ポスト3.11の日本の新エネルギーの展望 2012.6.23

記事公開日:2012.6.23取材地: 動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJ・阿部)

 2012年6月23日(土)、国際基督教大学 ディッフェンドルファー記念館で、「ポスト3.11の日本の新エネルギーの展望」が行われた。パネリストは武蔵野エネルギーシフト (MES)から毛利氏、市毛氏、富士通総研から高橋洋氏、前内閣総理大臣の菅直人氏。

 毛利氏はICUのOBでMESの代表。市毛氏は在学中で毛利氏から同代表の座を引き継ぎ、三鷹・武蔵野エリアのローカルから、新たなエネルギー政策への取り組みを提言する。これからの社会を担うべき世代である彼らと、電力自由化の専門家で現在、”経済産業省総合資源エネルギー調査会 電力システム改革専門委員会委員”を務める高橋氏、武蔵野市選出で311発生時首相だった菅氏との間で、立場を超えた自由で活発な議論が行われた。

■全編動画

  • パネリスト
  • 武蔵野エネルギーシフト、高橋洋氏(富士通総研)、菅直人議員(前内閣総理大臣)

  • 日時 2012年6月23日(土)
  • 場所 国際基督教大学 ディッフェンドルファー記念館(東京都三鷹市)

 まずMES毛利氏が「原発についてはつい感情論になりがちだが、新しい制度や大きな社会の方向性について考える際には、できるだけ客観的にデータを集めて柔軟に議論し、最終的には責任を持って意志決定をすることが重要。いわゆる原発推進派、反対派の対立を超えた議論をしたい。

 日本のエネルギー政策の展望に関する政治的なロードマップ、具体的なビジョンが必要と考える」と当フォーラムの趣旨を述べる。 市毛氏は「我々は市に対しては電力自由化、国への発送電分離の働きかけ、再生可能エネルギーに対するサポート、を骨子とした陳情書を、計1856名の署名とともに三鷹、武蔵野市に提出した。」と活動内容を報告。

 高橋氏は、「これまでは電力は供給側によってコントロールされていたが、今後は需要(消費者)側が調整して対応するという方法もある。そのためにも様々な電力事業者を選択できることが必要。」
「カリフォルニアで大停電が起こったのは発送電分離をしたからだという意見もあるが、原因がそれであれば改革自体を中止している。規制改革 の過渡期においてそういうことがあったというだけ」

 「エネルギーシフトとは電力システムのシフト。消費者たる市民が、電源を、電力会社を、消費パターンを選択できるシステムへ」などと、一般的には難しいとされる発送電分離のシステムをわかり易く解説し、電力自由化への提言を行った。

 一方菅氏はまず、「311前の原子力委員会の指針の内容は『日本ではテロなどどうせ起きないから、全電源喪失などあり得ない』。テロや津波は考えない、ではなく『考えることを止めろ』というものだった。」など、当時の政府の裏事情を報告。

 「今抱えているのは実は電力不足ではなく、電力会社の経営の問題。政府としても勝手につぶれろとは言えない。しかし電力会社がマイナスになることが、日本の国にとってマイナスになるかというと、これは別問題。」「どんどん増える一方の使用済み核廃棄物の処理費用に将来展望はない。国家レベルで言えば、できるだけ早いうちに廃炉にした方がトータルの収支はプラスになる」と独自の考えを示した。

■菅直人氏作成の脱原発ロードマップ

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です