関テレ撮影クルーが被災地で暴挙!「シャッターを切る前に人命を助ける」岩上イズム!IWJが報道と支援を両立させる「理由」 2016.4.19

記事公開日:2016.4.19取材地: テキスト
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※『日刊IWJガイド』2016.4.19日号~No.1314号~より抜粋

 IWJ九州緊急特派チームは、物資の買いつけ、荷積みから実際に被災者の皆さんに手渡すまでの一連の動きを、随時、Ust中継でお伝えしています。そのためか、「IWJへの支援が、ダイレクトに被災地支援に繋がっていると実感できる」という声も寄せられています。昨日も被災地から数十キロ離れたところで新たな物資を買い込み、大型レンタカーに詰め込む様子を一部始終配信しました(スーパー店内の様子は音声だけでお届けしました)。

 昨日は、避難所で生活する被災者の女性にインタビューしましたが、インタビュー後、女性は「わざわざ遠いところまで取材にきてくれてありがとう」とねぎらいと感謝の言葉を口にされ、IWJスタッフになけなしのおにぎりを分け与えてくれようとしました。もちろんIWJスタッフは恐縮しつつ、丁重にご辞退いたしましたが、物資が足りない中、しかも被災者でもないIWJスタッフにまで食料を分けてくれようとするその温かい心づかいに大きく胸を打たれました。

 一方で反吐が出るような、許しがたいニュースもあります。関西テレビは昨日、熊本地震の現地取材にあたっていたテレビ中継車が、ガソリンスタンドに並ぶ車の列に割り込む迷惑行為をしたと発表し、謝罪しました。

 この「割り込み行為」は、17日、twitter上に関テレ中継車の写真入りで報告されており、4万6千以上もリツイートされるなどして話題となっていました。次のツイートです。

 「ガソリン入れるために朝早くからたくさんの人が並んでたのに横入りされて、母が『後ろに他の人もいるので並んで下さい』て言ったのにも関わらず無視して我先にとガソリン入れてました。テレビ局だからいいんですか??もう少し考えて欲しい。」(ツイッター

 報道に携わる者に、何か特別な特権があるはずがありません。しかし残念ながら、こうした傲慢なメディアを現場で見かけることはしばしばです。テレビ、新聞といった特権的な記者クラブメディアの驕り、極まれり、です。

 また、報道や記者クラブ云々以前に、人間として最低の行為です。震源地周辺では特に物資が不足しています。被災者の皆さんは長い列をつくってガソリンを入れて、渋滞の中、遠くまで買い出しにいかなければいけない状況です。また、家族や親戚と避難したり合流したりするためにもガソリンは必要でしょう。生きるためにガソリンを必要としている被災者を押しのけるような暴挙に態度に出た関テレの撮影クルー。IWJにおにぎりを分けてくれようとした優しい被災者の女性とは正反対のありようだと思います。

 同じメディアの仕事に従事するものとして、実に恥ずかしく思います。また、謝罪に際しても、会社名で通りいっぺんの「お詫び」を提示するだけで、当事者が自分の名前で、自分自身が頭を下げて、自分の行為を謝ったわけではありません。それは「お詫び」したことになるのでしょうか?そんな基本的なこともできない人間は、被災地からとっとと帰っていただきたいと思います。手前味噌に思われるかもしれませんが、支援物資を積み込んで被災者に届けつつ取材してまわる安、高橋のふたりを、同じIWJスタッフとして誇らしく思います。

 一般に、報道は取材だけするもの、被災地に行っても支援や救助などは一切しない、ものとされています。

 長年、フリーとして既存メディアの一角で仕事をしてきた岩上さんは、初めて週刊誌記者になった時から、記者クラブか否かを問わず、メディアのこうした姿勢をずっと「おかしい」と感じ続けてきたと言います。

 「昔、日航機墜落事故のご遺族を回って取材するときは、『お線香をあげさせてください』と言って仏壇に手をあわせてから話を聞いた。被災地の取材の時は、最低限、人助けになる物を持ってゆくか、何かしらお手伝いした。昔から、誰にも言われず、上司にも誰にも言わず、やってきた。言えば邪魔もされるし、面倒な議論にもなる。

 『人が流されそうになっている時、決定的瞬間の写真を撮るか、助けるのか』などと議論を吹っかける奴もいた。助けるのが先に決まってるだろ、と言って、それはジャーナリストではないなどと難じられ、不毛な議論をしたこともあった。人が流されてゆくのを助けずにシャッターを切った写真が、どれほどインパクトがあろうと、何かの賞を受賞しようと、その瞬間、人を見殺しにしていたら、何の価値もない」

 IWJを会社としいて立ち上げてすぐの時、3.11に遭遇。我々自身も被災者の状態で着の身着のまま、人手のほとんどない状態で取材、中継、発信、そして福島現地への取材も敢行した。当時は物資も何も運ぶ余力がなかった。その時の悔いが、今も残る、と岩上さんは言います。

 3.11のインパクトが少し落ち着いた同年の夏、小田原で廃校になった学校をまるまる一週間借り受けて、「3.11」について考えるシンポジウムやトークなどのイベントの数々を、校舎全体を使っての「文化祭」のように開くと同時に、基金を集めて、福島の親子約10組を招待し、放射線が濃厚な地域から少しでも離れて、くつろいでもらうという保護プロジェクトも行いました。これも報道本来の使命とは違う営みかもしれませんが、無意味な営みであったとは思いません。

 今回、岩上さんが発災直後に「現地へ記者・カメラマンを出す」と決め、その人選をした時に「運転ができること、体力があること」を最優先にしました。その条件を楽々クリアした高橋カメラマンに、「飛行機で隣県へ行って、そこで大型のレンタカーを借り、水や食料など支援物資を買い込んで陸路で被災地へ向かうように、と指示した際、高橋カメラマンは目を白黒させていました。

 高橋カメラマンは35歳。放送業界で約10年間働いてきた経験豊かな中堅の働き盛りです。NHKでも民放大手でも、ドキュメンタリーや報道・情報番組に携わってきたディレクター兼カメラマンです。その彼が、岩上さんの指示に固まりました。

 「し、支援って、、、。取材しながらですか???」

 「もちろん。手ぶらで行かないで水一本であっても手渡しながら行くんだよ。物資は買い込んで積んで行くの。そうやって多少でもお役に立ちながら取材するの」

 既存メディアの取材の「正攻法」では絶対にありえない取材と支援を並行して行うように、というミッションに、高橋さんは心底驚いた様子で、ジャーナリズムやメディアについての「既成概念」がガタガタに揺さぶられたようです。

 「そ、それって、、、なんというか、偽善的とか、批判されたりしないんですか、、、???」

 高橋さんの質問に岩上さんは全然動じず、「誰に何言われたってそんなのどうでもいいんだよ」と一蹴しました。「僕らも皆さんのご寄付やカンパのおかげで取材しているんだ。困っている被災者の方にせめて水や食料のひとつも届けてあげたい、という思いは、僕らを支援してくださっている方々の思いでもあるだろう?だいたい、人としておかしいだろって。被災地に取材に行ってカメラやマイクを向ける前に、水くらい届けろよって、誰だって思うよ。人としてあたり前のことだよ」

 僕にも覚えがあります。2012年6月末、原発事故後、初となる原発再稼働を果たそうとした福井県・大飯原発の正門前に、再稼働に反対する多くの市民が集まり、雨の中、3日3晩の抗議行動が行われました。IWJはこの抗議行動の模様を、中継市民の協力を得て初期から中継し続けました。IWJ本部からも岩上さんと僕、そしてカメラマンの古田晃司が現地入りし、取材・中継にあたったのですが、岩上さんから真夜中に「行くぞ!」と連絡があったとき、先乗りした取材チームのためにバッテリーを持っていくことと、雨の中、抗議活動を続けている皆さんのために、せめてタオルと雨合羽や水や食べ物を持てるだけ持って現地へ行こう、と言われたのです。ほんの数十人分で、とても皆さんに行き渡るような分量ではありませんでしたが、それでも喜ばれました。今でもあの時のことを覚えていてくださる方がいます。

 岩上さんは言います。「取材対象に対して『中立的』であるために取材以外の人間的な問題を最小限にして『観察』だけに徹するって、まるで19世紀までの物理学者か何かのような考え方。そんな考え方自体、人としての情の部分でも、知的にも、疑ってみないほうがおかしい。『参与観察』のような手法や考え方もある。人は接触した時点で、相手に影響を与えたり、与えられたりしている。それがあたかも『ない』かのように見なして非人間的にふるまおうとする不自然なやり方自体、虚構に過ぎない。

 僕らはジャーナリストである前に血の通った人であるし、取材で接点を持つ時点ですでに人と交わっている。人と人が交わる時に、困っている人がいるなら助ける、できる範囲で多少でも親切であろうとする、それはジャーナリストだって同じこと。ごく自然なこと。特に被災地へお邪魔するんだから水一本持って行くのは当たり前。人としての礼儀だろう」

 そう言う岩上さんは関テレのクルーの傲慢なふるまいが伝えられた時、すぐにスタッフに、他山の石とするように注意しました。

 他山の石とする、とは他人のふりみて我がふり直せ、ということ。関テレの一件は、我々も自戒の材料としたいと思います。

 IWJ九州緊急特派チームは常に謙虚さを忘れず、毎日余震に見舞われながらも昼夜問わず被災地を駆けまわって頑張っています。今日も1日、自らの意志で、ほとんど眠らず動き回ることでしょう。

 関西テレビなどの大手メディアとは異なり、IWJをご支援してくださっているのは巨大広告主ではなく、市民の皆様ひとりひとりです。本当に微力ではありますが、日頃のご恩返しのつもりで取材活動にあたり、同時に物資を提供させていただればと思っております。こうしたIWJの取材活動には経費がかかっています。どうかIWJが継続的な取材活動に取り組めるよう、特に九州以外の皆様におかれましては、引き続きIWJをご支援いただきたく思います。よろしくお願いします。

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“関テレ撮影クルーが被災地で暴挙!「シャッターを切る前に人命を助ける」岩上イズム!IWJが報道と支援を両立させる「理由」” への 5 件のフィードバック

  1. 原田洋子 より:

    神戸地震の時、私はサンフランシスコに留学中でした。大阪には親戚が何組か居るので心配でした。そして、母との電話で、親戚は皆無事であることを知りホッとし、テレビで地震の様子を見ていました。そして、中継のヘリがとびわまり、「ここには食料も水も配達されていません」と報告しているのを見ながら、なんでヘリにちょっとでも積んで、上から落としてあげたらいいのにと、本当に歯痒い思いでした。しかも、中国の医者は、医療資格が無いから、断ったとか、海外からの助けも、対応できないからと断ったとかのニュースが流れ、恐ろしいほどのお役所仕事に本当に腹がたちました。
    その後、山口県の実家に住む母から、毎日朝から晩まで近所中でおにぎりをむすび、ボランティアの町の消防団(ボランティア)の人が、それを次々運んでいったという話を聞き、結局個人のボランティアが一番役立ったのかもと。
    ヘリの音で、救助を求める声が掻き消えた、「撃ち落としてやりたい」と思ったというツイートなど見るにつけ、メディアが、救助の様子をカメラ捉えるより、邪魔しないようにするべきだし、IWJのように、現地に必要なものを届けながら取材することの意義を、他のマスコミも考えてほしいと、心底思います。
    そして、今だに、これらから学ばず、広域災害のためにどうするか、役立つ対策が立てられていないことに腹が立ちます。

  2. 小山由記 より:

    2016.4.18
    今朝のワイドショーで聞いたのですが、支援物資が必要なところに届いてないのだそうですね。
    ネットを介して行きわたってると言うコメンテーターもいましたけれど。
    ガラケーの人や、携帯電話を持たない人も大勢いるでしょう。
    ネットの出来る人が適宜印刷などをして、避難してる人たちが必要な物の数や物品をどんどん書き込んで、それを写メでアップすると、数値化され割り振られ、宅配や移動手段のある人が配布する、というしくみが作れないでしょうか。
    コンピューターに関して、生半可な知識しかありませんが、現地に入りづらいという現況からも、半自動化された仕組みができないものかと。
    twitterには長すぎる?

    1. 小山由記 より:

      先の書き込み、日付間違えました。十九日です。

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    長年感じてた報道に対する違和感と、IWJに対する信頼が尊敬に変わった。読み進めていくうちに目頭が熱くなるIWJイムズ。それは、報道人という肩書以前の人としてのありかたでもある。 どうか、全文読んでほしい。http://iwj.co.jp/wj/open/archives/297933 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/722375595208740864

  4. 清沢満之 より:

    【広瀬隆】全国のみなさま・・・熊本大地震に関するデマについて
    http://hibi-zakkan.net/archives/47368680.html

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