┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━
┠■はじめに~インタビュー延期のお詫びと現状報告
┠■【中継番組表】
┠■<ニュース・フラッシュ>
┠―【1】外国人技能実習生をめぐる在ベトナム日本大使館の悲痛なメッセージ!人権侵害を悪化させ、少子高齢化対策にもならない入管法改正の愚!岩上安身「日本人が消滅する日」の再読を乞う!
┠―【2】現実離れした日本の空母保有計画! それを煽る国策映画! その裏には莫大な軍事利権が!
┠―【3】麻生太郎副総理の野望「水道民営化」に地方から反旗!? 新潟県議会では自民党を含む超党派の賛成で反対の意見書を可決していた!本日、参議院では水道法改正のための参考人質問!
┠■<お知らせ>
┠―■今期がスタートした8月1日から11月26日までのご寄付・カンパの目標達成率は75.6%。目標の4分の3のご寄付は寄せられました。ありがとうございます。ですがまだまだ目標額を下回っており、気が抜けません。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いします!
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■はじめに~インタビュー延期のお詫びと現状報告
おはようございます。IWJ編集部です。
岩上さんの体調の現状を報告します。昨日、病院を2ヶ所まわり、微熱が毎晩続く現状をどう考えたらいいのかと岩上さんがうかがったところ、一人の医師は絶対安静しかない、とのことでした。その医師からは、最低4週間、可能ならば8週間、仕事やストレス源から離れ、絶対安静にして、過ごすこと、と言われました。
しかし、岩上さんが完全に仕事から離れるということが可能かというと、そうではありません。月末に作業が集中する「岩上安身のIWJ特報」も、最後のリライトは岩上さんがやっていますし、岩上さんでないとできません。
日々、皆様にお送りしている日刊IWJガイドも、岩上さんが取り上げるべき話題の指示もしますし、草稿ができたら校正・校閲もします。岩上さんが見ないでガイドや記事などを出すことは、現実的にはできません。我々テキスト班スタッフがどんなに校正・校閲をしても、間違いがやはりあります。また、岩上さんしか直しようのない、ロジックのおかしさとか、表現上の稚拙さの指摘、訂正もあります。そしてそうした作業に要する背景知識の豊富さなどは、現状のスタッフではまだまだ岩上さんに追いつけていません。
そのため、毎晩微熱が出ていても、岩上さんはベッドの中で、ガイドを毎日直しています。今はそれに、特報のリライト作業が加わっています。記事まで直すとなると、負担が大きいので、今は記者の書いた原稿は積み上がっている状態です。
ガイドの直しを入れる作業自体でも、その日によって我々の書いた草稿の出来不出来があり、不出来な日には、真っ赤になるまで赤字が入ります。そんな時は時間も労力もかかり、体温計を頻繁に測りながら作業をするのですが、体温がスルスルと上がっていくのがわかる、と岩上さんは言います。
ガイドの直しならば、ベッドに横になって赤を入れることもできますが、これがインタビューではそうはいかないし、熱が出なくなるまでは復調したとは言えませんので、やはりインタビューや本格的な原稿書きはまだ難しいと思われます。ドクターの指示に従って安静にすべきであると、我々スタッフも感じています。
しかし、どう考えても、岩上さんが仕事から完全に離れることは困難です。運営面でも、社長の判断を仰がないと我々スタッフだけで勝手に決められないことも多々あるので、相談や指示、判断を求めるメールやメッセージを各セクションのスタッフが各自それぞれに送っており、それも岩上さんが眠っている時間帯は除いて、起きていればすぐ返信が返ってきます。
我々としては、1日も早い快復を祈るばかりです。仕事ができない辛さを一番味わっているのは岩上さん本人ですし、インタビューのお相手の方を含め、関係各方面にご迷惑をおかけしていることを一番心苦しく思っているのも岩上さん本人です。快復すれば、医師も4週間の絶対安静を解いてくれるでしょう。
以上のような現状報告を作成していたところ、穏やかならぬニュースが飛び込んできました。
27日、米国のトランプ大統領が30日から12月1日の間、アルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の機会に日本、中国、ロシア、韓国、インド、トルコ、ドイツの各国首脳と会談すると発表しました。注目すべきは、クドロー国家経済会議(NEC)委員長が27日の記者会見で、次のように表明したことです。米国は、米中首脳会談が不調に終わった場合、中国からの輸入品に対する制裁関税の対象をあらゆる商品に課す、とのことです。
※米中首脳、12月1日に会談へ 不調なら「全品関税も」(日本経済新聞、2018年11月28日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38266250Y8A121C1000000/
しかし、貿易赤字を徹底的に忌避するトランプ政権ですが、そうした保護主義的政策は、国際経済の成長と逆行するものであることは様々な識者が明言しています。エコノミストの田代秀敏氏にうかがったところ、「米国の企業だけでなく日本企業も欧州企業も、中国の巨大な労働力を利用し、米国の巨大な市場に製品を売り込んで巨額の利益を得てきた。要するに、米国の対中貿易赤字は、米国の過剰消費の結果」なのだと指摘されました。
※インタビュー前の打ち合わせでのコメントを受け、田代秀敏「中国の手に落ちたデジタル覇権」『新潮45』(2018年9月号)より引用しました。
にもかかわらず、理解に苦しむ保護貿易政策に突き進むトランプ政権の有り様は、貿易黒字を様々な海外市場で享受していたはずの1930年代の日本が、「1934年通商擁護法」にもとづく報復関税措置を乱発したむちゃくちゃな姿に重なります。
※石井修『世界恐慌と日本の「経済外交」――1930~1936年』(勁草書房、1995年)(https://amzn.to/2SbSX6I)
この問題の分析には、国際経済の構造とともに、それに逆行する経済政策が平気で実行されてしまうプロセスにも着目していかなければなりません。米中首脳会談の結果が分かり次第、追ってお伝えします。
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◆中継番組表◆
**2018.11.29 Thu.**
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。
【IWJ・Ch5】15:00~「立憲民主党 枝野幸男代表 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5
立憲民主党 枝野幸男代表による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた枝野幸男代表関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%9E%9D%E9%87%8E%E5%B9%B8%E7%94%B7
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【録画配信・IWJ_Youtube Live】16:00~「1人1票裁判・大法廷弁論後の記者会見」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
11月28日に収録した、1人1票裁判・大法廷弁論後の記者会見を録画配信します。「一人一票実現国民会議」が主催。これまでIWJが報じてきた一票の格差に関連する記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/disparity-of-a-vote
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【IWJ・Ch2】17:45~「『中長期ロードマップの進捗状況』に関する記者会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch2
東京電力による記者会見を中継します。「中長期ロードマップの進捗状況」の記者会見は、毎月1回開催されています。これまでIWJが報じてきた「中長期ロードマップの進捗状況」に関する記事は以下のURLからご覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/medium-to-long-term-road-map
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【IWJ・エリアCh2・福島】18:30~「リアルタイム線量測定システムの配置の見直しに関する住民説明会(福島県・国見町)」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach2
原子力規制委員会が撤去する方針を示しているモニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)について、福島県内各地でおこなわれている住民説明会を中継します。今回は福島県・国見町での開催です。説明者は武山松次氏(原子力規制庁 放射線防護グループ監視情報課長)ほか。
IWJがこれまで中継した住民説明会と「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」による要請書提出に関する記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E3%83%A2%E3%83%8B%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88
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【国会成立直前!ホントにいいのか水道民営化!シリーズ特集再配信 2・IWJ_Youtube Live】19:00~「ヨーロッパ会計検査院はPPPを凍結勧告!? 自治体に『請願』文書を提出しよう!! 水道法改悪案をみんなで潰そう!!~オールジャパン学習会『私たちの命の源が危ない 水・種子・食の安全を守ろう!』」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
10月15日に収録した「オールジャパン学習会『私たちの命の源が危ない 水・種子・食の安全を守ろう!』」を再配信します。これまでIWJが報じてきた水道民営化関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%B0%B4%E9%81%93%E6%B0%91%E5%96%B6%E5%8C%96
[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/433944
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◆中継番組表◆
**2018.11.30 Fri.**
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。
【録画配信・兵庫 IWJ_Youtube Live】18:00~「前川喜平さんに聞く 朝鮮学校無償化除外問題」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
11月24日に収録した、元文部科学事務次官の前川喜平氏による講演を録画配信します。「I(アイ)女性会議ひょうご」、「在日本朝鮮民主女性同盟兵庫県本部」が主催。これまでIWJが報じてきた前川喜平氏関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%89%8D%E5%B7%9D%E5%96%9C%E5%B9%B3
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【IWJ・Ch5】18:30~「再稼働反対!首相官邸前抗議」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5
「首都圏反原発連合」の呼びかけで開催される首相官邸前抗議を中継します。これまでIWJが報じてきた首相官邸前抗議関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E9%A6%96%E7%9B%B8%E5%AE%98%E9%82%B8%E5%89%8D%E6%8A%97%E8%AD%B0
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【IWJ・エリアCh3・京都】19:00~「立命館大学先端研公式イベント 鼎談 岸政彦・小川さやか・松尾匡『楽しい反緊縮──借金返さナイト』」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach3
登壇者に、経済学者・松尾匡氏、人類学者・小川さやか氏、社会学者・岸政彦氏らを招いて開催されるトークイベントを中継します。主催は「立命館大学大学院先端総合学術研究科」。
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■<ニュース・フラッシュ>
【1】外国人技能実習生をめぐる在ベトナム日本大使館の悲痛なメッセージ!人権侵害を悪化させ、少子高齢化対策にもならない入管法改正の愚!岩上安身「日本人が消滅する日」の再読を乞う!
11月28日、衆議院の内閣委員会で、共産党の塩川鉄也議員が、外国人技能実習制度について、同制度の「送り出し機関」の問題を質問しました。
※衆議院インターネット審議中継 内閣委員会(2018年11月28日)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/
冒頭で塩川議員は、菅義偉官房長官に対し、27日の衆議院での入管法改正法案の強行採決はあまりにもひどいのではないか、と問い質しました。「技能実習生に対する深刻な人権侵害がある時に、新しい(技能実習)制度をそのまま認めるわけにはいかない。こんなやり方で国民の理解を得られると思っているのですか」と塩川議員は続けました。これに対して菅官房長官は、「まあ、国会の中のことは政府が発言することは控えたいと思いますが、国会の議論で進んできたことだろうと思います」と他人事のように答弁しました。
さらに塩川議員は、在ベトナム日本大使館が、同大使館も後援した技能実習や留学に関するセミナーである「日越人材育成交流会inハティン」に寄せた、10月13日付けメッセージの一部を読み上げました。以下がその内容です。
「留学・技能実習の急増により問題も生じています。日越関係に影を落とすものです。技能実習生の失踪者数はワースト1位で、全体の半数以上をベトナムが占めています。不法残留者も年々増加しています。そして何よりも、犯罪の増加が問題です。昨年の刑法犯の検挙件数はベトナムがワースト1位で対前年68%増と大幅に悪化しています。
ベトナムの若者は夢や希望を抱いて訪日しており、決して最初から犯罪をしようと思って日本に行っているのではなく、犯罪をせざるを得ない状況に追い込まれています(中略)。ベトナム、そして日本において、悪徳ブローカー、悪徳業者、悪徳企業がばっこしており、ベトナムの若者を食い物にしています。ベトナムの若者の人生をメチャクチャにしています」
※「日越人材育成交流会inハティン」(在ベトナム日本大使館、2018年10月16日)
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/Hatinhjinzaiikuseikoryukai.html
この在ベトナム大使館メッセージには「送出機関は300以上あります。残念ながら良い会社だけでなく、悪徳機関もあります。決して、2億ドンを超えるような多額な手数料を払って、訪日するようなことがないように気をつけてください。悪徳機関にだまされないでください」とあるように、制度の内部に問題を抱えていることがわかります。塩川議員はこの点についても外務省側に質問しました。
しかし、外務省の高橋(※)克彦大臣官房審議官は、在ベトナム大使館が何をもって悪徳と言っているのか、根拠をもちあわせていませんが、悪徳と思われる業者の情報はベトナム政府に提供しております」と繰り返すのみでした。
(※)外務省のホームページによれば、機種依存文字のはしご高。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/meibo/list.html
こうした事情に鑑みても、現状のまま何の対策もなく外国人労働者の受け入れ数を増大させることは極めて危険なことが容易に想像できます。ベトナム大使館が発した悲痛なメッセージを深刻に受け止める必要があります。
その上で考えなければならないのは、技能実習制度という形で事実上の単純労働に従事する外国人労働者をいつまで、どの程度の規模で受け入れれば、政府や財界は気が済むのか、という問題です。すなわち、在留資格を拡大した入管法改正(11月27日に衆議院本会議を通過)を歓迎している、「少子高齢化を背景にした労働力不足に悩む産業界や地方自治体」(※)の要望を満たす水準で外国人労働者を受け入れる、というのはどのような事態なのか理解しておく必要があります。
※外国人就労拡大、閣議決定 地方、人手確保に期待感 都市部と競争懸念(毎日新聞、2018年11月2日)
https://mainichi.jp/articles/20181102/ddf/041/010/014000c
この点は岩上さんが今から15年前の2003年の時点で、少子高齢化による労働力不足を外国人労働者の受け入れで解消することは不可能であるとすでに指摘しています。まず、経済企画庁が1997年9月に公表した「高齢化の経済分析」を引いて岩上さんは、年金受給開始年齢を65歳、0~5歳人口の保育所在所率が横ばいである場合、2025年までに年間40万人ずつ、2050年までは年間60万人ずつ生産年齢人口が減少していくという想定を紹介します。その上で、60万人というのは、在日の韓国人、朝鮮人、台湾人の総数に匹敵すると述べています。
2003年当時のこの視点は、現在でも妥当であり、法務省「国籍・地域別 在留資格(在留目的)別 在留外国人」(2017年12月)によれば53万8246人となっています。年間60万人の減少ですから、もし労働力不足を外国人労働者の受け入れによって解消したいのなら、在日の韓国人、朝鮮人、台湾人の総数と同規模の外国人を毎年毎年受け入れる勘定になります。この規模で毎年のように外国人を受け入れることが、非現実的であることは間違いありません。
※岩上安身「日本人が消滅する日(6)」『正論』第368号(2003年3月)241-243ページ
なお、上記の岩上さんの論稿は、今年6月18日、7月1日に行われた岩上さんによるエコノミストの田代秀敏氏への日本経済編インタビューの準備にあたっていた、不勉強なIWJスタッフが資料として発見し、驚いていました。そのスタッフは、「2003年当時に対策していれば良かったですね」と呆然としていました。しかしそれを聞いた岩上さんは、「確かにもっと早くすべきだった。今やほとんど手遅れに近いけれども、それでも今からでも対策を始めないと大変なことになる。日本が終わってしまう」と人口問題について危機を持つことの重要性をスタッフに語りました。その岩上さんが2003年に提唱した対策とは次の通りです。
・妊娠・出産コストを軽減する。多子(3人以上)家庭希望者に支援を!
・子ども手当を、0歳から高校を卒業するまで、一部の富裕層を除いて支給する。一人親家庭への支援と貧困の解消。
・離婚リスクへのセーフティネットを拡充する。
・養育費支払い義務の履行、離婚後のDVを防ぐための、養育費を立て替え払いし、取り立てる公的機関を設置する。
・共働きを支える病児保育施設を拡充する。
・予備校、大学通学にかかる費用負担を軽減するための無利子奨学金の拡充。また教育費は所得税の控除対象にすべき。
・多子家族の子育てを支援する公営住宅制度を設ける。
このテーマは、7月1日の田代氏へのインタビュー終盤で取り上げました。ぜひ、下記URLよりご視聴ください。延期となりました、中国経済編第3弾もいずれ必ずインタビューを実現し、配信しますので、どうかご支援のほどよろしくお願いします!
※失敗したアベノミクス・異次元金融緩和の副作用!? 人口減少にも関わらずバブル化する不動産市場・サブリース契約の地獄!~日銀が発表した英語論文の謎に迫る!岩上安身が田代秀敏氏に7.1インタビュー第2弾! 2018.7.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/426176
【2】現実離れした日本の空母保有計画! それを煽る国策映画! その裏には莫大な軍事利権が!
政府の空母保有計画にあわせて、2019年に、かわぐちかいじ氏の漫画「空母いぶき」の実写映画が全国公開されます。これは、沖縄の先島諸島に中国が侵攻し、この海域で日中が空母を中心に戦うというシナリオです。
※映画『空母いぶき』公式サイト
https://kuboibuki.jp/
政府は、12月中にまとめる新たな「防衛計画の大綱」に、海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化と「いずも」に搭載する最新ステルス機「F35B」の導入を明記する方向です。
※「いずも」空母化やF35B導入、防衛大綱に明記へ=関係者(REUTERS、2018年11月27日)
https://jp.reuters.com/article/izumo-f35b-idJPKCN1NW0PL
典型的な攻撃兵器である空母の保有計画については、日本の「専守防衛原則」に反するという批判が従来から出ています。
※日本、護衛艦を航空母艦に…自民党が「改造提案書」作成(ハンギョレ、2018年3月20日)
http://japan.hani.co.kr/arti/international/30085.html
※「いずも」戦闘機搭載、空母化へ 政府、防衛大綱に明記調整(東京新聞、2018年11月27日)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018112701001332.html
11月20日に日本政府が提出した防衛大綱の骨子によれば、我が国防衛の基本方針として「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないといった基本方針等の下、今後も平和国家としての歩みを決して変えることはない」と謳っていますが、攻撃型兵器である空母を保有することは、明らかに、この方針と矛盾します。
※防衛計画の大綱(盛り込むべき主な要素について)(防衛省、2018年11月)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/anzen_bouei2/dai5/siryou3.pdf
また、防衛大綱の骨子では、「我が国を取り巻く安全保障環境の概要(1)」の中では、大半を割いて尖閣諸島周辺海域での中国艦船と艦載機の活動について説明し、この海域の防衛をテーマ化しています。
2019年公開の映画『空母いぶき』では、まさに、この海域への中国の軍事侵攻を描いているのです。空母「いぶき」は空母「いずも」を意識しているのは間違いないでしょう。
映画はこの海域での日中の空母競争を反映したものです。
※日中の航空母艦対決、ついに現実化?(ハンギョレ、2018年5月15日)
http://japan.hani.co.kr/arti/international/30586.html
しかし、そもそもの根本に立ち返って考えてみましょう。今、空母の時代なのでしょうか?
そうではないはずです。安倍政権が煽った「北朝鮮危機」で、明らかになったように、「ミサイルの時代」です。空母や艦載機を保有するよりもコストが安く済み、破壊能力の高いミサイルの攻撃を受ける時代において、敵のミサイル射程範囲内の洋上に高価な空母(1隻1兆円)を保有することにどれほどの意味があるでしょうか。
トランプ大統領の側近のピーター・ナヴァロ・カリフォルニア大学アーバイン校教授は、著書の『米中もし戦わば』(文芸春秋、2016年)の中で、中国が「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイルを開発したことに触れて次のように述べています。
「中国の『対艦弾道ミサイル』の登場は、アジアにおける力の均衡全体をひっくり返しかねない衝撃的な出来事である」
さらに、「空母キラー」の価格について「中国大陸から発射される対艦弾道ミサイル(空母キラー)や高速双胴船から発射される従来型の巡航ミサイル一発の価格は数百万ドル(数億円)だが、そのどちらも、一隻100億ドル(約1兆1400億円)のアメリカ空母を破壊するだけの能力を持っている」と述べています。
この「空母キラー」という非対称兵器は、中国のA2AD (接近阻止・領域拒否)戦略に組み込まれています。A2AD (接近阻止・領域拒否)戦略とは、海・空作戦を主軸として展開され、米軍が当該地域に侵入することを忌避するレベルまでリスクを高めるものです。A2(接近阻止)は地上基地を基盤とする兵力を対象とし、AD(領域拒否)は海軍力を基盤とする兵力を対象としています。この中国のミサイル戦略とその脅威について、ナヴァロ教授は次のように述べています。
「最大の問題はおそらく、中国のミサイルの脅威が増大することによって、アジアにおけるアメリカの戦力投射の支柱たる空母戦闘群と基地が(完全に破壊されるとまでは言わないまでも)弱体化しかねないことである」
日本の空母導入と、空母を中心とした映画を制作することについて、岩上さんは11月27日に次のようにツイートしています。
「空母戦なんてありえないのに。いつの時代の話なんだか。米軍が、中国軍はA2AD (接近阻止・領域拒否)戦略を取っている、とずっと前から騒いでいるのは、中国本土から発射されるミサイルで、何十兆円もする空母打撃群があっさり壊滅するとわかっているから。漫画は所詮漫画。現実とは何の関係もない」
※岩上安身のツイート(2018年11月27日)
https://twitter.com/iwakamiyasumi/status/1067335458374410240
そもそも、この空母戦が前提にする尖閣諸島周辺海域での米中戦争について、孫崎享・元外務省国際情報局長は、岩上さんのインタビューの中で次のように述べています。
「尖閣諸島周辺で米中が通常兵器で戦ったら米国は中国に負ける、とランド研究所が2016年に発表している」
そのロジックは「戦闘機単体の性能では、まだ米軍が上回るが、その米軍戦闘機が途中給油なしで飛び立てるのは嘉手納基地しかない。その嘉手納基地の滑走路を中国はミサイル攻撃できる。中国には、中距離弾道弾、短距離弾道弾、巡航ミサイル、対艦弾道ミサイル(空母キラー)など(日本列島全体を北から南まで射程におさめるミサイルが)1200発以上ある。それらをすべて防ぐ手立てはない」というものです。
※トランプ政権は11月6日の中間選挙を乗り切る!? 没落する帝国・米国と急激に台頭してきた中国との覇権争いの激動下で日本はどうすべきか!?~10.18岩上安身による元外務省国際情報局長・孫崎享氏インタビュー 2018.10.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/434122
空母の時代ではなく、明らかに「ミサイルの時代」なのです。
そうした現実を受け入れることのできない防衛省は、2016年12月12日に「DDH(ヘリコプター搭載護衛艦)の航空運用能力向上に係る調査研究」として、自衛隊が保有していない新種航空機を「いずも」型を活用してどのように運用できるかアイデアを公募しました。これを防衛産業でもある造船会社のジャパンマリンユナイテッドが受注しました。
※海上自衛隊が画策する「空母保有計画」その全貌がついに判明(現代ビジネス、2018年10月11日)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57907
※ジャパンマリンユナイテッドのHP
https://www.jmuc.co.jp/products/equipment/
また、空母「いずも」に搭載するF35Bは一機100億円超です。しかも、政府は、米国から最大100機追加取得する検討に入ったといいます。取得額は1機100億円超で計1兆円以上になります。
※F35戦闘機 最大100機追加取得へ 1兆円、政府検討(日経新聞、2018年11月27日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38215250X21C18A1MM0000/
空母幻想に浸って現実を見ない安倍政権と防衛省は、あたかも、大型戦艦幻想に浸って、艦載機での戦闘に時代が移ったことを理解できなかった旧連合艦隊の悪夢の再現のようです。さんざん金をかけたあげく、敗戦必至です。こうした現実離れした幻想の裏には、軍需産業の利権が食い込んでいるものと思われます。
【3】麻生太郎副総理の野望「水道民営化」に地方から反旗!? 新潟県議会では自民党を含む超党派の賛成で反対の意見書を可決していた!本日、参議院では水道法改正のための参考人質問!
2013年4月にワシントンのCSIS(米戦略国際問題研究所)で「日本の国営もしくは市営・町営水道は、すべて民営化します」とスピーチしたのは、麻生太郎現副総理でした。誰もが生きるためには欠かせない「水」までも外資に売り渡そうとする、危険きわまりない水道法改正ですが、安倍政権が働き方改革、カジノ法案などの悪法を次々と強行採決した7月の国会では、結局時間切れとなりました。そして、今期国会に持ち越されました。
日本では民営化に関しては、推進側からの「民営化によってムダがなくなる」「効率的になる」という漠然とした世論誘導が、市民の間での思考停止状態を招き、事実にもとづく議論が非常に希薄です。しかし海外では民営化の失敗を経て、再公営化が大きな潮流になっていることは、これまでIWJも報じてきたとおりです。
※水道の「民営化リスク」巡り意見続出 ~5時間集会、登壇者からは「市民の議論不足」憂う発言も 2014.8.24
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/164045
※民営化vs公営?! 2分化した議論より「蛇口の向こう」に関心を!市民参加で再公営化に成功したパリ市水道の実態をアン・ル・ストラ氏に聞く~水情報センター主催「みらいの水と公共サービス」 2018.2.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/412522
一昨日11月27日に外国人労働者受け入れ拡大のための入管法改正案を、わずか17時間という審議の後に可決した安倍政権は、いよいよ水道法改正に手をかけようとしています。しかし地方からは、水道法改正への反対の動きがいくつか出ています。
水問題ジャーナリストの橋本淳司氏によれば、福井県議会が9月14日に、新潟県議会が10月12日に、民営化目的の水道法改正案に反対する意見書を可決しました。新潟県議会では、自民党を含む超党派が賛成(公明党は反対)して意見書が採択されています。
※新潟県議会が、水道民営化を推し進める水道法改正案に反対する意見書
http://www.pref.niigata.lg.jp/gijichosa/1356904464325.html
新潟県議会の意見書ではコンセッション方式の導入について、「住民の福祉とはかけ離れた施策である」と断言し、「今般の水道法改正案は、すべての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営む権利を破壊しかねない」と、政府に対して水道法改正の断念を求めています。
水資源問題、水道問題に長く関わってきた立憲民主党の森山浩行衆議院議員に、水道法改正をめぐる今国会での状況について取材したところ、本日29日に、参議院本会議での参考人質問が行われるそうです。野党側からは前述の水問題ジャーナリスト、橋本淳司氏と、水道行政に関わる労組関係者が質問します。
今回、地方の自民党議員の中から反対の声が出ていること、また、あの産経さえもが民営化に疑義を唱えていることを受けて、「今回は与党議員の中でも迷いは大きいと思う。しかし参考人質問は、彼らにとってはしょせんアリバイに過ぎない」と森山議員は語りました。状況は、非常に逼迫しています。
※水道民営化に根強い抵抗感 料金高騰、水質悪化…海外では暴動も(正論、2018年11月4日)
https://www.sankei.com/life/news/181104/lif1811040037-n1.html
水道民営化に関して、これまでIWJが報じてきた記事は下記URLをご覧ください。
※民営化で水道料金が暴騰!? 安全管理と監督強化にも限界が――岩上安身による立命館大学特任教授・仲上健一氏インタビュー 2017.3.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/368940
※食い物にされる水道民営化・ダム・治水――国富を売り渡す安倍政権の水政策の裏を暴く!岩上安身による関良基氏インタビュー 2017.4.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/375521
※民営化の失敗踏まえ再公営化に向かう世界の潮流に日本は逆行?「このタイミングで水道民営化を急ぎたい人たちがいる」立民・森山議員が警鐘~アン・ル・ストラ前パリ市副市長と市民・議員が意見交換 2018.2.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/412577
■<お知らせ>
■今期がスタートした8月1日から11月26日までのご寄付・カンパの目標達成率は75.6%。目標の4分の3のご寄付は寄せられました。ありがとうございます。ですがまだまだ目標額を下回っており、気が抜けません。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いします!
いつもIWJをご支援いただき、本当にありがとうございます。11月1日から26日までのご寄付・カンパは202件、514万7700円となっています。11月は今期に入って初めて1か月分の目標額を達成することができました!私たちのご支援の呼びかけに応じてくださった皆様、本当にありがとうございます。
ですが、まだまだ油断はできません。今期がスタートした8月1日から11月26日までのトータルのご寄付・カンパの目標達成率は、まだ75.6%にとどまっております! ようやく4分の3までたどりついた、というに過ぎません。現状ではまだまだマイナスです。
IWJでは年間を通じて、ご寄付・カンパが目標額に到達することを前提に予算計画を立てており、収入が見込みよりも落ち込むと人件費を含む支出が大赤字となり、IWJが存続できなくなる可能性があります。日本の民主主義の危機、そしてIWJ存続の危機を乗り越えられるよう、どうかご支援のほどよろしくお願いいたします!
※ご寄付・カンパのご支援はこちらからよろしくお願いいたします。
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それでは本日も1日、よろしくお願いいたします!
IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、小野坂元、上杉英世、中村尚貴)
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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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