2012年4月7日(土)14時、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)において、「閖上復興・まちづくりこども会議」の第1回会議が開かれた。閖上は、東日本大震災の大津波によって、人的にも物的にも甚大な被害が発生した地区である。宮城県や名取市が復興計画を進めていく上で、地区の将来を担うことになる子供たちが、意見や主張、要望などを積極的に出し合う場を提供し、今後のまちづくりに関わってもらうことを目的としている。会議には地元の中学生・高校生や、ボランティア活動に取り組む若者ら約10名が参加した。また、サポート役の「成人」も複数参加した。
※途中、音声が切れております。申し訳ございません。
- 日時 2012年4月7日(土) 14:00〜
- 場所 閖上(宮城県名取市)
冒頭、この会議の世話人を務める「閖上復興・まちづくりを考える会」の成人女性が、「閖上に住む人たちの意見が置き去りにされて、新しいまちがつくられてしまうのではという不安を抱えている」と切り出した。続けて、「復興はすぐに進むのではなく、5年後、10年後にまちらしくなってくる。その時に、そこに住み始めた人達が自分たちの力でまちづくりを進めることになる。まちが出来上がるであろう10年後は、いま中学生や高校生の皆さんが、社会を背負うことになる」と述べた。その上で、「大事なのは、いま中学生や高校生の皆さんが、自分たちならこうする、こう考えるということを閖上のために発表してもらうことであり、それらを市に要望できる形にまとめていきたい」と、集まった子供たちに語りかけた。
会議は、当初、メンバーの大半が初顔合わせということもあってか、ぎこちない状態だった。そのため、進行役の若者が、「全員、タメ(=敬語なし)で気楽に話そう」と決め、以後は「タメ」で「ざっくばらん」に議論を進めた。その後、メンバーからは、「僕たちが想像したことや行動したことが、閖上の未来になっていくということ。本当は、閖上の人全員に『どんなまちにしたいか』と聞ければ良いのかもしれないが、まちの人たちは昔の閖上の良さを分かっているわけだから、『昔のように』という話になると思う。でも僕は昔にとらわれなくてもいいと思う」という意見が出た。また、「閖上では、日常生活の中で、みんな挨拶をよくしていた。知らない人がいなかったという感じ」という意見に対し、東京からヒッチハイクで参加した若者が「それ、本当にすごいと思う。今の日本のコミュニティで、無くなってしまったもの、例えば、都会では大人が子供を注意しなくなってしまった。地域がみんなで子供を育てるということがなくなってしまった。しかし閖上にはそれがあったということか」と感心した様子で話した。
議論は次第に活発になり、理想の地域像や、子供として何かできることはないかなど、様々な意見を出し合った。具体的なものでは、「子ども神輿を復活したい」との意見が出され、今後実施を検討していくこととなった。会議は予定の2時間をオーバーし3時間近くに及んだ。当初ぎこちなかったメンバー同士の会話や表情も終盤はすっかり打ち解けた様子で、参加した子どもや若者らは、今後も世話人らの助言を得ながら、閖上のまちづくりに積極的に関わっていくことを確認した。