東京電力 「柏崎刈羽原子力発電所のストレステストに関する報告書」についての記者会見 15:00 2012.1.16

記事公開日:2012.1.16取材地: テキスト
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 2012年1月16(月)15時より、東京電力本店で「柏崎刈羽原子力発電所のストレステストに関する報告書」についての記者会見が行われた。

 安全性を向上する観点から、余裕の幅がどれくらいあるか評価したストレステストの結果、1、7号機は地震津波やそれ以外の異常現象に対し、十分な安全裕度があり、安全対策/機能がどれだけ寄与したかを定量的に確認できたと考えていることを示した。

※映像記録はありません

  • 日時 2012年1月16(月) 15:00〜
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

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2012年01月16日

柏崎刈羽原子力発電所1、7号機の安全性に関する総合評価(一次評価)結果の経済産業省原子力安全・保安院への報告について


【冒頭説明の概要】

 保安院へ提出したいわゆるストレステストの1号機7号機一次評価分、プレス文ほかを配布、電子データと共にホームページに全文公表予定

 ストレステストは、プラント及び発電所の弱点を把握し、安全性を向上する取り組みの観点から行うもので、余裕の幅がどれくらいあるか確認し、プラント運用や設備設計を改善することを目的としている。柏崎刈羽原子力発電所の1号機7号機安全裕度評価行なったということになる。

 おおまかな内容は、評価対象設備の選定。裕度評価が一番小さいものは何か。クリフヘッジ(津波や地震の想定度合いを大きくした際にある大きさ境に事象進展大きく変わる箇所)がどのにあるか。対策に関わる効果の確認など。また、同じストレステストを福島第一第二に適用した場合の結果についても説明する。

 評価対象は炉心そのもの、使用済み燃料プールが対象で、燃料損傷して大量の放射性物質が環境中に放出されることがあるかないかが判断ポイントとなっている。

 現実的には耐震裕度相当揺れ加わっても機能喪失や燃料損傷とは成り得ないが評価ルール上機能喪失、燃料損傷と表現している
 1号機では想定した外力でも直ちに機能喪失することはなく、プラント全体の揺れ方に多少の影響を与える可能性がある程度のものであることがわかった。

津波襲来に備えた浸水防止対策

 今回の事故では、原子炉建屋中心に建屋の中に海水侵入することで複数系統同時に機能喪失した。

 原子炉建屋中心に浸水対策を行うことが重要。外部の扉や、建屋貫通するような穴のあるところには止水工事行うことが重要。内部の扉、や直流電源が入る部屋は、扉を水密扉にして水入らないようにする。防潮堤建設して高さ15m津波に襲われても建屋に至らないようにすること、排水ポンプ配備、万一原子炉建屋地下に排水侵入してもポンプ設置して水を抜くことができるようにすることが対策として考えられる。
 更に電源喪失し除熱機能を喪失した時でも燃料損傷しない対策や、影響緩和策として原子炉建屋上部に漏れる水素ガスを抜く装置、フィルタベントなども考慮する。

全電源喪失除熱機能喪失時の対策

 交流電源確保として、空冷のガスタービン発電機を積んでいる発電機車から、メタクラを経由して建屋の中に引きこむ方法、ポンプモータに直接給電する方法などを考えている。設計上8時間持つが、実際にどれくらいもつか詳細評価が必要。

逃し安全弁

 安全弁を解放するための駆動空気本設ボンベのほか、予備ボンベ、蓄電池を準備する。
 電源喪失除熱機能喪失の際ベント弁開放困難だったため、作動用空気ボンベを確保し、手動操作ハンドルを取り付ける。最終的に運転員が現場でハンドル操作で弁を開ける。その後ラプチャーディスク破損する圧力になると自動的にベントが開始される。

万一燃料損傷した場合に対しての影響緩和策

上部に溜まる水素ガス放出機能のつける。今回の事故では、格納容器を経由して建屋に漏れ、上部にたまり爆発した。トップベント設備により、建屋上部に溜まった大気を放出する。サプレッションチェンバースプレイ、ドライウェルスプレイラインに海水供給」

ベント

 これまではウェットウェル通じたベントを考えていたが、更に放射性物質の放出量の低減を図るため、フィルタベントを設計設置したい。

共通の対策

 水位がどこにあるかわからなくなったことを踏まえ、共通に水位監視する監視カメラ、温度計 独立して蓄電池レコーダーを設置する。共用LANでプラント情報とは別のラインでデータを採取する。

重要免震棟汚染対策

 必要な量の通信設備、放射線監視設備改めて充実図る がれき撤去用の重機写真 津波に襲われた際瓦礫が交通支障になったホイールローダなど既に配備されている。継続的な安全性向上 過酷な環境下でも樹分な監視機能を維持できる計装設備の設計」

交流電源必要としない冷却手段多様化

 動力源必要としない冷却手段どういった手段可能か検討していきたい


【主な質疑応答】

‐‐クリフヘッジについて、最初の方の説明で実際に炉心損傷に至るものではないとあったが、ストレステストのそもそもの目的は炉心損傷がどこで起こるか、どの機器に問題あるかみるかだったのではないか

「限度を超えた(1.29あるいは津波15mが到達すると)としても、突然機器機能喪失する1という判断にはならない。パイプ類は弾性限界超えたら機能喪失すると見ているが、塑性変形しながらでもパイプとしては維持しているといえる。しかし、弱い所がどこにあるかを見つけるには有効な手段。
 1号機の構造材ではここが弱いところと、1.29倍という所を今後どういうふうに評価するかがポイント。Ssに対して1.29倍あるということで十分なのか足りないのかは様々なケース検討する必要があり、早急に結論は出せない」

‐‐相沢社長は住民説明会も考えたいと話されていたが、どうなっているか
「今のところ具体的日時は決まってないが、開催したい」

‐‐知事への報告はするのか
「機会があるならご説明させて頂きたい」

‐‐緊急安全対策にない部分は、フィルタベントと14番だけか
「緊急安全対策都の比較はチェックする必要ある」

‐‐高温停止とは何か
「冷温停止と高温停止二種類あり、冷温停止は原子炉水100℃以下、高温停止は核反応停まっているが100℃以上。冷却材喪失事故は想定しなければいけない運転状況で、最終的には熱の捨場ない状況になるのでその先ベント等水を入れながら蒸発させる状況になる」

‐‐柏崎刈羽の再稼働時期はいつごろになるか
「運転再開時期は未定 」

‐‐津波によるものだけ事故原因と捉えているが、地震は考慮せずに評価した理由はなにか
「福島第一と第二はストレステストと言っても簡易評価で、基準地震動を少し上回る程度なので、設定想定を大きく超える事態にはなっていないと判断した。津波が来る前まで観測されているデータでも、運転員対応状況からして地震で破損している状況ではなかった。そういった理由から簡易版では津波中心に評価した」

‐‐空冷のヒートシンクは検討対象にならないのか
「交流電源を必要としないヒートシンクの中で考えていきたい。設計上の難しさ等あるので長期的課題にある」

‐‐実際の津波高さを入れればダメでしたという結果出るのは当たり前と思うが、当たり前の結果が得られたことで、ストレステストで妥当性を確認したこととなるのか
「事故を防げたという結論になればぜんぜん違う方向に飛んでいくが、数字を入れて炉心損傷になったという結果なので特別なものではない。福島第一、第二で柏崎と同じようなイベントツリー書き、事象の進展パスや、同じようなパスを通って炉心損傷に至ることが確認でき、簡易評価を行う意味あったと考えている」

‐‐TPとは何か
「柏崎は東京湾水位元にしていてTPを基準高さとしている。海抜と考えてよい」

‐‐耐震裕度をガルに直すとどれくらいになるか
「ガルの評価はしていない。2300ガルの1.29倍したら大丈夫と評価したわけではなく、基準地震動で揺すった際の応力と許容応力が1.29ということ」

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