第1回 馬力学会 ~馬に頼って馬力学会 in 粟島~ 2012.9.29

記事公開日:2012.9.29取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2012年9月29日(土)、新潟県粟島で、「第1回 馬力(ばりょく)学会 ~馬に頼って馬力学会 in 粟島~」が行われた。馬力学会とは、3.11以後の社会のあり方の一つとして、馬に頼って生きる社会を創ることを目的に作られた学会である。第一回目の学会では、この会の発起人である安冨歩氏、寄田勝彦氏の話を中心に今後の方針などを示し、参加者との交流を深める会となった。

■全編動画

  • 参加者 安冨歩氏(東京大学東洋文化研究所教授)、寄田勝彦氏(NPO法人インフォメーションセンター代表)他

  馬力学会とは、「私たちはあまりにも人間中心に考えすぎていたのではないだろうか? 人間中心に行動しすぎていたのではないだろうか?」という問題提起から発足し、馬に頼って展開される活動、思考、思想を対象とし、年齢、性別、人種問わず、誰でもが入会できて、発信できる場を目指す団体である。

 発起人の一人である安冨氏は、現代社会に生きる人々の身体と頭の接続が悪くなっている、という話を例に挙げ、「身体よりも頭脳が優れた人間が指導者になるべきである、という風潮に問題がある。専門家に対する過剰な信仰は危険だ」と語った。その中で「問題が発生した時に、専門家を呼んでも無駄。原子力の問題をはじめ、社会の中では、さまざまな現象が複雑に絡み合っており、複雑に絡み合っている事象そのものが、問題である」と述べ、取り扱いやすい一部分のみを切り出して解決しようとする、頭の良い専門家のあり方、素人が意思決定を専門家に一任することへの危険性を指摘した。

 また、現在は、日本よりも中国のほうが教育、科学技術水準が優れていること、国際社会の中での日本の競争力が相対的に低下していることを挙げ、「では、中国になくて日本にあるものは? きれいな水資源だ。日本人は世界で最も美しい列島に住みながら、そこを切り刻み、ぼろぼろにしてきた。3.11以降の社会のあり方、新しい世界経済を考える時に、原子力という選択はない。目先の利益に囚われず、馬力を活かして、意味のある価値を、創造できる社会を作っていきたい」と述べた。

 もう一人の発起人である寄田氏は、生きることへの困難から出発し、環境教育という概念を柱に、牧場や畑を作り、まちづくりを実施しているNPO法人インフォーメーションセンターの代表理事も務める。「僕にとって、馬に頼ることは生きていることそのもの。活動を通じて、いろいろな角度から物事を捉え、いろいろな生き方があることを皆さんに伝えたい」と、自身の想いを語った。

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です