「我が軍」発言で現行憲法・政府見解・自民党内の慎重論を否定した安倍総理、その裏にある「ダイヤモンド構想」とは 〜小林節・慶応大名誉教授インタビューを再配信! 2015.3.25

記事公開日:2015.3.25 テキスト
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 安倍総理は2015年3月20日の参院予算委員会のなかで、自衛隊を「我が軍」と呼んだことを朝日新聞が報じ、波紋を呼んでいる。憲法9条はもちろん「いかなる軍も保持しない」としており、政府の公式見解でも自衛隊は「通常の観念で考えられる軍隊とは異なる」としている。

 安保法制をめぐっては、公明党を抱き込むことに成功し、いよいよ閣議決定に向けて加速度的に協議は進められている。集団的自衛権の行使容認によって、「積極的平和主義」の名の下、自衛隊が他国の戦地に赴き、同盟国(主に米国)の軍隊を守り、米軍の軍事行動に参加する「米軍の下請け化」の実現が近づいている。

 その実現を目前にして、その「本音」を露呈させた安倍総理。2012年に自民党が発表した憲法改正草案では、「国防軍」の創設が盛り込まれている。

憲法、政府見解、そして自民党内からの声すら否定する安倍総理

 自民党憲法改正推進本部の船田元本部長は3月1日に出演したテレビ番組で、「国防軍」の明記について「国防軍という名前は行き過ぎな感じがする。私は自衛隊のままでもいいと思っている」と述べている。「このまま憲法改正の原案になることは全くない。草案はほとんどズタズタになる」とも語っている。

 安倍総理は、「国防軍」創設を願うあまり、現行憲法や政府の公式見解、そしてこの自民党内の慎重論すら否定し、「本音」を発したのだろうか。それは、この発言を直後も、今に至っても訂正・撤回をしていないことからもうかがえる。  安倍総理が目指す憲法の姿、そして日本の姿とはどのようなものなのか。

 憲法学者であり、「改憲論者」の小林節・慶応大学名誉教授は、昨年11月に行った岩上安身のインタビューで、「自民党の改憲案では、国民が憲法を守るようにと明記されています。これは、北朝鮮か明治憲法と同じもの」と指摘し、こう続けた。

 「例えば、山谷えり子議員が、『明治はよい時代だった』と私に対して胸をはって言ったわけです。しかし、人権もない、国民主権もなくて、天皇主権、軍部が独走できる。これのどこがいい時代だったのでしょうか」。

★本日(3月25日)、この小林節・慶応大学名誉教授へのインタビューを【会員限定】で配信します!

憲法学の見地から、安倍総理の改憲案がいかに問題がある代物なのか。国防軍の是非や憲法9条についても、「改憲派」の立場から、単に賛成・反対の二元論ではない議論を提唱していただいています。こちら、ぜひご覧ください!

【会員限定再配信】20:00~『これでは北朝鮮と同じ』 自民党改憲案と集団的自衛権行使容認を徹底批判~岩上安身による小林節・慶応大学名誉教授インタビュー」

視聴URL: http://iwj.co.jp/wj/member/limited

動画記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/209456

■インタビューのイントロ動画

この安倍総理の「本音」の危うさ、出鱈目さを指摘し、自民党の憲法改正草案の数々の問題点を逐条的に解説したのが、梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士とともに岩上さんが計12回、のべ40時間にわたって行った鼎談シリーズです。
この鼎談を全部観ていられない、という方のために、1冊の本にまとめたのが『前夜〜日本国憲法と自民党改憲案を読み解く』です。こちらをぜひお読みいただき、安倍政権が何を実現させたいのか、を見据えていただきたいと思います。
【『前夜』のご購入はこちらから】

「我が軍」発言の先にある「セキュリティ・ダイヤモンド構想」とは

 総理の「我が軍」発言で注目すべきは、この発言がどのような文脈で発せられたかにある。

 維新の党の真山勇一議員が、総理が提唱する「ダイヤモンド構想」、そして近年の自衛隊の他国との共同訓練の目的や法的根拠について問うたのに対し、総理は「我が軍の透明性を上げていくことにおいては、大きな成果を上げている」と答えたのだ。

 この「ダイヤモンド構想」とは、安倍総理が英語で執筆し、総理就任間もない12月27日付で、プラハに本拠を置く国際言論団「プロジェクトシンジケート」のウェブサイトに掲載された「アジアの民主主義セキュリティダイアモンド」と題する論文で提唱している構想である。安倍総理のもう一つの「本音」が綴られている。

 この論文の中身を見てみると、かなり過激に対中強硬姿勢を打ち出した内容となっている。まず「南シナ海は『北京の湖』となっていくかのように見える」と、中国の脅威を挑発的に煽り、「オーストラリア、インド、日本、米国ハワイによって、インド洋地域から西太平洋に広がる海洋権益を保護するダイアモンドを形成」して、対中包囲網を構築すべきだと、攻撃的な口調で訴えている。

 この衝撃的な論文を、日本のメディアはほとんど取り上げようとしていない。 ★IWJはこの論文を独自に邦訳し、読み解き、有料メルマガ「IWJ特報!」で解説しています。以下のメルマガ記事では、この構想を本当に描いたのは誰か、この構想がいかに無理のあるものか、ということを分析しています。ぜひ、特報をご購読いただき、今後も発行予定のこうした詳細なレポートをご覧いただければと思います。

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