2013年3月5日(火)13時から、東京都文京区の東京大学東洋研究所で「学生団体ALL-UTによる安冨歩氏インタビュー」が行われた。安冨氏は「立場主義」に根ざした日本の戦後システムは、高度経済成長を支えたものの、現在は生産現場へのコンピューターの浸透を背景に、すでに効力を失っていると力説した。その上で「今や、まともなのは子どもだけ」と明言し、「立場主義の影響を受けていない子どもが、新たな可能性を切り拓く」とした。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2013年3月5日(火)13時から、東京都文京区の東京大学東洋研究所で「学生団体ALL-UTによる安冨歩氏インタビュー」が行われた。安冨氏は「立場主義」に根ざした日本の戦後システムは、高度経済成長を支えたものの、現在は生産現場へのコンピューターの浸透を背景に、すでに効力を失っていると力説した。その上で「今や、まともなのは子どもだけ」と明言し、「立場主義の影響を受けていない子どもが、新たな可能性を切り拓く」とした。
■ハイライト
「ALL-UT」という名称の、人的交流をサポートする東大生団体に所属する末松氏(教養学部文科I類)と森氏(同)の2人が、東大教授の安冨氏へのインタビュアーとして登場した。末松氏は「いろいろと情報を発信している安冨先生に話を聞きたいと思った」と語り、『原発問題と東大話法』(明石書店)など、これまでに読破した安冨氏の著書のタイトルを挙げた。
安冨氏は「読んでくれてありがとう」と感謝し、「『原発問題と東大話法』は東大の購買部でけっこう売れた。そこで、東大話法をテーマに大学院での授業を組んだのだが、出席者は1人だった」と話した。そして、「東大の中で、あんなに本が売れたのに、不思議だと思わないか」と、逆にインタビュアーに質問をぶつけた。末松氏が「学生たちには、傍観者的な立場にいたい、という気持ちがあったのではないか」と答えると、安冨氏は「東大の人たちは(著者に)直に来られると、うっとうしいと感じるのか」と苦笑した。
その後、安冨氏が独自に主張する「立場制度論」についての話となった。「明治政府が誕生して、家制度の解体が始まる。その後の社会は個人中心になるはずだが、私の実感としては違う」という安冨氏の発言に、末松氏が「表面では個人中心を叫びながらも、実質は個人中心ではない」と言葉を継ぐと、安冨氏は「家が個人ではなく、立場に分割されたのだ」と続けた。
(…会員ページにつづく)