都議選を圧勝した「都民ファーストの会」・小池百合子氏が代表を辞任!自民党が離党届を正式に受理するも復党の道筋は絶たれていない!? 野田数新代表は極右政治思想の持ち主か 2017.7.4

記事公開日:2017.7.4取材地: テキスト
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(文:ぎぎまき)

※本記事は「日刊IWJガイド」2017年7月4日号に加筆・修正を加えたものです。

 成立からたった半年の「都民ファーストの会」が7月2日、東京都議線で自民党に圧勝、第一党に踊り出た。国政における安倍政権支持率急落が追い風となり、自民党と決別したかのように見せかけた小池百合子氏の人気が沸騰。自民党に嫌気がさした有権者の票が集中した。

 しかし、都議選の翌朝、小池氏は突然「都民ファーストの会」代表の辞任を表明。一ヶ月前に就任したばかりの代表をなぜ、突然退いたのか。その理由を小池氏は、自治体の首長と政党代表を兼ねる「二元代表制」に対し懸念の声があることから、「知事に専念する」ことに決めたのだという。

 しかし、これはおかしな話である。都知事という立場を最大限利用しながら、政党の代表として都議選を戦うことはかねてからの戦略だったはずだ。「二足のわらじ」を自ら選んで選挙で大勝しておきながら、選挙が終わった途端「二元代表制」を問題視する姿勢には強い違和感を覚える。

 IWJ代表の岩上安身はツィッターで、「二元代表制の問題がある、ということは、選挙前にも当然、わかっていたはず。小池氏が応援演説をすると熱心に聞いていた聴衆も、肝心の候補が演説するとバラけていくという場面を何度もIWJの記者らは目撃している。小池人気の悪用である」と指摘。都議選で展開された小池劇場は「政治的な詐欺に等しい」と批判した。

▲岩上安身のツィート(2017年7月3日)

 またこれについては、IWJでも度々ご登場いただいている弁護士の郷原信郎氏も「選挙後に代表を辞任する予定だったなら、選挙法違反の可能性もある」と指摘、今後の都政の行く末についても強く案じている。

 「小池劇場」はいつも突然、展開され、常に不可解さがつきまとってきた。

 2016年6月29日、小池氏は舛添要一前知事の辞職に伴う都知事選への出馬を突然、表明した。東京都連執行部に何の相談もなく立候補した小池氏に対し、当時、自民党本部は不快感を示した。都知事選で小池氏を応援した自民の区議7人を自民党都連から除名するという重い処分も下している。

 しかし、党の了承を得ずに勝手に出馬した張本人の小池氏が、自民党から除名されることはなかった。今年の2017年6月1日、小池氏が自民党に離党届を提出してもなお、党は受理を見送り、離党手続きを保留した。正式には自民党の国会議員という肩書のまま、都議選に突入。自民党に所属する身でありながら「vs自民党」という図式を打ち出して人気を博し、反自民党票をかっさらった。

 小池氏の離党手続きをしぶっていた自民党は、小池氏が「都民ファーストの会」代表を退いた同じ日に、ようやく離党届を正式に受理した。なぜ、このタイミングなのかはわからないが、党執行部は小池氏と「対決姿勢を取るのは得策ではない」として、離党届受理だけに留め、小池氏の除名処分は見送った。

 ネット上では、これだけ自民党に弓を引いておきながら「除名」ではなく、あくまで復党可能な「離党」だったことに、「いずれ将来は連携するのではないか」との憶測も流れている。事実、今年1月に行われた安倍総理との会談で、小池氏は、次の衆院選では自民党を支援すると安倍総理に伝えている。

 除名や離党騒動を始め、都知事選出馬や都議選での対立、政党代表就任や辞任など、この間の「小池劇場」には、不可解さが常につきまとう。

 自民党の了解を得た上で進められた「茶番」のようにさえ思える。後述するが、小池氏は現行憲法の廃止や緊急事態条項の創設を含む自民党改憲草案に賛同するなど、政治思想はかなり極右というべきもので、安倍総理と政治的スタンスがきわめて近い。

▲都議選最終日、「都民ファーストの会」代表として候補者を応援する小池百合子氏(2017年7月1日)

「都民ファーストの会」代表に野田数(かずさ)氏が就任!「大日本帝国憲法」の復活を求める請願書を提出した極右の野田氏が代表となった政党圧勝で都民の暮らしは大丈夫なのか!?

 「都民ファーストの会」代表には後任に野田数(かずさ)幹事長が指名された。野田氏とは一体、どんな人物なのか。

 2009年の都議選で自民党から出馬し、当選したのち、当時の橋下徹大阪市長と連携する「東京維新の会」を結成。2012年には「日本維新の会」から衆院選に出馬するも落選。翌年2013年の都議選では日本維新の会後任で立候補するも落選。

 その後はアントニオ猪木参議院議員の政策担当秘書を務め、2016年には、過去に秘書を務めていたこともある小池百合子氏の人気に便乗し出世を狙ったのか、東京都知事選で小池選対の本部責任者に就任している。

 小池都知事が誕生すると、今度は特別秘書に任命され、今年の6月1日に小池氏が代表に就くまでの間、「都民ファーストの会」代表を務め、小池氏の代表辞任でふたたび代表に返り咲いた。小池氏から厚い信頼を置かれる人物のようだ。

 しかし、野田氏については、アントニオ猪木議員の秘書時代、政党助成金など計1120万円の公金を着服していたとして、猪木議員が野田氏を刑事告訴していたことが発覚。野田氏は2015年7月に猪木事務所を解雇されている。先月5月18日、野田氏は文書で猪木議員の主張に反論しているが、都議会の第一党代表となった今、すでに浮上したスキャンダルの説明責任が改めて問われることになりそうだ。

 ここでIWJとして注目しておきたいのは、政治とカネのスキャンダル以上に、野田氏の「政治思想」だ。都議時代の2012年10月、野田氏は東京都議会に提出された「日本国憲法の無効確認と大日本帝国憲法の復活を求める」趣旨の請願に賛成している。看過できないのは、請願書に賛成しているだけでなく、野田氏が紹介議員となってこの請願を都議会に提出したこと。あまりにも時代錯誤な極右思想に、当時の自民党でさえこれに賛成しなかったという代物だ。

 野田氏の極右思想については、以下の記事で詳しく報じているので、あわせてご一読いただきたい。

大阪維新との合流も!?「百合子グリーン」からはほど遠い日本会議副会長の経歴!「現行憲法廃止」、緊急事態条項創設を盛り込んだ「自民党改憲草案」の丸飲みを要求

▲都知事就任の会見にのぞむ小池百合子氏(2016年8月2日)

 野田氏を選対本部責任者や特別秘書、政党の代表に起用した事実を持ってしても、野田氏と小池知事の政治思想が近いだろうことは想像に難くない。そして、野田氏が大阪維新シンパであることを考えれば、小池知事が今後、維新と接近してゆく可能性も否定できない。

 IWJは野田氏のみならず、昨年の都知事選から、微笑みを絶やさない小池氏の、もう一つの顔である「極右」の顔に注目し、早くから警鐘を鳴らしてきた。

 小池氏は「日本会議」の国会議員懇談会の副会長を務めた経歴もあり、在日朝鮮人らに対する「ヘイトスピーチ」を公然と行ってきた在特会との関係も指摘されていり。さらには、2000年11月30日の衆議院憲法調査会で意見参考人として発言した石原慎太郎氏に呼応し、「いったん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく」ことに、「基本的に賛同する」と、とんでもない発言をしている。

 2012年7月9日の衆議院予算委員会では、当時の民主党・野田佳彦総理に対し、国防軍の保持や緊急事態条項の創設を盛り込んだ、自民党改憲草案の「丸のみ」を要求するという場面も。これまで多くの小池ファンが信じ込まされてきた、エコでクリーンでスマイリーな「百合子グリーン」のイメージからは程遠い、「ウルトラライト」な思想こそが小池氏の真の姿なのだ。

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