「福島原発事故は、世界で初めて、大都市圏で放射能汚染を起した事故」 〜小野俊一先生講演会「フクシマの真実と内部被曝」 2013.7.21

記事公開日:2013.7.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 2013年7月21日(日)13時半より、名古屋市緑区の南生協病院COOP健診フィットネスセンターで、小野俊一氏講演会「フクシマの真実と内部被曝」が行われた。東京電力の社員から医師へと転身した小野俊一氏は、原発推進派の嘘や、福島第一原発事故の経緯、内部被曝の問題などについて語った。

■全編動画

  • 日時 2013年7月21日(日)13時30分~
  • 場所 南生協病院COOP健診フィットネスセンター(愛知県名古屋市)
  • 詳細  『フクシマの真実と内部被曝』
  • 主催 小野俊一先生講演会実行委員会 in 名古屋

 はじめに小野氏は、原発の仕組みについて、「湯を沸かし、その蒸気によってタービンを回している点で、火力発電と同じ単純な原理で動いている」と説明した。その上で、「使用される冷却水すべてが海水に依存しているため、日本の原発は海沿いにあり、津波に弱い」と述べた。また、シビアアクシデント対策も講じないまま、発電コストが安いとして原発を推進し続ける、原発推進派の嘘を指摘した。

 続いて、福島第一原発事故を圧力鍋での調理の失敗に例えながら、制御棒が炉心に挿入されたにもかかわらず、注水もできず、炉心が露出し、メルトスルーに至った経緯を解説した。また、使用済み燃料プールを持つ3号機の爆発によって発生した爆煙が、核爆弾の爆煙に酷似してることを示し、「この爆発によって、プルトニウムが大気中に散ってしまっている」と述べた。セシウムについては、「広島原爆と比較して、約168倍ものセシウムが飛散している」とし、「原子力緊急事態宣言は、今なお継続中であり、収束宣言は真っ赤な嘘である」と明言した。

 そして、「福島第一原発事故の原因には、配管破断や電源喪失、最終熱交換である海水機器の喪失など、複数の要因が絡まっている」と解説した。その上で、小野氏は「チェルノブイリと比較すると、日本は人口密度が高く、放射能放出量も多い。3年後からは隠しきれない被害が、次々に出てくるだろう。福島原発事故は、世界で初めて、大都市圏で放射能汚染を起した事故である」と述べた。

 後半では、内部被曝の影響について触れ、「内部被曝と核兵器による影響は密接に結びつく。その点でも、内部被曝の実態を知るために、広島や長崎の原爆体験から学ぶ必要がある」と述べ、戦後、多くの奇形児が生まれてくる現場を見てきた産婆さんの証言や、井伏鱒二の小説『黒い雨』などを紹介した。

 また、小野氏は「内部被曝の本当の恐ろしさは、細胞全体の壊死である」と語り、ウクライナでは、白血病や白内障、小児甲状腺がんの他にも、さまざまな症状を抱える人が増加傾向にあることを示した。

 さらに、浜岡原発について、取水塔、取水トンネルの崩壊を想定外としていること、炉心損傷を前提としているのに避難経路がないこと、使用済み燃料プールの問題を無視していることなど、多くの問題点を挙げ、「ふざけた再稼働安全対策である」と断じた。

 講演の最後に、小野氏は「原発の再稼働を絶対に許してはいけないし、絶対にあきらめないこと。味方を増やし、イナゴのように対抗しよう」と呼びかけた。

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