東京電力 臨時記者会見 2013.7.2

記事公開日:2013.7.2取材地: テキスト動画
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 2013年7月2日(火)16時00分から、東京電力本店で臨時記者会見「柏崎刈羽原子力発電所における新規制基準施行に伴う適合申請について」が行われた。

 本日の取締役会で、柏崎刈羽原子力発電所6,7号機について、準備が整ったため、新規制規準への適合申請を行うことを決定した、と発表した。

■全編動画

  • 会見者
    廣瀬直己(取締役、代表執行役社長)
    姉川尚史(常務執行役、原子力・立地本部副本部長)
  • 日時 2013年7月2日(火)16:00~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

「福島第一原子力発電所の状況は、充分な対策を行なっておれば防げた事故であると認識しており、どうすべきだったのかを検討し続けてきた。そのような状況を踏まえ、柏崎刈羽原発は2007年に発生した中越沖地震後の対策、更に2011年3月11日福島沖地震後に、考えられる最大限の安全対策を対策を行い続けてきた。今回、東電の取組が、規制委員会の新安全規準に適合しているかを審査してもらうために、適合申請を行うことを決定した」

 廣瀬社長はこのように説明した。取締役会では社外役員も含め、全会一致で決定したという。

 地元への説明はこれから行う予定であり、地元への説明の前に、適合審査への申請を発表したことになる。福島の事故やフィルタベントの関係から新潟県知事との信頼関係が崩れてきており、事後の説明で地元の理解が得られるか、大きな疑問である。この点を記者が質問すると、廣瀬社長は誠意を持って説明し、ご理解いただく、と繰り返し回答した。理解が得られない場合にどうするかは考えていないことも合わせて回答した。

 適合申請後に再稼働が視野にあると考えるのが素直であり、どのような考えなのかを記者が質問すると、今回は適合審査を行うのであり、再稼働云々を言う段階ではないと廣瀬社長は回答した。しかし、新安全規準への適合に必要な対策として、既に3200億円を費やしていることから、再稼働は必達と考えていることは間違いないとおもわれる。会見中に記者の質問に対し、今回の6,7号機に続き、他の号機も適合申請を行う考えを示している。

 地元に理解がすんなり得られるとは考えにくく、再稼働が何年も遅れるか、また力任せに再稼働するかになるのではないか、という危惧を感じつ会見は終わった。

主な質疑応答

--地元への説明の前に申請を表明した理由は何か
「準備が整ったから、早く申請しようと取締役会で決まったから」

--地元への説明スケジュールはどうなっているのか
「先方へお願いしている所で、現時点では未定」

--地元の了解前に申請することになるが、了解は得られるのか
「充分に説明したい」

--今年度中に再稼働する予定なのか
「いつごろとかは、今はまだ言える段階ではない」

--適合申請と地元説明の順序、段取りはどうなっているのか
「先ず説明し、理解頂いてから申請する」

--地元説明のスケジュール、目処はどうなっているのか
「アポをお願いしているところ」

--過酷事故への備えが充分か検討してきたとあるが、現状充分なのか
「福島第一はできていなかったので事故を起こしたと考えている」

--柏崎刈羽では過酷事故対策は終わっているのか
「これでいいという終わりは無いと考えている。しかし、一つ一つの段階でベストだと考えている」

--柏崎刈羽のフィルタベントの設計ができたから申請するのか
「そのとおりだ」

--地元の安全協定では事前了解が必要だったはず。理解得られるのか
「しっかり話し合いをしたい」

--規準津波対策は充分か
「そうだと思う。申請後に説明したい」

--再稼働に向け、地元への説明、コミュニケーションに関し、国への要望はあるか
「先ずは申請、説明を行いたい」

--柏崎刈羽が再稼働できない場合、電気料金の値上げは不可避なのか
「程度の問題だと考えている。が、値上げは避けたい」

--フィルタベントの設計、製造のスケジュールはどうなっているのか
「大枠の見通しはあるが、詳細は未決定。年度内ぐらいのスケジュールを引いている。現状ではスケールモデルを作って性能試験を行い、1/1000に除染できることは確かめている」

--柏崎刈羽敷地直下に断層があるが、どうするのか
「新安全規準では活断層の定義が明確になっている。敷地内の調査結果、該当の断層は20万年動いておらず、新安全規準では活断層ではない」

--地元説明というが、新潟県知事に対してどういった説明を行うのか
「先ずは適合申請するということを説明したい」

--新潟県知事との信頼関係が崩れているが、どうやってとりもどすのか
「先ずは話し合いたい」

--取締役会では申請に対して反対意見はあったのか
「全会一致で決定した」

--地元説明だが、事故の当事者である東電が説明しても、反発を招くだけではないか
「当事者として何ができるか、我々が学んだことを取り入れ、世界最高水準の安全レベルを目指す」

--電力の安定供給も大事だが、原発ゼロでも夏の供給に余裕がある。それでも(原発の適合)申請を行うのか
「電力需要のピークをひとつ乗り切れれば良いというものではない。冬も需要が大きい。これは、我々東電も需要-供給関係をしっかり広報していなかったと反省している」

--福島第一の事故収束にマンパワーを取られている状態だが、柏崎刈羽再稼働し事故が起こった時に、人員は足りるのか
「先ずは申請」

--昨年の電気料金値上げの申請の時、柏崎刈羽の1号機が再稼働という前提があったがどうなのか
「1号機もひきつづき申請する予定」

--今回の申請を取締役会で決めた理由は何か
「経営上の大きな決定事項だから」

--地元説明のアポについて、先方の反応はどうか、門前払いなどはないか
「担当が行なっているので、そこまでは聞いていない」

--新潟県との通報協定で、全地町村と結んでいるが、今回は県、柏崎市、刈羽村以外の自治体への説明は行わないのか
「今回は新規準の説明ということで、まず三自治体に説明する。他は、必要に応じて説明する」

--申請の理由が、規制基準に適合するかを確かめるためとの発言だが、その先の再稼働を見据えているのか
「今の段階で再稼働云々をいう段階ではない」

以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

プレスリリース

2013年7月2日

配布資料

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