【IWJ・争点山盛り選挙日報1】安倍総理が解散を表明! 大義なき解散、されど争点は山盛りの総選挙開始! 11月18日の動き まとめ 2014.11.19

記事公開日:2014.11.19 テキスト
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特集 総選挙2014

公示まで残り14日
投開票日まで残り26日

 安倍総理は11月18日、首相官邸で記者会見し、消費税10%への引き上げを1年半先送りし、21日に衆議院を解散する意向を表明した。衆院選は12月2日公示、14日投開票の日程となる。

 首相は消費増税先送りに伴って解散・総選挙を行う理由について、「税制こそ議会制民主主義と言っても良い。その税制において大きな変更を行う以上、国民に信を問うべきであると考えた」と述べた。

 消費増税法には、景気が想定以上に悪くなれば増税を先送りしたり、とりやめたりできる「景気条項」がある。首相はこの条項に基づいて先送りを決めたとし、「7~9月のGDP(国内総生産)速報によれば、個人消費は1年前に比べ2%以上減少した。来年10月から引き上げることは個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断した」と述べ、「再び延期することはない。そう断言する」と強調した。(朝日新聞 11月18日)

 なぜ今、解散するのか。安倍総理の突然の解散表明に多くの国民がそう思った。この疑問に対して、安倍総理の解散表明会見に出席した岩上安身は「総理のロジックには、そもそも、なぜ景気が腰折れしたのか、誰にその責任があるのか、という肝心なポイントがまるまる欠落しているのだ」と分析した。

 安倍総理自身、会見冒頭のスピーチで、GDPの2期連続のマイナス、最も重視するという、消費支出のマイナスに言及している。日本経済が危機的であることは、アベノミクスが成果をあげているという絶叫とは裏腹に、ご本人も認識しているわけである。

 だが、その経済危機を招いた原因は何か、誰に責任があるのかは、言及しないのである。記者クラブの記者たちも、その点に触れる質問をしようとしない。言うまでもなく、原因は消費税増税であり、その責任者は景気腰折れのリスクを顧みず、増税を断行した安倍総理自身にある。

 私が指されたら、質問しようと思っていたことは、「総理は、景気が良くなければ増税は行わないという景気条項が法案に書き込まれていたにも関わらず、ご自身の判断で増税を断行され、その結果、この大不況を招いた。その責任はどう考えているのか」というものだった。

 再増税の先送りを決断した、と胸を張る前に、なぜそうした決断をしなくてはならなくなったのかが、問われるべきである。この景気の腰折れを、あたかも自然災害のように言ってもらっては困る。これは人災である。その人災を引き起こしたのは安倍総理自身だ。その責任の自覚はあるのか。

 このタイミングの解散が有利、と見るのはやはり自民党だ。伊達忠一・自民党参院幹事長は安倍総理の記者会見後、記者団に国会内で次のように話したという。

(解散の大義は)十分っていうか分かりませんけどね、そら大義があるんじゃないですか。(勝敗ラインは)どれくらいになるか。(現有議席を)維持したいなと、こう思っているね。減るっていう人の意見も結構多いけど、僕はそう減らないと思う。というのは、今、北海道だって(野党候補は)半分も立っていないじゃない。(立)候補(予定者が)いないじゃないですか。だから、そんなに減るっていうことは、僕はあり得ないと思う。(朝日新聞 11月18日)

 突然の大義なき解散総選挙の決定に、さまざまな批判が相次いだ。「開き直り解散」と指摘したのは元外務官僚・孫崎享氏だ。

元外務省国際情報局長で東アジア共同体研究所の孫崎享(まごさきうける)所長は、ハフポスト日本版の取材に対し、今回の選挙は「開き直り選挙だ」と述べた。

孫崎氏は17日に発表されたGDP速報値について、BBCやブルームバーグ、ウォール・ストリート・ジャーナルなどが「リセッション(景気後退)」と一斉に報じていることをあげ「こんな時に選挙はありえない」と指摘する。孫崎氏は、それでも安倍氏が選挙をするのには理由があるとして、次の2点をあげた。

「1点目は“ごまかし”。これからますます日本はひどい状況になることを見越して、悪くなる前に選挙をしておこうとするもの。2点目は野党の状況が悪いというもの。選挙をすれば勝てると踏んだ」

孫崎氏は、国民は安倍政権の政策には反対だと思っても、他に選ぶ政党がない状況だとして、安倍首相が解散総選挙を実施すると分析する。

「16日に投開票された沖縄知事選をみても、民主党と公明党は棄権した(自主投票となった)。国民は原発や憲法に対して、自分の考えは持っている。しかし、どこに入れればいいのか。国民の声が反映されない、危機的状況だ。それを見透かしての解散。『開き直り解散』だ」。

 自民党が「自民優勢」を確信するタイミングで始まる突然の解散総選挙に、野党の反応はどうか。

 橋下徹大阪市長は、公明党が橋下氏の看板政策「大阪都構想」に非協力的であることを理由に、出馬をほのめかした。

 維新の党は18日、橋下徹共同代表(大阪市長)を支部長とする衆院大阪3区の選挙区支部の設立届を大阪府選挙管理委員会に提出した。橋下氏は「大阪都構想」をめぐり、公明党の協力が得られなければ、次期衆院選に公明党現職の対抗馬として出馬することを検討しており、3区選出の佐藤茂樹公明党府本部代表らは橋下氏の動きに戦々恐々としている。

 橋下氏は18日、市役所で記者団に対し、衆院選への対応について週内に態度を決める考えを重ねて強調した。市長としての努力には限界があるとの認識を示し、積み残している取り組みは「ない」と語った。

 橋下徹大阪市長が検討するなか、出馬をいち早く決めたのは袂を分かったこの人だ。

 次世代の党の石原慎太郎最高顧問(82)は18日、次期衆院選も引き続き比例東京ブロックから出馬する意向を表明した。 石原氏は記者団に「私は出ます」と述べた。 石原氏は当初、高齢などを理由に出馬に消極的だったが、党内からは、全国的に知名度の高い石原氏の出馬に期待する声があがっていた。石原氏は「(応援に)回ります。最後の責任を果たします」と語った。

 民主党の仙谷由人氏は出馬見送りを宣言。政界引退は保留した。

 民主党の仙谷由人(せんごくよしと)・元官房長官(68)は18日夜、徳島市内で記者会見し、「政権交代のためには若く将来性のある候補者にすべきだ」と述べ、次期衆院選に立候補しない考えを正式に表明した。一方、将来の選挙への立候補については「可能性はゼロではない」とも述べた。

仙谷氏は、県内の小選挙区が3から2に減ることから、旧3区の仁木博文・前衆院議員(48)との間で調整を進めていた。仙谷氏は「若い候補者が県連としてベターな選択」と語り、自身は仁木氏の選挙対策委員長を務める方針を示した。(朝日新聞 11月18日)

 事実上の選挙戦が始まり、各政党はこれから、大急ぎで候補者選びや選挙区調整に入る。IWJはこれらの動きを可能な限り、全力で報じる。

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