【国会ハイライト】5年間に約1000件あった契約のうち森友学園1件だけが4つの特例!? 衆院予算委 立憲民主・川内博史議員の質疑で明らかに~安倍総理は「価格が適正だと申し上げたことはございません」と逃げ腰に 2017.11.28

記事公開日:2017.12.6 テキスト
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(文:栗原廉)

 「このような特例処理が行われたのは、1000件を超える契約の中で森友学園だけだった」

 2017年11月28日の衆議院予算委員会での質疑応答において、立憲民主党の川内博史議員は、いまだに疑念が解消されずにいる森友学園への国有地売却をめぐる問題について、複数の省庁の閣僚および担当者に事実関係の確認を行った。

 この問題が追及され始めた当初、安倍総理は衆議院予算委員会などで、「売却価格が適正かどうかを調べるのは、会計検査院だ」とかわしてきた。しかし、11月22日、調査を終えた会計検査院が報告書を国会に提出。その中で、約8億2000万円の値引きの根拠が不十分であり、森友学園への土地売却は異例の対応であったことが浮き彫りになった。

 会計検査院はこの国有地の売却手続きは不適切であったと結論付けている、との川内議員の指摘に対して、安倍晋三総理や麻生太郎財務大臣は、「各省庁で対応する」と答弁したが、肝心の売却に関連する行政文書は関係省庁でなくなっている。見積もりの算出方法や金額については、いまだに不透明な点が多い。

 11月28日の川内議員の質疑の中で、太田充理財局長は、「売り払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例」「瑕疵担保責任を免除する特約をつけたもの」「延納の特約を付して売却した事例」「公共随契により売り払いを行った中で、契約金額を非公表にした事例」の4つについて、過去5年間の間にそれぞれ約1000件中、森友学園ただ1件しかなかったことを認めた。

 会計検査院や理財局長の見解から、「森友学園」問題がいかに異例づくしだったかがよくわかる。しかし安倍総理は、「価格が適正だということは申し上げたことはございません」と責任逃れの発言をするばかりで、疑惑解明に向けた積極姿勢を見せることはなかった。

記事目次

廃棄物の撤去費用は本当に適切だったのか? 会計検査院の報告書から明らかになる、各省の文書管理の杜撰さ!

川内博史議員「おはようございます。立憲民主党の川内でございます。

 昨日から、森友学園の国有地売却問題に関して、音声データの確認がなされたなどの新しい、政府として事実をお認めになっていらっしゃるわけでございますし、また、会計検査院の報告書も出ておりまして、総理は答弁は撤回しないよということを繰り返しおっしゃっていらっしゃるわけでございますが、国民の皆さんがなぜこの森友学園への国有地売却問題に関して疑念を持っているのかということについて、この会計検査院の報告書などをしっかりと読み込ませていただいた上で考えていかなければならないのではないかというふうに思うのです。

▲川内博史議員

 この報告書本文の最終の部分に、『今回、会計検査院が検査したところ、検査の結果に示したように、国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた』とする記述がございます。

 この『適切とは認められない事態』とは一体どういう事態なのかということを、これはどういう意味なのかということを、この前、党のプロジェクトチームの会合で会計検査院の方にお聞きしたらば、法令等に違反するか、もしくは不当という意味ですというふうにお答えになられました。合規性、経済性に照らして適切とは認められない事態とはそういうことであるということでよろしいかというのをまず確認させてください」

河戸光彦会計検査院長(以下、河戸会計検査院長)「お尋ねの件は、本件土地に係る廃棄物の撤去費用が適正であるかどうかということと理解しておりますが、大阪航空局が算定した本件土地における処分量1万9520トン及び地下埋設物撤去・処分概算額8億1974万余円は、算定に用いている深度、混入率について十分な根拠が確認できないものとなっていたり、本件処分費の単価の詳細な内容等を確認することができなかったりなどしており、既存資料だけでは地下埋設物の範囲について十分に精緻に見積もることができず、また、仮定の仕方によっては処分量の推計量は大きく変動する状況にあることなどを踏まえると、大阪航空局において、地下埋設物撤去・処分概算額を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと認められたと今回の報告書に記述しているところでございます」

川内議員「私が聞いているのは、『適切とは認められない事態』という言葉の意味を聞いているのであって、今、会計検査院長からこの検査結果の概要を御説明いただいたわけですけれども、そうじゃなくて、『適切とは認められない事態』とは、この前の党の会合では、法令等に違反するかもしくは不当という意味が『適切とは認められない事態』という言葉の意味です、会計検査院が『適切とは認められない事態』という言葉を使うときはそういうことですというふうに教わったので、それでよろしいかということを確認しているんですけれども。よろしいのか、よろしくないのかですね」

河戸会計検査院長「法令のほか、内部規定に違反するものや、不経済、非効率となっているものなど、会計検査の観点から見て問題があるとする事態を表現したものでございます」

川内議員「すみません、国民の皆さんは言葉の意味というものを、私も含めてなんですが、よく理解できない場合があるのでお聞きしております。『より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態』、より慎重な調査検討が認められる事態とは、きのう私が質問レクで会計検査院の方に確認したらばこんなことをおっしゃっていらっしゃったんですけれども、それでよろしいかということなんですが、『慎重な調査検討が必要であった』ということは、当然行われるべき手続が行われていなかった、当然行われるべき手続が行われていなかったという言葉の意味が、『慎重な調査検討を欠いていた』、『必要であった』という言葉の意味であるということで、院長、よろしいでしょうか。簡単にお願いします。ここはちょっと時間を使うところじゃないので」

河戸会計検査院長「そのとおりでございます」

川内議員「会計検査院としては、法令等に反しているか、もしくは不当なことや、あるいは本来行われるべき手続が行われていなかったということをこの検査報告書の中で指摘をしているということであります。

 さらに、文書管理のことが問題になっているわけですけれども、この文書管理のことで申し上げれば、会計検査院が検査のために必要な書類を出してねと財務省、国交省に要求し、いや、資料がありませんというような事例がたくさんこの報告書の中にあるわけですけれども、会計検査院としては、本来検査に必要な書類がないという事態に関して、それを会計検査院法に照らして適正であるというふうにお考えになられるか、それとも、いや、それはちょっと、検査院法に照らせば適正なことではないよというふうにおっしゃるのか、教えていただきたいというふうに思います」

河戸会計検査院長「お答えいたします。本件土地に係る決裁文書等の行政文書において、売却に至る森友学園側との具体的なやりとりなどの内容や、地下埋設物の撤去・処分費用における処分費の単価の詳細な内容等が確認できず、会計経理の妥当性について検証を十分行えない状況となっておりました」

川内議員「十分に行えない状況になっていましたと。その書類がないということに関しては会計検査院としては適正であったと。書類がないと答えられたことについて、まあ別にしようがないんじゃないのというふうに言うのか、それとも、ちょっとそれは適正じゃないよというふうにお考えになられるのか、教えていただきたいと思います」

河戸会計検査院長「お答え申し上げます。会計検査院の検査のために必要な書類が残されていることが必要であると考えております」

川内議員「必要であると考えている。残されていない場合は、それは適正じゃない、会計検査院法に照らして、法に照らして適正ではないというふうに会計検査院としては考えるのかということを聞いているんですけれども」

河戸会計検査院長「お答え申し上げます。会計検査院が検査するにおきまして必要な文書におきましては、各省庁におきまして行政文書の管理、適切な行政文書の管理が行われていることが前提でございます。その保存されているものにつきまして我々は検査しているところでございます。その行政文書の管理に従って適切に管理していることが我々としては必要と考えております」

森友学園と財務省の特別な関係!? 過去5年間で約1000件あった契約のうち、分割払いや金額非公表など「特例」は森友学園だけ!

川内議員「ちょっと私は今の説明はよくわからないんですけれども、必要とする文書が残されていないということに関して、それはもう想定していないということなのではないかというふうに思いますが、この検査報告書には、必要な書類がないので検証できないという記述がたくさんあるわけですね。

 さらに、総理、森友学園の問題に関して何で国民の皆さんが疑問を持つんだろうというふうに思うと、この報告書の中にもさまざまな記述があるんですが、例えば34ページに、『24年度から28年度までの間に前記の3財務局及び6財務事務所等が公共随契により売払いを行った契約118件についてみたところ、売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった』。

 118件のうち森友学園が一つだけである、3財務局、6財務事務所で。これを全ての財務局、全ての財務事務所等に、要するに財務省全体として24年度から28年度までの間に公共随契で契約した件数のうち、契約件数と売り払い前提の定期借地とする特例処理を行ったのは何件あるのかということを、理財局長に来ていただいていますから、事実関係ですからお答えいただきたいと思います」

太田充理財局長(以下、太田理財局長)「お答えいたします。売り払い前提の定期借地、平成24年から28年度までの間において財務省全体で1194件ございます。そのうち……(川内議員『もう一回。件数、はっきり』と呼ぶ)申しわけありません。公共随契全てが1194件ございます。そのうち、売り払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件のみでございます」

▲太田充理財局長

川内議員「さらに、今回大変な値引きをして売っているわけですけれども、これは瑕疵担保責任免除特約というものを付したからであるというふうに財務省としては説明をされていらっしゃるわけですが、この瑕疵担保責任免除特約を付して売買契約した事例は財務省的には過去何件あるんでしょうか」

太田理財局長「本件のような形で瑕疵担保責任を免除する特約をつけたものというのは本件のみでございます」

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