自民税調会長に宮沢洋一前経産相 公明党のイチオシ政策「軽減税率」に慎重な野田氏は事実上「更迭」! 来夏の参院選に向けた公明党への媚びへつらい!

記事公開日:2015.10.27 テキスト
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(文:城石愛麻)

 10月10日の毎日新聞で、「自民党:税調会長に宮沢洋一氏 野田氏、事実上の更迭」と報じられていました。

 自民党の税制調査会の現会長・野田毅氏を交代させ、前経済産業相の宮沢洋一氏をあてる模様で、多くのメディアでこれは事実上、野田氏の「更迭」として報じられています。野田氏は2017年4月の消費税10%増税にともなう負担軽減策をめぐって、公明党の推進する軽減税率案に慎重で、還付金制度案を提案していました。

 来夏の参院選に向け、公明党の機嫌をとるために、政府は野田氏を「更迭」したものとみられます。

 そして10月14日には、安倍総理自身が宮沢税調会長を首相官邸に呼び出し、軽減税率の導入に向け、公明党と具体策を話し合うよう、命じたと言います(2015年10月26日 週刊 アエラ『学会票狙いバラマキへ 軽減税率導入へ官邸が前面に』)。

 還付金案は、生活必需品を購入した際に、いったんは10%の消費税を払ってもらい、あとから還付を行い、負担軽減とする、という施策でした。しかし、この案には問題が多く、1年間の還付金の上限が4000円と少ないこと、最初の支払いで10%の消費税を払うなら、後から還付されても「負担が軽減された」と実感するのは難しいこと、など批判が相次ぎました。

 また、この還付金の件は、マイナンバーの「個人番号カード」普及を狙うための悪しき口実だ、という見方もありました。還付金を受け取るために、生活品を買ったスーパーなどで、ICチップを埋め込んだ「個人番号カード」をカードリーダーに読み込ませなければならない、というシステムが作られようとしていたのです。

 このマイナンバーと還付金をセットにした制度は最悪なので、野田氏の更迭とともに、見送りになるのならば、それはそれで悪くはないのですが、では、公明党が強く押している、軽減税率案が期待できるような政策なのか、疑問なくはありません。

 公明党のホームページでは、「世界標準、家計を助ける軽減税率(グッド!と親指を立てる絵)」として、軽減税率は税負担の不公平感をなくすために有効な施策として宣伝されています。

 しかし、同じホームページ上の、2015年5月27日「第3回消費税軽減税率制度検討委員会(与党税制協議会)」の資料を見てみると、「酒類を除く全ての飲食料品」に、2%の軽減税率を導入した場合、軽減税率を導入しなかった場合に比べ、約1.3兆円の減収になるとあります。

 公明党は、この「酒類を除く全ての飲食料品」」での軽減税率を主張していますが、税収減を4000億円におさえたい自民党は軽減対象を絞りたい考えで、両党の交渉は難航しています。

 大幅な税収減を避けるため、軽減税率の適用を「精米」だけに限定することも検討されているようですが、お米の費用だけ還付されても、「負担軽減」と胸を張るには限定されすぎですよね…。

 社会保障をあとまわしにして、前のめりに増税政策を進めてきたツケが、ここでまわってきました。安倍政権は野田氏を更迭し、悪評高き還付案を見送ることで、公明党に配慮し、国民の目にも「良い選択をした」ように見せたいのかもしれません。しかし、有力な代替案ではありませんから、油断はできません。消費税増税で生活を圧迫される人たちへ(もちろん、私もIWJの面々も入ります!)の配慮がどこまでなされるのか、真剣に注視し続けたいと思います。

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