福島第一原発は「やりがいのある職場環境」なのか――作業者アンケートの実施~東京電力「中長期ロードマップの進捗報告(8月分)」 2014.8.28

記事公開日:2014.8.28取材地: テキスト動画
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 2014年8月28日18時から、東京電力で「中長期ロードマップの進捗状況に関する記者会見」が開かれた。汚染水対策である増設・高性能ALPS、海水配管トレンチの凍結止水、サブドレン浄化設備といった対策の進捗、作業者アンケートの実施といったトピックスを発表した。

■全編動画

  • 日時 2014年8月28日(木)18:00~
  • 場所 東京電力本店(東京都千代田区)

4号機SFP燃料取り出し9月4日再開

 福島第一原発4号機SFP(使用済燃料プール)からの燃料取り出し作業は、天井クレーンの年次点検などのため、7月1日から中断している。点検が終わり、9月4日頃から再開することが発表された。4号機SFPには、新燃料204体や、変形燃料1体を含む345体がまだ残っており、東電は年内の取り出し完了を目指している。

漁業関係者さんのご理解を得られてから

 サブドレン等からくみあげた地下水を浄化し、港湾へ排水することを計画している。浄化装置の性能確認試験として、浄化する前後の水質を分析した結果が発表された。

 これまで東電が社内分析した結果は公表されていたが、本日第三者機関による分析結果が発表された。両者に差はなく、セシウム134,137、全βすべてND(検出限界以下)だった。

 今後、現在行われている水質の詳細分析結果を待ち、関係漁連等に説明して了承が得られた後、サブドレンくみ上げ水を浄化後に排水。その後に海洋流出を防ぐ海側遮水壁をふさぐことになる。具体的な日程はまだ決まってない。海洋排水について増田尚宏CDOは、「漁業関係者さんのご理解を得られてから」と強調している。

地下水バイパスの効果が出てない

 建屋に流れ込む地下水を事前にくみ上げ、そのまま海へ排水する地下水バイパスは、地下水位を下げ、汚染水となる建屋への地下水流入量を減らすことを期待している。

 前回7月31日の中長期ロードマップの進捗記者会見では、地下水バイパスの効果は「今からあと1~2ヶ月で見えるとみている」と答えていたが、現在でも明確な効果がまだ確認できない状態だ。

 地下水バイパスによる地下水位の低下を調査するための観測孔A、B、Cを設けており、全ての観測孔の地下水位において、平均して20cm程度以上の地下水の低下が認められることから、効果が出ていると東電は判断している。

 漁業者にとって、海への排水を了承する事は苦渋の決断だ。苦渋の決断の結果、実施している地下水バイパスの効果がまだ確認できない中で、次の段階のサブドレンの説明をしている状況をどう考えているのかと、記者が質問。増田尚宏CDOは、「信頼を失わないよう、しっかりと信頼を得ながら皆様に認められればと」と思いを述べた。

労働環境アンケートを実施

 今年度初めての労働環境アンケートを行うことと、アンケートの設問内容が公表された。9月19日までに回収して取りまとめ、11月下旬の中長期ロードマップ進捗の説明時に報告する見込みだという。

 今年のアンケートでは、福島第一原発の職場が「やりがいのある職場環境」なのか、不安はないのかといった点を問う設問を増やしたのが特徴。自信をもって長期間働いてほしいからだと東電は説明した。

 しかし、中抜き等の問題が多い多重下請けについては、「東京電力は何次下請けなのかを把握することが重要だと思っていない」「すぐには改善できないが」「東電として求めていること、東電が何を望んでるのか伝えるため、現場の意見も聞きたい」といった考えを発言している。

1号機カバー撤去工事開始はまだ

 1号機カバーの解体撤去が計画されている。ダストの飛散防止、対策のため、周辺自治体へ説明することなどがこれまでの会見で発表されている。

 周辺自治体13市町村へは一度は全体に説明したが、要望等があり、それらをまとめてもう一度説明し、その後、作業の準備にとりかかる予定だという。

 市町村の理解は簡単ではなさそうだが、すべての市町村の「ご理解がないのに強行することはない」と増田尚宏CDOは説明した。

トレンチの凍結止水

 2号機海水配管トレンチの汚染水抜き・ドライアップに向け、建屋からの汚染水流入を阻止するための”凍結止水”工事を行っているが、進展は思わしくない。

 「(事前検討時の)カロリー計算では、凍ると思ったんだけど」と増田尚宏CDOは弁明。計算上は凍ると思っていたが、実際は水の流れがあり、難航している状況だ。計算上は凍るので、詰め物をして水の流れを止めれば、「上手くいくといいが」と漏らしている。

 しかし、この工事は止水が目的であり、凍結は手段にすぎない。増田尚宏CDOも「凍らせることにこだわっているように見えるかもしれないが、凍らない場合も検討している。凍らなければ他の手も」と答えている。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

「中長期ロードマップの進捗状況」に関する会見開催(8月28日)のご案内について

中長期ロードマップの進捗状況

2014年8月28日(廃炉・汚染水対策チーム会合 第9回事務局会議)

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