鮫川村における農林業系副産物の焼却実証事業に係る説明会 2013.2.14

記事公開日:2013.2.14 テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・阿部/澤邉)

 2013年2月14日(木)18時から、福島県いわき市の田人ふれあい館で「鮫川村における農林業系副産物の焼却実証事業に係る説明会」が行われた。環境省は昨年11月、原発事故で生じた高濃度放射性廃棄物を焼却する実験的施設の建設を、鮫川村で始めた。各地で処分しきれない汚染稲わらや、牧草の処理を目指すという。市民側の再三の要望により、初の説明会となったが、安全性が確保されるかどうかということを危惧して、工事の中止を求める声が相次いだ。

■全編動画

  • 日時 2013年2月14日(木) 18:00〜
  • 場所 田人ふれあい館(福島県いわき市)

 焼却実験施設の建設に関しては、昨年12月25日に鮫川村で住民説明会が行われたが、「工事ありき、安全前提の一方的なもの」として、住民の間で疑問や不安が広がった。住民側はいわき市に対して「環境省による説明会」を再三にわたって要望、今回ようやく実現にこぎつけた。代表として主に答弁にあたったのは、環境省廃棄物対策課の高沢氏。ほかに国側として同席したのは、鮫川村の大楽勝弘村長、国立環境研究所・資源技術基盤技術研究室の倉持室長、焼却炉の受注先である日立造船(株)からは2名の社員。司会を務めたのはいわき市の環境企画課課長・蛭田氏。

 ひととおりの説明を受けた後でも、参加した200名を超える市民側からは、最後まで反発の声が止むことはなかった。とりわけ説明会の開催が遅れたことと、安全そのものへの疑問、その回答に対する不満から、声を荒げる市民も少なくなかった。

 市民の1人は「環境省はいわき市の要請がなければ、説明会を開かなかったということか。1つの村の問題ではない。村長は『環境省が言ったから』というが、そのような態度で『安全、安全』と言われても信用できない」と意見を述べた。大楽村長が「不安を与えたことに、まずはおわびする。(安全について)一番知っているのは、日本の原子力機関の人だと思っている」などと返答すると、「それでは今回の原発事故と同じ構図」と、批判の声はいっそう強まった。環境省の高沢氏も「結果として説明が遅れてしまったことは申し訳ないと思っている。東京にいて、なかなか(住民の不満を)感じられなかった」などと苦しい回答を述べると、住民側からは「私たちの命をなんだと思っているのか」などの声が上がった。

 「この雰囲気を感じて、これからいわき市はどうするのか」との質問に、いわき市の蛭田課長は「国の特別措置法の基準を満たした安全な装置だという認識でいる。引き続き、市民の安全確保の観点から、情報を収集していきたい」と答えた。最後に「原子力ムラといわれる、政治家と業者と学者の癒着に対する反省がまるでない。反対する学者の意見も聞きたい」と市民が要望したが、回答はなく、「時間が過ぎている」ということで、説明会は終了した。

 終了後のぶら下がりで、記者から「3月には焼却を始めるということだったが、これだけ反対がある中で、事業そのものの中止ということはあるのか」と、質問をされると、高沢氏は「そういったことも持ち帰って検討する。中止がありうるかどうか、それは慎重に進めるということ。私はそういう判断はいたしかねる」と答えるのみであった。

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