タンク天井から転落する人身事故が発生、作業員1名が重体~東電定例会見 2015.1.19

記事公開日:2015.1.19取材地: テキスト動画
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 2015年1月19日(月)17時30分から、東京電力定例記者会見が開催された。新設タンクの内面検査中、高さ約10mの天井からタンク内に転落する人身事故が発生した。転落した作業員は、左気胸、左4・5・6助骨骨折などの重体で、磐木共立病院に救急搬送され、治療中だという。安全総決起大会開催直後に事故が連続しており、安全管理体制が問われる。

■全編動画

タンク天井から転落事故発生、50代作業員重体

 フランジ型タンクの天井部(高さ約10m)から協力企業作業員(50代男性)が転落、骨盤骨折などの重体事故が起こった。

 1月19日午前9時5分ごろ、新たに建設した雨水受け用タンクの内面の検査をしようとしていた。作業員は東電社員1名と協力企業2名の3名。タンク内面の防水検査をしようと内部に入ったが、内部が暗かったため、協力企業1名が天井部のマンホールを開けようとした。その際、誤ってマンホールごとタンク内部に転落したという。

 転落高さは約10m。ER室から救急車で磐木共立病院に搬送された。ER室での診断は、左気胸、左4・5・6助骨骨折、右恥座骨骨折などの重体。意識はあるものの、動けない状態だったという。病院で治療を受けており、東電側にはまだ報告がないため、詳細は不明だという。

 当該フランジ型タンクの天井マンホールは、円形ではなく四角形。しかも重さが約51㎏もあるという。これを一人でずらそうとしたという。

 開け閉めをして人が出入りするのであれば、落下防止のため円形にするのが一般的な考えだ。また、10mもの高い天井にあるのだから、なんらかの落下防止策を施すのが当然であるとも言える。これらがないことから、組み立て後に開け閉めする箇所ではなかった可能性もある。さらに、作業員は落下防止のため安全帯を装備しているが、それが機能しなかったことになる。正しく安全帯を装備し使用していたのだろうか。そもそも51㎏もの重いものをなぜ一人で扱おうとしたのか。

 作業グループは3名で、転落した作業員以外の2名は地上にいたため、事故時の状況は誰も見ていない。また、作業員は重体のため、まだ聞き取りできないという。

 この事故を受けて、小野明・福島第一原子力発電所長は、災害防止のため”基本動作の徹底”、”作業手順の確認”、”一人一人が気を引き締めること”を、所員および協力企業へ周知したという。

 1月15日の増田尚宏廃炉推進カンパニープレジデントの会見で、災害ゼロを目指した安全総決起大会を開催した直後に大きな事故を起こしており、安全管理の姿勢とともに、熟練作業員が減り、熟練度の低い作業員が増えているのでないかという懸念が増す。

2号機トレンチ、充填を確認する揚水試験、2回目を実施

 高濃度汚染水が溜まっていた、福島第一原発2号機海水配管トレンチは、汚染水を汲み出しながら特殊グラウドを注入し、充填、埋め立てた。しかし、水平トンネル部分は完全に埋まらず、水の通り道が残ってしまった。どの程度の水の流れが残っているのか、また新たに地下水が流入していないかを調査している。

 昨年2014年12月にトレンチから採水して分析した結果、充填工事のため中和剤を投入した箇所でその影響が表れたが、他には水質に変化がないと東電は判断。地下水の新たな流入はないと判断している。

 1月20日に2回目の汲み上げを実施し、水平トンネル部分の水の通り道の程度を調べる試験を行う予定。その結果を評価してまとめたものを、2月には原子力規制委員会の検討会に報告したいとしている。

 一方、3号機の海水配管トレンチは、2号機の経験から、凍結止水せずにいきなり充填剤を投入、水平トンネル部分の充填を開始することが報告された。規制庁との面談・報告の結果、1月21日から開始する予定だ。

凍土遮水壁、山川から凍らせる方針

 2、3号機海水配管トレンチの閉塞充填が完了してから、凍土遮水壁と交差する部分の工事を行い、凍土壁は完成する。それからやっと冷凍凍結運転を開始できる。当初の計画では、3月には凍結を開始するとなっていた。トレンチの閉塞充填が遅れたことから、凍土壁の工程への影響が心配される。しかし東電は、3月から凍結開始の予定に変更はないと説明している。

 凍土壁は1から4号機の原子炉建屋、タービン建屋を囲うように建設している。凍結は当初一斉に開始すると説明していた。しかし、経産省の凍土遮水壁タスクフォースの検討により、山川から凍結を開始し、その後、海側を凍結するようになったと説明。詳細はタスクフォースの説明を参照ということで、本会見で詳しい説明はなかった。

キュリオン、サリーのストロンチウム除去処理、本格運転開始

 セシウム吸着装置(サリー、キュリオン)にストロンチウムを除去する吸着塔を追加している。追加後、性能評価を行っていたが、その結果、十分除去能力が得られるため、本日19日から本格的なストロンチウム除去処理を開始するという。

 サリー、キュリオンで処理した汚染水は、これまではセシウムを除去した汚染水で、淡水化装置を通った後、RO濃縮塩水としてタンクに溜めていた。今タンクに溜めているRO濃縮塩水は、サリー、キュリオンでストロンチウムを除去する今後は、ストロンチウム除去水という扱いになる。

 RO濃縮塩水の残量がゼロになり、ストロンチウム除去水になるのが今年度末の計画だ。

2号機圧力容器熱電対温度計の交換作業進展

 2号機は、震災事故以降、原子炉パラメータとなる熱電対温度計が多数損傷している。そのため、新たに熱電対を追加したが、熱電対の試験時に誤って損傷させていた。その交換作業が始まった。

 損傷したのは2014年2月18日。当初2014年4月17日から損傷した熱電対を引き抜き、新たな熱電対を挿入しようとした。しかし、引き抜くことができなかった。モックアップにより手順を検討、治具などの錆びつきが原因と考え、錆取り剤を注入する方法を試験した。その結果、2015年1月19日から引き抜き作業を実施、損傷した熱電対を引き抜くことができた。

 今後新たな熱電対を挿入、測定データを評価した後、原子炉圧力容器の温度を監視する温度計として正式に使用することになる。

■■■■■■ 以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2015年1月19日

2015年1月18日

2015年1月17日

2015年1月16日

プレスリリース

2015年1月19日

2015年1月16日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2015年1月19日

2015年1月17日

福島第一原子力発電所 データ集

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