日刊IWJガイド・非会員版「ゼレンスキー氏の最側近、イェルマーク大統領府長官、NABUの捜査を受けて辞任! ゼレンスキー政権の中核が崩壊!!」2025.12.1号~No.4665


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~<ウクライナ紛争の転換点(その5)>米国とロシアの協議は難航!? ここに来て、ゼレンスキー氏の最側近、イェルマーク大統領府長官・ウクライナ交渉団団長が、汚職問題の捜査を受けて辞任! ゼレンスキー政権の中核が崩壊! プーチン大統領は、「ウクライナ軍が占領地域から撤退すれば、戦闘は停止するでしょう。撤退しなければ、軍事力で達成するだけです。以上」!「最後のウクライナ人が死ぬまで戦闘を続けるべきだと主張する人々もいます」が、「我々はこれに備えています」!

■今日から12月です! 11月は1日から27日までで、月間目標額の51%に相当する、34件、176万6140円のご寄付・カンパをいただいています。月間目標額に49%、173万3860円届いていません! 真実を伝えていく活動を続けていくために、有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援によって、どうぞ皆様、お支えください! よろしくお願いいたします!

■【中継番組表】

■11月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、「『トランプは、完全に信頼を失っている。西側のロシアに対する信頼は最低限の状態で、1990年代以前よりもはるかに低い水準にある』!『欧州は米国に、「自分達を利用して、ロシアと戦ってほしい」とさえ思っている』! 岩上安身による京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士インタビュー(中編)」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! IWJサポート会員になれば、IWJサイトでバックナンバーをすべて読めます! ぜひサポート会員にご登録を!!

■<IWJ取材報告>高市早苗総理の「存立危機事態」発言について、孫崎享氏が、「日本は1972年の『日中共同声明』を破った」と指摘!「周恩来は、東アジア、中国の安定のために、日本に対する賠償の権利を放棄した。それと対(つい)になっているのが、『台湾は中国の一部だ』ということを日本が理解し、尊重すること」!!~11.25 国際情報と外交、そしてスパイの物語―講演:東アジア共同体研究所理事・所長 孫崎 享氏
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■はじめに~<ウクライナ紛争の転換点(その5)>米国とロシアの協議は難航!? ここに来て、ゼレンスキー氏の最側近、イェルマーク大統領府長官・ウクライナ交渉団団長が、汚職問題の捜査を受けて辞任! ゼレンスキー政権の中核が崩壊! プーチン大統領は、「ウクライナ軍が占領地域から撤退すれば、戦闘は停止するでしょう。撤退しなければ、軍事力で達成するだけです。以上」!「最後のウクライナ人が死ぬまで戦闘を続けるべきだと主張する人々もいます」が、「我々はこれに備えています」!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 『日刊IWJガイド』で連日お伝えしているように、ウクライナ紛争は、大きな転換点を迎えています。

 米国がウクライナに提示した28項目の「和平案」は、ウクライナと欧州が反発し、欧州による代案が提案されました。米国とウクライナは、「欧州案」を踏まえて、新たに19項目の「和平案」で、概ね合意(領土問題など合意が困難な問題は、トランプ大統領とゼレンスキー氏の会談まで持ち越す)しました。

 次は、ロシア側との交渉ですが、ダン・ドリスコル米陸軍長官が、11月24日、25日と、UAEのアブダビで、19項目の「和平案」について、ロシア側と協議を続けており、トランプ大統領がウィトコフ特使にモスクワ訪問を指示したというところまでで、その後の続報が出てきません。つまり、米国とロシアとの協議は、難航していると推測されます。

 ここに来て、ゼレンスキー氏の最側近、「影の大統領」ともいわれるアンドリー・イェルマーク大統領府長官が、辞任しました。

 11月28日付ウクライナのオンラインメディア『ストラーナ』や、29日付『ウクリンスカ・プラウダ』は、国家汚職対策局(NABU)が、イェルマーク大統領府長官の自宅を家宅捜索したと報じました。

 同『ストラーナ』は、この汚職問題に関しての家宅捜索は、ダン・ドリスコル米陸軍長官のキエフ訪問直前に開始された、と指摘しています。イェルマーク氏は、ウクライナ代表団の代表を務めており、11月29日にはウィトコフ特使らと交渉するために、米国に向けて出発する予定でした。

 イェルマーク長官は、11月27日、米国のオンライン誌『アトランティック』による独占インタビューで、ゼレンスキー氏が大統領である限り、ウクライナは領土的譲歩をしないと、厳粛に宣言したばかりでした。

イェルマーク長官「ゼレンスキー大統領が、大統領である限り、誰も我々が領土を放棄するとは期待すべきではない。彼は、領土を放棄する署名をしないだろう」

※Ukraine Says It Won’t Give Up Land to Russia(The Atlantic、2025年11月27日)
https://www.theatlantic.com/national-security/2025/11/ukraine-zelensky-russia-trump-peace-land-red-line/685090/

 『ストラーナ』によれば、ウクライナ政界では、NABUの背後にいるワシントンが、領土問題をはじめ、強硬な姿勢のイェルマーク氏に圧力をかけることで、ゼレンスキー氏に対し、和平案に関する立場を調整する時期が来ているとのサインを送っているのだ、と囁かれています。

 同時に、ウクライナ国内でも「反ゼレンスキー連合」が、ゼレンスキー氏から実権を奪い、議会の多数派と政権の支配力を失わせるために、イェルマーク長官解任に動いていると、『ストラーナ』は指摘しています。

 イェルマーク氏への容疑は、イェルマーク氏が、NABUと特別汚職対策検察庁(SAP)の捜査に対して違法な圧力をかけたことがあげられます。大規模汚職事件の中心人物である企業家ティムール・ミンディッチ氏への捜査の際に、NABUが押収した音声記録「ミンディッチテープ」の中に登場する「アリババ」と名づけられた人物が、イェルマーク氏であったことなども、容疑事実として浮上している可能性も取り沙汰されていますが、まだ詳細な事実は公開されていません。

※Черная пятница Ермака. Что значат обыски у главы Офиса президента и связаны ли они с мирным планом Трампа(イェルマークのブラックフライデー:大統領府長官の捜索は何を意味するのか、そしてそれはトランプ大統領の和平計画と関係があるのか?、CTPAHA.UA、2025年11月28日)
https://strana.news/news/495692-o-chem-hovorjat-obyski-nabu-u-ermaka.html

※Several phones and laptops seized during searches at residence of former head of President’s Office(UKRINSKA PRAVDA、2025年11月29日)

 家宅捜索が行われた28日、ゼレンスキー氏は、イェルマーク長官が辞任したと発表しました。ウクライナ大統領府のサイトに、ゼレンスキー氏の声明が掲載されています。

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 関連記事は、以下でお読みください。

※<ウクライナ紛争の転換点(その1)>
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251124#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55245#idx-5

※<ウクライナ紛争の転換点(その2)>
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251125#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55251#idx-4

※<ウクライナ紛争の転換点(その3)>
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251126#idx-4
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55253#idx-4

※<ウクライナ紛争の転換点(その4)>
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20251127#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55255#idx-5

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 12月こそは、有料会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、どうぞ皆様、よろしくお願いいたします!

 第16期がスタートして以降、ご寄付・カンパによるご支援は、月間目標額350万円に対し、8月は16%、9月は14%、10月は33%にとどまりました。ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます。しかし、これで11月を含めて4ヶ月連続、目標未達です。財政的には、とても厳しい状況が続いています。真実を伝えていく活動の困難を、痛感しています!

 IWJを2010年にスタートさせてからのこの15年間、あるいはそれ以前から、私、岩上安身は、機会があるごとに米国の従属国の地位に甘んじることの危険性に対し、絶えず警鐘を鳴らしてきました。

 第104代の内閣総理大臣に、高市早苗氏が就任しました。

 総理となる前の、自民党の総裁選の段階から、中国との戦争の話を絶えず繰り返し、「米軍が中国軍の矢面に立つのではなく、まず日本が正面に立つ」などということまで、テレビの地上波で発言してきた高市早苗氏が総理となり、さっそく中国との関係を悪化させてしまいました。いよいよ日本が「代理戦争」の捨て駒となる懸念が、今、まさに現実化しつつあるのを痛感しています。

 また、外交・安全保障分野で、まったく政治家としてのキャリアを積んでいない高市氏が、トランプ大統領との初会談で、報道陣の前で腕を組んだり、はしゃいだり、米国に頼りきった媚びる態度に終始したこと、反対に中国に対しては、挑発的な姿勢で、中台関係に介入する姿勢を見せたことに、強い懸念を覚えます。

 あまりの突出ぶりに、トランプ大統領が高市総理にフライングをいさめたとも伝えられております。対中関係は現実に急速に悪化し始め、外交的に収拾する見通しが見られません。

 東西冷戦の終わりによって、世界大戦の危機、とりわけ核戦争の危機は遠ざかったと安堵して、約35年が経ちますが、現在、冷戦後で最も戦争の危機が近づいていると感じられます。

 軍事力を支える、肝心の工業力が空洞化してしまっている米国にのみ頼り、米国の戦略に従って、対中国との戦争の矢面に立て、と言われて、「代理戦争」の駒とされる、そんな危機に直面しているのに、政府も、与野党も、大小のメディアも、世論も、いつまでも、現実を否認しているように感じられます。

 今、日本に必要な指導者は、米国に依存し、虎の威を借りる好戦的な指導者ではなく、戦争回避能力に長けている、外交力のある指導者です。核保有国である中国に対して、非核保有国である日本が通常戦力で挑もうとするような、勇ましい言葉ばかり吐く、無知で無謀な指導者ではありません!

 日本を第2のウクライナに、日本の首相を第2のゼレンスキーにしてはいけないのです!

 国難は避けられない、としても、大難を小難にとどめることはできるはずです。日本が対米自立を果たし、「敵国」ばかりになっている周辺国と和解して、各国と平和条約を結び、「敵」と戦うのではなく、「敵」と和解して、「敵」を消し去ることができるかどうか。

 対米自立と、周辺国との自力での平和構築に失敗すれば、日本は、大きな試練に直面します。平和の上にしか、国家としての繁栄も、国民としての日々の穏やかな暮らしも、築くことはできません。

 間に合うでしょうか。懸念は尽きません。

 肝心なことは、リアルな現実をまず直視することです。大小問わず、ほとんどのメディアが、現実直視を避けています。

 IWJは現実を直視し、お伝えし続けています。しかし、現実は苦いものです。苦い現実を直視したくない心理が働くからこそ、甘い嘘をつくプロパガンダに人は飛びつき、騙されてしまうのです。

 ウクライナ紛争以降は、特に、西側諸国ではプロパガンダの洪水が続いているような状態です。

 我々はプロパガンダの波にのまれることなく、ジャーナリズムの本道を歩み、リアルを伝えるという、当然のことを、貫いていきます!

 そうやって、苦いリアルな現実を直視した上で、なお、前向きな希望を信じる力が残っているかどうかが問われています。

 IWJは、厳しい経営が続いています。そのIWJの行方は、リアルと対峙してなお希望をもてるかどうかだと思います。

 市民メディアであるIWJの活動運営費は、約半分が、会員の皆様からの会費によって支えられています。残りの約半分が、ご寄付・カンパによって支えられています。特定のスポンサーをつけず、スポンサーの意向に左右されることもありません。

 困難は、迫ってきています。向こう数年以内が、東アジアにおいて、日本が、「代理戦争」の駒として使われてしまうかどうかの正念場です! そうした事態は、絶対に回避しなければなりません!

 しかし、そのリスクは、高市氏が総理大臣となり、小泉進次郎氏が防衛大臣となったことで、残念なことに加速しつつあります!

 今期16期もIWJは、日本だけでなく、西側に広がるプロパガンダにのみこまれず、真実をお伝えしていきたいと思います!

 どうぞ、緊急のご支援のほど、よろしくお願いいたします!

 岩上安身 拝

※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です(各金融機関ごとに口座名が非統一ですが、どれも、各銀行の仕様に従ったもので、間違いではありません)。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします!

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル

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◆中継番組表◆

**2025.12.1 Mon.**

調整中

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◆中継番組表◆

**2025.12.2 Tue.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

第57回 福島県「県民健康調査」検討委員会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529665

◆昨日テキストアップした記事はこちらです◆

高市早苗総理の「存立危機事態発言」について、孫崎享氏が、「日本は1972年の『日中共同声明』を破った」と指摘!「周恩来は、東アジア、中国の安定のために、日本に対する賠償の権利を放棄した。それと対(つい)になっているのが、『台湾は中国の一部だ』ということを日本が理解し、尊重すること」!!~11.25 国際情報と外交、そしてスパイの物語―講演:東アジア共同体研究所理事・所長 孫崎 享氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529731

宮古島・楚南有香子氏「島外避難をして住民がいなくなったら、『島中、自由に軍事作戦に使っていいですよ』という状況が生まれる! 島外避難は、邪魔な私達住民の排除! 戦争の準備に加担させられる!!」~11.14 琉球弧の戦場化を許さない! 11月行動
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529662

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■11月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、「『トランプは、完全に信頼を失っている。西側のロシアに対する信頼は最低限の状態で、1990年代以前よりもはるかに低い水準にある』!『欧州は米国に、「自分達を利用して、ロシアと戦ってほしい」とさえ思っている』! 岩上安身による京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士インタビュー(中編)」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました! ぜひ「まぐまぐ」からご登録ください!! IWJサポート会員になれば、IWJサイトでバックナンバーをすべて読めます! ぜひサポート会員にご登録を!!

 IWJでは、メルマガサイト「まぐまぐ」で、毎月『岩上安身のIWJ特報!』を発行しています。

 11月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、10月発行の(前編)に引き続き、今年8月1日に初配信した、「岩上安身によるneutralitystudies.com主宰 京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士インタビュー(中編)」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行しました。

 戦闘が4年近く続くロシアとウクライナの和平に向けて、大きな展開が期待されています。

 岩上安身は、ウクライナの現状を、「マンパワーも資金も尽きた。ゾンビに注射を打ちながら戦わせている状態」と表現し、停戦について、「もう、ゼレンスキーが主体ではない。欧米の考えに大きく影響される」として、この紛争の着地点がどうなるのか、ロッタ氏の予想をたずねました。

 ロッタ氏は、「ロシアも、いずれは戦闘を停止する必要があることを知っている。問題は、どのようにして止めるか」だと前置きして、こう続けました。

 「アメリカは即時停戦(あとで再開するにしろ、まずは一時停止)を求め、ロシアは和平合意と軍事的終結を同時に実行することを要求していた。

 ロシア側は、『安全地帯や緩衝地帯を確立しないまま、今ここで停戦すれば、ウクライナ側に再軍備する時間を与え、NATOに武器を供給する時間を与える。彼らは再び、我々を攻撃するだろう』と主張しています。

 ただし、『交渉しない』とは言っていない。ロシアは繰り返し、交渉を通じて合意に達することができるのであれば、戦闘による解決よりも、そのほうがいいと表明してきた。

 したがって、状況の展開次第でわかってくるでしょう」。

 岩上安身は、「どちらが先に金がなくなるかの戦争、みたいになってきている。ヨーロッパも非常に景気後退しているし、アメリカは財政赤字がひどい。その財政赤字を、戦争をやめて立て直すのが、トランプ大統領の政策だったはず。戦争の力、ウォーパワーというのは、背景に国力、国の経済力があってこそ」と指摘しました。

 ロッタ氏は同意し、「工業基盤を維持している国々は、戦争能力において、常に一歩リードするでしょう。米国は様々なレベルで戦争を繰り広げていますが、工業面では現在、より弱い立場にあり、これはNATO全体にも当てはまります」と応じました。

 その後、ロシアとウクライナの現在までの経緯や、米国やヨーロッパの動きを振り返っていく中で、ロッタ氏は、「今のヨーロッパの政治指導層は、ある特定のナラティブ(物語)に、完全に取り込まれている」と指摘しました。

 「彼らは、『ロシア抜きで進む』『中国に対抗する形で進む』『大西洋を挟んだトランスアトランティック(大西洋をはさむ米欧の)ネットワークの中で進む』という3つの道しかない、と感じている」とロッタ氏は語り、それは、米国がヨーロッパに対する直接的な支配力を強めるための手段ではないか、との見方を示しました。

 以下は、11月発行の『岩上安身のIWJ特報!』の目次です。

(第706号の目次)
◆資金もマンパワーも枯渇したウクライナはゾンビ状態、戦争の継続はもう無理! それでも停戦させたくない勢力がいる!?
◆「NATO東方拡大の脅威」に神経を尖らせるロシア。それは決して被害妄想ではない! アメリカは2014年からCIAをウクライナで活動させていた!

(第707号の目次)
◆ロシアも西側諸国も「いつも相手が約束を破る!」と主張。その状況を変える唯一の方法は「信頼の構築」。だが、それはさらに困難に…!
◆今、ヨーロッパは「エネルギーを米国に完全依存」という大きな過ちを犯している! これは米国がヨーロッパへの直接的支配を強める手段では?
◆私達は80年間「核兵器を持っていれば安全。誰も攻撃しない」と思ってきたのに、塹壕での戦闘や銃撃を伴う古いタイプの戦争は終わっていなかった!

(第708号の目次)
◆イラン、ロシア、中国、北朝鮮の協力関係は水平的。BRICSは独立性を保った部分的協力。ヨーロッパは米国に取り込まれることに同意し、垂直的統合が進む!
◆石破前首相は本音と建前を使い分けていた? G7に組み込まれた日本は簡単に離脱できないので「ゆっくり段階を踏んで、他の戦略へ進んでいくしかない」
◆トランプ大統領はNATOのために米軍は出さない! EU委員長は「西側は、もうない」と発言! 欧米が分裂しているのに、まだ「西側」の「結束」にとらわれている日本!

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※東西ドイツを統合するために、ゴルバチョフソ連大統領(当時)に「NATOを1インチも東方拡大しない」と表明したベイカー米国務長官(当時)の約束を、「条約ではないから無効」だと主張する米国に、ロッタ博士が重要な指摘!「ハーグ国際司法裁判所(ICJ)の1974年の判決で、条約がなくても、口頭での約束にも法的に拘束力があると明言されている」! 岩上安身によるインタビュー第1200回ゲスト neutralitystudies.com主宰 京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士(前編) 2025.7.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528365

※「トランプは完全に信頼を失っている。ロシアは西側をいかなる形でも信頼できない。西側のロシアに対する信頼は最低限の状態で、1990年代以前よりもはるかに低い水準にある」!「欧州は米国に、『自分達を利用して、ロシアと戦ってほしい』とさえ思っている」! 「ロシア、中国、イラン、北朝鮮は、協力を望みつつも、実際には独立を維持したいと考えている」!! 岩上安身によるインタビュー第1200回ゲスト neutralitystudies.com主宰 京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士(中編) 2025.7.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528488

※「ノルドストリーム・パイプラインの爆破は、メルケルからショルツへというドイツの政権交代のタイミングにおいて、対米従属的なショルツ新政権には大きな恩恵となった!」「このタイミングは、ヨーロッパが米国の衛星国(サテライト)となり、ロシアに対抗するための武器として、戦略的インフラを犠牲にする覚悟があることを示した瞬間でもあった」!! 岩上安身によるインタビュー第1200回ゲスト neutralitystudies.com主宰 京都大学大学院法学研究科・准教授パスカル・ロッタ博士(後編) 2025.7.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/528489

■<IWJ取材報告>高市早苗総理の「存立危機事態」発言について、孫崎享氏が、「日本は1972年の『日中共同声明』を破った」と指摘!「周恩来は、東アジア、中国の安定のために、日本に対する賠償の権利を放棄した。それと対(つい)になっているのが、『台湾は中国の一部だ』ということを日本が理解し、尊重すること」!!~11.25 国際情報と外交、そしてスパイの物語―講演:東アジア共同体研究所理事・所長 孫崎 享氏

 11月25日午後6時より、東京都千代田区の「NO NUKES PLAZAたんぽぽ舎」にて、東アジア共同体研究所理事・所長の孫崎享氏による講演「国際情報と外交、そしてスパイの物語」が開催されました。

 孫崎氏は、「日中の台湾問題を目がけて、おかしいことが起こって、相当深刻になりましたから、前座でスパイをちょっとやって、それで、日中関係をお話しさせてもらおうかと思います」と述べ、次のように続けました。

孫崎氏「余りにも、日本側が知らない。日中関係、約束がどうなっているかというものを知らない。

 中国側は、当然、一国の首相が、過去の約束がどうなっているかぐらいは知っていると思っている。たぶん。

 だけど、高市さんは、知らないんだから。知らないで、過去の約束を踏みにじっているから、向こうが怒り狂うというのは、当然だと思うんですよね」

 孫崎氏は、さらに続けて、次のように説明しました。

孫崎氏「ここで大きなことは2つあります。

 1つは、『約束違反』。日本が中国との間で行った『約束』の違反。

 もう1つは、台湾正面を中心として、米国が動いていく。その中に、日本が確実に巻き込まれてしまった。

 その2つの流れだと思いますね。

 それで、かなり重要なことが、1972年の『日中共同声明』を破っているんですね」。

※日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(外務省)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_seimei.html

孫崎氏「今、日本のメディア、テレビあるいは新聞を御覧になって、『日中共同声明の約束を破った』ということを、メディアで書いているのを見たことがある人は、手をあげて…。(中略)

 それだけじゃなくて、(中略)外務省の栗山さん(栗山尚一・元駐米大使)が、2007年ぐらいに、国際問題研究所でしゃべっている内容があったんですよ。

 要するに、『理解し、尊重する』。その後に『ポツダム宣言を守って』と、書いているんですけど、これは私のブログで書きましたけれども…。(中略)

 ポツダム宣言は、カイロ宣言を遵守する。そして、カイロ宣言を遵守するということは、何を書いているかというと、『台湾を中国に返す』と書いてあるんですね。国際法的には、政権が交代したら、政権は前の約束を引き継ぐんです」

※台湾問題についての日本の立場―日中共同声明第三項の意味― (公益財団法人 日本国際問題研究所 コラム、2007年10月24日)
https://www.jiia.or.jp/column/column-141.html

※ポツダム宣言(国立国会図書館)
https://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j06.html

※カイロ宣言(1943年)(内閣府ホームページ)
https://www8.cao.go.jp/hoppo/shiryou/pdf/gaikou06.pdf

孫崎氏「これは、ジュネーブ条約か何かで決まっているから(※編集部注:ウィーン条約法条約)、よく、X(旧ツイッター)なんかで、『中華民国が約束したことなので、中華人民共和国とは関係がない』ということを言うんですけれども、国際的な基本は、『政権が交代して、特別なことを言わない限りは、前のものを継承する』。

 だから、日本が、台湾というものを、中国に返すと。『中華民国に返す』ということを言ったということは、日本政府が台湾を中国に返す、『中華人民共和国に返す』ということを、書き込んだんですね。

 何で、『理解し、尊重する』というのが書いてあるだけで十分じゃないかと思ったんだけれども、それで、周恩来は納得しなかったんですよ。

 日本がコミットしてくれなきゃいけない。コミットは、ポツダム宣言を遵守するということで、日本が台湾を中国に返す。

 そして、それは、中華人民共和国が引き継ぐ、ということが、『台湾は中国の一部だ』ということを、日本政府が認めたということなんですね。

 彼(栗山氏)は、国際問題研究所の報告の中に、これでもって、『もちろん日本は、中国の独立、台湾の独立とか、そういうものには関与しないという意味合いです』と書いているんです。(中略)

 第2次世界大戦が終わったあと、アメリカから賠償委員会が来て、日本はどのレベルの賠償までやったらいいか、というのを調査したんですね。

 ものすごい被害を与えているわけだから、あるべき水準に行くまでには、すべて賠償の方にお金を出さなきゃいけない。(中略)

 日本が侵略して、あの人達を痛めつけたんだから、その人達の生活水準より上に行くことは、許さない。そのぎりぎりのところで賠償を決める、というのが、1946年のアメリカの賠償委員会の結論なんです。

 そして、サンフランシスコ平和条約になる。たぶん、サンフランシスコ平和条約のその部分を読まれた方は、ほとんどおいでにならないと思いますけど、賠償は、日本は連合国側に払う義務がある。だけど、さっきの話につながっているんですが、日本の経済はそれにまだ十分に達していないことも、我々は認める、と書いてあるんですね」

※サンフランシスコ平和条約 第14条(a)日本国は、戦争中に生じさせた損害及び苦痛に対して、連合国に賠償を支払うべきことが承認される。しかし、また、存立可能な経済を維持すべきものとすれば、日本国の資源は、日本国がすべての前記の損害又は苦痛に対して完全な賠償を行い且つ同時に他の債務を履行するためには現在充分でないことが承認される。
https://worldjpn.net/documents/texts/docs/19510908.T1J.html (データベース「世界と日本」)

孫崎氏「だから、日本は賠償を払わなきゃいけないんですよ。賠償を払うなんてとんでもない。国際的に言うと、賠償を払わないのが通説だ、なんていうのが、ほとんど日本を覆っているんだけれども、そうじゃない。賠償は、払わなきゃいけないんです。

 それを、周恩来は、『東アジアの安定、あるいは中国の安定のために、賠償を求めない。賠償の権利は放棄する』。これをやったわけですよね。

 それの対(つい)になっているのが、『台湾は中国の一部だ(ということ)。これを日本が理解して、尊重する』。このバーターなんですよ」

 11月28日の、茂木外務大臣の定例会見で、IWJ記者は以下のように質問しました。

IWJ記者「日中共同声明についてうかがいます。

 元外務省情報局長の孫崎享氏は、日中共同声明について、『台湾問題での中国の立場を日本が十分理解し尊重することを明記する代わりに中国側が戦争賠償請求を放棄するという因果関係がある。日本はこの重い約束を無視し、尊重の部分を捨てることで信義違反の国になりつつある』として、また、『本来外務省が、高市首相にその約束を説明すべきである』とおっしゃっています。

 孫崎氏のこの指摘、また田中角栄内閣始め、自民党の先達の方々が、日中の協調関係構築のために、非常に困難な交渉の末に合意に達した日中共同声明の意義について、大臣の認識をお聞かせください。

 また、高市政権は、中国と台湾の統一問題は『一つの中国』の内政問題であると考えているのか、または台湾の併合を阻止するためならば、我が国が米国とともに軍事介入すべき問題であり、中国との戦争も辞さないと考えているのか、二者択一でお答えください。よろしくお願いします」

 茂木外務大臣は、「二者択一で答えられない」、「もう既にお辞めになった方」の「発信について、また発言について、コメントするということは控えたい」などと、などと回答を避けました。しかし、最後に「我が国の台湾に対する基本的な立場、これは1972年の日中共同声明の通り」だと認めました。

茂木外務大臣「なかなか、二者択一で答えられない問題もあるということを、ぜひ御理解いただきたいと思っております。

 それから、例えば、今、外務省の現役の局長であったりとか、幹部、もしくはいろいろな方々、もしくは大使、こういった人達の発言については、私の下で、しっかりと統一的な見解を示したいと思いますけれど、

 もう既にお辞めになった方も含めて、それは評論家の方もいらっしゃいますし、いろいろな方がいらっしゃるわけでありまして、いろいろな発信、それは毎日のように、雑誌も新聞もSNSもいろいろなところで発信というのはなされているわけでありまして、その一つ一つの発信について、また発言について、コメントするということは控えたいと、こんなふうに思っておりますが、我が国の台湾に対する基本的な立場、これは1972年の日中共同声明の通りであります。

 そして台湾をめぐる問題というのが、対話により平和的に解決されることを期待するというのが、我が国の従来からの一貫した立場であります」。

※茂木敏充 外務大臣 定例会見(Movie IWJ、2025年11月28日)
https://youtu.be/6BRzyyTkTK4

 講演の詳細については、全編動画を御覧ください。

※高市早苗総理の「存立危機事態発言」について、孫崎享氏が、「日本は1972年の『日中共同声明』を破った」と指摘!「周恩来は、東アジア、中国の安定のために、日本に対する賠償の権利を放棄した。それと対(つい)になっているのが、『台湾は中国の一部だ』ということを日本が理解し、尊重すること」!!~11.25 国際情報と外交、そしてスパイの物語―講演:東アジア共同体研究所理事・所長 孫崎 享氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/529731

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