2014年7月10日17時30分から、東京電力で廃炉推進カンパニーによる会見が開かれた。カンパニー発足から100日が経過したことから、この間の取り組みや、凍結遮水、台風対策等の質疑が続いた。
2014年7月10日17時30分から、東京電力で廃炉推進カンパニーによる会見が開かれた。カンパニー発足から100日が経過したことから、この間の取り組みや、凍結遮水、台風対策等の質疑が続いた。
記事目次
■全編動画
廃炉推進カンパニーが4月1日に発足して100日が経過することから、東京電力Jヴィレッジ内「アルパインローズ」から、福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデント増田尚宏(ますだ なおひろ)氏と、福島復興本社代表石崎芳行(いしざき よしゆき)氏による記者会見が行われた。この間のカンパニーの取り組みや、凍結遮水、台風対策等の質疑が続いた。
廃炉作業の課題に柔軟に対応するため、プロジェクト体制を発足させてマネジメントを管理することは既に発表されている。プロジェクトは機械担当、電気担当といった部課を横断し、対象となる課題の解決に取り組むことで、縦割りの弊害を取り除くことが期待されている。また、課題の発生や解消に応じて、プロジェクトの新規立ち上げや解消も随時行い、柔軟に対応するという。
現在の課題については、汚染水対策、燃料取出し、インフラ整備など15のプロジェクトを発足している。この中の重み付けは、行程の問題もあるが”汚染水対策関係”が一番だと増田尚宏氏は考えている。
しかし、「業務に携わっている人間から見ると、自分の所のプライオリティが一番高いと思ってやってもらわないと困るから、そこはしっかりやってもらいます」と自身の考えを述べている。
廃炉推進カンパニーは増田尚宏CDO(廃炉・汚染水対策最高責任者)の元、社内から登用した3名と、社外から招へいした3名の合計6名のVP (Vice President)が運営する。
社外からは、東芝、日立、三菱といった原子力産業のメーカーから登用しており、例えば、汚染水対策は日立から、プール燃料取出しは東芝から、廃棄物処理は三菱から登用したVPといった担当区分を決めて、総括的に管理をしているという。それぞれ出身メーカーの得意分野に応じた担当となっている。
2、3号機原子炉建屋の海側にある、海水配管トレンチの”凍結止水”が、凍結開始後2か月を経過するも想定通りに凍っていない。このことから、凍土式遮水壁もうまく凍らないのではないかと懸念されている。
増田CDOは、凍土式遮水壁とトレンチの凍結止水とは凍らせ方が異なるので、凍土壁が凍らないという風には結び付かないという認識だ。
トレンチを凍結させるため、いろいろ工夫する必要があり、今からしっかり取り組んでいくという。冷却能力を増すなどして急激に凍らせると何が起こるかわからないため、現状のままゆっくりと凍結を進めていくという。
2015年1月終わりぐらいには凍結後の水抜きも終わらせ、凍土式遮水壁の工事に影響がないようするというスケジュール感を述べ、「なんとか頑張って行きたいと思います」と語った。
労働環境改善として、新しい事務棟の第一期工事が完了し、仮設休憩所の運用開始、給食センターの着工といった設備面の改善が図られている。
さらに、協力企業と随意契約を結ぶことにより、長期に渡る計画的な要員配置や、人材育成を行えるよう改善を図っている。また、被曝線量を低減させるため、高線量作業と低線量作業を組み合わせるなど、工夫を凝らていることが発表された。
6年後の2020年7月に東京五輪の開催を控えている中で、東京五輪の開催に向けて資材人材が東京に一極集中する懸念もある。このような状況の中、人材資材の確保が可能なのかと記者が質問した。
増田CDOは、「五輪の仕事は短期間で終わる仕事が多いと思う。福島第一では、長期的に安定して働けることを示していきたい。そのためにも、労働環境の改善をさらに図る」と意欲を見せた。
浪江町が集団で申立をしたADR和解案について、東電は6月25日に一部受諾回答をした。(リリース文)
石崎復興本社代表は、「拒否という風に一部報じられているところは承知している」と述べ、なぜ一部受諾なのかについて説明した。
「和解の仲介案は尊重するというのが大方針」だが、今回は1万5千人が一律に増額を申し立てているという。東電はこの点について、「そもそものADRの個別の事情に応じた和解の仲介案とはなりえない」という認識を持っており、一部受諾という判断をしたということだ。
原子力規制委員会から、福島第一原発の地震や津波対策の課題を改めてきちんととらえるよう指示が出ている。
現在の福島第一について増田CDOは、「3月11日並みの津波についても、十分耐えられるように、今、対策ができているとお考えいただいていいと思います」と主張。
3月11日の東日本大震災より大きい地震津波に対しては、「規制庁も含めて安全対策を今後考えていく必要がある」との考えを示したが、「そこについてはこれからということになる」と回答した。
東電は復興本社と廃炉カンパニーが「車の両輪だ」と設立の時も発言していた。3か月が経ち、どうなのかと記者が尋ねた。
石崎復興本社代表は、「しっかり廃炉を成し遂げ、ご迷惑をおかけした特に福島県浜通りの地域を復興させることが、私どもの大きな目標だ」と述べ、その為の復興本社と廃炉カンパニーの位置づけは、「地域の復興の加速化に最大限努力をする」ことだと認識してるという。
「福島復興本社と福島第一廃炉推進カンパニー、両輪となってしっかりとこの地元のために尽くしていきたい」と、石崎氏はこう意気込みを語った。
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2014年7月10日
2014年7月9日
2014年7月8日
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