東京電力 「自由化部門の使用者に対する​電気料金値上げ」についての記​者会見 15:00 2012.1.17

記事公開日:2012.1.17取材地: テキスト
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 2012年1月17日(火)15時より、東京電力本店で「自由化部門の使用者に対する電気料金値上げ」についての記者会見が行われた。

 3.11震災による発電所の被災、柏崎刈羽原発の停止長期化による費用増大が経営に悪影響を与え、電気の安定供給に影響及ぼしかねないため、値上げ決断せざるを得ないと述べた。燃料費等の増加分に関する見直しで、損害賠償、廃炉に係る追加費用などは含めていないが、約17%、1kWhあたり2円58~61銭の値上げになる。

※映像記録はありません

  • 会見者:取締役社長 西澤 俊夫氏 ほか
  • 日時 2012年1月17日(火) 15:00〜
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

ホームページより、リンクを表示

2012年01月17日

自由化部門のお客さまに対する電気料金の値上げについて

【概要】

 昨年12月に今年4月から料金を値上げすることを発表していたが、価格等具体的に決定したので発表。

 料金値上げをお願いせざるを得ない、きわめて厳しい状況に至った背景を改めて説明。

 3.11の大震災による発電所被災に加え、他社の原子力発電所被災、柏崎刈羽原子力発電所停止長期化により、火力発電所の焚き増しや、長期計画停止していた火力発電所再開により供給力確保に努めてきたが、大幅な費用増加生じている

 中越沖地震以降の柏崎刈羽の復旧費用に加え、今回の震災以降の費用が増加している。5月に柏崎原発が定期検査に入ると、当社全ての原子力発電所が停止する予定であり、現在の状況が継続する場合経営に悪化、燃料調達の増加、ひいては電気の安定供給に影響及ぼしかねない。効率化、合理化に取り組んでいくが大変厳しい経営状況見込まれる中、値上げ決断せざるを得ない

 現行料金の前提に加え、平成24年度に見込まれる燃料費増加分から、合理化による差し引き分を新たな料金としたく、値上げ分は1KWh当たり、特別高圧2円58銭、高圧2円61銭、約17%の値上げとなる。

 経営合理化の内容として、損害賠償支援機構と共に策定した緊急特別計画を、先月アクションプランとして公表した。 アクションプランの目標額、役員報酬減額、関係会社取引における発注方式の見直し、システム委託費など諸経費など総額1934億円を削減した。
 燃料費と共に大きな負担となっているガスタービンなど緊急設備投資や、廃炉に関わる追加費用は織り込んでいない。

【主な質疑応答】

‐‐今回の値上げで原発停止することの影響はあるのか。来年度柏崎原発を0想定したのは、来年度動かさないという意思表示なのか
「平成24年度に柏崎の全号機再稼働の非常が見通し困難であり、未定。現状動かない見通し」

‐‐もし柏崎が動いたら値下げするのか
「柏崎の見通しは地元の理解含め見通し難しい。再稼働した時は、その時の経営状況、お客様のお声から判断」

‐‐今回の値上げは燃料費増加分で、値上げにより財務基盤が強化されることにはならないと思うが、財務基盤強化に向け値上げだけでいいと考えているか、資本注入検討進んでいるのか
「料金見直し/値上げは、収支構造、火力発電所のウェイトが高まっている需給構造に対応した収支構造の改善を図るため。3月に総合特別事業計画の策定を予定しており、それを踏まえて今後詰めていきたい」

‐‐収支構造について、規制部門は手付かず、自由化部門のみ値上げ認可時、収益改善となるのか
「24年度については収支がどの程度になるかは総合特別事業計画でつめており、柏崎の影響も24年度は出てくる。この場でどの程度になるかは差し控える」

‐‐規制部門の料金値上げに時期と値上げ幅の想定は
「規制部門の時期昨年暮れにぶら下がりの記者会見でもご質問受けたが、有識者会議と共に特別事業計画策定踏まえできるだけ早く申請できればと考えている。上乗せする単価は、現行料金の前提に対する燃料費等の負担増分のうち、当社の徹底した合理化を織り込んだ上でまかないきれない部分に相当する。時期的には総合特別事業計画を踏まえて判断し、どのくらいかは今後詰めていく」

‐‐規制部門値上げ申請は、総合特別事業計画が認定された上で決まるのか
「総合特別事業計画策定して大臣に機構と我々と一緒にあげるのでそこを踏まえるのが自然の流れ」

‐‐お客が奪われる可能性もあると思うがどの程度見込んでいるのか
「値上げすればそのような影響は出てくると思っているが、定量的に読むことは難しい。PPS各社も見なおすか分からないのでマーケット状況見極め動向注視したい」

‐‐収益は規制部門が6割と偏っている。負担は自由化部門/規制部門で均等か、自由化部門が重くなるのか
「算定ルールあるので 経産省で定めたルールそれに基づき原価弾いていく。どっち側に云々とかそういうことではない」

‐‐これは値上げ会見だが、値下げの考えはないのか。料金は政府委員会で相当上乗せして何十年もやってきたその上で値上げは理解出来ない 経営合理化というが昨年ボーナス2割だけ、現場社員全員にはなんの話もなく自助努力されてない。原資は我々の税金であるもの次々要求されてる。被災者に対して何人に払っているのか分からず、払う姿勢も見られない。交渉の現場は交渉に当たるのも別会社である。これだけ儲けにはいって泥棒に追い銭与えたうえ、火力発電所お金かけてないのでは、自浄努力何もしていない。

「ぼったくりという言葉はあれだが、我々もきちんとご説明させていただいているが、我々もコストダウンの努力をしてきており、過去15年で3割値下げ、借金多かったのでお返し、投資にも回してきた。色々ご議論あると思うのでよく説明して理解得る。ボーナス2割カットさせて頂いている賞与は5割カットした。年額で2割と決めてそれに会う形でやっている。コストダウンやっていることは確か。具体的には私の把握と意見異なるかなと思っている 政府が賠償の所ノーチェックということはない 機構がチェックしてみている。賠償対応で今後いま7600人いるが3000人以上シフトしている。賠償親身親切な賠償 個人向けには半分以上お支払いの段階にある」

‐‐全然払われていないと聞いている。火事場泥棒ではないか
「もしそういうのがあれば正させて頂きます」

‐‐規制部門についての料金見直しの状況は
「規制部門はつめているところで、今後総合特別事業計画が策定した段階に、そこも含め説明する」

‐‐天然ガスの日本の調達価格は欧州に比べ5割~6割高い、なぜ高いのか、格差是正可能なのか
「LNG価格はアジアでは需要が強く、価格は高めに推移しているが、当社に限らず他の電力ガス各社も投資検討しており、構造的にサプライヤー等との交渉もあるので今後の課題」

‐‐以前、エクソン・モービルがサハリンから首都圏パイプライン引く計画があったが、反対され潰れた。この計画潰した経緯はあるのか。今からでも再検討お願いする考えあるか
「そこの経緯私は詳らかではない。一般的にパイプラインとLNG船でやる時距離測ってコストどうか考える。船であればフレキシビリティ等、一長一短あり、圧力云々はないと思う」

‐‐ドイツもロシアからパイプラインひいてるが、5とか6ドルなのに、日本は15ドルもする。単価下げれば増加抑えられる余地生じるが、そこ考えなくていいのか。電力会社トップとして構想再検討の考えはないのか
「構想自体は持ち合わせていない安くすることどうしたら良いか検討しなければと思っている」

‐‐値上げ表明してから、他社経営者やお客さんからどういう反応があるか
「いろんなかたとお会いして料金のことについても色んなお話聞いている 経営者の方が多いのもあってか経営状況からやむを得ないとか致し方ないというご理解はあるのかなと思う。当社の経営置かれている状況説明して理解頂くこととしている」

‐‐大口、特別高圧のお客さんに値上げ影響が強く出るのか
「もともとの単価は特別高圧の方が高圧より安くなっている。特別高圧は発電所から非常に短い経路ですむが、高圧はそこから変電所とか施設経ているなど、値上げ率はどうしても差が出る」

‐‐金融機関からの追加融資は考えているのか
「出来れば新しい融資をというのお願いしており、3月事業計画策定に邁進しているところ」

‐‐料金メニュー拡充について
「夏のピークをうまくシフトして頂く、お願いするタイミング含めて個別にご相談したい」

‐‐モデルとして上がっている電気料金契約電力使用量はどういうものか
「契約種類 平均されている使用量実績」

‐‐自由化されていて、電気の購入先を選べる企業に対し、選べない家庭を狙い撃ちする規制部門の料金が上回ることはあり得るか
「料金の値上げ、申請は経営として重い判断であり、そのときはお客様の声踏まえて判断していく」

‐‐徹底した合理化を前提として、値上げは事業者としての義務と仰っていたが認識は変わったか
「先月もお客様のご理解得なければ料金値上げはなかなか難しいと申し上げたつもり、今も変わってない、規制/自由部門を問わずご理解得て当社の現状理解して頂くことが大事だ」

‐‐国民の理解を得るということ仰っていたこと記憶しているその上で事業者の権利、義務ということが異なっている
「権利義務ということは舌足らずなところあったと思う、手続きで言うと規制は我々が申請して公聴会等経て大臣認可が基本、それにそっていく、最初に皆さんの理解得てから申請という重い行為」

‐‐賠償が十分進んでいると思っているのか。先日裁判で放出放射性物質無主物と主張したのは誰の判断なのか
「現在の具体的な状況は、個人と法人事業主は1/16現在請求書受付個人約5万件、合意書送付3万400件、支払件数15300件、賠償合意400億円。法人は2万500件、送付15600、本賠償9200億円。個人でも1日1000件は申し込みがあり、滞留させることなく処理する。無主物については顧問弁護士通じて回答。詳しいことも詳らかではない」

‐‐トップとして支払い進んでいると思っているか 支援機構に1兆数千億申請しているが
「本格的な賠償を始めた時、書類が分厚い云々あり2回目以降で改善している。そこと比べると改善はかなり進んできていると思う」

‐‐政府での議論の結果H24年度から取り入れる考えは
「今後規制を見直すときは、有識者会議で結論出たものは反映していく方向で考えたい」

‐‐自由化料金総括原価的考えに基づいていてオール電化広告費や寄付金は盛り込まれているのか
「合理化1934億円の中に、広告宣伝費は合理化計画に削減する目標として織り込んでいる」

‐‐どのようにしたらお客様の理解得られたということとなるのか
「お客様の声よく聞き理解得られるよう努力する。マスコミの力大きいので、皆様にもよくご説明してあらゆる機会得て理解得る。説明会は必要に応じでおこないたい」

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