2013年1月18日(金)13時30分から、岐阜市の岐阜県庁で、「土岐の核融合研究所の重水素実験中止要請書提出」が行われた。
土岐市の核融合研究所で計画されている重水素実験については、放射性物質トリチウムや中性子が発生することから、不安を持つ住民の反対運動が起きている。一方、土岐、多治見、瑞浪の3市は、実験実施に向けた協定書の締結に同意する方針を示している。その現状を受けて、市民は県に対して、重水素実験の中止を求めた。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年1月18日(金)13時30分から、岐阜市の岐阜県庁で、「土岐の核融合研究所の重水素実験中止要請書提出」が行われた。
土岐市の核融合研究所で計画されている重水素実験については、放射性物質トリチウムや中性子が発生することから、不安を持つ住民の反対運動が起きている。一方、土岐、多治見、瑞浪の3市は、実験実施に向けた協定書の締結に同意する方針を示している。その現状を受けて、市民は県に対して、重水素実験の中止を求めた。
■全編動画 1/3(13:30~ 1時間40分) 冒頭~重水素実験中止要請書提出
■全編動画 2/3(15:12~ 8分間)
■全編動画 3/3(15:21~ 12分間) 2分45秒~参加者へのインタビュー①、6分40秒~参加者へのインタビュー②
はじめに、菜の花会代表の和田悦子氏が、県に対して、「核融合科学研究所の重水素実験に反対し、実験に同意する協定書に調印しない事を求める申入書」を読み上げた。重水素実験によって発生する10種の放射性物質の半減期が1000年以上である点、トリチウムが内部被爆の危険性を有している点などから、この実験に県は同意すべきではないとし、今年度中の協定書調印の白紙撤回を求めた。
多治見を放射能から守ろう!市民の会 の井上利男氏は、核融合研究所が「公正中立な第三者の安全評価委員会で、重水素実験の安全性が確認された」としている点について、「この委員会の委員16名のうち、10名が原子力、核融合推進の専門家によって構成されている」と指摘し、「3市は、この安全委員会の見解を拠り所として、今年度中の協定調印の段階にあるが、委員の構成を見ると、核融研の理解者で占められている。公正中立な組織と銘打っているが、実態は大違いである」と述べた。また、昨年の3月、県に対して要望書を提出しているにもかかわらず、未だに県からの回答がない点にも触れ、「あまりにも不誠実な態度である。見解を明らかにしてほしい」と訴えた。
それに対して、県側は「要望書にあるような白紙撤回は、県として回答できる状況ではない。現在、3市から事務レベルで連絡は受けているが、市から協定を結びたいと言う協議が出た時点で、県として独自に判断し、検討していく」と述べた。また、実験によって発生する、年間最大555億ベクレルのトリチウムについて、「実際に安全かどうか確認するためには、人間や環境に与える影響が、どの程度かで判断すべき」とした。
3.11の原発事故を受けて、東京から岐阜に引っ越したという参加者の一人は、「この実験は、世界的に成功した事例もない。福島が大変な時期に、なぜ、このような実験をしようとしているのか。日本の現状を考えれば、できる状況ではない」と意見を述べた。
「県には主体性がない」と指摘する井上氏は、この計画が、国民の命を脇に追いやり、利害のある専門家によって、一方的に安全神話を振りまいて進められている点を問題視し、「原発推進と同じ手法を許すことはできない。これは、ある種の犯罪である」と述べ、県民の声を真摯に聞いて検討する必要性を訴え、県の無責任な対応に憤りを示した。
意見交換の後に行われたインタビューの中で、1998年から、この問題に取り組み続けてきた井上氏は、「県は、3市の結論待ちに終始しており、自分たちで勉強して、この実験を評価する主体的な活動はほとんどなく、核融合研究所まかせの対応は、ずっと変わっていない。あまりに情けない。この問題は知らない人が多い。周知して、反対署名を集めていきたい」と述べた。