コミュニティ通貨フォーラム2013「今ここにある未来」 2013.2.12

記事公開日:2013.2.12 テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/澤邉)

 2013年2月12日(火)14時から、愛知県名古屋市の愛知県産業労働センター・ウインクあいちで「コミュニティ通貨フォーラム2013『今ここにある未来』」が行われた。通貨についての考え方、地域経済と地域貨幣のあり方、「おむすび通貨」による地域通貨の実情が報告された。

※フォーラム途中で映像が終了しております。何卒ご了承ください。

■冒頭~第1部 基調講演(43分55秒~)第2部 「地域経済と地域通貨について」

■第3部 「おむすび通貨の実践と課題と展望」

■第4部 パネルディスカッション

  • 基調講演 内山節氏
    パネラープレゼンテーション 池野雅道氏(あいのう流通センター会長)、高木麻里氏(円頓寺商店街振興組合理事長)、伊勢戸由紀氏(にんじんCLUB代表)、関谷健氏(関谷醸造代表取締役社長)
  • おむすび通貨の実践報告 吉田大氏(おむすび通貨事務局長)
  • パネルディスカッション 進行・丸山真人氏
  • 日時 2013年2月12日(火) 14:00〜
  • 場所 愛知県産業労働センターウインクあいち(愛知県名古屋市)

 内山氏は基調講演で、「これからの人間の生き方について考えると、できるだけ外部に振り回されない、つまり自分たちの足元で循環できる社会を作っていかないと、山間地域が生き延びていくのは大変であると思う。そういう中でお金をどうするのかは、1つの課題でもある。例えば村で捨てていた木でペレットを作って、村の暖房を賄う。そうすると、使っているお金は同じだが、村外に流れるのではなく、村の人たちに落ちるお金に変わる。そういうことを心がけながら地域のお金のあり方を考えていかないといけない」と指摘した。

 そしてお金の役割に関して、「もともとは物と交換するための道具に過ぎなかったお金が、いつの間にか道具ではなくて、お金を増やすことが目的になり、お金が1つの権力のように、逆に私たちを支配するようになってきている」と語り、お金を権力として扱うのでなく、人々が結び合っていくための道具として取り戻すことが、これからの社会には必要との認識を示した。

 丸山氏は、貨幣に関して、「貨幣はもともと交換手段で、物々交換の不便を解決するために考案された手段である。しかし、貨幣は現在、欲しいものを買うだけでなく、将来の生活に必要な資金として貯蓄されるようになった。この貯蓄が地域通貨を考えるときに非常に大事なポイントで、お金を貯めこんで使わないことが、必要な通貨が回らない状況を生んでいる」と現状の問題を示した。

 そして、地域通貨の最大の意義について、「地域通貨は地域の資源を原資にしている。おむすび通貨は現地で作られる玄米が原資である。バーチャルな貨幣とは違って、実物の根拠を持った貨幣は、現金にとって変わることはできないが、貨幣の流れを変えていくことは可能である。日本銀行が発行する貨幣の流れ方は、どちらかというと利子を生むチャンスが多いところへ流れていく。東京や名古屋などお金が貯まるところがある一方で、小さな町や村からはお金が出て行ってしまう。貨幣は循環しているが、地域の中では必ずしもうまく循環していないので、地域通貨をうまく使って、地域の中に止める役割を果たせる」と、その可能性に言及した。

 吉田氏は、おむすび通貨の実践報告の中で、「われわれは、価格という概念を使う市場経済での価値観によって、人間的な価値観を狂わされている。こうした思考習慣は、コミュニティ、文化、地域の仕事を壊してきているのではないかと思う」と現在の貨幣経済の問題を指摘した。

 その上で、「おむすび通貨のよい点は、会話が弾む、縁が広がることである。というのも、おむすび通貨の実態はお米だから、それを使った売買は物々交換であり、それは価値観の共有ができないと成り立たない。価値観が共有できれば、人は結び合うことができるし、逆に価値観を共有できない損得の関係性の中では、人と人は結び合うことができないと思う。おむすび通貨を使うことで、売買するお互いが価値観を共有できるから、会話が生まれて人と人が結び合えると思う」と語り、地域通貨によりコミュニティが活性化している現状を報告した。

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