【安保法制反対 特別寄稿 Vol.45】「米国がいいと言ったから、『これでいいのだ』と胸張る安倍総理」

記事公開日:2015.7.14 テキスト
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 米国がいいと言ったから、「これでいいのだ」の安倍政権はいらない

 憲法は国民主権、平和主義、人権を守ることを根本理念として国家権力を縛る最高法規だ。しかも国民に問う手続きを踏めば変えることができる。しかし、安倍首相は手続きを踏まず、内閣の解釈で根本理念に反する集団的自衛権行使を容認し、自衛隊の海外派兵の道を開く安全保障法制(戦争推進法案)の今国会での成立を米国に約束した。明確に憲法違反であるにもかかわらずだ。秘密保護法、辺野古、原発再稼働もこれと一体のものであり、いずれも国家権力が国民主権を制限する違憲ものだ。

 戦争は犯罪である。「殺してはならない」という人道を否定する。個の尊重を蹂躙し、残忍で抑圧的権力をもって国民に隷属を求める。

 歴代政権は、自衛隊は国土の防衛を担うという限定で、憲法上個別的自衛権として容認されるとしてきた。しかし、自国が直接攻撃を受けていないのに、海外に出向いて武力行使する集団的自衛権は、憲法上許されないとの立場を戦後一貫して守ってきた。だからベトナム戦争で韓国兵のように駆り出されることを日本は拒否できたし、イラク戦争では特措法で派遣しても、1発も発砲しないで辛うじて来れたのだ。

 なお国連憲章で認める集団的自衛権とは、国際紛争において、国連軍が組織されるまでの間、直接影響のある国々が連携して武力を行使することを認めるという限定があるものなのだ。

 国連決議なしでも他国へ軍事介入するのが米国だ。「国際司法裁判所が国際的テロで有罪を宣告した唯一の国が米国であり、米国だけが国々に国際法の遵守を求める決議案を拒否した」とチョムスキーは指摘している。米国が中近東やアフリカや中南米において行ってきたテロ行為の数々。アルカイダはそもそもアメリカCIAが作り上げた組織だ。軍産複合体が武器を供給し、紛争や戦争を裏で仕掛けている。

 集団的自衛権行使を容認すれば、この米国のしかける戦争に引きずり込まれることは火を見るよりも明らかだ。ひとたび参加すれば、撤退は日本の判断ではできなくなる。泥沼に引きずり込まれ、最後まで道連れにされる。戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは至難であり無数の犠牲を生んだ後なのだ。

 安倍政権のもうひとつの目標「世界で一番企業が活動しやすい国にする」は、米国の求めであるTPPすなわちグローバル企業の利益のために奉仕する体制を目指している。それはマイナンバー制、労働者派遣法改悪にもつながっている。

 戦争推進法案は軍需関連産業のためでもある。武器輸出三原則を廃し、武器輸出を解禁、原発輸出にも注力。核保有のインドにも再処理(核兵器の材料、プルトニウム抽出)を認めて輸出するのも米国軍産複合体が求めているからで、合わせて国内の軍需関連企業にも息を吹き込む狙いだろう。

 米国がいいと言ったから、「これでいいのだ」と胸張る安倍総理。そして「この道しかない」と言うこの道の先に日本の奈落が覗いている。

 国民を不幸に突き落とす安倍政権はいらない。

  • 所属 食政策センター・ビジョン21

(安田節子)

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