理化学研究所の記者クラブ限定会見の開催に対する、抗議ならびに改善の要請文 2014.4.14

記事公開日:2014.4.14 テキスト
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(岩上安身)

抗議ならびに改善の要請文

理化学研究所
理事長 野依 良治 様

同研究所
発生・再生科学総合研究センター
プロジェクトリーダー
丹羽 仁史 様

 我々IWJは、2014年4月7日(月)14時より、貴研究所が行った記者会見について、開催についての情報を広くメディアに知らせることなく、参加メディアを限定した形で行ったことに強く抗議します。

 貴研究所では、2014年4月4日金曜日の昼頃に、4月7日月曜日に丹羽仁史氏によるSTAP細胞の真偽を検証する実験プロジェクトについて説明する会見を予定し、そのプレスリリースと、参加申込に必要な事前登録の案内を、記者クラブのみに送り、記者クラブに属していないそのほかのメディアには知らせることなく、同日のうちに申し込みを締め切りました。

 我々IWJは、4月4日金曜日の深夜に日本経済新聞による報道からその予定を知り、4月7日月曜日の朝に会見の参加について問い合わせましたが、すでに申し込みを締め切ったとの回答を受けました。

 上記のような形で、取材メディアを限定し、記者クラブ以外のメディアを排除する形で会見が行われたことについて、我々IWJは全く承服できません。理化学研究所、また、丹羽仁史氏に対して、抗議の意を表明します。

 またさらに、今回、限られた記者クラブだけにプレスリリースと参加申込に必要な事前登録の案内を送った理由について、貴研究所広報室へ問い合わせたところ、広報担当者からは「科学的・専門的なブリーフィングであるため、内容をご理解いただけるかという観点で絞った」という回答でした。

 科学的・専門的な内容であるために、記者クラブ以外のメディアには理解できないだろうというのは、記者クラブ以外のメディアを軽んじ、愚弄した発言です。また、たとえ、内容を理解できないと考えたからといって、参加を拒む理由にはならず、全く意味の通らない回答です。

 STAP細胞のテーマは、今、国際的に注目を集めている大変重要な問題です。多くの人が注目する重要な問題については、その情報を発信する際には必ずオープンにし、できるだけ多くの人にその情報が届くよう配慮が必要です。そもそも、今回の論文の不正や不備はインターネットユーザーが発見し、議論を積み重ねてきたことに端を発します。インターネットによるオープンな情報の公開に背を向けることで、どうやって信頼を取り戻せるのでしょうか。

 オープンにする姿勢を見せることは、信頼を得る「王道」であり、それを避けることは、情報の発信者である理化学研究所、及び丹羽仁史氏に対する信頼を失わせてしまいます。

 インターネットには、当然ながら国境もありません。世界中からアクセスできるインターネットメディアによるオープンな報道がなされるかどうかということは、編集・加工されていない一次情報を知りたい国内外の社会にとって、大きな意味を持つことを忘れないでください。

 この抗議文に対する早急な回答を求めるとともに、今後閉鎖的な会見が行われることのないよう、改善を要求いたします。

株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル(IWJ)
代表 岩上安身

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