嘉田由紀子滋賀県知事 記者会見 2012.11.27

記事公開日:2012.11.27取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2012年11月27日(火)、滋賀県大津市のピアザ淡海(おうみ)において、嘉田由紀子滋賀県知事の記者会見が開かれた。

 会見では、新党「日本未来の党」(にっぽんみらいのとう)の立ち上げを発表。目前に迫った総選挙の告示に向け、「卒原発」など6項目の方針を軸とし、既存政党との連携を急ピッチで図っていくことなどを表明した。

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  • 日時 2012年11月27日(火)
  • 場所 ピアザ淡海(滋賀県大津市)

 嘉田知事は、自身が日頃から掲げる「卒原発」に関して言及し、深刻な放射能汚染を引き起こした福島第一原発事故を教訓とせず、経済性だけで原子力政策を再び推進しようとする動きを「国家としての品格を失う。地球倫理上、許されない」と牽制した。さらに、福井県若狭地方にある原発銀座の至近距離に位置し、過酷事故が発生した場合に深刻な影響を受ける琵琶湖を引き合いに、「近畿圏1450万人の『命の水源』である琵琶湖を預かる知事として、国政にメッセージを出さないことは、琵琶湖を守ってきた先人に対しても、子や孫に対しても申し訳ないと考えている」と述べた。

 その上で、嘉田知事は「国民の皆様の信頼を取り戻し、国民の皆様が希望を持つことができる、未来への選択肢となる新しい政治の軸を立てる」という「びわこ宣言」を発表し、国政参加を目指すべく、新党「日本未来の党」を立ち上げることを正式に表明した。新党の代表は嘉田知事が務め、エネルギー・環境問題アナリストの飯田哲也氏が代表代行を務める。

 新党立ち上げにあたり、早期実現を目指していく政策として、次の6項目を具体的に挙げた。
1)卒原発/原発稼動ゼロから、全原発廃炉への道筋をつくる。
2)活子供・女性/女性が元気に。子供が産まれ、誰もが居場所のある世界を実現する。
3)守暮らし/生活に対する不安を取り除き、安心・安全を実感できる社会を実現する。
4)脱増税/財政の無駄を徹底排除し、消費税増税を凍結。家計圧迫を取り除く。
5)脱官僚/霞が関官僚の暴走を止め、地域のことは地域が決める社会を実現する。
6)誇外交/食品の安全や医療制度を守り、品格ある外交を展開する。

 これら6項目を「結集軸」として、既存政党や議員らとの連携を早急に呼びかけていく方針を明らかにした。また、稲盛和夫氏(京セラ会長)、坂本龍一氏(音楽家)、菅原文太氏(俳優)、鳥越俊太郎氏(ジャーナリスト)、茂木健一郎氏(脳科学者)の5名が「びわこ宣言」に賛同したことが紹介された。菅原氏は、脱原発への転換を表明したドイツの女性首相になぞらえ、「日本のメルケルになってほしい」との応援メッセージを嘉田知事に寄せた。

 一方、代表代行を務める飯田氏は、「既存政党は、明治時代のような男臭い選択肢ばかりを争っていて、女性・子供を全面に出した選択肢が全くない状況だ」と述べ、国民が支持政党を選びづらい現状を指摘した上で、女性層からの支持が厚い嘉田氏について、「地域と国政をつないでいくシンボル」と高く評価した。飯田氏自身の役割については、「さまざまな市民団体が、脱原発への思いをどの政党に投じたらいいのか、真剣に悩んでいる状況に対応し、適切な受け皿を提供する」ことに加え、エネルギー・環境政策の専門家として、「口先だけの脱原発を掲げる政党や、脱原発自体を公約に掲げない政党との、責任感の違いを明確化する」ことを挙げた。

 その後の質疑応答では、他党との連携について質問が集中した。一部メディアが報じた国民の生活が第一との連携の可能性については、現段階で決まったものはないとして明言を避けた。また、現時点では所属国会議員数などの政党要件を満たしておらず、任意団体であることなどを明らかにした。さらに、大阪市の政策ブレーンとして、エネルギー戦略策定を牽引してきた経歴から、橋下市長らが率いる日本維新の会との関係について質問を受けた飯田氏は、「あくまで、大阪市と大阪府のエネルギー戦略策定に関わっただけで、橋下氏や日本維新の会と協力関係にあるわけではない」と述べた。

 総選挙が間近に迫る中で浮上した政界再編の動きを取材しようと、会見場には100名を超す報道陣が詰めかけたが、嘉田知事の公務を理由に会見は1時間足らずで打ち切られ、TPPや外交など、新党の具体的な方針に関する質疑応答には至らなかった。嘉田知事は「今日は呼びかけ段階。一両日中に資料を配布する」として退席した。

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