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2010年11月5日(金)、群馬県弁護士会館において、弁護士や支援者で構成する「大河原さんを支える会」が主催する「大河原裁判報告集会」が行われた。
「大河原裁判」とは、群馬県警の警察官、大河原宗平氏が、公務執行妨害などの容疑で逮捕され、懲戒免職になった処分の取り消しを求めて民事提訴をしたことだ。
大河原氏は、在職中に県警による裏金づくりを上司に抗議したり、テレビ番組で裏金づくりの事例を説明したりするなどの行動により、要注意人物として尾行や「Nシステム」による監視がついたとみられることから、自衛手段としてマイカーに紙製のナンバープレートを取り付けていた。このことが道路運送車両法違反とされ、その摘発の際に警官に体当たりしたとして「公務執行妨害」の容疑で2004年2月に逮捕された。
大河原氏は「体当たりなどしておらず、警察によるでっち上げだ」と主張、懲戒免職処分の根拠とされた「刑事事件」は起訴猶予処分となったが、本人が希望している群馬県警への復職は未だ認められていない。
- 日時 2010年11月5日(金)
- 場所 群馬県弁護士会館(群馬県前橋市)
集会の冒頭、同日午前に前橋地方裁判所で行われた最終弁論で民事裁判が結審し、翌年3月18日に判決の言い渡しが決まったことが報告された。主任弁護士の清水勉氏は、「大河原さんによる警察の根幹に関わる問題提起というのが、この裁判の底流にあった。彼は現場(群馬県警)に戻りたいと言っている。彼が戻ることができれば、日本の警察が変わっていくきっかけになるのではないか」と述べた。
集会には、布川事件(1967年に茨城県で起きた強盗殺人事件)で無期懲役判決がいったん確定し、その後の再審請求を経て無罪判決を勝ち取った桜井昌司氏も駆けつけた。桜井氏は、自身が受けた警察官からの取り調べや自白誘導を振り返りながら、「警察組織は汚れている」と指摘しつつも、「社会の声が警察組織を変える。警察組織にも正義の人は存在する。正義の人を呼び覚まそう」と訴えた。
集会の最後に、大河原氏が支援者に挨拶した。この中で、大河原氏は、「平成8年(1996年)に暴走族捜査の裏金(が作られていること)を知り、『こんなことしてはいけないんじゃないか』と指摘してから今日でちょうど14年、処分を下されてから6年8ヶ月になる」と振り返った。そして、「警察やマスコミによってひどい犯罪者扱いをされ、訂正をお願いしても聞いてもらえない。全国にいた友人も失い、家族も苦しんでいる」と苦しい胸中を吐露した。その上で、「いい判決が出るものと確信している。再び警察官に戻って、良い仕事がしたい」との思いを語った。