居酒屋チェーンや介護事業を全国展開するワタミ株式会社の会長・渡辺美樹(わたなべみき)氏は、7月の参院選に自民党から立候補することを表明している。ワタミの元正社員だった森美菜さん(当時26歳)は、厚生労働省の過労死ライン(月80時間)を上回る月141時間の残業を強いられ、入社後わずか2ヶ月で精神疾患をわずらい、過労自殺に追い込まれた。
社員を自殺に追い込んだ企業の会長を自民党が参院選立候補として擁立することに対し、全国一般東京東部労組らはこの日、自民党本部前での抗議要請行動を実施した。抗議行動では自民党本部に向け、渡邊氏の参院選立候補に反対するシュプレヒコールが行われ、またワタミの労働状況に関しても「24時間死ぬまで働けとはどういうことだ」と怒りの声が上がった。
- 日時 2013年6月28日(金)
- 場所 自民党本部前(東京都千代田区)
- 主催 全国一般東京東部労組
シュプレヒコールの後、同労組の須田光照書記長が演説を行い、渡邊会長に対して遺族への謝罪を求め、参院選への立候補も、自民党が渡邊氏公認の撤回をすべきだと訴えた。演説終盤には、抗議参加者全員による、亡くなった森美菜さんへの1分間の黙祷が行われた。
この日は森美菜さんの両親・森豪氏と祐子氏も自民党を訪れ、渡邊美樹氏の立候補を取り下げるよう要請を行った。その後抗議に合流した豪氏は、「(自民党内で)国会議員が誰も会ってくれなかった」と語り、渡邉氏の参院選立候補に関して「故人と近い存在にある私たちが声をあげていかなければならない」と涙ぐみながら訴えた。
最後に須田氏と森豪氏、祐子氏を中心に、再度シュプレヒコールを行い、参加者全員が「自民党はワタミの後任を取り消せ」「ワタミは遺族に謝罪しろ」と自民党本部に向けて声を響かせた。
渡邉美樹氏は、27日にワタミ取締役の辞任を発表。新取締役社長の桑原氏は自社ホームページにて、渡辺氏が「新たな活動に挑戦することを踏まえ、取締役を辞任することとなりました」と述べている。