ドクターヘリで緊急搬送の協力企業作業者、入院へ ~東電定例会見 2014.9.8

記事公開日:2014.9.8取材地: テキスト動画
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 2014年9月8日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。福島第一原発協力企業の60代男性作業者がドクターヘリで磐城共立病院へ緊急搬送され、1~2週間の入院加療をすることがわかった。発電所の作業とは関係ないと東電は判断し、病名などはプライバシーを理由に公表されない。

■全編動画

  • 日時 2014年9月8日(月) 17:30〜
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

凍土遮水壁の実施計画補正申請

 凍土壁に関して、実施計画変更の補正申請を行ったことが分かった。この申請は、東京電力が原子力規制庁と行った対面審議で、指摘された内容を反映したものである。主な変更点は、ボーリング時に発生する水の管理、施工時の放射線被曝管理、緊急時の避難についてであり、記載を追加したという。

 また、凍土壁の実施計画申請に関して、山側部分についてのみ申請しており、海側部分についてはまだ申請していないことがわかった。海側部分は、凍結止水に苦労している”海水配管トレンチ”があり、それが凍結する目途がたつまで進めないと思われる。

3号機SFP、落下した大型がれき(操作卓)の撤去はまだ目途立たず

 3号機SFP(使用済み燃料プール)から、震災で落下した天井クレーンを撤去する一連の作業中、8月29日に天井クレーンの操作卓部分(重要約750kg)がプール水中に滑落した。プール水の分析結果やプラントパラメータなどに有意な変動がないことから、SFP中にある燃料の破損はないと東電は見ている。正確には、「燃料破損の兆候は確認されていない」だ。

 今後、操作卓の落下した原因の調査、落下防止策を実施し、落下している操作卓を引き上げなければならない。その後に天井クレーン撤去作業という本来の作業が進められる。

 しかし現時点で原因の解明や対策等については、まだ進んでおらず、対策が決まった後にスケジュールも決まるという。今回の滑落事故が廃炉工程に及ぼす影響は、東電もまだはっきりと判定できない状況だ。

滴下漏洩したG4エリアタンク連結弁は、まだそのまま

 RO濃縮水を貯留しているG4南タンクエリアにて、タンク内の水位を減らすため、9月4日にその時点で使用していないタンクに、タンクからRO濃縮水を移送し始めた。ところが、タンク間の連結弁から滴下漏洩が発生した。

 移送先のタンクからRO濃縮水を元のタンクへ戻し、弁部分の調査を行ったところ、”ひび割れ”がみつかった。そこで、パテでひび割れ箇所の補修を行ったという。弁を閉じたことで滴下漏洩は停止していること、無理に移送する必要がないことなどから、パテ補修のみにとどまっている。

 今後タンク全体の取り扱い、運用方法などを決める時に、当該弁もどのように修理するか決めると東電は考えているが、スケジュールは未だ決まっていない。

60代男性作業者がドクターヘリによる緊急搬送

 9月6日の午前、福島第一原発協力企業の60代男性作業者が、喉の痛み、体調不良を訴え、発電所内のER室(救急医療室)に入室。医師は緊急搬送が必要と診断し、男性は、いわき市立総合磐城共立病院へドクターヘリで搬送されたことがわかった。共立病院の医師の診断により、1~2週間の入院加療となった。

 東電は、作業者の元請け企業から病名を聞き取り、福島第一原子力発電所の作業とは関係ないと判断したが、病名や症状はプライバシーを理由に一切公表しない考え。

 この発表に対して複数の記者から、作業と関係ないと判断するのは東電ではない、判断した根拠は何か、誰が判断したのか、等々を問う質疑があがったが、東電は”プライバシー”と”東電の判断”を盾に、一切の情報を公表しなかった。東電の判断は信じられない、判断基準の根拠が知りたいと複数の記者が抗議を行い、会見終了後のぶら下がりでも強い口調の質疑が続いた。

 病名すら発表しない体制について 労働安全衛生法などに抵触ではないかと記者が質問したが、東電は「労基には連絡がいっているはず」と答えるのみ。今年2月19日に東電広報部から発表された「トラブル等の通報基準・公表方法」という基準で定められた運用に合っていないことから、その理由や、2月の指針を決めた責任者は誰かという質問が続いた。

 福島第一原発構内ER室の診断では、喉の痛みを訴えた作業者に対し、内診とエコー検査を行ったと、東電は説明する。エコー検査で救急搬送されるのは、尋常ではない。いったい何が起きたのかを知りたいところだ。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2014年9月8日

2014年9月7日

2014年9月6日

2014年9月5日

プレスリリース

2014年9月8日

2014年9月5日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2014年9月8日

写真・動画集

2014年9月7日

小渕優子経済産業大臣の福島第一原子力発電所ご視察

福島第一原子力発電所 データ集

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