2013年1月31日（木）14時30分から、神奈川県横浜市中区の神奈川県庁で「黒岩祐治神奈川県知事 定例記者会見」が開かれた。入札によるPPS（特定規模電気事業者）からの電力調達を発表したほか、政府の2013年度予算案にも触れ、「安倍総理の並々ならぬ、『景気を回復させる』という強い意欲が表れた予算だったのではないか」と言及した。

• 日時 2013年1月31日（木）14：30～
• 場所 神奈川県庁（神奈川県横浜市）

　冒頭、黒岩知事は新たに85カ所の県施設（知事部局・教育委員会）で、PPSから電力を調達することを報告し、「電気料金の節減額は約6600万円。また、平成24年10月から、すでに県立学校160校がPPSと契約しているので、平成25年度は、272の県施設のうち、9割に当たる244施設にPPSを導入し、警察本部の1施設と合わせて約1億5000万円の電気料金を削減する」と説明した。

　平成24年度の電力入札では、「東日本大震災以降の電力供給不足の影響から、多くの施設で入札が不調となった」ことを明かし、PPSから電力を調達したのは2つの施設にとどまったと報告した。さらに、「そこで、電力問題を根本的に見直そうということで、PPSにヒアリングを実施した。その結果を受け、PPSが入札に参加しやすい環境を整備した」という経緯を語った。　

　具体的な取り組みとして「グルーピングによる一括調達」を挙げ、「これまでPPSがあまり入札に参加しなかった小規模施設をまとめて、一定の契約規模を確保することによって、小規模施設でもPPSと契約できるよう工夫をした。また、グループ編成は、夜間の電力使用量が多い施設と少ない施設を組み合わせ、夜間の電力使用率を平準化した。これにより、夜間の電力供給量が少ないPPSが入札に参加しやすいよう配慮した。さらに、契約書の作成や支払いなどの手続きをグループごとに一本化し、事務の効率化を進めた」と説明した。

　さらに、入札時期についても、「PPSが新年度における電力供給量を見通しやすいよう、例年2月に行われる入札時期を1月に前倒しした」ことを明かし、「『金がないときは知恵を絞れ』と、散々言ってきたけれども、しっかり知恵を絞った結果、PPSの電気調達が圧倒的に増えて、合計1億5000万円の電気料金削減になった」と笑顔を見せた。

　その後、「平成24年度かながわ地球環境賞」「第3回かながわ地球温暖化対策大賞」「神奈川県バリアフリー街づくり賞」の受賞者を発表したほか、2月は中小企業の活性化を推進するイベントを集中的に展開することを報告した。

　質疑応答では、PPSからの電力調達について質問が出た。黒岩知事は大幅な節減が達成される点に関して、「よく部局の担当者ががんばったと思う」と評価した上で、「1億5000万円も電気料金が安くなるというのは大変なこと。こうやって捻出してくれた財源を、しっかりと重要施策に使いたいと思っている」と口にした。

　政府が地方公務員の給与削減を要請したことについて意見を問われると、「われわれ神奈川県は積極的に行財政改革に取り組んできた。人件費の総額も一所懸命に落として、努力をしてきた。しかし、そういったことをまったく顧みられずに、全国一律に地方公務員の給与を下げるのは、大変、遺憾だと思っている」とコメント。その一方で、「ただ、その削減する分を、災害対策や経済のエンジンを回すことに振り分けるということだから、今はその部分に期待したい」とも語った。

　続けて、29日に国の2013年度当初予算案が閣議決定されたことに関して見解を求められると、「安倍内閣が積極的な財政対策などを行おうとしている中で、『昔の自民党に戻るのではないか』という懸念の声も出ているようだ。当時は私も取材者の一人だったが、その時の実感としては、工事をすることが目的だという公共事業があったのではないかと思う。工事をすれば当然、そこに仕事が生まれる。それによって経済が活性化されたように見えるということ。昔は確かにそういったこともあったと思う」と答えた。

　その上で、「少なくとも、私たちが国に要望している道路は、そんなものではない。神奈川県が国土交通省に陳情した道路の整備は、経済のエンジンを回すためである。また、防災に対して非常に意義がある」と強調。また、「今回、公共事業にも予算をしっかり使うということであるから、われわれの要望が実現しやすくなった環境になったのではないか。その点は評価したい」とも付け加えた。