日刊IWJガイド「プーチン大統領はザポリージャ州とヘルソン州の独立を承認!『エスカレーション』2幕は4州のロシア連邦への編入。続いて『エスカレーション』3幕!」2022.10.1号~No.3670号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~プーチン大統領は、29日、ウクライナ南部のザポリージャ州とヘルソン州の独立を承認!「エスカレーション」の第2幕は東部・南部の4州のロシア連邦への編入に! 続いて「エスカレーション」の第3幕がすでに始まっている!

■9月末、IWJは先月に続き、今月も、ご寄付・カンパの目標額に到達しませんでした。9月1日から30日までのご寄付額は116万6600円、目標額の18%にとどまりました! 8月のご寄付・カンパも、月間目標額の31%の122万3000円にとどまりました! 8月9月の不足分は、541万400円となって、10月分に繰り越しとなります! どうぞ、緊急のご支援をよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■<IWJ取材報告1>旧統一教会が『ミヤネ屋』『ひるおび』と、出演の3弁護士を名誉毀損で提訴! 全国弁連・阿部弁護士は「言論批判の封殺を目的としたスラップ訴訟」と批判!~9.29 立憲民主党 第13回 統一教会(野党合同)国対ヒアリング

■<IWJ取材報告2>「『望まない妊娠継続』を強制されるのは人権侵害」「医療者と社会の役割は、妊娠した人をジャッジ(善悪を審判)することではなく、妊娠した人の人権と健康を守ること」~9.28「9.28 国際セーフ・アボーション・デー 記念イベント『中絶について声をあげよう!』」

■ウクライナ紛争のエスカレーションの背景にあるのは米国によるウクライナへの武器供与!~9月発行の「岩上安身のIWJ特報!」は、8月16日収録「岩上安身によるインタビュー第1090回 ゲスト 国際政治学者・神奈川大学教授 羽場久美子氏」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員に登録を!!

■【スタッフ募集・テキスト(パワポ作成担当)班】書物や資料を読み砕いていく読解力やリサーチ能力が必要とされる「岩上安身によるインタビュー」のパワポ作成に責任をもってかかわっていただける方を募集します。時給は1500円から、能力・実績に応じて昇給します。

■【スタッフ募集・動画班】岩上安身によるインタビューを撮影・編集したり、大臣会見やビデオカメラによる現場取材と中継、撮影した動画の編集を行うスタッフを募集します。PCによる動画の編集作業の基本ができる方、特にYouTubeの撮影・編集などの経験のある方を特に優遇し、最優先で募集します! 経験が少なくとも、意欲ある若い方、研修を受ければ習熟していけるとの自信や情熱がある方も歓迎です! 時給は1300円からのスタートです。

■【スタッフ募集・事務班】中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの行動予定を組み立てる重要なセクションである事務班のスタッフを募集します。PC操作のスキルがあり、スケジュール調整のためにアポ取りのコミュニケーションスキルのある方、歓迎です! これまでの社会経験も生かせます! 時給は1200円からのスタートです。

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■はじめに~プーチン大統領は、29日、ウクライナ南部のザポリージャ州とヘルソン州の独立を承認!「エスカレーション」の第2幕は東部・南部の4州のロシア連邦への編入に! 続いて「エスカレーション」の第3幕がすでに始まっている!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 プーチン大統領は、29日、ウクライナ南部のザポリージャ州とヘルソン州の独立を承認する政令に署名しました。

※Putin signs decrees to recognize independence of Zaporozhye, Kherson regions(Tass、2022年9月30日)
https://tass.com/politics/1515559

 すでに、ロシアは2月に、ドネツク州とルガンスク州の独立を承認してます。

 30日付のTass通信によると、「クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官によると、ドネツク、ルガンスク両人民共和国(DPR、LPR)、ザポリージャ、ヘルソンの4つの新領域の加盟条約締結式は、モスクワ時間15時(日本時間30日の21時)にクレムリンで行われる」ということです。

 29日付RTによると、4地域のロシア連邦への編入を問う住民投票を受けた、ロシア連邦編入に関する条約調印式は、モスクワ時間の金曜日午後3時(日本時間の21時)にクレムリン宮殿内の聖ゲオルギー・ホールで行われ、その後プーチン大統領は「膨大な量のスピーチ」を行う予定であるといいます。

 また、プーチン大統領は、新領土の首長と個人的に会談する予定とされています。

※Kremlin reveals next step for former Ukrainian regions(RT、2022年9月29日)
https://www.rt.com/russia/563737-putin-donbass-accession-treaties/

 29日付RTは、プーチン大統領の条約署名は連邦編入のステップの一つだとして次のように伝えています。

 「上院にあたる連邦会議のコンスタンティン・コサチョフ副議長が説明するように、条約への署名は、新領土をロシア連邦に正式に組み込むために必要な重要なステップの一つに過ぎない。

 プーチン大統領が条約に署名した後、条約はロシアの憲法裁判所に提出され、ロシアの法律に適合していることが確認されなければならない。その後、下院にあたる国家ドゥーマと上院にあたる連邦会議で批准されなければならない。その後、DPR、LPR、ヘルソン、ザポリージャの4地域が正式にロシア連邦に統合されることになる。

 マトヴィエンコ連邦議会議長によれば、上院にあたる連邦会議の次回会合は10月4日に予定されており、『すべてが確認されれば』新領土の受け入れに関する条約を審議にかけるという」

 このように、手続き上、ドネツク、ルガンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4地域が、正式にロシア連邦に編入されるのは、10月4日以降ということになります。

 8月下旬からのNATO軍の支援の下でのウクライナ軍の反転攻勢に始まったウクライナ紛争の「エスカレーション」の第2幕は、当初の予想よりも1ヶ月以上も早い4地域のロシア連邦への編入という形になりました。

 エスカレーションの第3幕は、ウクライナ、米英、NATOの側から、すでに、複数行われています。

 欧州連合(EU)のフォン・デア・ライエン欧州委員長は28日、ロシア産石油の取引価格の上限設定を柱とする対ロシア追加制裁を実施する方針を示しました。

※EU、対ロシア追加制裁の方針 “住民投票”に「代償を払わせる」(毎日新聞、2022年9月29日)
https://mainichi.jp/articles/20220929/k00/00m/030/008000c

 毎日新聞によると、「制裁対象の個人・団体や輸入禁止の対象となるロシア産製品の拡大、戦闘に用いられる航空関連や電子部品などロシアへの輸出禁止品目の拡大なども含まれる。新たな輸入規制でロシアは70億ユーロ(約9800億円)の減収になるという」。

 しかし、こうした経済的な締め上げは、ロシアに対する以上に、EU自身の首を絞め、NATO加盟諸国各地で対露制裁反対、反NATOのデモが頻発しています。こうした動きは9月28日の日刊IWJガイドでお伝えした通り、日本のメディアでは、ほとんど報じられません。ロシア国内の反戦運動の動きは、連日日本のメディアで報じられますが、欧州諸国における反戦、NATOそして特に反制裁のデモ・集会の運動は、まったく報じていないのです。

 また、26日に発覚したロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインのノルド・ストリームへの「偽旗作戦」(米国・ウクライナ・NATOがパイプラインを攻撃しておいて、ロシアに罪をなすりつけていること)も、ウクライナ、米英、NATOからのエスカレーションの第3幕の一環ととらえることができるでしょう。

 問題は、それだけで第3幕が済むかどうかです。

 ロシア軍は撤退したものの、ロシア語話者が多く、同じように、編入を考えているであろう東部ハリコフ州についても、ロシアの出方が注目されます。

■9月末、IWJは先月に続き、今月も、ご寄付・カンパの目標額に到達しませんでした。9月1日から30日までのご寄付額は116万6600円、目標額の18%にとどまりました! 8月のご寄付・カンパも、月間目標額の31%の122万3000円にとどまりました! 8月9月の不足分は、541万400円となって、10月分に繰り越しとなります! どうぞ、緊急のご支援をよろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 8月から始まった第13期も、10月となりました。

 今期から、ご寄付・カンパの月間目標額を、前期の400万円から390万円に下げ、さらに支出を絞って緊縮予算でのぞんでいますが、先月第13期のスタート月となった8月分は、8月31日の時点でご寄付は122万3000円、月間目標額の31%にとどまりました。

 目標額に届かなかった残額267万7000円分は、今月の月間目標額に繰り越して上乗せとしました。ですので、今月9月の目標額は657万7000円となります。9月もかなり厳しいスタートとなりました。

 9月は1日から30日までの30日間で、116万6600円のご寄付・カンパをいただきました。これは、上記の累積の目標額657万7000円の18%にあたります。ご支援くださった皆さま、本当にありがとうございました。

 とはいえ、先月に続き、今月も赤字転落を回避することはできませんでした。赤字転落を回避するには、541万400円必要です。

 ご寄付・カンパによる緊急のご支援を、よろしくお願いいたします!

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、会員の数が足りなくなり、ご寄付が途絶えると、IWJは活動していけなくなってしまいます。

 IWJは、市民の皆さま、お一人お一人が会員となっていただくことで、政治権力におもねり、広告スポンサーに牛耳られている記者クラブメディアとは一線を画して活動しています!

 権力に不都合であっても、真実を追及し、権力の監視を行う「ウォッチドッグ」の役割を果たし続けることが可能になります。これも、市民の皆さまのお支えがあってのことです。

 統一教会が熱心に後押ししてきた緊急事態条項の阻止のために、私と、IWJのスタッフは、全力で立ち向かいたいと思います! 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたく、IWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

 どうかIWJ会員の皆さま全員のお力で、IWJをお支えください!

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みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身


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◆中継番組表◆

**2022.10.1 Sat.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2022.10.2 Sun.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】13:15~「百年の森を未来に残すために私たちは何ができるか? 《神宮外苑再開発を考える学習会》」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「神宮外苑再開発を考える学習会」を中継します。これまでIWJが報じてきた神宮外苑関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%a5%9e%e5%ae%ae%e5%a4%96%e8%8b%91

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

旧統一教会が『ミヤネ屋』『ひるおび』と、出演の3弁護士を名誉毀損で提訴! 全国弁連・阿部弁護士は「言論批判の封殺を目的としたスラップ訴訟」と批判!~9.29 立憲民主党 第13回 統一教会(野党合同)国対ヒアリング
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511147

「『望まない妊娠継続』を強制されるのは人権侵害」「医療者と社会の役割は、妊娠した人をジャッジ(善悪を審判)することではなく、妊娠した人の人権と健康を守ること」~9.28 国際セーフ・アボーション・デー 記念イベント「中絶について声をあげよう!」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511115

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■<IWJ取材報告1>旧統一教会が『ミヤネ屋』『ひるおび』と、出演の3弁護士を名誉毀損で提訴! 全国弁連・阿部弁護士は「言論批判の封殺を目的としたスラップ訴訟」と批判!~9.29 立憲民主党 第13回 統一教会(野党合同)国対ヒアリング

 9月29日午後3時より、東京・衆議院本館にて、「立憲民主党 第13回 統一教会(野党合同)国対ヒアリング」が開催されました。

 統一教会電話相談の現状、被害者の実態把握について、立憲民主党、共産党の野党議員が、消費者庁、警察庁、厚生労働省(児童虐待担当者)、法務省、文部科学省の担当官からヒアリングを行いました。

 また、全国霊感商法対策弁護士連絡会の木村壮、阿部克臣両弁護士が出席し、統一教会電話相談の現状、被害者の実態把握などについて、意見交換・質疑応答が行われました。

 この日、午後1時から、旧統一教会は司法記者クラブで記者会見を行いました。その内容は、読売テレビ『ミヤネ屋』、TBS『ひるおび』の両番組と、その番組に出演している紀藤正樹弁護士、本村健太郎弁護士、八代英輝弁護士を名誉毀損で提訴するというものでした。

 この提訴について、立憲民主党の山井和則議員が、木村・阿部両弁護士にコメントを求めると、阿部弁護士は次のように語りました。

 「訴状の内容も見ましたが、端的に言うと、言論の封殺を目的としたスラップ訴訟の類であると言っていいと思います。

 何ら、違法性・責任を問われるような発言ではないと思うんですね。

 それを発言の影響力の大きいこの3名と、特に統一教会問題について積極的な報道をしていた読売テレビとTBSを、共同不法行為で被告にして、大きな金額の請求をするということは、もうそれは、言論批判の封殺を目的としたスラップ訴訟の類と言っていいものであって、決して許されるものではないというふうに思います」

 ヒアリングの最後に、山井議員が再度、この旧統一教会の提訴について、文科省文化庁宗務課長の石崎弘明氏に次のように質問しました。

 「報道機関と、統一教会を批判した弁護士さんを名誉毀損で訴えるなんて、ただごとではないんじゃないかと思うんです。

 一歩間違うと、これは、言論弾圧・報道の自由を侵すことにもなりかねないと思うんですけれど、宗教法人の所轄官庁として、コメントはございますか?」

 これに対して、石崎氏は以下のとおり回答しました。

 「私は、ここで初めてこの状況を知った状況でして、今、内容を把握していない状況では、確たる見解を示すのは難しいかと思っておりますが、弁護士先生の分析もございますし、この件については、色々なご意見があるのではないかと考えております」

 「色々なご意見」とは、統一教会のスラップ訴訟を擁護する「見解」であり、それにも耳を傾けないといけない、ということなのでしょうか?

 詳細は、ぜひ全編動画を御覧ください。

※旧統一教会が『ミヤネ屋』『ひるおび』と、出演の3弁護士を名誉毀損で提訴! 全国弁連・阿部弁護士は「言論批判の封殺を目的としたスラップ訴訟」と批判!~9.29 立憲民主党 第13回 統一教会(野党合同)国対ヒアリング
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511147

■<IWJ取材報告2>「『望まない妊娠継続』を強制されるのは人権侵害」「医療者と社会の役割は、妊娠した人をジャッジ(善悪を審判)することではなく、妊娠した人の人権と健康を守ること」~9.28「9.28 国際セーフ・アボーション・デー 記念イベント『中絶について声をあげよう!』」

 2022年9月28日(水)18時半から、東京都文京区の全水道会館にて、#もっと安全な中絶をアクション(ASAJ)主催による「9.28 国際セーフ・アボーション・デー 記念イベント『中絶について声をあげよう!』」が開催されました。

 主催者の意向により、動画取材は不可、ペン取材のみとのことでした。以下に、レポートします。

 毎年9月28日は「国際セーフ・アボーション・デー」として、女性と少女の安全な中絶への権利とアクセスが保証されることを求め、全世界でさまざまな活動が行われています。

 イベントでは、日本でのもっと安全な中絶の実現に向けて何ができるかを考える集いとして、主催団体の活動報告及び日本や世界の中絶をめぐる動向についての解説、また、活動に賛同する政治家、医療者、活動家などのリレートークが行われました。

 イベントタイトルの「中絶について声をあげよう!」の内容には、「わたしたちのポリシー」として、3つの声があげられました。

1.わたしの身体はわたしが決める
2.安全な中絶はわたしの権利
3.中絶をあたりまえのヘルスケアに

 まず最初に、その声に賛同し、リレートーク者として参加した唯一の男性である日本若者協議会の室橋祐貴氏の発言を紹介します。

室橋氏「自己決定権が日本であまりにも軽視されている。ブラック校則、部活強制加入など、無自覚に先生たちが強制しているというような考え方が日本にある。根本的にこういう考え方が日本社会にあるからこそ、女性が自分で自分のことを決めるという権利が侵害されていると思う。

 管理教育やパターナリズムな風土を変えていくことが根本的な問題の改善につながると考えているので、様々な形で連帯していきたい」

 女性が自分で自分のことを決めるという権利が侵害されている中絶に関する現行法について、主催団体で活動している大橋由香子氏は、安全な中絶が進まない理由を、次のように指摘しました。

大橋氏「堕胎罪は大日本帝国憲法下に、女性の選挙権がない、無権利状態時につくられた刑法。母体保護法の配偶者の同意の見直しや、中絶の値段を安くすること、もっと安全な中絶が進まない、女性の健康が守られていない理由として、中絶が犯罪扱いされていることが関係していると思われる」

 大橋氏は、具体的なエピソードを交え、母体保護法の見直しと、刑法堕胎罪の廃止を求める提言を行いました。

 「ある年配の女性から、『昔、中絶をしに産婦人科に行った時、罪人のような扱いをされた。医者や看護師さんや受付の事務の人たちから非常に蔑むような視線を受け、説教された』と仰っていました。

 中絶を犯罪というふうにしている堕胎罪があるから、医療の世界でも教育の世界でも法律の世界でも私たちの日常のあらゆるところで、中絶は罰しなきゃいけないということが意識の中に染みついているのではないでしょうか。中絶を私たちの当たり前の権利とするためには、堕胎罪と母体保護法の仕組みを変えることが重要だと思います」

 もちろん、「中絶を(女性の)当たり前の権利」といっても、妊娠後どの段階から見るかという生物学的な問題、子どもの権利、父親である男性の権利の問題、生まれてきた子どもを養育する社会的な環境の問題、人為的に中絶を行うことの宗教的・倫理的価値観の問題など、幅広い問題が背景にあることを忘れてはなりません。

 大橋氏は、『キャリア出産という選択―35歳からの妊娠・出産を応援する』(2002年、双葉社)、「産む/産まない/産めない女」(出版社解説より)の線引きをめぐる『記憶のキャッチボール―子育て・介助・仕事をめぐって』(2008年、インパクト出版会)などの著作を通じて、妊娠をめぐるさまざまな問題に取り組んでこられました。その知見の上での発言です。

 その法律を変えていく糸口として、全国フェミニスト議員連盟、三鷹市議の野村羊子議員は、以下のように会場参加者に呼びかけました。

野村議員「安倍政治が数の論理で押し切るということを国会で行ったことによって、それが地方議会にまで広がっている。女性議員の数を増やすことが重要。女性が政治に参画し決定権を持つことで、女性の身体の権利、女性の生活の中の権利、ケアすることの問題が政治の課題として入ってくる。

 小金井市では『人工妊娠中絶における配偶者同意の撤廃を求める意見書』、文京区では『経口中絶薬の承認審査にあたり、女性を守るための総合的な検討を求める意見書』で原案が可決された。ぜひ、議会に意見書を出せる女性議員とつながり、話しかけ、使い、支えてください」

 元国会議員で国民民主党の円より子氏は、身近で経験した性犯罪や事故、自身が開設した「ニコニコ離婚講座」の中で、3万人の女性相談者の多くが中絶経験者だったことなどをあげ、避妊、中絶、妊娠、出産、女性の身体、健康、性の自己決定権が日本で軽んじられていることを実感してきたといいます。

円氏「今現在、緊急避妊薬が手軽に手に入らないのも、中絶で女性の身体を傷つける掻爬手術が多いのも、女性の自己決定権が軽んじられている証左だと思う。

 それは古典的性別役割分業に固執している人たち(統一教会とか安倍さんたち)がいるから、そういう考えが我が国に蔓延っているからだと思う」

 円氏は、国会議員時代の1996年に、国会で審議がないまま、自民党の一部と厚生省だけで進められた委員長提出法案で「優生保護法」が(「母体保護法」に)改正された当時の国会報告書を紹介し、悲憤を滲ませました。

 そして、安全な中絶を通して女性の身体、健康、性の自己決定権を推し進めるためにも、NGOなどの民間団体の協力が重要だと述べました。

 この他、妊娠した場合に、誰もが孤立しない支援制度や「包括的性教育」の必要性についても語られました。その重要性については、主催団体で活動している梶谷風音(かじや かざね)氏の次のエピソードが参考になります。

 「中絶や性教育に対して拒絶、よくないんじゃないかという人たちとどのように連帯するか」という会場からの質問に対し、梶谷氏が回答しました。

梶谷氏「苦しんだ人たちの声を届けることで伝わると思う。DV夫に同意が得られないため医者に断られ続け、20週まで妊娠継続を強要され、最後に警察同伴でDV夫に頭を下げて同意を求めに行った例もある。

 日本の女性は、人権教育、性教育がないせいか、性暴力として認識できていないところがあり、『今、思えば、あれは性暴力だった、モラハラだった』という人が多い。

 『避妊してもらえなかった』という人は多い。それは、日本で避妊法が少ないこともあるし、避妊をしないということがDVだということを、女性も認識できていない。それで妊娠して『中絶したい』というと、『人殺し』『お前が勝手にしろ』など酷い言葉で夫に罵られた』という人たちがいる。

 今まで『中絶、悪いことだよね』と掻き消されてきた名も無き声、日本の法律でスティグマ(烙印)に苦しんできた女性の声を届け、日本で起きている問題を知ってもらうことが連帯の一歩だと思う」

 最後に、会場参加者で、子ども食堂などの食の支援活動している男性から述べられた感想を記します。

 「望まない妊娠で出産してしまったお母さんたちから『子育てしていて、かわいいと思えない』ということを聞いている。望まなかった妊娠をしたら、生まないことを決断できる心をつくっていってほしい。『お母さんに叩かれる思い出しかない』という子どもがいるという嫌な連鎖が続いてしまう。この活動は皆でやっていくべきだと思う」

 上述したように、人工中絶は単なる女性問題ではない、幅広い問題に関わる根の深い課題です。ただし、女性の自己決定権、尊厳、社会的地位の問題でもあり、女性問題であることも事実である。女性たちの声に耳を傾けることから、議論を重ねていくべきです。

 その他、主催団体の#もっと安全な中絶をアクション(ASAJ)から、岩本美砂子氏、塚原久美氏、長沖暁子氏の報告が、またリレートーク者として、松尾亜紀子氏(エトセトラブックス)、イロタカ氏(セックスミュージアム設立準備委員会)、中島かおり氏(ピッコラーレ・助産師)、田村智子議員(日本共産党ジェンダー平等委員会)、福島みずほ議員(日本社会民主党)、櫻井裕子氏(さくらい助産院・助産師)からそれぞれ発言がありました。

※「『望まない妊娠継続』を強制されるのは人権侵害」「医療者と社会の役割は、妊娠した人をジャッジ(善悪を審判)することではなく、妊娠した人の人権と健康を守ること」~9.28「9.28 国際セーフ・アボーション・デー 記念イベント『中絶について声をあげよう!』」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511115

■ウクライナ紛争のエスカレーションの背景にあるのは米国によるウクライナへの武器供与!~9月発行の「岩上安身のIWJ特報!」は、8月16日収録「岩上安身によるインタビュー第1090回 ゲスト 国際政治学者・神奈川大学教授 羽場久美子氏」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員に登録を!!

 IWJではメルマガサイト「まぐまぐ」で、「岩上安身によるインタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて「岩上安身のIWJ特報!」として、毎月発行しています。

 9月は、8月16日に収録した「岩上安身によるインタビュー第1090回 ゲスト 国際政治学者・神奈川大学教授 羽場久美子氏」を、第572号から第574号として発行します!

 2月に始まったロシアとウクライナの紛争には終結の兆しは見えず、紛争が長引くほど、市民生活に大きな影響が出るのは必至です。

 国際政治学者で神奈川大学教授の羽場久美子氏は、6月6日に「ロシアのウクライナ侵攻―武器供与でなく停戦を―アメリカの世界戦略、次は中国」と題する講演を行い、「現在のロシア・ウクライナ戦争の報道の中で、アメリカの話はほとんどされない」と指摘しました。

 単純に「ロシア=悪」とする見方に異議を唱え、この紛争の背後で大きな役割を果たしている米国に焦点をあてた上で、早期停戦の重要性を説きました。今の学会では希少な、勇気と理性のある発言です。

 IWJは、同講演を中継しています。

※「100%ロシアに責任がある」は正しくない。ロシア側のみでなく、ウクライナ側、特に、武器供与など、アメリカ側の問題点も報道されるべきである!~6.6羽場久美子教授(国際政治学者)講演会「ロシアのウクライナ侵攻:武器供与でなく停戦を」2022.6.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506789

 また、ロシアとウクライナの停戦交渉が停滞する中、14人の歴史家らからなる「憂慮する日本の歴史家の会」が、3月15日に声明「ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか」を、さらに5月9日にも声明「日本、韓国、そして世界の憂慮する市民はウクライナ戦争即時停戦をよびかける」を発表、即時停戦を求めました。羽場氏も、その1人として名を連ねています。

※【第1次声明】ウクライナ戦争を1日でも早く止めるために日本政府は何をなすべきか(憂慮する日本の歴史家の会、2022年3月15日)
https://peace-between.jimdosite.com/%E4%BB%A5%E5%89%8D%E3%81%AE%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8/

※【第2次声明】日本、韓国、そして世界の憂慮する市民はウクライナ戦争即時停戦をよびかける(憂慮する日本の歴史家の会、2022年5月9日)
https://peace-between.jimdosite.com/

 岩上安身は2022年8月16日の夜、オンラインで羽場氏にインタビューを行いました。

 冒頭で羽場氏は、「ウクライナへのロシアの侵攻は、2月24日に始まったんですが、実はゼレンスキー自身が、2月25日には、停戦交渉を始めたいと言っていた。3月末にもトルコが仲介して、ウクライナを中立化するということに、ウクライナもロシアも合意した。ところがその直後、ブチャの事件(ロシア軍が占拠していた街で大量の遺体が発見された事件)が発覚して、停戦は反故になってしまった」と説明しました。

 ロシアが侵攻した状態で「停戦」と言っても、ロシア軍の支配地域において、ウクライナ市民が犠牲になる可能性がある、だから停戦に反対する、という人もいます。しかし羽場氏は、「停戦というのは、即時、その場で武器を置くこと。お互いに、もう戦闘ができないような状況を、まず作り出すこと」と話し、停戦によって市民の命を守り、美しい国土を維持することの大切さを訴えました。

 さらに羽場氏は、ウクライナ紛争がエスカレーションし、終わりが見えなくなっている背景には、米国によるウクライナへの大量の武器供与という問題があると述べました。

 岩上安身が「ロシアのような強い国の軍隊が入ってきたんだから、やむなく、その時点からウクライナに武器を支援し始めたと思い込んでいる人が多いが、(米国の関与は)武器供与も含めて、その(侵攻)前から始まっていた。2014年のウクライナ革命を見なければいけないし、東部の紛争も、(2014年時点で)すでに開始されていた」と語ると、羽場氏は「おっしゃる通り。2014年の、あのマイダン革命の前から、かなりアメリカの関与が始まっていた」と同意しました。

 その上で、この3月、米国で行われた学会でジャパン・ハンドラーとして知られる国際政治学者のジョセフ・ナイ氏が、「アメリカは、この戦争によって3つの点で非常に有利になった」と発言したことを紹介しました。

 ひとつは、武器供与によって米国の軍事産業が儲かること。2つ目はロシアへの経済封鎖で、ノルドストリーム(天然ガスのパイプライン)を止めて米国産シェールガスを輸出したり、米国の穀物価格の上昇など、米国への経済効果が期待できること。3つ目はトランプ前大統領によって評価が落ちた米国の威信を回復し、欧州との関係を良好にすることだといいます。ただし、2番目は経済制裁の効果が上がらず、成功していない、とつけ加えました。

 羽場氏は、「アメリカの意図はウクライナを守ることではなく、ロシアを封じ込めて弱体化すること。これは東アジアでは、中国を封じ込めることと並行して行われている。米国は21世紀の今も、アメリカ一極支配の夢を継続したいのだ。ウクライナの問題と、台湾有事など東アジアの緊張はパラレルだということを、皆さんに知ってほしい」と強調しました。

 各号の大まかな内容がわかるよう、以下に目次を掲載します。ぜひ、ご一読ください。

(第572号の目次)
・早期停戦が叶わぬ背景には米国からウクライナへの武器供与が! それはロシアの侵攻以前から始まっていた!
・「ボスポラスを抑えるものは世界を制覇」!? 欧州、アフリカ、アジアが重なる黒海とクリミア半島は重要拠点!
・軍事産業を潤し、シェールガスや穀物を高く売り、米国の威信回復? この戦争の「旨味」を学会で語っていたジョセフ・ナイ

(第573号の目次)
・ウクライナを守ることがアメリカの目的ではない! ロシアの弱体化と米国の覇権継続が狙い!
・「ロシア・ウクライナ戦争は、米国を有利にした」という米政治学者ジョセフ・ナイの見解と逆の結果に!
・独立わずか30年のウクライナ。複雑な地域の集合体が単一の国民国家として戦争するには無理がある!

(第574号の目次)
・ポーランドからの独立で始まったウクライナ民族主義。だが、この戦争でポーランドが西ウクライナを吸収?
・「1インチも東に広げない」はずだったNATO。この30年で加盟国が2倍! なんと2008年に「ウクライナを入れる」と決めていた!
・ クリミア半島を死守したいロシアの核使用を避けるには「ウクライナ中立化」の選択も!

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 羽場久美子教授へのインタビューは、以下のURLから御覧いただけます。こちらもぜひあわせて御覧ください。

※「ウクライナ紛争のエスカレーションの背景にあるのは米国によるウクライナへの武器供与!」~岩上安身によるインタビュー第1090回 ゲスト 国際政治学者・神奈川大学教授 羽場久美子氏 2022.8.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/509539

※即時停戦を!「ウクライナ問題は少なくとも2004年と2014年の二つの革命から見ていく必要がある」ウクライナ紛争と米国の戦略~岩上安身によるインタビュー第1098回 ゲスト 国際政治学者・神奈川大学教授 羽場久美子氏(続編)2022.9.23
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/510889

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 テキスト班で「岩上安身によるインタビュー」のためのパワーポイント作成に責任をもって携わっていただける方を募集します。時給は1500円です。雇用形態はアルバイト又は契約社員からのスタートになります。正社員登用の途もあります。業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。

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 日刊IWJガイドや記事の執筆、編集などの作業のうち、主に日刊IWJガイド校了前の赤反映業務に携わってもらいます。パソコンのスキルが必要です。時に深夜まで及ぶことがありますが、社用車での帰宅、あるいは自宅への送りが可能です。

 雇用形態はアルバイトまたは契約社員で時給1300円からのスタートになります。能力と実績次第で昇給します。正社員登用の途もあります。在宅勤務や業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、城石裕幸、尾内達也、浜本信貴、前田啓、中村尚貴)

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