【IWJ・争点山盛り選挙日報22】「小選挙区で負けるようではだめだ」 危機が伝えられる小沢一郎氏に余裕の笑み! 〜12月9日の動きまとめ 2014.12.10

記事公開日:2014.12.10 テキスト
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特集 総選挙2014
投開票まで:残り5日

tweet結果から見る国民の選挙への関心度

 選挙戦も終盤にさしかかろうとしているが、やはりどうしても盛り上がりに欠けている。メディアの責任もさることながら、突然の大義なき解散で争点も見えにくく、かつ、反自民党の受け皿となる野党の不在が響いているようだ。Twitter上のデータからも垣間見える。

 毎日新聞と立命館大の「インターネットと政治」共同研究ではツイッターの利用者1万人を無作為に抽出し、衆院選が公示された2日につぶやいた5476人のツイートを分析した。ネット選挙が解禁されて初めての衆院選だが、政治や選挙に関連したツイートは少なく、選挙戦の熱気は感じられなかった。

 公示日に「衆院」「選挙」を含むツイートをした人は3.4%で、「寒い」の10.2%に遠く及ばなかった。政党名は自民党の1.4%が最多で、民主党0.9%、共産党0.6%、次世代の党0.5%、公明党0.4%などと続いた。各党幹部・候補者の第一声や主張に対する反応はほとんど見当たらない。

 政策関連では、安倍晋三首相が争点と位置づける「アベノミクス」が1.2%で、衆院解散の理由とされた「消費税」は0.8%。昨年の参院選で多くつぶやかれた「原発」も0.8%にとどまり、選挙戦の争点に対する関心も薄い。

※毎日新聞 12月9日

「自民党300議席」報道を受け、元総理大臣が警鐘

 投開票日とともに、もっとも選挙への関心が高まる公示日でさえ、この無関心さである。そのうえ「自民党が300議席獲得!」といった見出しを目にすれば、自分の1票に重みを感じることができず、ますます選挙への関心は薄まるだろう。

 民主党の菅直人元総理は、「自民党300議席」の報道を受け、この日のブログに「驚愕の予想」と題して、次のように綴った。

一部報道機関では自民党が単独で3分の2の議席を占めると驚愕の予想。もしそうなれば安倍総理に憲法改正の扉を開かせることになる。投票権のない子供が大人になったころに海外の戦争に駆り出される可能性が生まれる。

  そして自民党の議席をこれ以上増やすと、国会が大政翼賛会になり、機能しなくなる恐れが出てくる。各小選挙区で自民党議席を一つでも減らす投票を呼び掛けて欲しい。

※菅直人ブログ 12月9日

 一方で自民党からは「余裕」さえうかがえる。麻生太郎財務相の口が緩んでいるのも「余裕」のあらわれの一つではないか。

麻生「子どもを産まない方が問題だ」の火消しにあたる菅官房長官

 麻生氏は7日、社会保障費の増大について選挙演説中に、「子どもを産まない方が問題だ」などと発言。これがメディアでも「失言」として取り上げられ、翌8日には「子どもを産みたくても産めない、親が働いたときに保育をしてくれる所がないといった理由で、結果的に産まないことが問題なのであって、少子高齢化になって、高齢者が長生きするのが問題だと言われるのは話が違うと申し上げた」と釈明した。

 9日、菅義偉官房長官らも「火消し」に回った。

 麻生太郎副総理兼財務相は九日の閣議後の記者会見で、少子高齢化に伴う社会保障費増に絡み「子どもを産まないのが問題だ」とした発言に関し「誤解を招いた」と述べ、不適切な表現だったとの認識を示した。麻生氏の釈明を受け、菅義偉官房長官は「全く問題ない」と擁護したが、上川陽子法相は「閣僚はいかなる状況でも、理解してもらえる発言をすべきだ」と苦言を呈した。

 麻生氏は、保育施設などの不足で産みたくても産めないのが問題との趣旨だったと釈明し「きちんと説明するのを省いてしまった。時間をかけるべきだった」と述べた。

 菅氏は会見で「野党は発言の一部分だけを取って攻撃している。国民は麻生氏の説明を理解してくれる」と強調。甘利明経済再生担当相は「麻生氏は時々『てにをは』を間違ってしまう。産まないことではなく、産めないことが問題。思いは同じだ」と語った。

 塩崎恭久厚生労働相は「政府として少子化対策の重要性を言いたかったのではないか」と指摘した。(東京新聞 12月9日)

ロッキード依頼の危機感をにじませる小沢一郎氏

 余裕が垣間見える自民党とは対照的に、生活の党・小沢一郎代表は苦戦を強いられている。朝日はこの日、「小沢一郎氏、背水の陣 地元張り付き『ロッキード以来』」と題し、「小沢王国」の危機を報せた。

 6日、花巻市。約100人を前に小沢氏はビールケースに乗って訴えた。「久しぶり」。演説後は支持者と握手。これまでは選挙期間中ほぼ立ち寄らなかった地元に6、7両日は張り付き、計30カ所を回った。

 陣営幹部は「選挙区をこまめに回るのは(1983年の)ロッキード事件判決後の選挙以来じゃないか」と語る。

(中略)

 9日、北上市。自民前職の藤原崇氏(31)の応援に安倍首相が駆けつけた。「みなさんで変えていきましょう。若く元気な藤原を勝たせて下さい」。約600人を前に声を張り上げた。

 藤原氏は前回、3万票差で小沢氏に敗れ、比例で復活当選。北上市の事務所には業界団体や企業の推薦状が並ぶ。約2千枚届き、「前回から大幅に増えた」という。

 前回まで小沢氏だけに推薦状を出した運輸会社は、今回は両氏に送った。同社は「小沢氏には世話になってきたが、長期政権になりそうな自民を無視するわけにはいかない」と言う。陣営幹部は「風向きが変わってきた」と感じる。

 藤原氏はこの2年、週末に地元に戻り、「いつでも会える衆院議員」をアピールした。後援会は前回のゼロから16に増えた。(朝日新聞 12月9日)

小沢「小選挙区で負けるようではだめだ」 余裕をアピール

 小沢氏の本音はどうなのか。苦戦が伝えられている生活の党の行方は、自身の行方は、また、沖縄と違い、一向に連携できず、後手後手に回っている野党の行方を、どう考えているのか。IWJ代表・岩上安身が単独インタビューし、小沢氏の心境に迫った。

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小沢「なんとかして、自民党に対する受け皿を作ろうという動きは強まっていました。しかし、民主党が、『民主党のもとに一つになるのなら』という話でした。それが、今回、受け皿ができなかった大きな理由の一つだろうと思います。もう一つが、今回の解散に不意をつかれた、ということがあげられます。

 民主党が主導してもいいんですけど、民主党の中に入る、というのは難しいという人がたくさんいます。政権の交代がない選挙というのは、国民の関心を呼びにくいと思います。やはり、選挙というのは、政権の交代がないと。

 共産党が政権の枠組みに入るためには、基本的な理念、政策において、共産党が変わらなければいけないですよね。憲法を不磨の大典にするのではなく、もう少し柔軟にならなければ。

 共産党は、候補者を全選挙区に立ててしまっています。これでは、野党の足を引っ張っているので、自民党の補完勢力になってしまっています。しかし、柔軟な姿勢に転じれば、共産党を仲間に入れてもいい、ということにはなるかと思います」

(中略)

岩上「地元岩手は、かつては『小沢王国』と呼ばれましたが、今回、苦しいとも報じられています」

小沢「今日は、安倍さんが入っているようです。岩手は、2区を除き、民主党と生活の党で協力してやっていますから」

岩上「一時期より、お元気になられたように見えますが」

小沢「健康状態は、非常にいいんです(笑)。地元の皆さんが支持してくださる限り、しっかり頑張りたいと思います。

 政権交代をしやすいように、小選挙区制を一生懸命作りました。小選挙区制である限り、自民党が300議席を超えようが、そんなものは怖くありません。要は、野党がしっかりとした受け皿を作ることが大切です」

 小沢氏は、さらに「小選挙区で負けるようではだめだ」とし、笑みを浮かべながら選挙区での当選に自信を見せる。政治家人生で初めて比例重複立候補した理由は、自身の知名度を武器にし、生活の党へ比例票を集めるための戦術であると明かした。

 果たして小沢氏に、生活の党に、どういった結果が待ち受けているのか、目が離せない。

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  1. 業務連絡 より:

    小見出し4つ目
    ×ロッキード依頼 ⇒ ○ロッキード以来

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