福島第一、建屋へ雨水が流入した問題で新たな流入対策はしない方針~東電定例記者会見 2014.10.9

記事公開日:2014.10.9取材地: テキスト動画
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 2014年10月9日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。10月6日の台風18号に伴う降雨の影響で、福島第一原発3号炉建屋などの漏えい検知機が作動した問題で、東電は新たな雨水流入対策は行なわない方針であることが明らかになった。

■全編動画

  • 日時 2014年10月9日(木)17:30~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

建屋への雨水流入対策よりも、流出・漏えい防止策の方が重要

 10月6日、台風18号に伴う降雨の影響で、福島第一原発3号炉建屋などの漏えい検知機が作動した。過去に動作していないことや降雨量から考えて、建屋の設備の老朽化や劣化の恐れも懸念される。

 流入防止対策について、「その後の評価、対策は取っているのか」と記者が質問。東電は「雨水の流入はないほうがよいが、外に漏らさないことが一番大事だ」「新しい建物を造ってるわけではないので、そこまで、具体的にどうするということは考えていない」と答えた。

 3号原子炉建屋などへの、台風18号の降雨による流入に対する新たな評価、対策はしないということが明白になった。

配管トレンチの凍結止水

 2号機海水配管トレンチの凍結止水工法が当初の想定のように進展していないことから、コンクリート等の一種で隙間を詰めることを考えている。原子力規制委員会の監視評価検討会で、事前にモックアップ試験を行う、確実性を検証することが議論されている。

 10月3日に開催された原子力規制委員会の監視検討会の議論で、事前のモックアップ試験の結果を踏まえて、次のステップである実際の施工段階に進めるよう「当社としては受け取っている」と東電は説明。ただし、監視評価検討会では”明確な文書の指示”はなく、議論の中でそういう話があったと東電は認識しているという。

H4エリア地下水観測孔で全βが急上昇、過去の漏えいが原因と判断

 H4タンクエリア付近の地下水観測孔E-9の全βが、10月8日採水分で14000Bq/Lと、10月3日採水分の670Bq/Lから大幅に上昇、過去最高値を記録した。東電は、台風18号に伴う降雨が原因で、過去に漏えいし、土中に残っている全β核種が観測孔に流れ込んできたと考えている。

 「これに対する対策をどう考えているか?」と記者が質問すると、東電は「正直言って対策は取りようがない」と回答。

 東電は観測態勢を継続、強化すること、フェイシングやアパタイトバリアなどの対策を積み重ねていくことなどを考えているが、タンクから漏えいし、土中にしみ込んだものに対して、直接働きかける対策は「ダイレクトに何かできると言ったら、できないことになる」と判断している。

東電が測定していない中性子線被曝を防衛省は測定していた

 8月6日に発表された「未確認、未解明事項の調査・検討結果~第2回進捗報告」の中で、中性子線が3月13日の午前や、14日深夜などに補足されたことについての理由などが発表されている。しかし、当時の作業中、作業員の中性子線被曝量は測っていないと、これまで東電は回答している。

 ところが、防衛省が上空から温度測定をしていた際、地上から3000フィートで60μSvが1名、45μSvが2名、10μSvが4名など、中性子線被曝をしていることが公表されている

。  「2011年3月4月当時に、1Fで働いておられた作業員の方々の中性子被曝は、どのように評価・管理をしているのか?」との記者の質問に対し、東電は「今は分からない。確認します」と答えた。

JV会場に記者が不在、三元中継を行う理由があるのか?

 2014年7月より、木曜日の東電定例会見は、Jヴィレッジで会見者が発表し、福島会場と東京本店会場とを東電のTV会議システムで結び、三元中継する方法で行われている。これまでの会見では、本店以外の会場は記者からの質問が少なく、会見方法の改善を求める記者からの意見が度々発せられていた。

 本日9日の会見では、Jビレッジに会場に記者がおらず、福島会場からは質問がなかったことから、東京会場の記者が「なぜ、記者が誰もいないところにのみ、東電広報の会見をするのか」と質問。東電広報は「現地からの情報発信のためと前から言ってる」と返答した。

 現地・現場からの情報発信であれば、廃炉推進カンパニーの増田尚宏CDOや専門家、現場の作業に携わる作業員のインタビューなども行うべきと他の記者も要望。エリアキーパーを造ったのだから、どう動いているのか、何か情報発信をしてくれないとだめだと意見した。

 「JVでやったら良いなんて誰も思っていない。その点どう考えているのか?」と記者がつめよるも、東電広報は、「こちらの責任者が、現場の状況を伝えられるように、そういった場は機会をとらえて設けていきたいと思っている。意見をもらったが、今後の会見のことも考えていきたい」と回答するにとどまった。

メールでの通知、規制庁記者控室で説明したから公表したと説明

 9月30日に作業員の感電事故が発生し、救急搬送されて現在入院治療を続けている。原因や対策、状況などについて記者が質問するが、東電は「原因対策が全部突き詰めてできていない。引き続き、検討を続けている」「私は主治医ではないから分からない。何時まで入院かは私は分からない」という回答を繰り返している。

 この事故は9月30日火曜日に発生したが、直後の10月2日木曜日の会見では言及がなかった。しかし東電は、「一斉メールで通知」「福島の会見では説明」「規制庁記者控室で説明」「メールを送っていると言うことは質問はもちろん受ける」と述べ、あくまでも自分たちは「公表した」という認識を示した

。 ■■■■■■ 以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年10月9日

2014年10月8日

2014年10月7日

プレスリリース

2014年10月9日

2014年10月8日

2014年10月7日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2014年10月8日

お知らせ 2014年

2014年10月7日

福島第一原子力発電所 データ集

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