件を政治利用し、焼け太りしようという意図があからさまで、怒りを禁じえません。

安倍総理は、「テロに屈しない」、「イスラム国との闘いに支援」するなどと、イスラム国を相手に散々、挑発しておいて、人質を殺すぞと脅されると、だから、邦人救出のためにも自衛隊の海外派遣が必要だ、などと言い出す。これではマッチポンプと批判されても仕方ないでしょう。

だいたい、集団的自衛権を行使でき、核兵器すら持っている米国やイギリス、ロシアがイスラム国に囚われた人質を救えていないというのに、日本が集団的自衛権を行使したところで解決につながるはずがない。むしろ、さらなる人質事件を誘発するだけ、と考えるのが自然ではないでしょうか。

岩上さんが、読売の論説をさっくりと斬っています。できもしないことを、よく書くなあ、読売という感じです。

※読売がけしかける「人質を奪還する戦争」などあり得ない。米軍だってジム・フォーリー記者を奪還できなかった。デタラメを書き殴り日本全体を危険にさらす狂気のプロパガンダ。
【米英、身代金応じず】「必要なら軍事力で奪還を試みるのが基本姿勢だ」
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150121-OYT1T50000.html

今、情報が少なく、安倍政権がどのような動きをしているか、いまいちわかりません。イスラム国との情報戦もあり、情報が出せないのは仕方がない。しかし人命がかかっているからこそ、政府がモタモタしている様子があれば、ケツを蹴っ飛ばさなければならないのではないでしょうか。「disるな」とは、政府に白紙委任しろ、ということなのでしょうが、「自己責任論」含め、いつまでも「政府はお上という意識」が抜けない人が多いこと、という印象です。

いずれにしても、邦人の無事を心からお祈りしますし、絶対に、無事に日本に帰国させるつもりで、IWJも取材し、報じていきたいと思います。
…(後半へ続く)

◆中継番組表◆

本日のIWJの中継番組表を送ります。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もありますのでご了承ください。

**2015.1.28 Wed.**

【IWJ_AOMORI1】14:00~「三上武志・社民党県連代表と大竹進氏(青森県知事選立候補予定者)の政策協定」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-aomori1
※三上武志・社民党県連代表と大竹進氏(青森県知事選立候補予定者)が、反原発や護憲などで政策協定を締結する予定

【Ch3】14:30~「原子力規制委員会 田中俊一委員長 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=3
※原子力規制委員会の田中俊一委員長による定例会見

【Ch4】15:00~「日本外国特派員協会主催 現代イスラム研究センター 宮田律 理事長 記者会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4
※日本外国特派員協会で行われる、現代イスラム研究センター宮田律・理事長の記者会見。邦人人質事件に関して話される予定

【Ch1】16:00~「岩上安身による水野和夫・日本大学国際関係学部教授インタビュー」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
※水野教授のベストセラー『資本主義の終焉と歴史の危機』を紹介しながら、「アベノミクスは何をもたらしたのか」、また、「2015年以降の日本経済についての見通し」を、岩上安身がうかがいます

【Ch5】18:00~「山中恒さん『靖国の子』の出版を祝う会 ―山中恒氏 ミニ講演」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※岩上安身もインタビューした、山中恒氏のミニ講演を中継します。14歳で敗戦を迎えた「軍国少年」だったという山中恒氏は、1974年に刊行された『ボクラ少国民』をはじめ、戦争をテーマとする児童文学を数多く執筆しています。本ミニ講演は、「『靖国の子』の出版を祝う会」中に行われます

関連記事はこちら
・2013/07/31 「日本の若者がアメリカの鉄砲玉になるなんて、僕は耐えられませんよ!」 ~岩上安身による山中恒氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/93907

【再配信・Ch6】20:00~「イラク戦争に参加した元米軍海兵隊員の訴え『イラク戦争は違法行為、人道に対する罪』――問われる日本の集団的自衛権」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6
※2014年11月20日に行われた記者会見&院内集会を再配信します。米国軍隊に志願したのは「世界を見れる、男として認められるなど自己中心的な理由」だったというカプーティ氏は、2004年6月にイラクに配属され、同年11月の第2次ファルージャ総攻撃に参加しました

(前半の続き)…
昨日は、「生活の党と山本太郎となかまたち 小沢一郎代表・山本太郎参議院議員記者会見」の中継・取材をしました。小沢氏とともに共同代表に就任した山本太郎議員。なぜ、無所属から小沢一郎氏と合流したのか、その思いを語られています。IWJは、松井記者が「辺野古新基地建設」をめぐる安倍政権や警察の姿勢について質問しました。是非、記事をご確認ください。

※2015/01/27 「情緒論的に口を閉ざすのは政治家として無責任だ」イスラム国問題、辺野古基地移設で徹底論争する構え ~「生活の党と山本太郎となかまたち」小沢一郎氏、山本太郎氏両代表が記者会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/228048

今日は、午後4時から、『資本主義の終焉と歴史の危機』の著者である水野和夫氏に、岩上さんがインタビューします。

資本主義の「死期」が近づいてきていると話す水野さん。日本を筆頭に、先進国で超低金利状態が続いていますが、金利はほぼ利潤率に一致するので、超低金利というのは、資本を投下しても利潤を得ることができない状況にある、と水野さんは説明します。そして、資本を自己増殖させることが資本主義の本質であり、この超低金利状態から抜け出せないということは、資本主義の終焉を意味する、と説いています。

資本主義世界の歴史から、中国バブルが弾けたあとの世界経済、日本の財政赤字、国債問題にどう対処するべきかなど、インタビューは多岐にわたると思います。是非ご視聴ください。

IWJ Ch1→ http://www.ustream.tv/channel/iwakamiyasumi

インタビューにさきがけ、午後3時からは、日本外国特派員協会主催「現代イスラム研究センター宮田律・理事長記者会見」があります。宮田さんは、「テロに屈しない」と連呼するだけではなく、相手の「情」に訴える方法も必要ではないか、と分析されています。

つまり、例えば「イスラム国」が台頭した背景に目を向け、イラク国内で冷遇され「イスラム国」の原動力となったスンニ派地域の発展に寄与する支援策を提案することもできたはずだし、米国の顔色をばかりうかがうのではなく、イスラム社会そのものに向き合う姿勢を、日本は打ち出すべきだ、ということです。

イスラム社会は日本に好意的だったが、イラク戦争を真っ先に支持したことで、日本を見る目は懐疑的になってしまった。そして今回の、安倍総理の、イスラエルと親イスラエルの国々に偏った中東歴訪。築き上げられてきたイスラム社会の不信感を拭わなければならない、そう宮田さんは説いておられます。会見にご注目ください。

IWJ Ch4→ http://www.ustream.tv/channel/iwakamiyasumi4

イスラム国が生まれた背景にある、イラク戦争。そのとき、イラクでは何が起きていたのか。今日は、20時から、講演「イラク戦争に参加した元米軍海兵隊員の訴え『イラク戦争は違法行為、人道に対する罪』――問われる日本の集団的自衛権」をCh6で再配信します。

ファルージャ総攻撃に米軍海兵隊員として参加したロス・カプーティさんは講演で、米国軍隊に志願したのは「世界を見れる、男として認められるなどの自己中心的な理由」だったと語ります。戦争の「リアル」を知らないのは、これから集団的自衛権を行使しようとしている日本の国民も一緒ですよね。カプーティさんは続けます。

「私は米国の戦争について知らず、米国政府の言うことを鵜呑みにしていた。今では、当時のブッシュ政権の主張が間違いであったことを知っている。国連安保理が承認しないイラク戦争は違法行為で、人道に対する罪だ。にも関わらず誰も責任をとっていない」

イスラム国を生み出す原因を作った当事者でもあるカプーティさんのお話は必見です。また、このカプーティさんの講演を企画したのは、先日岩上さんがインタビューしたジャーナリストで「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」の志葉玲さんです。岩上さんによるインタビュー記事もアップしていますので、そちらも是非、一緒にご覧ください。

講演の再配信はIWJ Ch6→ http://www.ustream.tv/channel/iwj6

※2015/01/25 「イスラム世界全体を敵に回しかねない」安倍外交の失敗と、イスラム国の真の狙い ~ジャーナリスト・志葉玲氏に岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/227656

昨日アップした記事はこちら。

★テキストUP 1/15 パリ銃撃テロ事件「背景に移民政策による格差の問題」9.11後の米国と近似するフランス、そして日本~岩上安身による高橋和夫氏インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/224918
犠牲者追悼デモに集結した各国首脳たちの思惑

★記事UP 1/26安倍政権による「戦争する国」へ向かう法案が一挙大量に提出、強行採決される懸念――反対する市民から抗議の声~秘密保護法廃止へ! 国会前行動
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/227866
海渡氏「政府のやることを明らかにしていくことが重要」

★テキストUP 1/15 「内政干渉」という政府見解を理由に大手メディアが報じない特定秘密保護法への警告~「秘密保護法違憲訴訟」第4回口頭弁論後の報告会&孫崎享氏講演会
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/224920

★テキストUP 1/20貧困・格差が拡大し社会保障費が削られていく安倍政権の税制に対し有識者らが提言~公正な税制を求める市民連絡会(準備会、仮称)記者会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/226487
貧困、格差は拡大し、相対的貧困率は史上最悪を記録更新

★記事UP 1/26予定していた年度内の汚染水全量処理は断念、新たな目標日程は検討中~東電定例記者会見
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/227997
いかに作業員の安全をないがしろにしてきたかが、明白になった。安全総点検継続中で、工事作業の再開めどは立たず

ここで、IWJから大事なお知らせがあります。

「饗宴V」のDVDが完成しました! 「饗宴V」から約1ヶ月。HOTな状態でのリリースです。動画班古田晃司らが頑張ってくれました! やればできる子だと思っていましたが、いやぁ~、なかなかやってくれました。

今考えなければいけないイスラム国が生まれる背景なども、「文明の衝突」の虚実というテーマで触れられています。DVD3枚組、合計459分収録でなんと! 3800円という超お買い得価格!

長時間に渡ったシンポジウムでしたが、DVDでしたら、ご都合に合わせてお好きなときに再生できます。また、各先生方のパワポも入っていますので、より理解が深まるかと思います。

是非、「饗宴V」のDVDをご購入ください!

IWJの活動は、皆さんの支えで成り立っています。まだ1月だというのに様々な問題が立て続けに起きていますが、IWJは、休むことなくこれらの問題を正面から報じ、論じていきたいと考えています。どうか、IWJをお支えください。

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~わとはぷ(What happend today?)

1871年の今日、日本初の日刊新聞「横浜毎日新聞」が創刊されました。この「日刊IWJガイド」の大先輩といえる存在ですね。

当初は貿易に関する情報が紙面の中心でしたが、1874年頃より「民権派の新聞」と注目されはじめ、日露戦争では徹底的な反戦スタンスを取り続けました。しかし、日本全体が戦争に熱狂した当時、反戦論を掲げる新聞は、どこも部数を激減させてしまいます。

結局、1940年11月30日、横浜毎日新聞は「帝都日日新聞」に吸収合併され、消滅。戦争下で反戦を掲げることがどれほど、難しかったかについては、作家・保阪正康さんが岩上さんのインタビューで詳しく語られています。

※2014/11/13 「昭和一桁」と重なりあう、現代日本の軍事国家化 今こそ、昭和史から教訓を引き出すべき時 ~ノンフィクション作家・保阪正康氏に岩上安身が聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/205612

それでは今日も1日、よろしくお願いします! (IWJ 原佑介)

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
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