2012年10月1日(月)、東京都千代田区の金融庁(中央合同庁舎第7号館)で、中塚一宏新金融担当大臣就任会見が行われた。大臣は今後の金融庁の取り組みについて、抱負を語った。質疑では、「金融円滑化法案」の期限が切れた後の、中小企業への対応などについて、質問があがった。
(IWJテキストスタッフ・八木)
2012年10月1日(月)、東京都千代田区の金融庁(中央合同庁舎第7号館)で、中塚一宏新金融担当大臣就任会見が行われた。大臣は今後の金融庁の取り組みについて、抱負を語った。質疑では、「金融円滑化法案」の期限が切れた後の、中小企業への対応などについて、質問があがった。
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冒頭、中塚大臣より挨拶があった。就任に当たり、野田総理からいくつかの指示があったと述べた。以下大臣より述べられた指示。
金融庁関連の項目として、金融機能の安定確保とともに、地域金融に向けた円滑化の取り組み。金融資本市場の機能強化の推進。
1.国際金融情勢を注視し、関係大臣と連携して迅速な対応をする。
2.東日本大震災の被災者などが抱える、いわゆる二重ローンに対する支援措置が、円滑に講じられるよう関係大臣と協力して対応を行う。
3.国際会計基準(IFRS)の導入に関し、国際的な動向を踏まえつつ、産業界や、中小企業の動向にも配慮して、我が国の方針を総合的に検討をする。
4.AIJ投資顧問会社による重大な法令違反を踏まえ、再発防止策を講じるなど金融商品に対する信頼確保に努める。
5.「新しい公共」を実現するため、公共への政府の関わり方、政府と国民の関係のあり方を大胆に見直し、「新しい公共」の基盤を支える。
その他、金融庁関連以外の項目として、
6.厚生労働大臣及び文部科学大臣と連携をしつつ、子ども・子育て関連三法に基づく新制度の、円滑な施工に向けて取り組み、子供を安心して生み育てられる社会づくりを進める。
7.男女共同参画社会や、ワークライフバランスを、さらに推進するための方策を検討し、逐次実行に移す。
以上、総理からの指示として語った。また、大臣は、総合的な子育てをするための、行政組織の在り方に関する事務、近年高い水準で推移する、自殺者数抑制のための自殺者対策の事務、共生社会政策、青少年健全育成など担当することを述べた。
続いて、金融政策についての抱負を語った。「金融庁に課せられた3つの任務として、金融システムの安定、利用者の保護、利用者利便の向上、公正透明で活力ある市場の確立、これをしっかりと果たすべく、担当大臣として万全を喫したい」と述べた。日本の金融について、「(世界的に見て)相対として健全であり、安全している」との認識を示したうえで、欧州債務危機の日本への影響について、今後も注視するとした。
後半質疑応答において、まず、先月、日本郵政グループのゆうちょ銀行、かんぽ生命保険により認可申請がなされた、住宅ローンなどの新規業務参入の審査にあたって、大臣はどのような点を注視するのかという質問があがった。それに対して、「郵政民営化法上の認可を金融庁と総務省で行う。(金融2社は)銀行法、保険業法に基づく銀行であり、保険会社である」と述べ、一定の時間をかけてしっかりと審査をしなければならないという見解を示した。
中小企業の借入金の返済猶予を与える、「中小企業金融円滑化法」の期限切れに対して、大臣は「この法律の再々延長は無い」と断言。この法律の有無を問わず、「金融機関には、借り手(中小企業)の立場に立って、親身になって(貸付の)条件変更に応じていただくことを期待している」と述べ、「実際にそのように金融機関には行動していただいていると思っている」と語った。この法律の施工によって、貸付条件変更の取り組みは定着しているという考えを示し、「今後さらなる定着を図るために努力したい」と述べた。
続いて、円滑化法の期限切れによる、不良債権の発生の懸念につき、中小企業、地域金融機関への対策についての質問があがった。それに対して、「条件変更の対応を促したい」と述べたうえで、「重要なことは、(円滑化法の)期限が切れて、その時に、中小企業の倒産件数が増えるようなことがあってはならない」と強調。「その為の出口戦略であり、企業再生支援機構や、中小企業再生支援協議会との金融機関の連携を通じ、中小企業の再生を図っていきたい」と述べ、今後も中小企業に対する支援を継続したい考えを示した。
金融庁で、2012年までに強制適用の可否、及び強制適用の時期を定めるとしている、国際会計基準(IFRS)の導入時期についての質問では、「他国での議論や制度の仕組み方などを、しっかり注視をしていかなければならない」と語り、「そういった意味からも、いつ結論を出すということについては今の段階では申し上げることは難しい」と述べた。導入時期については明言を避ける形となった。