福島第一原発タンク堰外側でベータ線・毎時35ミリシーベルトを観測、過去の漏洩との関係は不明、継続調査中 ~東電定例記者会見 2015.3.12

記事公開日:2015.3.12取材地: テキスト動画
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 2015年3月12日17時30分から、東京電力で定例記者会見が開かれた。福島第一原発H4タンクエリア外堰の外側で、β線で最大35mSv/hを観測した。3年前にタンクから汚染水が漏洩した箇所だが、それとの関係は調査中でいまだ漏洩の原因は判明していない。

■全編動画

H4タンクエリア二重堰の外側で最高ベータ線35mSv/hを検出

 H4タンクエリアの二重堰の外側から、ストロンチウム90が約100Bq/L超の溜り水、約400トンが漏洩した。3月10日のパトロールにより発見されたもので、東電は9日から10日にかけて漏洩したとみている。

 二重堰の内堰、外堰にはそれぞれ雨水が溜まっている。それぞれの溜り水を核種分析した結果、内堰側の全βは最大960Bq/L程度。一方、外堰側では全βが1900から8500Bq/Lの箇所があったという。さらに、タンク水位に有意な変化がないことなどから、タンクからの漏洩ではないと東電は判断した。

 同時に周辺の線量を測定したところ、2012年3月に汚染水漏洩のあった箇所付近で線量が高く、最大でベータ線が約25mSv/h、ガンマ線で約0.12mSv/hの箇所があることが発覚した。

 2012年の漏洩事故の際、漏れた汚染水がしみこんだ周辺の土壌箇所は、新たな土壌をかぶせ遮蔽し、線量を約1mSv/h程度まで下げていたという。その後、当該箇所の線量は測定しておらず、今回の外堰からの漏洩の原因調査の一環として測定したところ、高線量であることが分かった。

 高線量になった原因や、いつから高線量なのか、今回の外堰からの漏洩との関係、過去の漏洩との関係等はまだ分かっておらず、東電は引き続き調査を続ける構えだ。

 なお、当該の高線量箇所は、通常の作業やパトロールでは通らない場所と東電は考えているが、把握できていなかった高線量箇所が見つかったことから、現場作業員に与える不安感は大きいと思われる。漏洩トラブルも相次いでいることから、東電には今後一層の誠実な対応が求められる。

海側遮水壁、残っていた鋼管矢板菅の止水工事を再開

 原子炉建屋の沖合、開渠内の部分に、約400枚の鋼管矢板を打ち込んだ”海側遮水壁”が設けられている。版円筒型の矢板を並べて打ち込み、隣の矢板との間は、かみ合わせた後、モルタルによる止水工事を行っている。ところが、止水工事が未実施のまま放置されている箇所が、25か所もあることが発覚した。東電は、設置工事を行った際、工事工程の関係で中断していたと説明している。機材や人手等の準備が整ったため、3月13日より工事を再開する予定だという。

 海側遮水壁は、4号機の沖合部分で、矢板約9枚分の間隙がある。地下水が流入し、水位が上昇して壁を乗り越える恐れがあるため、意図的に開けたままにしている。この部分については、関係者への説明、理解を得てから打設工事を行う予定。現状では、いつできるかのスケジュールは未定だ。

 東電は、サブドレンピットによる地下水の汲み上げ、浄化、海洋放出により、建屋への地下水流入を低減できた後で、海側遮水壁の間隙を閉じる計画だ。しかし、排水路の分析結果が未公表であることなど、情報公開姿勢に対する不信感が高まっており、サブドレンピットの本格運用の見通しは立っていない。

 当面では、海側遮水壁の間隙部分は、開放したままだ。かろうじてシルトフェンスでガードしているというのが東電の考えだという。

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以下、東京電力ホームページより、リンクを表示

報道配布資料

2015年3月12日

2015年3月11日

2015年3月10日

プレスリリース

2015年3月12日

2015年3月10日

福島第一原子力発電所の状況について(日報)(東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響)

道関係各位一斉メール

2015年3月12日

2015年3月11日

2015年3月10日

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