2013年2月18日(月)12時から、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。平成25年度当初予算案を公表した黒岩知事は「2年間(平成25、26年度)で1600億円の財源不足があった」ことに触れ、職員の給与カットなどに加えて、県有施設などを廃止する方向で検討している姿勢を示した。
(IWJテキストスタッフ・小山内/澤邉)
2013年2月18日(月)12時から、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。平成25年度当初予算案を公表した黒岩知事は「2年間(平成25、26年度)で1600億円の財源不足があった」ことに触れ、職員の給与カットなどに加えて、県有施設などを廃止する方向で検討している姿勢を示した。
■全編動画
最初に黒岩知事は、15日に「さがみロボット産業特区」が、政府から地域活性化総合特別区域に指定されたことを発表した。茅ヶ崎市の服部信明市長や日産、JAXA(ジャクサ)、北里大学などとともに、一丸となって臨んだプレゼンテーションが高い評価を得たとして、「生活支援ロボット市場は、2015年には6000億円規模だが、20年後には7兆円になる」という見込みを明かした。
平成25年度当初予算案については、再生への第一歩として、「緊急財政対策によって何とかお金を捻出し、それで作り上げた予算」と強調して、「財源不足にどう向き合って予算を作るか、根本的に見直さなければいけないので、緊急財政対策本部調査会(神奈川臨調)を設けて検討してきた」と語った。
質疑応答に入り、県債の発行額や残高といった借金が増えている現状の対策を問われると、「県単独の県債は減らしている。しかし、借金がずっと積み上がってくる流れは変えられなかった」と返答。その上で、「臨時財政対策債、つまり地方交付税交付金などの、本来は現金で支給される部分が、債権の形となって借金を背負わされている。ある種、国から押し付けられる借金が増えているのが現状。この問題について、『早く交付税に代えてほしい』と先日も政府に申し入れた」と語った。
続いて、「緊急財政対策の中にある、県民利用施設の統廃合によって、維持費や人件費はどれだけ圧縮できるか、具体的な数字は出ているのか」という質問が出た。黒岩知事が職員に「データはあるか」と聞くと、会見に同席していた行政改革課副課長が「資料の中で、11施設の廃止による活用資産額は、あくまでも土地あるいは建物の数字として示している。しかし、個々の運営費などを含めた部分までは算出していない」と述べるにとどめた。それを受けた記者が「現時点では算出できないということか」と問いただすと、行政改革課副課長は「これまでに公表している資料の数字を、単純に積み上げる形であれば、示せる」とだけ答えた。
「緊急財政対策の中で、人件費の抑制が260億円となっているが、切れるところも限度があるのではないか」という問いに対しては、「財政を非常に圧迫している義務的経費の、非常に大きな割合を占めている中に、教職員の給与もあった。教育費をどうするかという問題は、1年かけて検討する。教育臨調をスタートさせて、今その検討を行っている最中」と述べた。その上で「25年度予算の中では十分反映されていないが、次の予算の時には反映できると思う」と付け加えた。
2月13日に、朝鮮学校への県経常費補助を見送る表明をしたことに関して現在の意見を問われると、「朝鮮学校は、何とか守りたい思いで、体を張って守ってきたつもり」と前置きした上で、「北朝鮮はミサイルを飛ばし、核実験まで強行する。それは日米安全保障体制に対しても、重大な脅威としてエスカレートしている。『朝鮮学校と北朝鮮は関係ない』と盾になり続ける気持ちが失せたのが正直なところ」と明かした。記者がさらに、「話し合いを持たないままでいいのか」と投げかけると、「学校関係者が来て、副知事が話を聞いた。それで彼らの思いをしっかりと受け止めた。それはそれとして、今後の国際情勢の変化や学校の対応などの流れを見ていきたいと思う」とだけ答えた。
続いて、県職員の駆け込み退職についての評価を求められると、黒岩知事は「早めに辞めた人に対して、けしからんと言うのもつらいところ。そういう制度になったのならば、経済的な問題から『早く辞めたい』という気持ちが起きるのは、理解できないわけではない。しかし、教育の現場で、子どもたちと向き合ってきた教員生活の最後は、歯を食い縛ってでも支えてほしかった気持ちが非常にある」と語った。その上で、「このような状態になっても、ほとんどの先生が辞めずに頑張っていることは評価したい」とも語った。