配管トレンチの凍結止水のため6トンの氷を追加投入~東電定例会見 2014.7.28

記事公開日:2014.7.28取材地: テキスト動画
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 2014年7月28日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。福島第一原発2号機配管トレンチの凍結止水を促進するため、6トンの氷を追加投入し、効果を継続監視していくことが発表された。ドライアイスの投入は、状況を継続検討していく方針だ。

■全編動画


2号機配管トレンチの凍結止水、本格的に「氷」を投入

 福島第一原発2号機配管トレンチの凍結止水が、冷凍開始後2カ月経過しても期待通りに凍結しないことから、「氷」や「ドライアイス」を投入し、温度を下げることを試みている。24日に氷を約2トン投入。25日はドライアイスを試験投入した。その結果を踏まえ、7月28日に氷を約6トン投入し、状況を観測している状況だという。

 ドライアイスは投入孔の関係から細かく砕いたドライアイスを入れた。その結果、表層に浮いてしまい、下層を冷やすという目的が達成できなかったという。ドライアイスが沈むような投入方法の検討と試験を行うことを東電は考えている。

 なお、トレンチの凍結止水については、原子力規制委員会が8月中に何らかの結論を出すよう東電に求めており、それまでは様々な対策が行われる見通しだ。

サブドレン水質分析の結果、Cs-134の濃度が上昇

 2号機サブドレンから採取した地下水を分析した結果、セシウム134の値が、7月27日採取分は43Bq/L、7月28日採取分で450Bq/Lと急上昇した。しかし、過去最大値1400Bq/Lに比べ低く、通常の変動内だと東電は判断。しかし、今後も傾向を監視していくとしている。

2号機トーラス室、調査ロボットの実証実験を実施

 トーラス室の壁面や水の流れをロボットにより調査している。2号機にて調査の実証実験のため日立GE製ロボットを2台投入し、実証実験の結果が発表された。

 ロボットは水中を浮遊する「げんごROV」と底面を走行する「トライダイバー」の2機種。カメラ撮影により壁面の状態を確認し、貫通穴付近の配管に損傷がないことを確認した。

 さらに、実証実験ということから、「げんごROV」から水流トレーサーを放出して「トライダイバー」がドップラーソナーで流れの有無を検出できるかを確認した。トレーサーが流れていないことが検知できたため、トレーサーで水流を把握できるということを確認した。

 したがって、今回の実証実験の結論として、「今回の方法で壁面の状況が確認できるとことがわかった」というのが東電の結論だ。ただし、2機のロボットの移動により、水中に何らかの舞い上がりが発生して視界が遮られてしまい、東電は改善方法を検討するとしている。舞い上がりはトーラス室底部の堆積物、チリや腐食物ではないかと推測しているが、明確に何かは不明だ。

被曝線量の詳細は示さない

 今回の実証実験には全体で50名の作業員が従事し、計画線量は3mSv/日、実績最大1.76mSv/日だった。このような計画線量や実績は記者が質問したことで発表されたもの。以前の会見では計画線量は公表されていたが、今回は質問をしなければ、データが発表されることはなかった。

 実証実験全体の工程は複数日にわたっているため、同一の作業員が複数日、高線量場所での作業を行ったかもしれない。そのため個人名は出さなくても、日にち単位で関わった人、被曝線量を公表すべきだ。この記者からの要求に対して東電は、「手元に情報がない。細分化して出せるかも含めて確認する」と回答している。

 また、東電は厚労省に月例で被曝線量の集計を報告し、大きな被曝作業員が出たら特記しているという。個々の作業員の被曝線量分布は、以前から、集計が煩雑だからと公表を拒否し続けている。「どうやったら出せるかは工夫したいが、理解いただきたい」として東電は今回も公表を避けた。

地下水バイパスの効果を解析、評価

 地下水バイパスが本格運用を始めて2カ月になる。地下水バイパスによる水位低下の効果を、水位-降雨量の測定結果から回帰分析した評価結果が示された。

 その結果、揚水井付近では10cm程度の水位低下がみられると東電は評価した。しかし、建物付近で水位低下の効果がみられるまでには至っていない。原子炉建屋に対する効果が見られるにはもう少し時間がかかると東電は見ており、引き続き地下水バイパスによる地下水のくみ上げ-分析-海洋排水を続け、監視、観測するとしている。

実施計画変更認可の申請

 特定原子力施設の実施計画について、7月28日に原子力規制委員会へ変更認可申請を行ったことが発表された。今回の申請は、汚染水の移送装置の増設関係で、”配水管の小ループ化”と”凍土壁にともなう水位管理”を主眼としたもの。

 排水管の小ループ化とは、建屋から汚染水処理装置、タンク、注水へと至る配管ループを短くし、漏洩等のリスクを下げるもの。4号機タービン建屋オペフロにRO設備を置き、各建屋への注水する水を循環させるような配管設置を行うように申請している。

 また、水位管理とは、遮水壁の完成後に建屋の中の水位を、より細かく、正確に制御することが必要になる。そのため、建屋内のポンプや水位計を増設するというものである。

JPSLからのRPV窒素封入仮設ラインを設置

 1号機窒素封入ラインを切り替える方針が発表された。

 1号機は炉内の温度上昇を抑えるため、”炉心スプレイ系”と”給水系”と呼ぶ二つの経路で注水している。しかし、注水時に圧力が上昇して将来的に注水できなくなる可能性があるため、新たな注水経路を探していた。

 炉内の水素濃度上昇を抑えるため窒素を封入しており、そのための配管がある。この窒素封入ラインを用いて緊急時には注水できるようになっている。しかし、注水すると窒素封入ができなくなるため、新たな窒素封入ラインが必要である。

 そこで、JPSL(ジェットポンプ計装ライン)を新たに設け、窒素封入することを検討している。そのための試験を7月28日から行う予定だ。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年7月28日

2014年7月27日

2014年7月26日

2014年7月25日

プレスリリース

2014年7月28日

2014年7月25日

東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響

道関係各位一斉メール

2014年7月26日

2014年7月25日

福島第一原子力発電所 データ集

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