今秋の臨時国会の見送りが濃厚になってきています。
臨時国会は、「臨時に必要があるとき、内閣が召集を決定する」とされていますが、開くことが常識化しており、今回の見送りは「異例」となります。
政府は、今回の臨時国会見送りを、安倍総理の外遊日程を優先するため、と弁明していますが、野党からは「逃げ腰」と批判されています。
安保法案の採決不当な「強奪」や、TPPが「大筋合意に達した」と称する一連の空騒ぎ、安全性に多々の疑問を残しながら利用拡大がどんどん決められていくマイナンバーなど、今期の通常国会は議論し尽くされなかった問題ばかりでした。
それなのに臨時国会を開かない、というのは、「決めたモン勝ち」と言わんばかりで政府与党が、議論をこれ以上続けたくないがために「逃げた」のだと見られても、しかたありません。
この政府与党の「逃げ腰」に、待ったをかけるべく、10月10日、民主党の枝野幹事長が「憲法53条を使う」との考えを述べました。
憲法53条には、臨時国会を開くための「緊急手段」が定められていて、「どちらかの議院の総議員の四分の一以上から要求があったときには、内閣はその召集を決定しなければならない」とされています。
現在の衆議院の総議員数475の4分の1にあたる119人の賛同を獲得するためには、民主党の72人、共産党の21人に、生活の党の2人、社民党の2人が加わっても、あと22人が必要で、40人を抱える、維新の党が鍵を握っていました。
そしてついに、10月21日、民主、維新、生活、共産、社民の5党が、衆参両院の議長に対し、臨時国会の召集を要求しました。衆議院において、野党5党は、125人のリストを衆議院議長に提出しました。目標を6人も上回ったのです。また、参議院では、維新を除く野党4党と、無所属クラブが、84人のリストを提出しました。
こうして、憲法53条にある「緊急手段」を使って、野党は臨時国会の召集を求めることに成功しました。しかし、憲法には、「要求から何日で臨時国会を召集しなければならない」という規定がありません。
要求書を受け取ったあとも、自民・公明の幹事長らは、「安倍首相の外交日程が立て込んでいる」ことを理由に、臨時国会を開かない意向を改めて確認しました。
10月7日に発足した改造内閣の新閣僚たちの、「下着ドロ」や「体罰自慢」、「ヤクザとのつながり」などを報じられた政府は、なんとしても野党の追及を避けるため、臨時国会の召集を避けようとするかもしれません。
きちんと法的な手続きを踏んだ野党の要求を、公然と無視する政府与党のやり方は、とうてい許されるものではありません。ここで逃げたら、国民の非難がさらに高まることを、政府は覚悟すべきでしょう。
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