日刊IWJガイド・非会員版「ウクライナの膠着していた戦況が一気に変わった! 戦況は急変している!」2024.1.12号~No.4121


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~半年余り膠着していたロシア・ウクライナ紛争の戦況が、一気にかつ完全に変わった! 塹壕に閉じこもっていたロシア軍は、ウクライナ全土にミサイルとドローンによる多重攻撃! ロシア地上軍も塹壕から出て地上戦を仕掛け、東部戦線に沿ったウクライナの堡塁を次々奪取! ウクライナ内部では、国民に厭戦気分が蔓延して、戦争継続を叫んでいるのはゼレンスキー政権の幹部らだけ!

■IWJへの緊急支援をお願いいたします! この1月は、1日から10日までの間に、28件、32万3400円のご寄付をいただきました。この金額は月間目標額400万円の8%であり、1月のあと3分の2の間で、92%必要です!! 代表の岩上安身も、インフルエンザに倒れるなど、新年早々、IWJはピンチに見舞われています。IWJは市民に支えられる独立メディアとして、真実を、市民の皆さまに伝え続けていきます! そのためには、市民の皆さんのご支持とご支援が何よりも必要です!本年1月こそ毎月の月間目標額400万円に届きますように、どうぞよろしくお願い申し上げます!

■【中継番組表】

■ウクライナは内部で自壊しつつある! ウクライナ最高議会国家安全保障・国防・諜報委員会のコステンコ書記、ペトロ・ポロシェンコ前大統領やビタリ・クリチコ・キエフ市長、ヴァレリー・ザルジニー総司令官らがゼレンスキー大統領に反旗! プロパガンダニュース番組の視聴率も大統領の支持率も急降下!

■【本日のニュースの連撃! 3連弾!】

■【第1弾! 欧州にいるウクライナ難民のうち、近い将来に帰国を計画しているのはわずか14%!】「ウクライナの人口」は今どうなっているのか? 国連統計やメディアの統計に齟齬!? 昨年末、ウクライナのウメロフ国防相は海外にいるウクライナ人に「帰って戦え」と要請するも、強制力なし! 深刻な兵員不足を補える可能性は見えず!(『国連』、2024年1月9日ほか)

■【第2弾! 人員も弾薬も底をつくウクライナ軍が、ボランティアの送る民生用ドローンで善戦!?】「前線が膠着」しているのは、ウクライナ軍のドローン攻撃で「グレーゾーン(どちら側も支配していない敵の塹壕と塹壕の間)が広がり、ロシア軍の前進を阻んでいるから」だと、この期に及んで『ウォール・ストリート・ジャーナル』が現実とかけ離れた、ありえない妄想を主張!(『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本語版、2024年1月10日)

■【第3弾! ウクライナ軍のドローンは前線で「ハエのように落ちていた」電子戦システムでもドローンの数でも優位に立つロシア軍!】ウクライナ軍がドローン戦で優位に立っているなどという『ウォール・ストリート・ジャーナル』の主張は真っ赤な嘘! ロシア軍の強みは、敵のドローン操縦の電波を無化してしまう電子戦で優勢だから!(『フィナンシャル・タイムズ』、2024年1月7日)
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■はじめに~半年余り膠着していたロシア・ウクライナ紛争の戦況が、一気にかつ完全に変わった! 塹壕に閉じこもっていたロシア軍は、ウクライナ全土にミサイルとドローンによる多重攻撃! ロシア地上軍も塹壕から出て地上戦を仕掛け、東部戦線に沿ったウクライナの堡塁を次々奪取! ウクライナ内部では、国民に厭戦気分が蔓延して、戦争継続を叫んでいるのはゼレンスキー政権の幹部らだけ!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 昨年6月4日から始まったウクライナ側の「反転攻勢」が失敗に終わり、ロシア側の防御陣地を破れず、膠着戦になっていると、IWJではこれまでお伝えてきましたが、半年あまりに渡るその膠着した均衡が今、破られ、戦況が大きく変わり始めています!

 塹壕に閉じこもっていたロシア軍が、塹壕から出て攻勢を強め、逆にウクライナの側は、国民の中に、「もう戦いたくない」という厭戦気分が蔓延し、政権の内部も分裂し、ゼレンスキーの独裁政権への批判も、飛び出してきているのです。

 ロシア軍の攻勢で、これまでと異なるのは、ウクライナ全土の軍産複合体施設を空と海から、「キンジャール」などのミサイルとドローンによる空爆で大規模に集中的に攻撃している点があげられます。

 9日付『ロイター』は、「ロシアは8日、ウクライナ全土に対するミサイル攻撃を実施した」と報じ、ロシア国防省の発表を次のように伝えています。

 「ロシア国防省はこの日(8日)、ウクライナの軍事産業目標を海と空から攻撃したと発表。『ウクライナの軍産複合体の施設を標的に、極超音速弾道ミサイル「キンジャール」を含む高精度・長距離兵器による多重攻撃を行った』とした」。

※ウクライナ全土にロシアの攻撃、弾道ミサイル多用で迎撃率低下(ロイター、2024年1月9日)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/MC2PWXYE7VLVHNRBFURSNR5AMI-2024-01-08/

 9日付『ロイター』が注目しているのは、ウクライナ側のミサイル迎撃率が落ちている点です。

 「ウクライナは51発のミサイルのうち18発を防空ミサイルで迎撃したと発表。迎撃できたミサイルの数が通常より少なくなっていることについて、放物線状の軌道を描いて着弾する弾道ミサイルをロシアが多用しているためと説明している」。

 この攻撃について、8日付『RT』はより詳しく次のように報じています。

 「ウクライナ空軍は、ロシアが発射したと主張する51発のミサイルのうち、18発しか撃墜できなかったと述べた。キンジャール4発、イスカンデルM6発、X-22ミサイル8発のすべてを迎撃できなかったことを認めた。ウクライナ空軍のユーリー・イグナト報道官は、ロシアは大量の弾道ロケットを発射したと説明し、米国製のパトリオットや他の同様の高度な防空システムでなければ撃墜できないと述べた」。

 ここで、ウクライナ空軍報道官の口から、米国製のパトリオットミサイルさえ、もっと供与されれば、ロシアのミサイル攻撃を防げるのに、という期待感が示されています。

 これを聞いて、米国はパトリオットミサイルを追加で供与するでしょうか? 現実の話、それは難しいと思われます。

※Russia conducts major strikes on key Ukrainian military-industrial sites(RT、2024年1月8日)
https://www.rt.com/russia/590278-russia-strike-ukraine-defense-industry/

 6日付『ニューヨーク・タイムズ』は、パトリオットミサイルがロシアの攻撃からウクライナを守るのに有効だったと賞賛しつつ、「ホワイトハウスや国防総省の高官たちは、米国は、ウクライナのパトリオット砲台に迎撃ミサイルを供給し続けることがすぐにできなくなると警告している」と報じました。

 『ニューヨーク・タイムズ』は、「供給し続けることがすぐにできなくなる」理由に直接言及していませんが、米連邦議会が、すでに上院も下院も、バイデン政権が求めるウクライナへの600億ドルもの軍事支援を拒否しているからだと思われます。

※Ukraine’s Patriot Defenses at Work: Shuddering Booms and Bursts of Light(The New York Times、2024年1月6日)
https://www.nytimes.com/2024/01/06/world/europe/ukraine-patriots-us.html

 ロシアのミサイル攻撃は、「キンジャール」などの極超音速弾道ミサイルを大量に使用しているため、ウクライナ側の迎撃率が落ち、ロシア軍の攻撃の現実的な効果が上がってきているのです。

 9日付『RT』は、ウクライナ側の防空ミサイルシステムが現在、ほとんど機能しなくなっている点を、次のように報じています。

 「モスクワ軍は過去2週間、空爆を強化し、ウクライナの都市にある兵器工場やその他の標的を狙って何百ものミサイルや無人機を発射している。月曜(8日)の朝、ロシアの空爆はハリコフ、ドニエプロペトロフスク、フメルニツキー、ザポロジエ地方の軍需産業施設を標的にしたが、キエフは、防空ミサイルによる迎撃が、ほとんどできなかったと認めた」。

※Ukraine warns about state of air defenses(RT、2024年1月9日)
https://www.rt.com/news/590366-ukraine-air-defenses-depleted-by-russian-airstrikes/

 ウクライナの防空システムが機能しくなっている原因は、防空兵器の不足です。ウクライナ空軍関係者の話を9日付『RT』はこう伝えています。

 「キエフの防空兵器は、激しさと頻度を増すロシアのミサイルやドローンによる空爆に対抗するために枯渇していると、ウクライナ空軍関係者が認めた」。

 要するに、ロシア軍のウクライナ全土への攻撃は、量質ともに、格段に上がってきているため、弾が尽きている状態のウクライナ側の防空システムは対応できていないのです。

 本日の「連撃第2弾」でご紹介している、ドローンによってロシア軍の前進を食い止めているとの『ウォール・ストリート・ジャーナル』の報道が怪しいとした理由が、ここで明らかになりました。

 他方、東南部前線でも大きな変化が出ています。

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 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 12月は192件、271万8500円のご寄付をいただきました。ありがとうございます!

 これは、毎月の活動費の月間目標額400万円の68%です。残念ながら、12月はあと32%、128万1500円目標額に届きませんでした。

 11月、12月と、2ヶ月連続で目標金額に到達していません。この状況は非常に厳しいと申し上げざるを得ません!

 年が改まったこの1月は、1月1日から10日までの間に、暫定ではありますが、28件、32万3400円のご寄付をいただきました。新年早々、ありがとうございました!

 この金額はしかし、月間目標額400万円の8%であり、あと92%必要です!!

 今年こそ、この1月こそは、月間目標額の400万円に届きますよう、IWJへのご支援をよろしくお願い申し上げます!

 国内も不況で、元旦には能登半島地震にも見舞われ、生活の厳しい方がいらっしゃると思います。そうした状況下で、我々の経済的苦境を訴えるのは、心苦しくもありますが、どうか引き続き、IWJ会員登録、YouTube登録、ご寄付・カンパ、協賛広告でIWJをご支援ください!

 前期第13期は、大変大きな赤字を出してしまいました。私、岩上安身が自身の私財の中から、赤字の月のたび、その都度、緊急でつなぎ融資を出し、その額は合計で2200万円となってしまいました。第13期のこの事態は、IWJ創業以来初めての大ピンチです。第14期も同様の事態になると、私、岩上安身1人の力で乗り越えることはもはや不可能です。

 これまでの前期1年間の累積の赤字2200万円(見方を変えると、個人岩上安身からの、会社IWJへの貸し付け)に加え、第14期スタートにあたっての銀行からの新たな借り入れ2500万円を考えると、約5000万円近い累積の債務を返済できてはおらず、危機を切り抜けたなどとはとても言えません。

 今期14期はもちろん、支出を徹底的に削ってきました。今期は、赤字を出さないだけではなく、黒字を出し、累積した債務への返済にあてていきたいと真剣に取り組んでいる最中です。

 月間目標額400万円を超えた分は、これまでに累積した債務約5000万円の返済に回したいと存じます!

 債務を少しずつでも減らしていけば、IWJが経営破綻せず、存続する道が見えてきます! ご寄付いただいた方には、心から感謝いたします! また、消費不況の影響を受け、会員数も減っています! IWJの活動のために、まだ会員登録をされていない方は、ぜひとも会員登録をお願いします!

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 岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2024.1.12 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・OKINAWA1】10:00~「代執行埋め立てを許さない県民集会」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwjokinawa1

 「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」主催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきたオール沖縄関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/all-okinawa
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【IWJ・Ch5】11:05メド~「武見敬三 厚生労働大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 武見敬三厚生労働大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた厚生労働大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%8e%9a%e7%94%9f%e5%8a%b4%e5%83%8d%e5%a4%a7%e8%87%a3

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◆中継番組表◆

**2024.1.13 Sat.**

調整中

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■ウクライナは内部で自壊しつつある! ウクライナ最高議会国家安全保障・国防・諜報委員会のコステンコ書記、ペトロ・ポロシェンコ前大統領やビタリ・クリチコ・キエフ市長、ヴァレリー・ザルジニー総司令官らがゼレンスキー大統領に反旗! プロパガンダニュース番組の視聴率も大統領の支持率も急降下!

 別項でお伝えしたように、ウクライナの敗北は、すでに明らかです。

 ウクライナ軍の劣勢という状況は、ウクライナのゼレンスキー政権という権力の自壊を招きつつあります。

 まず、野党の活動を停止し、政権に批判的な言論を法律で取り締まり、大統領選挙も停止して、独裁政権体制を築き上げてきたゼレンスキー大統領に対して、公然と批判する人々が現れています。

 1月9日付『スプートニク日本』は、「ウクライナ 最高議会国家安全保障・国防・諜報委員会のコステンコ書記(保安庁大佐)は、ラジオ『ニュー・ヴォイス』の取材に応じた中で新たな動員法案についてコメントし、既にゼレンスキー氏は『政治的に死んでいる』と述べた」と報じました。

※「政治的にお前は既に死んでいる」、ウクライナ政府高官が大統領に楯突く(Sputnik 日本@sputnik_jp、2024年1月9日)
https://x.com/sputnik_jp/status/1744560794464100696

 コステンコ書記は、次のように、取材の中で述べています。

 「今のゼレンスキーは、自分が再び大統領にならないこと、現在の一期で終わることを自分自身で理解しなければならないと考える。政治的に既に死んでいることを本人は理解しなければならない。そして今は、次の選挙で再選する機会を与える(措置)、あるいは支持率を高める措置ではなく、この国を維持する可能性を持つ措置を講じるべきだ」。
 
 また、1月6日付『テレグラフ』は、ゼレンスキー大統領のリーダーシップに疑問符を突きつけています。

 その部分を引用します。

 「今日、ヴォロディミル・ゼレンスキーは、ロシアの侵攻軍が国境を越えて押し寄せてきた約2年前よりも大きな、彼のリーダーシップの最大の試練に直面している。当時、西側諸国から安全な場所まで送ってやると言われ、代わりに弾薬を要求されたとき、彼は命を賭けた戦いで団結した国を率いていた。

 今はそうではない。ゼレンスキーと、ペトロ・ポロシェンコ前大統領やビタリ・クリチコ・キエフ市長といった他の政治指導者たちとの間には、これまでの戦争の失敗をめぐって責任のなすりつけ合いが展開され、公の場での対立が深まっている。さらに悪いことに、ゼレンスキーと総司令官のヴァレリー・ザルジニー将軍も対立しているようだ。ザルジニーが戦争が膠着状態に陥ったことを認めると、ゼレンスキーは公然と彼を叱責した。

 戦争における国民の団結の必要性は別として、このことは、ウクライナが今後の紛争解決のための明確な戦略を欠いていることを示唆している。ゼレンスキーは、ウクライナがロシアに奪われた領土をすべて取り戻すと主張し続けているが、夏の攻勢で明らかに過剰な約束をした後は、もはや期限を語ることはないようだ。この対抗措置の失敗で戦意喪失したウクライナの一部では、現在、何らかの和平協定が結ばれる可能性が指摘されている。和平合意の可能性を国民投票にかける可能性さえ示唆されている。

 私が最後にキエフにいたとき、一部の政治指導者の間では、ロシアがウクライナのNATO加盟を受け入れる代わりに、ウクライナによる占領地奪還の動きがないことを保証するという和平協定の構想が確かに議論されていた。このような話は単なる憤慨ものに過ぎないかもしれないが、バイデンや多くのヨーロッパの指導者たちにとっては、このような和平協定をできるだけ早く結ぶこと以外には何も望んでいない。それは天の恵みなのだ」。

※Tired Zelensky looks too weak to achieve victory(テレグラフ、2024年1月6日)
https://www.telegraph.co.uk/news/2024/01/06/tired-volodymyr-zelensky-looks-too-weak-to-achieve-victory/

 この記事の副題は「ウクライナで分裂が勃発する中、大統領はプーチンを打ち負かすための説得力のある戦略を打ち出すことに集中しなければならない」となっており、ウクライナの権力に分裂が生じていることをはっきりと示しているのです。

 IWJも、元プロボクシングの世界ヘビー級チャンピオンでウクライナ国内では「国民的英雄」のビタリ・クリチコ・キエフ市長とゼレンスキー大統領の対立やヴァレリー・ザルジニー総司令官とゼレンスキー大統領との対立は、お伝えしてきています。

※はじめに~自由と民主主義と法の支配は看板のみ! ウクライナのゼレンスキー大統領は政軍の全権を握る独裁者へと向かっている! 11月20日のオースティン米国防長官のキエフ訪問以降、ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官の対立は、修復不可能な段階に!(日刊IWJガイド、2023年12月7日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20231207#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52997#idx-1

 要するに、この6日付『テレグラフ』の記事は、もはや、ウクライナ紛争の「落としどころ」をウクライナも含めて、米NATO、ロシアで話し合う時期に来ていると指摘するものなのです。

 ウクライナ国内の分裂は、権力内部だけにとどまりません。

 3日付『ニューヨーク・タイムズ』は、「ロシアの偽情報に対抗し、士気を高めることを目的とした政府公認のニュース番組が、戦争についてバラ色のイメージを描いているとして批判にさらされている」という副題の記事を配信しました。

※‘It’s State Propaganda’: Ukrainians Shun TV News as War Drags on(ニューヨーク・タイムズ、2024年1月3日)
https://www.nytimes.com/2024/01/03/world/europe/ukraine-war-tv-news-telemarathon.html

 ウクライナ国内の民衆の間で戦争に対する不満が高まっているのです。

 この記事を一部、仮訳・粗訳します。

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■【本日のニュースの連撃! 3連弾!】

■【第1弾! 欧州にいるウクライナ難民のうち、近い将来に帰国を計画しているのはわずか14%!】「ウクライナの人口」は今どうなっているのか? 国連統計やメディアの統計に齟齬!? 昨年末、ウクライナのウメロフ国防相は海外にいるウクライナ人に「帰って戦え」と要請するも、強制力なし! 深刻な兵員不足を補える可能性は見えず!(『国連』、2024年1月9日ほか)

 1月9日に公開された国連の報告によると、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のマシュー・ソルトマーシュ報道官は、同日スイスのジュネーブで開催された記者会見で、「ウクライナへの本格的な侵攻からほぼ2年が経ったが、ウクライナからの難民約630万人が故郷を追われたままであり、その大半が欧州全域に散らばっている」と述べ、UNHCRによるウクライナ難民を対象とした一連の調査で、「大多数がいつかウクライナに戻ることを希望しているが、治安上の懸念から、近い将来に戻る予定があるのはわずか14%だった」と報告しました。

 ソルトマーシュ報道官によると、ウクライナ国内でも、「人口の約4分の1に当たる370万人」が国内避難民となっています。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)のイェンス・ラーケ代表は、「ロシアによる全面的な侵攻の後、約2年間にわたる執拗な敵対行為」のために、「ウクライナの人口の40%に当たる1460万人以上の人々が、今年、人道支援を必要としている」と述べました。

※PRESS BRIEFING BY THE UNITED NATIONS INFORMATION SERVICE(United Nations、2024年1月9日)
https://www.ungeneva.org/en/news-media/bi-weekly-briefing/2024/01/press-briefing-united-nations-information-service-0

★「ウクライナの人口」は今どうなっているのでしょうか。

 OCHAのラーケ代表の発言「ウクライナの人口の40%に当たる1460万人以上の人々」から逆算すると、ウクライナの人口は3650万人という計算になります。

 一方、外務省によると、2021年のウクライナの人口は4159万人です。

※ウクライナ(Ukraine)基礎データ(外務省、2023年8月10日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ukraine/data.html#section1

 UNHCRは帰国できないウクライナ難民は630万人だとしています。

 4159万人から、UNHCRによる難民630万人を引くと3529万人となり、OCHAがいう「ウクライナの人口3650万人(1460万人が40%)」に近い数字になります。OCHAは難民を除外した数字を「ウクライナの人口」と見立てているようです。

 一方、今年1月10日付け『スプートニク』によると、欧州には約590万人のウクライナ難民がおり、「そのうち62%が女性と女児、36%が子供」です。36%の子供が男女同数だとすれば、男児は18%、つまり62%と18%を足して、80%にあたる470万人は女性と子供だということになります。欧州に逃れたウクライナ難民の男性は約2割、120万人弱という計算になります。

※Only 14% of Ukrainian Refugees in Europe Hope to Return Soon – UN(Sputnik、2024年1月10日)
https://sputnikglobe.com/20240109/only-14-of-ukrainian-refugees-in-europe-hope-to-return-soon—un-1116081277.html

 『スプートニク』は、さらにそれとは別に、200万人がロシアに逃れた、としています。これは、長い間、ウクライナ政府と軍から迫害されてきたロシア系住民が、ロシア側に避難したのだろうと考えられます。

 『スプートニク』とUNHCRがどちらも正しければ、630万人から590万人を引いた40万人のウクライナ人が欧州以外に逃れ、900万人近くがウクライナ国外に転出しているはずです。そうであれば、約3260万人が国内に残っているという計算になります。

 しかし、ソルトマーシュ報道官は、ウクライナ国内難民は「人口の約4分の1に当たる370万人」だと述べています。言葉通りに受け取れば、1480万人しかウクライナ国内に居住していない、ということになるのでしょうか。

 だとすれば、OCHAがいう「ウクライナの人口」3650万人とも、『スプートニク』から逆算した3260万人とも大きく違います。

 2021年のウクライナの人口に対して約半分にあたる、2170万人から1780万人のウクライナ人はどこにいるのでしょうか。「難民」としてではなく、国外で生活しているのかもしれませんし、ロシア支配下にある東部南部4州に居住しているのかもしれません。

 「ウクライナの人口」の実態は、不明瞭になっています。

 昨年、2023年12月19日、ゼレンスキー大統領は、「ウクライナ軍からの要請」だとして、ウクライナ軍は「45万人から50万人の新兵を必要としている」と発表しました。

 ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、軍の方から具体的な数字を上げたことはないと反論し、ゼレンスキー大統領が軍の名前を利用したことが、後に明らかになっています。

 続いて12月21日、ウクライナのルステム・ウメロフ国防相が、ドイツ・メディア『ヴェルトTV』などのインタビューで、深刻な兵士不足を補うために、ウクライナ国外に居住しているウクライナ人男性にも兵役に就くよう要請をしている、と語りました。ウクライナメディア『ニュー・ヴォイス・オブ・ウクライン』も報じました。

ウメロフ国防相「ドイツやその他の国にいる25歳から60歳までの兵役年齢のウクライナ人は、軍の新兵募集センターに出頭するよう求められるべきである」。

 このウメロフ国防相のインタビューと、ウクライナの暴力的な徴兵ぶりについては、昨年12月23日のこの日刊IWJガイドでもお伝えしました。

※【第1弾! 仰天!! 海外に避難したウクライナ国民に対し「帰って戦え!」ウクライナ軍の兵力不足は絶望的! 国外から難民を強制的に呼び返して動員! ついには路上で「人さらい」まで! 再び「反転攻勢」を計画!?】(『ビルト』2023年12月21日、『ニューヨーク・タイムズ』2023年12月15日ほか)(日刊IWJガイド、2023年12月23日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20231223#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/53051#idx-5

※Defense Minister Umerov announces plans to draft Ukrainians living abroad(The New Voice of Ukraine、2023年12月21日)
https://english.nv.ua/nation/umerov-announces-plans-to-draft-ukrainians-living-abroad-for-military-service-50378339.html

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■【第2弾! 人員も弾薬も底をつくウクライナ軍が、ボランティアの送る民生用ドローンで善戦!?】「前線が膠着」しているのは、ウクライナ軍のドローン攻撃で「グレーゾーン(どちら側も支配していない敵の塹壕と塹壕の間)が広がり、ロシア軍の前進を阻んでいるから」だと、この期に及んで『ウォール・ストリート・ジャーナル』が現実とかけ離れた、ありえない妄想を主張!(『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本語版、2024年1月10日)

 ウクライナ紛争をめぐり、弾薬不足のウクライナが、ドローンによる攻撃に頼っていると、1月10日付け『ウォール・ストリート・ジャーナル』日本語版が報じています。

 この『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事は、ウクライナ南東部前線の地下壕で取材した記者が「ロシアの砲弾が5~6発飛来する間に、ウクライナが反撃するのは1回か2回だ」とリポートしています。

 ウクライナの弾薬が「底をつきつつある」のは、米議会が追加支援を承認せず、EUからの追加支援も滞りがちだからで、「前線のウクライナ軍は間にあわせに作った爆発物搭載ドローン(無人機)を使ってロシア軍を押しとどめようとしている」と、この記事は報じています。

 この記事が報じているウクライナ軍のドローンは、「FPV(一人称視点)ドローン」というもので、ドローンに搭載したカメラから無線で送られてきた映像を見られるゴーグルを装着した兵士が、操縦装置を操作する、「夕食皿ほどの大きさのプロペラ式ドローン」です。

 この『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事は、ウクライナ軍のドローンについて、次のように記しています。

 「コストは1機にわずか数百ドルと、砲弾よりかなり安価である上、製造もはるかに簡単だ。そのため、ボランティアが民間の供給業者からドローンを購入して兵士に送り届け、兵士がそれに爆発物を搭載するといったことが可能だ」。

 この記事によると、「標的に当てるまで通常何発か発射する必要がある」砲撃と異なり、「はるかに精度が高い」ドローンは、「ほぼ毎回標的に当てることができる」とのことです。

 この『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事は、ウクライナ軍がこうした小型ドローンを活用していることで、ウクライナ軍がロシア軍から奪還したロボティネ周辺では、「その結果、グレーゾーン(どちら側も支配していない敵の塹壕と塹壕の間)が広がり、前進をより難しくしている」と報じています。

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■【第3弾! ウクライナ軍のドローンは前線で「ハエのように落ちていた」電子戦システムでもドローンの数でも優位に立つロシア軍!】ウクライナ軍がドローン戦で優位に立っているなどという『ウォール・ストリート・ジャーナル』の主張は真っ赤な嘘! ロシア軍の強みは、敵のドローン操縦の電波を無化してしまう電子戦で優勢だから!(『フィナンシャル・タイムズ』、2024年1月7日)

 1月7日付け英『フィナンシャル・タイムズ』は、「(ウクライナとロシア)両国は互いの無人機部隊を無力化できるシステムに多額の投資を行っているが、ロシアは約2年前にウクライナへの本格的な侵攻を開始する前に、すでにこれらの能力に焦点を当てていたため、優位性を維持している」と、電子戦ではロシアが優位だと報じています。

 この『フィナンシャル・タイムズ』の記事は、「ウクライナとロシアは、両国とも月に数万機のドローンを使用している」として、「電子戦の重要性が高まっている」と報じています。

 前述の『ウォール・ストリート・ジャーナル』の記事は、ウクライナ軍がドローンの活用で、一方的に善戦しているかのように読めますが、この『フィナンシャル・タイムズ』の記事は、「戦場での無人機の遍在(※ロシア軍によるドローンの大規模な使用)は、今年のウクライナの待望の反撃が大きな領土獲得に失敗し、地上戦が現在ほぼ静止している理由の1つである」と論じています。

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