タンクエリア作業中に鋼材が落下、作業員3名が大けが、1名は重傷か~東電定例会見 2014.11.10

記事公開日:2014.11.10取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

 2014年11月10日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。タンクエリア上部で作業中に鋼材が落下し、隣接するタンクの地上部で別の作業をしていた作業員に当たり大けがを負った。過去にも同様の事故が発生しており、東電の安全対策が問われる。

■全編動画

  • 日時 2014年11月10日(月) 17:30~
  • 場所 東京電力(東京都千代田区)

作業員負傷、J2タンクエリア作業中に鋼材が落下

 11月7日、J2タンクエリアにて、タンク屋根上部に設置する鋼材の位置決め作業中に誤って鋼材が落下。落下して跳ね上がり、当該タンクの隣のタンク地上部で仮設堰設置作業中だった作業員に当たり、3名が負傷した。1名は意識不明となり福島県立医科大学病院へ、他の2名はいわき市立総合磐城共立病院へ救急搬送された。診断書がまだ出ていないため、詳細はまだわからないという。

 タンク屋根上部に設置しようとしていた鋼材は、「旋回はしご」と呼んでおり、100mm×100mm、厚さ10mmのL字鋼。タンクの直径16mについて半周状になったものだ。重量は約390kgだという。クレーンで吊上げ、設置する受け部に載せて位置決めをする時、固定具を緩めたらレール抑え金具を押し倒す形で滑落したということだ。落下時、当該タンクに隣接するタンクの地上部で、仮設堰の設置作業に6名が携わっていた。落下した鋼材がはね、3名に当たり大怪我となった。

 上部での作業時は、落下する範囲内となる下部では作業しないのが基本ではないだろうか。

 東京電力は、「上部レール作業と、下部堰作業は10mは離れており、上下の位置関係ではなかった」「落下した鋼材が思いのほか跳ねて転がった」という見解を示している。9月20日にもタンクエリアで同様の落下事故があり、1名が骨折しているが、「今回とはもの自体が違うが安全の意味で確認、今後の対策として盛り込んでいく必要がある」として、「どの程度離せばいいのか、今後の課題」と答えている。

2号機海水配管トレンチ凍結止水、間詰め剤の充填工事が終了

 2号機海水配管トレンチの凍結止水工事について、止水する凍結壁を補強するための間詰め剤充填工事が終了したことが発表された。東電は、止水の効果を11月中旬頃までかけて確認し、結果を規制委員会に報告したのちにトレンチの水抜き、埋め立てを行う予定。

 2号機海水配管トレンチは、2号機復水器で使用した海水を放水する地下配管。地下の配管トレンチ部分の海側部分は埋まっており、海との行き来はない。しかし、地下の部分に汚染水が溜っている。さらに建屋地下とは汚染水の行き来があり、水抜きができない状態だった。そこで、建屋地下とのつなぎ目部分に止水壁(氷の壁)を作り、水の流れを止めて水抜きを行おうとしている。しかし、上手く止水壁(氷の壁)が生成できないため、間詰め剤(水中でも固まる特殊なセメント)で止水壁を補強している。

 2号機海水配管トレンチと、2号機建屋とは二2ヶ所でつながっており、”立坑A”、”開削ダクト”と呼んでいる。間詰め剤の充填は、立坑Aは11月2日に、開削ダクトは11月6日に重点工事を終了した。今後、壁が上手くできているかどうか、止水ができているかどうかの確認を行う予定だ。

 どのように壁の確認を行うのだろうか。カメラ撮影などで直接観測することができない。そこで東電は、建屋地下側の水位を変え、壁の反対側となるトレンチ側の水位が変化するかどうかによって確認することを考えている。福島第一原子力発電所のそれぞれ建屋の地下には、地下水など汚染水が流れ込み続けて滞留水となっている。地下滞留水を建屋間で移送し、水位を調整、地下水の流れ込みや汚染水の流れ出しをなるべく抑えるように制御している。そこで、2号機建屋地下滞留水から他の建屋へ移送する量を増やし、地下水位を下げる。止水壁の反対側、トレンチ部分の水位が下がるか否かを確認するというのだ。もし、トレンチの水位が変わらなければ止水壁は上手くできているが、下がれば止水壁はまだできていないということになる。建屋地下水位を上げた場合の変化でも確認できる。このようにして、東電は止水壁を確認しようとしている。

 止水壁が上手くできているかどうかはまだわからない。上手くできていない場合はどうするのか。さらに、地下配管トレンチそのものも、ひび割れなどが生じて地下水が流入している可能性もあるが、これも一切わかっていない。

 ここで行っている”凍結止水工事”の目的は、海水配管トレンチの水抜きである。つまり、凍結壁で止水できているかどうかではなく、海水配管トレンチから汚染水を抜き取り、埋めることが大事だ。そこで、止水壁が完璧ではなくともトレンチに特殊なセメントを流しこみ、少しずつ汚染水を抜き取りながら埋め立てることも東電は考えている。

 2号機の結果をもって、3号機の海水配管トレンチの止水壁生成、水抜きも行われる。2号機の成果があるので、より短時間に完了するものと期待されている。海水配管トレンチは、建屋海側の凍土遮水壁と交差している。凍土壁の凍結を開始する来年2015年1月ごろまでには海水配管トレンチ止水、水抜きの完了目途をつけなければいけないという、締切の決まったプロジェクトだ。

■■■■■■
以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年11月10日

2014年11月9日

2014年11月8日

2014年11月7日

プレスリリース

2014年11月10日

2014年11月7日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2014年11月10日

2014年11月8日

2014年11月7日

写真・動画集

福島第一原子力発電所 データ集

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

■お買い求めはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です