2014年10月16日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。東電は、ALPSだけでなく複数種の汚染水浄化設備を多重的に用い、できるだけ早期に汚染水を浄化、リスク低減する対策を発表した。
2014年10月16日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。東電は、ALPSだけでなく複数種の汚染水浄化設備を多重的に用い、できるだけ早期に汚染水を浄化、リスク低減する対策を発表した。
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東電は、汚染水浄化設備について設置変更認可補正申請を、10月16日の午後に規制庁に提出した。
RO濃縮水からストロンチウム(Sr)を除去する「RO濃縮水処理設備」は、ROの濃縮水をいったん受けタンクに入れ、フィルタと吸着塔ユニットを通し、Srとセシウム(Cs)を除去。その後、タンクへ貯留する。処理能力は一日あたり500から900トン。Srを1/100から1/1000まで除去する目標で、12月中旬からの稼働を目指している。
さらに、高温焼却炉建屋(HTI建屋)に溜まっている汚染水を、焼却工作建屋に設置しているセシウム吸着装置(KURION)にてCsを除去し、再度HTI建屋に戻す配管を追加設置する。HTI建屋内に溜まっている汚染水が漏えいした場合のリスクを低減できると東電は考えている。
従前の設備を加え、汚染水処理設備は7種になる。すなわち、ALPS(多核種除去設備)、増設ALPS、高性能ALPS、モバイルSr除去設備、KURION、SARRY、RO濃縮水処理設備。このうちセシウム吸着装置であるKURIONとSARRYは、Srも除去できるような改造を施している。
いくつもの汚染水対策により、発電所内に貯蔵保管されているRO濃縮水という汚染水からSrを除去し、その後にALPSで他の核種も除去するという。東電は、「ALPSがメインでこれが予備」というようなわけではなく、「多重的な汚染水対策」により、汚染水を「できるだけ早く前倒し」して浄化、リスクを下げることも重要だと説明した。
Srはβ核種であり、タンクに貯留した場合、タンクから生じる制動X線が問題となっている。それを抑えることで、作業員の被曝リスクを下げられるという意味合いからも、Sr除去の効果は大きいという。
年度内まであと半年を切った今の段階で、ALPS(多核種除去設備)は、Sr除去処理した後からさらに処理し、放射能濃度を下げるためのものであると東電は主張。
これまでALPS、増設ALPS、高性能ALPSが完成し、設計通りの処理量を処理することで、今あるRO処理水を年度内に全量処理するという目標を達成できる汚染水処理計画だった。ここにきて、東電はできるだけ早く前倒しするため、「年度内にどのような形で全ての水を処理していくのか、ということは、昨年来ずっと検討を進めていた」と、Srを除去する設備も当時から検討してきたということを発表した。
「もともと年度内にALPSだけを使ってタンクに溜っている汚染水から62核種を除去するのが目標ではなかったか」という記者質問に対しては、「どうすればできるのかということも含めて、いろいろ検討してきた結果が、今に至っている」「今後、状況が見えてくれば、(数字を)明確に答えられると思っている」という歯切れの悪い回答しか返ってこない。
汚染水の処理能力を増やし、浄化が前倒しできるのであれば良いことだろう。しかし、歯切れの悪い回答には疑問が残る。
2号機海側の海水配管トレンチの凍結止水は、凍結が想定ほどには進まず、間詰剤(セメントの一種)で壁を作り、止水することになった。その作業が10月16日から始まった。
まず、開削ダクトA側から開始し、10月20日ごろまで行い、その後、立坑Aのダクト側の作業を今月いっぱいぐらいまでかけて作業する。11月上旬ぐらいまでに立坑Aまでの作業が終わる状況だという。
地下水観測孔No.1-6において、セシウム134(Cs-134)の過去最高値を検出した。10月15日採水し、分析した結果、CS-134は64,000 Bq/L だった。これも過去に漏れ出たものが雨で流れ、観測孔で検知したと、東電は考えている。
1号機建屋カバーの撤去工事について、地元から了承が得られ、10月20日(月)から作業準備に入り、10月22日(水)から実際の工事に着手することが報告された。10月15日(火)に発表されていたもの。東京本店での記者会見がない日だが、たまたまこの日に了承が得られ、発表になったという。
工事区が凍土遮水壁工事区と重なるため、解体したパネルは12月初旬までにいったん戻し、今年度末すなわち2015年3月から解体工事を再開する予定だ。
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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示
2014年10月16日
2014年10月15日
2014年10月16日
2014年10月15日
2014年10月16日