2012年4月19日(木)、東京都千代田区の村上正邦事務所で行われた、「第44回 日本の司法を正す会」の模様。
第44回日本の司法を正す会は、1999年4月山口県光市の新日鉄社宅アパートで起きた母子殺害事件について考える勉強会となった。
加害者が18歳になったばかりの少年だったこと、23歳の主婦だけでなく娘である生後11ヶ月の乳児まで殺害したこと、被害者の夫が実名でメディアに出て毅然と加害者に対する重罰を願ったことなどにより、大変注目された事件だった。しかし実はテレビや新聞では報道されていない事実関係も多く、また大きな社会的反響の一方で、弁護団も9000件ともいわれる懲戒請求を受けるなど、被告人とともに多くの批判にさらされてきた。
今年1月23日に最高裁小法廷において差し戻し上告審が結審した後、2月20日に検察側の求めを認め上告を棄却する判決が言い渡され死刑が確定したが、弁護団は再審請求をすることも考えているという。
弁護団の一人、岩井弁護士が、被告人の生い立ちや事件の概要、問題点や矛盾点、裁判の様子などを、裁判時の弁護士としての反省も交えながら詳しく解説。事件当時、被告人の是非善悪の判断レベルは4~5歳であったが拘置所の中で成長しているなど、事件後の様子も語られた。
また、このようにメディアで大きく取り上げられた事件を例にとり、人はなぜメディアの報道を鵜呑みにするのか、それにより先入観を持って事件を見てしまう危険性や、感情に大きく作用され量刑に影響がでる可能性などについて、司会の青木氏をはじめ会場からも意見が出され、熱心な勉強会となった。少年法や死刑制度に関する言及もあった。
なお、この事件後に少年法改正があり、裁判員制度が導入されるなど、司法の制度が大きく変わった。