日刊IWJガイド・非会員版「片山さつき議員、安倍元総理銃撃での奈良県警の情報の出し方で、後輩の警察庁長官に『国益を損なうことがあってはならない』と『要請』!」2022.7.18号~No.3595号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~二之湯国家公安委員長と中村警察庁長官による安倍元総理銃撃に関する会見の前日、片山さつき参議院議員が「長官は後輩、かつ知人」「奈良県警の情報の出し方に本庁がしっかりチェックするよう要請した。国益を損なうことがあってはならない」などと圧力をかけるかのようなツイート! 片山氏の言う「国益」とは!? このツイートに統一教会関連団体でスピーチする片山議員の写真が返信ツイートされる!!

■IWJがピンチです!! 昨年8月から始まったIWJの今期第12期も残り14日です。7月の1ヶ月の間で不足しているお金は約950万円! 7月1日から15日までのご寄付は、127万5600円と目標額の13%にとどまっています! 目標額まで、あと87%、822万4400円不足しています!! このままでは、大幅な赤字転落に!! ぜひ、IWJの活動を緊急のご寄付・カンパでご支援ください!

■【中継番組表】

■ツイッター「IWJ_Sokuho」7月17日、バイデン大統領が初めての中東歴訪ツアーを終了! 注目されたサウジアラビアのモハメッド・ビン・サルマン皇太子との関係修復、湾岸諸国への原油増産要請は「お預け」、『ル・モンド』は「手ぶら」外交だと皮肉!『ポリティコ』は中東諸国は、米国に代わる新たなパトロンとして中国に魅力を感じていると指摘! 次はプーチン大統領のイラン訪問! 米国はイランが数百機のドローンをロシアに提供すると警鐘! イランは否定!

■1978年の『ニューヨーク・タイムズ』が統一教会を「KCIAの金鍾泌(キム・ジョンピル)長官が組織し、反共の政治的手段として利用してきた」との下院報告書を報道していた!「米国支部はKCIAの資金調達やロビー活動を担ってきた」!!

■<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から、2010年収録「CIAに取材したピューリッツァー賞受賞のジャーナリスト、ティム・ワイナー氏は、日米関係は『娼婦とヒモ』の関係と断じる!~岩上安身によるインタビュー 第78回 ゲスト 映画『ANPO』リンダ・ホーグランド監督」を、公共性に鑑み全編フルオープンで再配信します!
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■はじめに~二之湯国家公安委員長と中村警察庁長官による安倍元総理銃撃に関する会見の前日、片山さつき参議院議員が「長官は後輩、かつ知人」「奈良県警の情報の出し方に本庁がしっかりチェックするよう要請した。国益を損なうことがあってはならない」などと圧力をかけるかのようなツイート! 片山氏の言う「国益」とは!? このツイートに統一教会関連団体でスピーチする片山議員の写真が返信ツイートされる!!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 昨日のこの日刊IWJガイドでもお伝えしましたが、全国の警察組織の頂点に立つ国家公安委員長である二之湯智(にのゆ・さとし)参議院議員(自民党)が、旧統一教会が主導するイベントの呼びかけ人になっていました。

 二之湯委員長は14日、警察庁が設置した検証チームを奈良に派遣し、奈良県警の警備体制について検証すると発表したばかりです。会見には、中村格(いたる)警察庁長官も同席しました。

※はじめに~なんと、全国の警察組織の頂点に立つ国家公安委員長の二之湯智参議院議員が「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」が主導するイベントの呼びかけ人だったと『Smart FLASH』がスクープ! 同イベント世話役には自民党議員3人!『日刊ゲンダイ』は、旧統一教会と関連のあった議員は122人とスクープ! 主要政治家34名の実名を公開!!(日刊IWJガイド、2022年7月17日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51076#idx-1

 この、14日の二之湯智国家公安委員長と中村格警察庁長官による会見の前日13日には、先月安倍派に入会したばかりの片山さつき参議院議員(第4次安倍内閣の地方創生・規則改革・女性活躍推進担当大臣)が、中村長官を「後輩、かつ知人なので」とした上で、「奈良県警の情報の出し方に本庁がしっかりチェックするよう要請した。国益を損なうことがあってはならない」などと圧力をかけるかのようなツイートしていました。いったい、片山議員のいう「国益」とは何なのでしょうか? なんと片山議員自身も、統一教会と関係があったのです。

 もしや、片山議員が「後輩」の中村格警察庁長官に言いたかったことは、「国益を損なう事」ではなく統一教会と関係のある「片山議員の私益を損なう事はあってはならない」ということだったのではないか、という疑いを抱かざるをえません。

 片山議員のツイートは、以下の通りです。

 「長官は後輩、かつ知人なので、聞いておきます」

※片山さつき参議院議員のツイート(2022年7月13日)
https://twitter.com/katayama_s/status/1547017933926252544

 「警察庁長官に『奈良県警の情報の出し方等万般、警察庁本庁でしっかりチェックを』と慎重に要請致しました。これ以上の詳細は申せない点ご理解を。霞ヶ関を肌で理解する者同士の会話です。皆様の感じられた懸念は十分伝わっています。組織に完璧はありませんが、国益を損なう事はあってはなりません」
 
※片山さつき参議院議員のツイート(2022年7月13日)
https://twitter.com/katayama_s/status/1547149539055833088

 一つ目のツイートが、非公開アカウントへの返信のため、中村長官に何を聞いたのか、また「皆様の感じられた懸念」が何を指すのか、ここでは明らかにされていませんが、このツイートには「自民党から警察行政への露骨な介入」などの批判とともに、片山議員が「平成21年(2009年)11月29日」と日付の入った「世界平和連合福井県大会」の横断幕の前でスピーチする写真も返信ツイートされています。

 「世界平和連合(FWP)」は、統一教会の政治組織「国際勝共連合」の別組織です。国際勝共連合と世界平和連合は、同じビルの同じフロアにあり、会長も同じ人物です。

※国際勝共連合
https://www.ifvoc.org/

※世界平和連合
http://www.fwp-japan.org/chairman/

 IWJは参院選期間中、フリーランスジャーナリストの横田一氏の取材をもとに、安倍晋三元総理の首相秘書官もつとめた井上義行参議院議員(取材当時は自民党候補)が、埼玉県で行われた世界平和統一家庭連合の集会で幹部から「もうすでに信徒になりました」と紹介され、熱狂的な拍手につつまれたというスクープ記事を出しました。

※【2022参院選・独占スクープ!】「LGBT差別」と炎上中の自民党・井上義行候補(全国比例)が、自民党の支持母体で、井上氏自身も信徒の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)会合で「炎上上等」と表明! 井上氏に直撃取材! 「私は、同性婚反対に信念を持って言っていますから!!」 2022.7.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508513

 この記事の反響は大きく、横田氏のもとには、TBS「news23」やテレビ朝日「サタデーステーション」などからも、「IWJの記事を読んだ」と言って、素材提供の依頼がきているそうです。

 16日のこの日刊IWJガイドでもお伝えしましたが、7月12日付け『ワシントン・ポスト』は、「統一教会のルーツは韓国だが、教会を研究してきた歴史家によれば、伝統的に教会の富の70パーセントを提供してきたのは日本であったという」と報じています。

※はじめに~安倍元総理は「国葬」にふさわしい人物なのか!?(その1)安倍元総理殺害の山上徹也容疑者の伯父が記者団に激白! 山上容疑者は、信者となった母親による統一教会への全財産の献金で、困窮する兄と妹に保険金を渡すため、海上自衛隊時代に自殺未遂を起こしていた! 一方、安倍元総理と統一教会の関係をワシントン・ポストも詳報!「彼ら(統一教会)は、自分たちに正当性を与えてくれる人なら、誰にでも金を出す」!!(日刊IWJガイド、2022年7月16日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51073#idx-1

 統一教会経典は、韓国を侵略した日本をサタンの国、「イエスが再臨される東方の国とはまさに韓国」「韓民族は第三イスラエル選民となる」としています。

※【第181-182号】岩上安身のIWJ特報!特定秘密保護法、憲法改正、原発・・・ 自民党と統一教会、その「深い関係」に迫る 2014.12.14
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/213536

 それゆえ、統一教会では、サタンと性交して汚れたエバ国家の日本は、アダム国家韓国に、全財産を貢ぐように義務付けるのです。

 こうした狂った教義で日本国民を「洗脳」し、高額献金や違法な霊感商法で日本人から財産を巻き上げる、こうした反日カルト宗教やその関連団体と、自民党を中心とした「保守」を自称する「反日」政治家とのずぶずぶの関係が、安倍晋三元総理という実力者のいなくなった今、メディアがどこまで明らかにできるのかが、注目されます。

 15日付け読売新聞は、岩手県の達増拓也知事が、世界平和統一家庭連合やその関連団体が「選挙で自民党を支援してきたと主張。お金の集め方などが問題だとし、同連合の政治的な理念が『自民党の憲法案などに反映されていないか、検証されなければいけない』と語った」と報じています。

※旧統一教会と自民党、岩手の達増知事「深く結びついていることを検証すべきだ」(読売新聞、2022年7月15日)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220715-OYT1T50208/

※改憲タスクフォース、国民投票の実現へ運動(世界日報、2022年2月19日)
https://www.worldtimes.co.jp/japan/20220219-149071/

■IWJがピンチです!! 昨年8月から始まったIWJの今期第12期も残り14日です。7月の1ヶ月の間で不足しているお金は約950万円! 7月1日から15日までのご寄付は、127万5600円と目標額の13%にとどまっています! 目標額まで、あと87%、822万4400円不足しています!! このままでは、大幅な赤字転落に!! ぜひ、IWJの活動を緊急のご寄付・カンパでご支援ください!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 第12期も期末まで、いよいよあと半月ほどとなりました! 泣いても笑っても、7月31日には第12期の終わりを迎えます。第12期を無事にしめくくり、第13期をIWJが晴れて迎えられるように、皆さまへ重ねてご支援のお願いを申し上げます。

 IWJはかねてより、活動費の半分を会員の皆さまからの会費で、もう半分を皆さまからのご寄付・カンパによって支えられて活動しています。

 先日、改めて経理とともにこれまでの収支を計算し、見通しを立て直したところ、7月1日の時点で、期末の7月31日までにあと約950万円のご寄付が必要となることがわかりました。足りない分は、赤字となる恐れがあります。

 12期は、経費を前年度比で約30%程度削減してきましたが、会費は前年度比で約20%減少してしまいました。皆さまのご助力、ご支援が、IWJの存続のために必要です! もし仮にご寄付がまったく集まらなかったとしたら、IWJは今期大幅な赤字に転落してしまいます!

 今期末までの残り14日で、この赤字を削って、不足分をゼロにし、次の期につなげられるように、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!

 IWJの会員数は、現在3566人です。そのうちサポート会員は1192人です(2022年6月30日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が2307円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人6900円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 すでにお伝えしている通り、私、岩上安身は、キャッシュフローが足りなかったIWJに対して1093万円を貸し込んでおり、まだ1円も返済されていません。

 この第11期と第12期は、会社から報酬も受けとっていません。前期に続き、今期もただ働きが続いています。私は富裕層でもなんでもなく、40年間働いてきて乏しい貯えがわずかにあるだけの、もともとは一介のフリーランス、自営業者に過ぎません。

 これ以上は、私、岩上安身個人の力だけではいかんともしがたい状況です。私1人の力や、無報酬のため細る一方の私の貯えでは、今期の金額赤字分を穴埋めすることはできません! 2期連続で、会社から1円も報酬を受けとらずにただ働きを続けるということは、自分の貯金を削っている、ということであり、個人として、経済的、物理的に、もはや限界です。

 これで今月末に、さらにあと1千万円もの赤字を個人で埋めなくてはならなくなるとしたら、とても一人ではこの負担を担うことはできません!

 どうかIWJ会員の皆さま全員のお力で、IWJをお支えください!

 伏してお願いいたします! どうか皆さま全員のお力で、この窮状をお助け願います!

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 皆さまにおかれましても、消費税増税に加えてコロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、会員の数が足りなくなり、ご寄付が途絶えると、IWJは活動していけなくなってしまいます。市民の皆さま、お一人お一人が会員となっていただくことで、IWJは市民に支えられ、政治権力におもねり、広告スポンサーに牛耳られている記者クラブメディアとは一線を画した、権力に不都合であっても真実を追求し、権力の監視を行う「ウォッチドッグ」の役割を果たし続けることが可能になります。

 ウクライナ紛争が勃発してからの約4ヶ月間、IWJは徹底的に「まとも」な「公正中立」に近い報道に徹してきたところ、米国のプロパガンダ機関と化したほぼすべての新聞、雑誌、テレビ、そしてネットの大勢とも違う「スタンス」を取り続ける結果となりました。

 その間の我々の報道を、他の米国のプロパガンダの走狗のような「報道」と比較していただければ、我々が独立メディアとしての使命をいかに果たしてきたか、ご理解いただけると存じます。

 ぜひとも、サポート会員様におかれましては会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましてはサポート会員へ、無料会員の皆さまにおかれましてはサポート会員もしくは一般会員へのアップグレードをぜひともお願いいたします。

 また休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、改めて申し込みをいただくことで会員を新たに始めることができます。

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

※ご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからもお振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2022.7.18 Mon.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 1077・IWJ_YouTube Live】19:00~「CIAに取材したピューリッツァー賞受賞のジャーナリスト、ティム・ワイナー氏は、日米関係は『娼婦とヒモ』の関係と断じる!~岩上安身によるインタビュー 第78回 ゲスト 映画『ANPO』リンダ・ホーグランド監督」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2010年12月に収録した、岩上安身によるリンダ・ホーグランド氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた日米関係関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%97%a5%e7%b1%b3%e9%96%a2%e4%bf%82

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/134

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◆中継番組表◆

**2022.7.19 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】11:20~「後藤茂之 厚生労働大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 後藤茂之厚生労働大臣の定例会見を中継します。これまでIWJが報じてきた厚生労働大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%A4%A7%E8%87%A3
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【タイムリー再配信 1078・IWJ_YouTube Live】19:00~「『改憲』の先にあるもの――日本会議と神社本庁は何を目指しているのか!? 安倍政権下で進む右傾化の真実に迫る!岩上安身によるインタビュー 第673回 ゲスト 上智大学教授・島薗進氏」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2016年10月に配信した「『改憲』の先にあるもの――日本会議と神社本庁は何を目指しているのか!? 安倍政権下で進む右傾化の真実に迫る!岩上安身によるインタビュー 第673回 ゲスト 上智大学教授・島薗進氏」を再配信します。これまでIWJが報じてきた島薗進氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%B3%B6%E8%96%97%E9%80%B2

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/335795

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「被災者は『人権の主体』であり、お金の給付・住宅の提供を打ち切る際、その『人権』が侵害されてはならない!」弁護団・柳原敏夫弁護士~7.15原発事故避難者住まいの権利裁判追加提訴 715決起集会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508703

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■ツイッター「IWJ_Sokuho」7月17日、バイデン大統領が初めての中東歴訪ツアーを終了! 注目されたサウジアラビアのモハメッド・ビン・サルマン皇太子との関係修復、湾岸諸国への原油増産要請は「お預け」、『ル・モンド』は「手ぶら」外交だと皮肉!『ポリティコ』は中東諸国は、米国に代わる新たなパトロンとして中国に魅力を感じていると指摘! 次はプーチン大統領のイラン訪問! 米国はイランが数百機のドローンをロシアに提供すると警鐘! イランは否定!

 IWJは、ツイッターアカウント「IWJ_Sokuho」で、ウクライナ情勢をツイートしています。テレビでは流れない情報や、石油・天然ガスなどの資源問題、ウクライナの実情もあわせて、多角的にウクライナ情勢をお伝えしています。ぜひ、一度御覧ください。

※IWJ速報@IWJ_Sokuho
https://twitter.com/IWJ_Sokuho

 バイデン大統領の、13日から16日にかけての初めての中東歴訪ツアーが終了しました。大きな目的は安全保障の強化と原油調達でした。その成果については「手ぶらで帰国した」と、厳しい声があがっています。

 安全保障面では、イスラエルを含む中東地域の安全保障、特にイランによる核兵器保有の阻止に向けてイスラエルとの協力関係を確認することです。

 原油調達では、OPECの中核であるサウジアラビアとの関係を修復し、OPEC原油の即時増産を実現することです。

 特に、バイデン大統領自身が3年前に強く非難した、サウジアラビアの実権を握るモハメッド・ビン・サルマン皇太子との関係修復ができるのかどうかに注目が集まりました。

 バイデン氏は、大統領選挙中、2018年に起きた反体制派ジャーナリスト・カショギ氏の殺害をめぐってサルマン皇太子の責任を厳しく批判、サウジアラビアを「世界の除け者(パーリア国家)」にすると宣言し、大統領選挙の争点の一つに取り上げたことがあります。

 岩上安身は2018年に、カショギ氏殺害について、高橋和夫・放送大学名誉教授にインタビューを行っています。また、IWJはイスラム思想研究者・飯山陽氏に取材を行っています。ぜひ、御覧ください。

※(再掲載)【祝・安田純平氏 無事生還記念!】サウジが「イスラムの盟主」の時代は終わり!? カショギ氏殺害と安田氏解放から米国覇権の陰りが見える!? ~岩上安身によるインタビュー 第920回 ゲスト 高橋和夫・放送大学名誉教授 2018.10.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/434645

※【祝・安田純平氏 無事生還記念!】サウジによるカショギ氏殺害を世界に印象づけた後の安田純平氏解放の発表!タイミングはトルコ・カタール間で決められていた?イスラム思想研究者・飯山陽(あかり)氏にIWJが取材! 2018.10.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/434649

 バイデン大統領は7月13日にイスラエル入りし、ラピド首相やヘルツォグ大統領の歓迎を受け、歓迎式典で演説を行いました。バイデン氏が大統領としてイスラエルを訪問するのは初めてです。『ロイター』などが報じました。

※【速報9312】ロイター、13日「バイデン米大統領は13日、中東歴訪の最初の訪問先となるイスラエルに到着した。大統領就任後初のイスラエル訪問で、両国の安全保障面での連携強化を確認する」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548678587284598786

 14日には、バイデン大統領は、イランによる核兵器保有を認めないとする共同宣言「エルサレム宣言」に署名しました。バイデン大統領とラピド首相の共同記者会見が行われました。『ロイター』などが報じました。

バイデン大統領「我々はイランによる核兵器の保有を決して認めない。(中略)

 (イランによる核兵器保有を阻止することは)イスラエルと米国、さらに世界全体にとって安全保障上の重要な利益になる。(中略)

 この誓約に不可欠なのは、イランに決して核兵器を保有させないという確約であり、これを確実にするために国力のあらゆる要素を用いる用意があることを米国は強調する」

ラピド首相「イランの核武装を阻止する唯一の方法は、自由世界が武力を行使するとイランが認識することだ」。

 イランの核武装を「阻止する唯一の方法」が、「自由世界が武力を行使する」ことであると、米大統領の横で、イスラエルの首相が公然と断言することに驚かされます。米国とイスラエルに、余裕がなくなっていることが、ありありと見てとれます。

 米国とイランとの核合意は、EUの仲介で6月28日に3ヶ月ぶりに再開したばかりです。『NHK』(6月29日)によると、両国は、米国が解除する制裁の範囲などをめぐって主張が食い違っており、EUのボレル上級代表は「両国が困難を乗り越えられるかどうかはわからない」と述べています。

 トランプ前大統領が、2018年に核合意から一方的に離脱したため、制裁は解除されず、イランは核開発を加速しています。

※【速報9313】ロイター、14日「中東を歴訪しているバイデン米大統領は14日、最初の訪問国イスラエルでラピド首相と会談し、イランによる核兵器保有を認めないとする共同宣言に署名した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548678631559696384

※【速報9314】NHK、6月29日「核合意の立て直しに向けたイランとアメリカの間接協議が3か月ぶりに再開しました」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548678670608642048

 15日には、バイデン大統領は、ヨルダン川西岸でパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談しました。トランプ前大統領のイスラエル寄りの姿勢で悪化した関係を修復する狙いがあったと、『NHK』は報じています。

 トランプ前大統領は、2017年に、「エルサレムをイスラエルの首都として正式に認める」と発表、国際社会からは強く非難されました。

 当時、アッバス議長は、トランプ氏の発表を「嘆かわしい」とし、今後米国がイスラエルとパレスチナの和平を仲介することはできないと述べていました。

アッバス議長「あなた(バイデン大統領)の政権が、2国家解決を台なしにするイスラエルの占領政策や、パレスチナ人への差別的な行動を終わらせてくれることを、期待している」。

 バイデン大統領は、イスラエル占領下にある東エルサレムを訪問、パレスチナ系の私立病院への財政支援策などを発表しています。

 パレスチナ自治政府との関係改善に向けた一歩を踏み出した形ですが、今のところ、イスラエル側は国際法に違反した占領地での入植活動を継続しており、和平交渉が再開される見通しは立っていません。

 一方、「イスラエル国内の右派や極右から反発の声」があがっていると『NHK』は指摘しています。

※【速報9315】NHK、15日「バイデン大統領は、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長と会談して3億ドルあまりの支援を表明し、トランプ前政権時代の極端にイスラエル寄りの政策で悪化したアメリカとパレスチナとの関係の改善を進める考えを示しました」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548678788187590657

※【速報9316】BBC、2017年12月7日「ドナルド・トランプ米大統領は6日、エルサレムをイスラエルの首都として正式に認めると発表し、米国の歴代政権が継続してきた政策を転換した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548678851496407040

 東エルサレムを訪れた同じ15日、バイデン大統領はサウジアラビアを訪問、サウジアラビアの実権を掌握するモハメッド・ビン・サルマン皇太子(略称MBS)とも会談しました。『ロイター』など西側メディアはもちろん、『TASS』『RT』などのロシアメディアも一斉に報じました。

 バイデン大統領の今回の中東歴訪では、原油増産を求めるアラブ諸脳会議(16日)が最大の目的ですが、そこで成功を納めるためには、世界屈指の産油国であるサウジアラビアの協力を得るためには、サルマン皇太子との関係修復が必要不可欠でした。

 『ロイター』(15日)によると、バイデン大統領は、会談後、記者団に対し「会談の冒頭で、カショギ氏殺害を取り上げ、当時、私がどう考えていたのか、そして今どう考えているのかを明らかにした」、「私は率直かつ単刀直入に議論した。私の考えを明確にした」と述べました。

 『BBC』(16日)は、さらに詳しく、バイデン大統領の談話を紹介しています。

バイデン大統領「私は非常に率直に、『アメリカの大統領が人権問題について沈黙するというのは、我々のあり方や私のあり方と矛盾する。私は常に、自分たちの価値観のために立ち上がる』と伝えた」。

 米国は他国に国際法の遵守を求め、人権侵害を問題視しますが、自国米国とイスラエルだけは「例外」扱いするのが常です。

 ロシアメディア『RT』(16日)は、サルマン皇太子の返答を「米国自身の人権侵害の疑わしい記録に指を向けたようだ」と、報じています。

サルマン皇太子「同じ年(2018年)に、同様の残念な事件が起こり、他のジャーナリストが世界中の他の地域で殺された。(中略)

 米国はまた、イラクでのアブグレイブ刑務所の事件などの多くの過ちを犯した」。

 『CNN』(17日)も、「バイデン氏がカショギ氏殺害事件を持ち出したのに対し、ムハンマド皇太子(サルマン皇太子)はイラクのアブグレイブ刑務所での米軍兵士による囚人への性的・身体的虐待や、5月にヨルダン川西岸地区でパレスチナ系米国人ジャーナリスト、シリン・アブアクレ氏が殺害されたことを米国の非として挙げた」と報じました。

 サルマン皇太子は「他の人に上記の価値観を押し付けることは、正確には良い考えではない」として、「中東でのワシントンの失敗を指摘した」と『RT』は報じました。

サルマン皇太子「しかし、これらの価値観を力ずくで押し付けようとすると、米国が成功しなかったイラクとアフガニスタンで起こったように、逆の効果をもたらす可能性がある」。

 『CNN』(17日)は、サルマン皇太子は、この15日の会談で、カショギ氏殺害における個人的な責任を否定した、と報じています。

 『ABCニュース』も、バイデン大統領が「モハメッド・ビン・サルマンの反応は、彼が個人的に責任を負わなかったというものだった」と述べた、と報じています。

 いずれにしても、サルマン皇太子は、「米国は人権侵害に反対し続ける」と主張するバイデン大統領に対し、米国がイラクなどで犯した人権問題を例にあげて反論し、カショギ氏殺害に関する自らの責任問題も否定しました。

 『ABCニュース』(17日)は、サルマン皇太子は、バインデン大統領を「大統領、サウジアラビアへようこそ」と笑顔で迎え、「バイデンが彼(サルマン皇太子)の縄張りに旅行してきたことを明らかに喜んだ」と分析しています。かつての批判者が、首を垂れて和解を求めにきた、という意味です。

 『ABCニュース』(17日)は、記者会見で、ある記者が「サウジアラビアがまだパーリア国家であるかどうか」とバイデン大統領に尋ねたとき、「モハメッド・ビン・サルマンの顔に明瞭な笑顔が浮かんだ」とも指摘しています。

 米国内では、カショギ氏の婚約者であったハティージェ・センジス氏は、「ねえ@POTUS(バイデン大統領)、これはあなたが私の殺人に対して約束した説明責任ですか? MBS(サルマン皇太子)の次の犠牲者の血はあなたの手にあります」と、失望の意をツイッターで示しました。

※【速報9317】ABC、16日「バイデンは夕方、ジェッダの平和宮でサルマン・ビン・アブドゥルアジズ・アル・サウド王と会う予定です。大統領はまた、金曜日にサウジアラビア皇太子モハメッドビンサルマンと会う予定です」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548678895268143110

※【速報9318】TASS、15日「金曜日(15日)米国大統領ジョー・バイデンは、イスラエルからサウジアラビアへの最初の公式訪問でサウジアラビアに到着した、とアル・アラビーヤ のテレビが報じた」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548678936682721280

※【速報9321】ロイター、15日「バイデン米大統領は15日、サウジアラビア西部ジッダにある宮殿で同国のムハンマド皇太子と会談し、2018年の米紙ワシントン・ポストのサウジ人記者ジャマル・カショギ氏殺害に関する責任は皇太子にあると述べた」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679044644106240

※【速報9322】BBC、16日「バイデン氏は会談の中で、サウジアラビア出身の反体制ジャーナリスト、ジャマル・カショジ氏の殺害事件について提起したと明らかにした」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679079482003456

※【速報9325】ロシアメディア『RT』(16日)は、サルマン皇太子の返答を「米国自身の人権侵害の疑わしい記録に指を向けたようだ」と、報じています。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679252572504071

※【速報9327】CNN、17日「ムハンマド皇太子は15日の会談で、同国の在イスタンブール総領事館でのカショギ氏殺害の責任を否定した。一方、バイデン氏は米国の情報機関の評価に基づいて、意見が一致しないとの考えを示したという」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679330674671616

※【速報9330】ABC、17日「カショギの婚約者であるハティージェ・センジスは以前、バイデンがサウジアラビアを訪問するという決定を「悲痛な」と述べた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679668869779456

 15日のサルマン皇太子との屈辱的な会談の翌日、16日には、バイデン大統領は、サウジアラビアのジッダで開催されたアラブ首脳会議(「湾岸協力会議(GCC:アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア)」6か国にエジプト、ヨルダン、イラクの3か国を加えた首脳会合)に出席しました。『ロイター』などが報じました。

 『AFP』は、バイデン大統領はアラブ首脳会議で「中国やロシア、イランが入り込む余地を残したまま(米国が中東から)立ち去ることはない」と述べ、中東への米国の全面的な関与を維持することを約束した、と報じました。

 『AFP』によると、バイデン大統領は、ウクライナ情勢に伴って生じた食糧不安を受け、中東と北アフリカに10億ドル(約1385億円)の食糧支援を行うことも表明したとのことです。

 米国では、ガソリン価格の高騰でインフレ率が40年ぶりの高水準となっています。米国大統領の支持率は、ガソリン価格と強い相関関係があるとされています。

 バイデン大統領は、原油増産に関する合意を求めて、前日、屈辱的なサルマン皇太子との会談に臨みました。アラブ首脳会議で、その成果は得られたのでしょうか? どうも空回りに終わった模様です。

 『ロイター』(16日)は、「首脳会議の共同声明はあいまいな内容」に終わり、「米国は中東における積極的なパートナーであり続け、地域の前向きな未来づくりに関与すると表明」したが、「イスラエルを含む地域の安全保障や原油の即時増産に関するコミットメントを得ることはできなかった」と報じました。

 『ロイター』は、「(原油)増産の確約は得られず、サウジ、ロシアなどの産油国からなる「OPECプラス」が8月3日に開く会合に望みをかけることとなった」と報じました。「OPECプラス」には、米国が主導して制裁を加えているロシアも加盟しています。

※【速報9332】AFP、17日「バイデン米大統領は16日、サウジアラビア西部ジッダで「湾岸協力会議(GCC)」6か国にエジプト、ヨルダン、イラクの3か国を加えた首脳会合に出席し、中東への米国の全面的な関与を維持すると約束した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679771600867329

※【速報9333】ロイター、16日「バイデン米大統領は16日、サウジアラビアのジッダで開かれたアラブ首脳会議に出席し、米国は中東における積極的なパートナーであり続け、地域の前向きな未来づくりに関与すると表明した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679816026947584

 バイデン大統領は「サウジ側も問題の緊急性を理解しており、この日の協議から私は数週間内にさらなる措置があるものと期待している」と述べましたが、『ブルームバーグ』(17日)は、『ロイター』と同じく「今後何らかの発表があるとすれば、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」の8月の会合の後にずれ込みそうだ」との見通しを示しました。

 つまり、仮にOPECプラスが8月3日に、バイデン大統領が求める増産を決定したとしても、「初秋までは増産が行われず、米国のガソリン価格が下落し始めるとしても11月の中間選挙に近い時期」になると『ブルームバーグ』は予測しています。

 『ブルームバーグ』は、米国側が、「イランがロシアに武装無人偵察機の売却を始めた可能性がある」という情報を提供して、働きかけをしたにもかかわらず、湾岸協力会議(GCC)諸国が「ロシア政府に対する姿勢を硬化させる兆しはほとんどなかった」とし、初秋になっても「中東諸国が増産に動くかどうかは不透明」だと分析しています。

※【速報9335】ブルームバーグ、17日「中東諸国歴訪を終えたバイデン米大統領は16日、石油増産の確約を得られぬままサウジアラビアから帰国の途に就いた」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548679929843585025

 サウジアラビアのファイサル外相は、「湾岸諸国とイスラエルの防衛同盟に関するいかなる議論も把握しておらず、自国はそうした協議には関与していない」と発言しましたが、以下の点で米国とサウジアラビアは合意に至ったということです。

・イランによる「核兵器保有」を阻止することの重要性
・イランによる「他国の内政への干渉、武装した代理勢力を通じたテロリズム支援、地域の安全保障と安定を脅かす行動」をさらに抑止する必要性
・米国が「サウジの安全保障と領土防衛」を支援し、「外部の脅威から国民と領土を守るために必要な能力を得ることを促進する」
・ホルムズ海峡やバブ・エルマンデブ海峡といった戦略的な国際水路を通じた通商の自由な流れを維持する

 イランとサウジアラビアは、それぞれイスラム教シーア派とスンニ派の中心であり、緊張関係にあります。

※【速報9338】ロイター、16日「米国とサウジアラビアは、バイデン米大統領のサウジ訪問中に、イランによる「核兵器保有」を阻止することの重要性について合意した。国営サウジ通信(SPA)が共同声明を発表した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680099482193921

 『ル・モンド』は17日、「ジョー・バイデンはモハメッド・ビン・サルマンと関係を修復しようとしたが、手ぶらで去った」と、バイデン大統領が世界の石油供給の増加の保証を得ることができなかったことを皮肉に報じました。

 「中東で何かを手に入れたいのなら、サウジアラビアを無視することはできない」とし、サウジアラビアから、米国は「イランに対する信頼できる防波堤とはもはや見なされていない。中東諸国は米国の長期的なコミットメントに懐疑的なままだ」と、『ル・モンド』は指摘しています。

※【速報9340】Le Monde、17日「中東で何かを手に入れたいのなら、サウジアラビアを無視することはできない」とし、サウジアラビアから、
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680290587262976

 『ポリティコ』(15日)は、中東諸国の米国に対する信頼が揺らいでいる一方、中国が、その代わりになろうとしている、と指摘しました。

 「バイデンは、中国がもたらす脅威についての懸念を隠していない。ワシントンは長い間リヤド(サウジアラビア)の超大国のパトロンとして選ばれてきたが、北京は待ち構えている」(ポリティコ、15日)

 『ポリティコ』は、バイデン氏が大統領選挙の際に、カショギ氏殺害問題で、サウジアラビアとサルマン皇太子を強く非難し、「世界の除け者(パーリア)にする」というキャンペーンを打ったことが、「リヤドで米国の信頼性についての疑念を煽り、中国が超大国のパトロンの代替としての地位を確立しようとする努力を後押しした」と指摘しています。

 『ポリティコ』は、元米国大使のロバート・ジョーダン氏が「米国はこれまで、サウジアラビアをパーリアと呼び、アジアへのピボットを訴えてきた。これは、中東諸国から見れば、米国が中東を離れることを意味した」と述べている、と伝えています。

ジョーダン氏「そのため、(中東諸国にとって)最大の顧客であり、大きな影響力を持つ中国に目を向けることが魅力的になっている。また、中国には人権について説教をしない、という利点もある」。

 中国とサウジアラビアは、2016年に「安定した長期エネルギー協力」に結びついた「戦略的パートナーシップ」を締結しました。中国とサウジアラビアの二国間貿易は、2020年に652億ドルと評価されている、と『ポリティコ』は指摘しています。

 中国は、2021年にサウジアラビアを上海協力機構(SCO)に誘い、サウジアラビアは上海協力機構の「対話パートナー」になっています。

※【速報9341】Politico、15日「バイデンは、中国がもたらす脅威についての懸念を隠していない。ワシントンは長い間リヤドの超大国のパトロンとして選ばれてきたが、北京は待ち構えている」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680368043466753

 中国は、サウジアラビアが輸出する石油の25%以上を購入しています。サウジアラビア政府は3月に石油販売の一部を、人民元に切り替える意向を表明しています。

 『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、3月に「サウジアラビアは、イエメン内戦への介入に対する米国の支援の欠如と、バイデン政権が核開発計画をめぐってイランとの協定を結ぼうとしていることに腹を立てている」とし、「サウジアラビア当局は、昨年のアフガニスタンからの米国の急激な撤退にショックを受けたと述べた」と報じています。

※【速報9343】WSJ、3月15日「サウジアラビアは、中国の石油販売にドルではなく人民元を受け入れることを検討している」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680529230594048

 これまで、中東の親米国家であったサウジアラビアが米国依存から抜け出すのは容易なことではないとしても、中国という「超大国パトロン」が現れたことで、米国の地位が相対的に低くなっていることが、バイデン大統領の「手ぶらで帰国」という中東歴訪の結果に現れたといえそうです。

 一方、ロシアのプーチン大統領は、19日にトルコのエルドアン首相と会談を行い、イランの首都テヘランを訪問します。『TASS』(12日)や『RIA』(13日)によると、シリアの和平プロセスに関する政治的解決をめざすロシア、トルコ、イランの三国間会合と、ロシアとイランの二国間会合が行われる、とのことです。

 『CNN』(12日)は、イラン議会の経済委員長が12日、国営イラン通信(IRNA)に、プーチン氏が来週、(ロシアとイランの)両国間の経済関係強化に向けた協議のために来訪する予定だと語った、と報じました。

※【速報9345】RIA、13日「プーチンはバイデンのツアーのほぼ直後に、レジェップ・タイップ・エルドアンとの会談を行うだけでなく、テヘランでも「アスタナ形式」のサミットを行うことが知られている」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680677616685056

※【速報9346】TASS、12日「プーチンはバイデンのツアーのほぼ直後に、レジェップ・タイップ・エルドアンとの会談を行うだけでなく、テヘランでも「アスタナ形式」のサミットを行うことが知られている」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680717793902592

※【速報9347】CNN、12日「ロシアのプーチン大統領が19日にイランの首都テヘランを訪れ、同国のライシ大統領、トルコのエルドアン大統領と会談することが分かった」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680779294965760

 しかし、ロシアとイランの会合が経済的な問題だけを予定しているとは限りません。ホワイトハウスは、情報の根拠を示さず、「イランがロシアに無人機を供与する準備をしている」との見解を示しました。『スプートニク』(12日)や『CNN』(12日)などが報じました。

 米大統領府のジェイク・サリバン補佐官(国家安全保障担当)は、11日の会見で、「我々の情報では、イラン政府はロシアに、武器搭載型を含む数百機の無人航空機(UAV)を提供する準備を進めている」と述べた、と『スプートニク』は報じました。

 『CNN』は、「イランが近くロシアに対し、ウクライナ侵攻で使うためのドローン(無人機)『数百機』を提供する」と報じています。

 サリバン補佐官は「イランは今月の早い時期から、ロシア軍部隊を対象に無人機操作法の訓練を始めるとの情報もある」としつつ、「こうした無人機にどの程度の能力があるのか、すでにロシアに届き始めているのかなどは明らかでない」としています。

 米国はウクライナにすでに自爆型の小型無人機「スイッチブレード」を提供し、ミサイル搭載可能な大型無人機の提供も検討しています。米国が、ロシアとイランの接近を警戒していることがわかります。

 一方で、イランのアブドラヒアン外相は17日までに、ホワイトハウスの疑念を否定しました。『CNN』(17日)は、国営イラン通信(IRNA)の情報として、アブドラヒアン外相が「イランに対する根拠なき主張」であると否定した、と伝えています。

 『CNN』によれば、アブドラヒアン外相は、「イランはウクライナでの戦争を政治的な側面から終えさせる努力を今後も続ける」と述べています。

※【速報9349】スプートニク、12日「米大統領府のジェイク・サリバン補佐官(国家安全保障担当)は11日の会見で、イランがロシアに無人機を供与する準備をしているとされると表明した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680877064224768

※【速報9350】CNN、12日「米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は11日の記者会見で、イランが近くロシアに対し、ウクライナ侵攻で使うためのドローン(無人機)「数百機」を提供するとの見通しを示した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680927026769920

※【速報9351】CNN、17日「イランのアブドラヒアン外相は17日までに、同国がロシアへ数百機規模の攻撃型のドローン(無人機)を供与する準備をしていると米政府が公にした情報に触れ、「イランに対する根拠なき主張」であると否定した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548680976578260993

 すでにお伝えしているように、ロシアと中国を軸として、BRICS、上海協力機構(SCO)に、イラン、サウジアラビアが正式に参加することを検討しています。

 ロシアが提案する「新G8」は、購買力平価GDPでみると、経済規模ではG7を上回っています。

 2021年のGDPを比較すると、G7の名目GDPの合計は42.39兆ドルで、新G8を大きく上回っていますが、購買力平価GDPで見ると、新G8の合計は55.98兆ドルで、G7の合計45.00兆ドルを大きく上回っています。

<G7> 名目GDP、購買力平価GDP(兆ドル)
米国   23.00、23.00
日本   4.94、5.62
ドイツ  4.23、4.86
英国   3.19、3.40
フランス 2.94、3.36
イタリア 2.10、2.73
カナダ  1.99、2.03
合計   42.39、45.00

<新G8> 名目GDP、購買力平価GDP(兆ドル)
中国   17.46、27.21
インド  3.04、10.22
ロシア  1.78、4.49
ブラジル 1.61、3.44
インドネシア 1.19、3.57
イラン  1.43、1.44
メキシコ 1.29、2.67
トルコ  0.81、2.94
合計   28.61、55.98

※【速報9352】ロシアが提案する「新G8」の経済規模はG7を上まわる。2021年のGDPを比較すると、G7の名目GDPの合計は42.39兆ドルで、新G8を大きく上回るが、購買力平価GDPでは、新G8の合計は55.98兆ドルで、G7の合計45.00兆ドルを大きく上回る。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1548681645980778496

 中国問題グローバル研究所所長である遠藤誉氏は、6月に開催された第25回サンクトペテルブルク国際経済フォーラムについて、127ヵ国が参加、人類の85%が非西側諸国側におり、ロシアは「非西側世界から成るG8」を提唱している、と述べています。

 遠藤氏は、プーチン大統領の演説について以下のように述べています。

 「今後の世界に影響を与える可能性のある見出しを一つだけ引用すると、『The old world order is gone with the wind(旧世界秩序は風と共に去りぬ)』だろうか。プーチンが盛んに『旧世界、旧秩序』と『新世界、新秩序』を主張していることが際立っていた。これこそが後述する新世界『G8』につながる基本姿勢だからだ」。

 遠藤氏は「新世界G8」について詳しく述べ、日本は「世界の15%しか見ていない」、「アメリカが支配している世界しか日本人は見ていない」と厳しく批判しています。

※ロシアが「新世界G8」を提唱_日本人には見えてない世界(Yahooニュース、2022年6月19日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220619-00301635

■1978年の『ニューヨーク・タイムズ』が統一教会を「KCIAの金鍾泌(キム・ジョンピル)長官が組織し、反共の政治的手段として利用してきた」との下院報告書を報道していた!「米国支部はKCIAの資金調達やロビー活動を担ってきた」!!

 1978年3月15日、米下院で、韓国政府と当時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領によるロビー活動に関する調査報告書が発表されました。

 1978年3月16日付けの『ニューヨーク・タイムズ』は、「『ソウルツール』と呼ばれる統一教会」と題して、これを報じています。デジタルアーカイブ化された記事は、以下のURLで読むことができます。

※UNIFICATION CHURCH CALLED SEOUL TOOL(The New York Times、1978年3月16日)
https://www.nytimes.com/1978/03/16/archives/unification-church-called-seoul-tool-house-panel-releases-documents.html

 この記事によると報告書は、統一教会について「KCIAの金鍾泌(キム・ジョンピル)長官が組織し、反共の政治的手段として利用をしてきた」とし、統一教会を問題を起こしているカルト教団であると認めた上で、「米国支部はKCIAの資金調達やロビー活動を担ってきた」と、明らかにしたことを報じています。

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■<本日のタイムリー再配信>本日午後7時から、2010年収録「CIAに取材したピューリッツァー賞受賞のジャーナリスト、ティム・ワイナー氏は、日米関係は『娼婦とヒモ』の関係と断じる!~岩上安身によるインタビュー 第78回 ゲスト 映画『ANPO』リンダ・ホーグランド監督」を、公共性に鑑み全編フルオープンで再配信します!

 安倍晋三元総理殺害で、注目を集める世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。その統一教会が日本に進出したばかりの1960年代、統一教会本部と安倍元総理の祖父、岸信介氏の自宅は隣であり、「共産主義打倒」を掲げて統一教会の創設者である文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁が創設した「国際勝共連合」に、岸氏や右翼の大物、笹川良一氏、児玉誉士夫氏らが尽力したことは、IWJもこれまで報じてきました。

※【第181-182号】岩上安身のIWJ特報!特定秘密保護法、憲法改正、原発・・・ 自民党と統一教会、その「深い関係」に迫る 2014.12.14
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/213536

※(再掲載)文鮮明という「メシヤ」が「再臨した国」韓国に貢がされる「エバ国家」日本!? 自民党に深く浸透する統一教会の「正体」! ~岩上安身によるインタビュー 第897回 ゲスト 北海道大学大学院 櫻井義秀教授 2018.8.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/429742

 1978年に、「米下院は、『統一教会は1961年にKCIA(韓国中央情報局)の金鍾泌(キム・ジョンピル)長官によって、政治的手段として設立された』との報告書を公開した」と、当時のニューヨーク・タイムズが報じています。

※UNIFICATION CHURCH CALLED SEOUL TOOL(The New York Times、1978年3月16日)
https://www.nytimes.com/1978/03/16/archives/unification-church-called-seoul-tool-house-panel-releases-documents.html

 安倍家3代と統一教会とのつながりの始まりが、朝鮮戦争を背景にした「反共」という目的だったことがうかがえます。その背後にはもちろん、日本と韓国を「反共の防波堤」とした米国の意向があります。

 米国のCIAが、戦犯容疑者の岸信介を釈放させ、秘密資金を提供して自民党のトップ、さらには首相にまでさせた経緯は、2019年の岩上安身による作家・編集者矢部宏治氏インタビューで紹介しました。

※旧安保と新安保は同じ!米軍占領統治が今も続く日本の闇の核心!~新刊『知ってはいけない2』『天皇メッセージ』著者・矢部宏治氏への、2.7岩上安身によるインタビュー! 2019.2.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/441535

※「日米安保体制に指一本触れるな」はCIAからの巨額資金提供と引き換えに自民党結党時に合意された密約だった!?~新刊『知ってはいけない2 』 岩上安身による 作家・編集者 矢部宏治氏インタビュー(第2弾) 2019.2.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/442568

 そこで、本日午後7時から、2010年12月22日に収録した「CIAに取材したピューリッツァー賞受賞のジャーナリスト、ティム・ワイナー氏は、日米関係は『娼婦とヒモ』の関係と断じる!~岩上安身によるインタビュー 第78回 ゲスト 映画『ANPO』リンダ・ホーグランド監督」を再配信します。

 2010年のリンダ・ホーグランド監督によるドキュメンタリー映画『ANPO』の登場人物で、2000人以上のCIA工作員への取材を行った、ピューリッツァー賞受賞者で『CIA秘録』の著者であるジャーナリストのティム・ワイナーは、日米関係を「娼婦とヒモ」の関係だと表現しています。

 インタビューの冒頭、ホーグランド監督は、映画のテーマとして60年安保を選んだ理由について、「60年安保は戦争の恐怖と密接に結びついた国民的な運動だった。だから、わかりやすいメッセージとしてシンプルに世界に発信できる。しかしこの運動は、CIAと岸によって露骨に潰された。そしてティム・ワイナーの証言は現代にまでずっと残っている」と語っています。

 幼少時代を日本で過ごし、NY在住のホーグランド監督が見る「アメリカとアメリカ人」、「日本と日本人」について、お話をうかがいました。

 詳しくは、ぜひ本日の再配信をご視聴ください。公共性に鑑み、全編フルオープンで配信します。

 仮に、その日の都合で観られなくても、会員になっていただければ、一般会員なら2ヶ月以内、見逃し配信を自由な時間に観られますし、サポート会員ならば、いつまでも、いつでも好きな時にコンテンツを無期限で視聴できます!

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【タイムリー再配信 1077・IWJ_YouTube Live】19:00~
CIAに取材したピューリッツァー賞受賞のジャーナリスト、ティム・ワイナー氏は、日米関係は『娼婦とヒモ』の関係と断じる!~岩上安身によるインタビュー 第78回 ゲスト 映画『ANPO』リンダ・ホーグランド監督
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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※CIAに取材したピューリッツァー賞受賞のジャーナリスト、ティム・ワイナー氏は、日米関係は『娼婦とヒモ』の関係と断じる!~岩上安身によるインタビュー 第78回 ゲスト 映画『ANPO』リンダ・ホーグランド監督 2010.12.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/134

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、城石裕幸、中村尚貴)

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