高性能ALPSの実証試験進捗を発表、さらなる実証試験や改良を続ける考え~東電定例記者会見 2014.11.13

記事公開日:2014.11.13取材地: テキスト動画
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 2014年11月13日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。高性能ALPSの性能検証試験進捗を発表し、設備全体の性能は必要量が得られていることから問題ないと報告。しかし、個々の吸着塔(フィルタ)の動作にばらつきがあることから、運用上の観点も鑑み、さらに実証試験や改良を続ける考えを示した。

■全編動画

  • 日時 2014年11月13日(木) 17:30~
  • 場所 東京電力(東京都千代田区)

高性能ALPS実証試験進捗、設備全体の性能は出ている

 東京電力は、11月13日14時から経済産業省庁舎内で行われた第14回汚染水処理対策委員会にて、高性能多核種除去設備(高性能ALPS)の性能検証試験結果を公表した。設備全体では所定の除去性能を得られているが、個々の吸着塔の吸着の能力に大きなばらつきが生じており、装置の使用効率や運用上の観点、廃棄物の削減といった観点からも、さらに実験や改良を続けていく考えを示している。

 高性能ALPSは東京電力と日立GENE、東芝が共同で開発している。メーカー側で海水等を使用した”ラボ試験”が2月末から、福島第一原子力発電所構内で3月から適宜行っている。また、福島第一原子力発電所構内では、RO濃縮塩水を用いた1/10スケールの”検証試験”を8月20日から、実機を用いた総合的な性能評価を行う”実証試験”を10月18日から行っている。

 吸着塔は、中に収めている吸着剤がフィルタとして働き、核種を吸着、濾し取るしくみ。使用し続けると吸着能力が徐々に劣化し、最終的には廃棄物となる。

 ラボ試験で所定の吸着性能が得られたため、1/10スケールの検証試験を行った。その結果、ラボ試験で確認した吸着剤の劣化に比べ、検証試験ではより早い時間で劣化した。想定より寿命が短く、廃棄物の発生量が多くなることが懸念される。そのため、要因分析、課題解決の対策を続ける必要があると東電は判断している。

 さらに、検証試験、実証試験の結果を分析したところ、多段に連なる吸着塔の内、一番最初の吸着塔の吸着剤について、二番目以降の吸着剤より多くの核種を吸着すること、性能劣化の早いことが判明した。多段に連なる吸着塔の個々の性能ばらつきが大きいということだが、吸着剤そのものは同一のものだ。

 同一の吸着剤だが、位置によって性能劣化速度が異なることから、利用効率にばらつきがでてしまう。それは吸着剤の交換間隔がばらつくことになり、運用上煩雑になる。こうしたことから東電は、要因分析、原因対策を続けていく予定だ。
 ALPSは世界に例のない新規開発品、試作、実験を行い性能や課題を抽出、解決していくものであるため、連続運転に入れば、さらに未知の課題が出てくることが予想される。事前の対策等を施すこともできないため、不安感を増長させざるをえない。

2号機海水配管トレンチの凍結止水工事進捗、間詰め剤効果を確認中

 2号機海水配管トレンチの水抜き、埋め立てのため、凍結止水や間詰め剤充填工事が行われている。充填工事は先週終了し、現在その効果を確認しているところだという。

 2号機タービン建屋地下と、配管トレンチの間に、凍結止水工事で構築しつつある氷の壁と、補助する間詰め剤の壁がある。東電としては、この壁の左右で水の行き来の有無を確認したいところ。そこで、タービン建屋地下の溜り水移送量を変え、水位を変える。これについて、壁の反対側の水位がどのように変化するのかを見ることで調べている。

 11月6日に間詰め剤の充填が終了し、その後の水位の変化は以下のように、壁の両方で同様に上昇している。
          11月11日7時     11月13日7時
タービン建屋    O.P.+ 2879 mm   O.P.+ 3004 mm
トレンチ立坑    O.P.+ 2900 mm   O.P.+ 3007 mm

 地下水の流入があり、水位が上昇している可能性もあると東電は説明。この結果だけからはまだ判定できないとし、11月13日15時から、タービン建屋側の水位を下げるよう、建屋地下の水移送を行っている。まだ結果は出ていない。

 このプロジェクトは、トレンチ内部の溜っている汚染水を取り去ることが目的であり、止水壁を作ることは手段の一つだ。止水壁が完全でなくとも、トレンチ内に特殊なセメントなどを徐々に入れ、埋め立てながら徐々に水を抜き出すことも想定している。現在の止水壁の状況をみると、そうなる可能性が高いと思われる。何のための凍結管工事、氷・ドライアイス投入だったのか、と言わざるを得ないだろう。

1、2号機ウェルポイントでマンガン54過去最高値を検出

 タービン建屋東側、1、2号機ウェルポイントのくみ上げ地下水を分析した結果、マンガン54と全βが過去最高値となった。ウェルポイントの所は、サンプリングの工事をしており、くむ量を一桁減らしている。それの影響ではないかと東電は推測している。

        11月10日採水   10月3日採水
マンガン54       54       5.0
全β         2,100,000      230,000
セシウム134      110       920
セシウム137      250      3,000
                   (Bq/L)
■■■■■■

以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年11月13日

2014年11月12日

2014年11月11日

プレスリリース

2014年11月12日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2014年11月12日

写真・動画集

2014年11月12日

福島第一原子力発電所 データ集

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