年の瀬にも関わらず、めまぐるしくニュースを提供してくれるのが安倍政権。普天間飛行場の辺野古移転承認、そして安倍総理の靖国参拝。
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安倍政権は、日本の未来にどのようなビジョンを描いているのでしょうか。
IWJとNO BORDERの「歴史的なジョイント番組」が成立。「イッシン山口&成瀬久美の何でも聞いちゃうぞ!安倍政権とアベノミクスのこの1年を総括する! 」にゲスト出演した岩上安身は、この1年を振り返りながら、安倍政権の目論みや、特定秘密保護法、日米軍事同盟、アメリカと中国の関係などについて解説しました。
秘密保護法について、岩上は、「法案の違憲性は明らかだが、さらに、日本が批准している国連の国際人権条約にも反している」と指摘し、ツワネ原則などを参照して、その根拠を説明。「国際条約に反する国内法は、一度、廃止しなくてはいけない」と述べました。
中国が11月に新たな「防空識別圏」を設定したことに端を発した、一連の騒動に関しては、「あの騒動は、この秘密保護法案の可決を急ぐために、中国脅威論を利用した」と分析。「特定秘密保護法は、国民を監視するためではなく、軍事体制を作るための法律だ」と主張しました。
米国の「統合エアシーバトル」では、YS61作戦見積報告書(ヤマサクラ合同演習)で「日本全土が、対中戦争の戦場となる」ことが想定されていると指摘。「中国が日本を攻撃する場合は、原発銀座の若狭湾を攻撃する。それを見越して、米軍は京都府京丹後市に、弾道ミサイル探知用のXバンドレーダーの設置を計画している」と述べ、「戦争するなら、原発持つな!」と、危機感を持って語りました。
他方、米中間が接近してきている現実を貿易額、留学生数などのデータから分析し、「中国パワーがアメリカを席巻しつつある」として、チャイメリカ(チャイナ+アメリカ結託体制)の実態を解説しました。
秘密保護法は、国際人権条約にも反していることが明らかになっています。
英エセックス大学人権センターの藤田早苗氏は、23日、愛知県で行なわれた「世界の流れに逆行する秘密保護法 12・23集会」で、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」として作成された、ツワネ原則を作った中心的人物と会った際、「秘密保護法案は、民主国家としては最低レベル。今世紀では考えられない。最低」と酷評されたことを紹介。
「日本国憲法98条2項では『日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする』とあり、日本では国際人権基準を国内で実施しなくてはいけない。つまり、人権条約に反する国内法は改定・廃止しなくてはいけない」と、国際条約は国内法より上位であることを強調しました。
藤田氏は「自民党の示す憲法改正案も、国際人権条約の観点から見ると時代錯誤で後退しまくっている。9条だけではなく、基本的人権を定めた憲法全体が危ない」と、秘密保護法や平和憲法のみならず、日本国民全体の人権が脅かされていることに、強く警鐘を鳴らしました。
安倍政権は年明けにも、前民主党政権がまとめた「2030年代原発ゼロ」を撤回し、「原発回帰」をにじませた「エネルギー基本計画」を閣議決定する見通しです。
首都圏反原発連合(反原連)は22日、年内最後となる大規模集会、抗議活動を行い、安倍政権の「原発回帰」に異議を唱え、脱原発を訴えました。参加者数は、主催者発表で約15000人。集会後、参加者らは国会を包囲し、官邸前、国会前に分かれて「原発いらない」「再稼働反対」とシュプレヒコールを上げました。
脱原発を訴える「FoE Japan」などの市民団体は、24日の政府交渉で、安倍政権が策定した「エネルギー基本計画」に対して質問をぶつけました。「民意を基本計画策定に反映する」と断言した、資源エネルギー庁の奥家敏和氏の回答に対し、福島県在住の佐々木慶子さんは、「原発事故の現場、現実を知らないのではないか。(閣議前の)閣僚会議も、結論ありきなのではないか」と怒りの声をあげました。
質疑を終えたFoEの満田夏花氏は、IWJの取材に応え、「公聴会も開かないし、パブコメは反映させるとは言っていたが、結局はアリバイ作りだということが見え見えだった。真剣になってパブコメを扱おうという姿勢が感じられなかった」とコメントしました。また、民意が反映されないまま、「原発回帰」へ向かう兆しをみせる安倍政権について、「3.11前に戻るのではないか」と警戒感を露わにしました。
沖縄県の仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)知事は27日、米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古の埋め立て申請を承認しました。その一方で、仲井眞知事は「県外移設が最も早いとの考えは変わらない」とも述べ、県外移設の公約変更ではないことを主張。しかし、矛盾に満ちた知事の判断に、県民からは失望と怒りの声が噴出しています。
仲井眞知事は、承認2日前の25日、安倍総理と総理官邸で会談。終了後、記者団に対し、「驚くべき立派な内容を提示していただいた」「いい正月になると実感した」などと語っていました。同日、官邸前では辺野古の埋め立て申請の不承認を求める抗議集会が開かれ、辺野古の埋め立てを阻止するべく、政府にも沖縄に圧力をかけないよう呼びかけました。
沖縄でも、同日25日に約1500人が県庁をヒューマンチェーンで囲み、抗議の声をあげました。統一連(安保廃棄・くらしと民主主義を守る沖縄県 統一行動連絡会議)の新垣繁信代表幹事は、「海も空も、県民のもの。戦争をしようとする日本政府とアメリカに渡してはいけない」と力強く訴えました。
知事が埋め立て申請を承認した27日にも、沖縄では大規模な抗議行動が行なわれ、前回を上回る約2000人の市民らが県庁を包囲。一部の参加者は、包囲行動の終了間際に県庁内へなだれ込み、1階のロビーは申請の不承認を求める県民で溢れかえりました。
抗議行動に参加した県民の一人は、「これは、埋め立てるか埋め立てないかだけの話ではない。戦後68年間、沖縄は新しい基地建設を容認したことはない。今回、沖縄が(自ら)『どうぞ』と言うことは、戦後、乗り越えなかった線を踏み越えてしまうということだ」と主張。何十年にもわたり、基地の新規受け入れを拒否して闘ってきた、県民らを裏切るような知事の決断に、悔しさをにじませました。
県庁内での記者会見を予定していた仲井眞知事は、ことに乗じてか会見場を知事公舎に変更。辺野古の埋め立て申請を正式に発表しました。
これを受けて、抗議行動に参加した県民からは、仲井眞知事の退陣を求める声があがり、「稀代の悪党に成り下がった知事に沖縄を任せることはできない」と怒りを露わにしました。沖縄県選出の国会議員である、照屋寛徳衆議院議員、玉城デニー衆議院議員、赤嶺政賢衆議院議員、糸数慶子参議院議員の4名の野党議員は、連名で仲井眞知事の即時辞任を要求する緊急声明を発表。「辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない」とする公約を堅持する稲嶺進名護市長を全面的に支援し、その勝利に向けて、全力を尽くしていく」と表明しています。
辺野古の埋め立て申請の承認について、仲井眞知事は沖縄県議会の与党議員にのみ説明し、野党議員の説明を求める申し出を拒否。野党議員らは、今後、知事に説明責任を求めていく姿勢をみせています。
クリスマス・イブ、クリスマス当日の2回にわたり、ユダヤ学・聖書学が専門の上村静氏に、岩上安身が行った6時間を超えるロングインタビューを配信しました。話題は、「聖書学」が明らかにした「史的イエス」の実像から、ユダヤ教徒とキリスト教の関係、黙示録やシオニズム、さらにはTPPや集団的自衛権行使容認といった今日的な話題まで、非常に多岐に渡りました。
上村氏は「聖書学」について、「史的イエス」と「信仰のキリスト」という対立軸を用いて説明。「信仰のキリスト」とは、「『史的イエス』がクリスチャンの信仰の光において理想化された姿」であるとし、聖書とは、この「信仰のキリスト」像をテキスト化したものだと解説しました。
「『史的イエス』は、『処女懐胎』で生まれたのではなく、イスラエル北部のナザレで普通に生まれました。兄弟姉妹もいたと言われています。『処女懐胎』という物語が生まれたのは、イエスが神から生まれたことの説明をしなければいけなかったからです」
インタビューの中で上村氏は、「ユダヤ教徒は独立した主権国家を作ることを放棄した民族でした。それは罪に対する罰という認識を持ち続けてきたからです。しかし、むしろそのことによって、民族として永らえることができたと言えます」と説明。
「日本は戦後、憲法9条で武力を放棄しました。これは主権を放棄したことであるとも言えます。マッチョなあり方をやめ、女性的な国になったとも言えます。これは、自己批判的・自己反省的な視点を持って国家を放棄したユダヤ教とよく似ています」
上村氏は、日本国憲法のもとでの平和主義のあり方と、ユダヤ教徒の伝統的なあり方との類似点を解説しました。
◆岩上安身のニュースのトリセツ
・【第119-122号】岩上安身のIWJ特報!旧日本軍による隠されたジェノサイドの真実~北海道大学名誉教授・井上勝生氏インタビュー 2013.12.29
◆ニュース STF 〜Saturday to Friday~ 12月21日(土)~27日(金)
◆What happened today?~12月21日(土)~12月27日(金)
(調査・執筆:阿部光平 文責:岩上安身)
<21日 土曜日>
・「秘密保護法は軍事体制を作るため」――イッシン山口&成瀬久美の何でも聞いちゃうぞ! ゲスト岩上安身
<22日 日曜日>
・安倍政権による原発回帰に15000人が“No”~年内トドメの大抗議!!! 1222 再稼働反対★国会大包囲
<23日 月曜日>
・「秘密保護法は民主国家として最低。今世紀では考えられない」と海外からも酷評――世界の流れに逆行する秘密保護法 12・23集会─講師 藤田早苗氏
<24日 火曜日>
・キリスト教の「神話」のベールを取り去り、「史的イエス」の実像に迫る――岩上安身による上村静氏インタビュー
・原発回帰の「エネルギー基本計画」、公聴会も省略して閣議決定へ!?――国民的議論の結果はどこへ?政府交渉
・豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事、知事不在で着々と進む築地移転
・京大の自治が死ぬ?総長選挙の教職員投票廃止か――総長選挙学内意向投票廃止阻止緊急集会
<25日 水曜日>
・「ワクチンとは関係ない。きっぱりと忘れなさい」医療機関の無理解と子宮頸がんワクチン被害者の悲痛な訴え
・「公害史上、画期的な判決」――大阪・泉南アスベスト国賠2陣訴訟 大阪高裁判決報告・記者会見
・知事は不承認を!政府は沖縄に圧力をかけるな!辺野古埋め立て阻止 12・25 官邸前行動
・抗議集会というより、応援集会――辺野古埋め立て申請不承認を求める県民行動「知事は政府に屈することなく不承認を!」
<26日 木曜日>
・議場に靴を投げ入れ逮捕されたAさんの解放を求める弁護士ら「威力業務妨害の構成要件に該当しない」
・安倍晋三〜みんなの願いは、退陣!退陣!首相官邸前大集会
<27日 金曜日>
・辺野古埋め立て承認に抗議する緊急アピール「県民は仲井眞知事の裏切りを許さない!」県庁包囲行動
・年内最後の官邸前抗議「原発ゼロ撤回するな」――再稼働反対!首相官邸前抗議
◆<IWJの視点>
・【IWJブログ】「副反応の原因は緊張」「ワクチンを打てば幸せな家庭生活が送れる」――子宮頸がんワクチン推進派医師らから次々と飛び出す衝撃的な発言(「IWJウィークリー」33号より) 2014.1.3
◆<好評連載>
・女子大生、内戦下のシリアに潜入す 最終回(鈴木美優)
◆<好評連載>
・山中恒・山中典子著『あたらしい戦争ってなんだろう?』第四章「イラクの石油問題の始まり」(IWJウィークリー33号より) 2015.2.17
◆<特別企画>
・【IWJブログ】北九州市漁協組合長射殺事件~交錯する漁業権と公共事業(「IWJウィークリー33号」より) 2013.12.25
◆IWJからのお知らせ
◆デスク後記/編集後記
(編集長:岩上安身・今週のデスク:佐々木隼也)
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