100ミリシーベルト超えが新たに1名増加~東京電力「緊急作業従事者の内部被曝線量の再評価」に関する記者レクチャー 2014.3.25

記事公開日:2014.3.25取材地: テキスト
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 2014年3月25日18時30分より、原子力規制庁記者控え室にて「福島第一原子力発電所 緊急作業に従事した東京電力社員の内部被曝線量の再評価について」に関する記者レクが行われた。対象者1845人について精査し、608人について再評価した結果、24名が線量見直しとなり、積算線量で100mSvを超える作業者が1名増加した。

※映像はありません。

  • 日時 2014年3月25日(火)18:30~
  • 場所 原子力規制庁記者控え室(東京都港区)

 東京電力は、福島第一原子力発電所作業者の被曝線量の評価を『統一評価手法』で行うよう、厚労省から指導を受けた。統一評価手法では、ヨウ素131の預託線量評価値が過大評価になることを厚労省もわかっているが、疫学研究等で使用する被曝評価のため、統一的な方法で評価することが重要であるという理由から、評価し直した。その結果、対象者1845人について精査し、608人について再評価したところ、24名が線量の見直し対象となり、全員の線量が増加、そのうち、100mSvを超える作業者が1名増加した。

 東京電力は、福島第一原子力発電所で作業する東電社員、協力会社の作業員の被曝線量を評価し、評価結果を集約して毎月末に厚労省に報告し、公表している。東電社員と協力会社の作業員との内部被曝線量評価値に差異がでたことから、昨年2013年7月に厚労省は、データや評価手法を再確認し、協力企業へ修正を指導した。

 その後、厚労省は、甲状腺の健康影響に関する疫学研究での暴露評価のため、評価手法を分類するよう東電に要請。東電が要請を受けて分類調査した結果、『統一評価手法』以外の方法で評価した者があることが2014年1月31日に発覚した。

 厚労省からは、その後も2014年3月6日に、2011年3月から4月末までの福島第一原子力発電所構内作業者全員について、内部被曝線量評価の再確認を行うよう指示があった。今回の発表は、東電社員分の再確認結果を厚労省に報告したものだ。

 内部被曝の評価方法はいくつもあり、どれが正しいかということはできない。しかし、疫学的見地から、従来と同じ手法で評価する『統一評価手法』を採るよう厚労省は東電に指導している。統一評価手法の具体的な詳細手順は、事業者が決めるもので、東電が使用する統一評価手法の妥当性は、厚労省により確認されている。

 東電が使用する統一評価手法では、I131(ヨウ素131)が検出された場合は、入域日に全てを取り込んだもの、I131が不検出の場合は、ND値が検出されたもの、と仮定して評価する。したがって、実際の被曝線量に比べ、過大評価になる。これについては厚労省も了承しており、東電は”保守的な評価”と呼んでいる。

 以上のことから東電は、2011年3月、4月に発電所構内で緊急作業に従事した社員1845人を対象者として精査、再評価を要する608人について再評価を実施した。その結果、内部被曝線量が記録レベルの2mSv以上で、再評価した結果が1mSv以上変化した者は24名となった。

 24名中、+1~5mSvは15名、+5~10mSvは5名、+10~50mSvは3名、100mSvを超えた者が1名であった。新たな100mSv超えは、内部被曝線量が37.11mSvが137.16mSvへと大幅に増加、外部被曝については、再評価したところ53.21mSvが42.99mSvに減少したが、実効線量として90.27mSvが180.10mSvへと倍増した。

 東電は、2011年10月以降、有意な内部取り込みは認められていないとしている。今後は、厚労省の指導内容を確認するとともに、協力企業の評価に協力し、放射線管理を一層充実させていくと表明している。

以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

2014年3月25日

【参考】2013年7月5日

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