【IWJブログ】「アイヌ民族なんていない」 暴言の金子快之札幌市義が不処分 過去には反中・反韓を煽るツイートも 2014.8.19

記事公開日:2014.8.19 テキスト
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※8月20日(水)に記事内容を一部加筆しました。

 札幌市議の金子快之(やすゆき)氏が自身のTwitterに、「アイヌ民族なんて、いまはもういない」と8月11日に投稿し、波紋が広がっていた問題で、金子氏が所属する自民党・市民会議は、8月18日、金子氏から事情を聴いたうえで、処分しない方針を決めた。「(Twitterでの投稿は)個人的な見解であり、問題ない」というのが、その理由であるという。

  「アイヌ民族いない」書き込み問題 金子札幌市議を処分せず 自民会派「個人的見解」(北海道新聞、8月19日)※該当ページ削除

 金子氏は8月11日、Twitterに「アイヌ民族なんて、いまはもういないんですよね。せいぜいアイヌ系日本人が良いところですが、利権を行使しまくっているこの不合理。納税者に説明できません」などと投稿していた。

 この投稿に対して多くの批判の声が寄せられたことを受け、金子氏は自身のブログで釈明を行っている。それによると、北海道大学の図書館で平凡社版の「世界大百科事典 第二版」で調べたところ、以下のような記述があったという。

 「今これらの人々は一口にアイヌと呼ばれているが、その大部分は日本人との混血によって本来の人種的特質を希薄にし、さらに明治以来の同化政策の効果もあって、急速に同化の一途をたどり、今はその固有の文化を失って、物心ともに一般の日本人と少しも変わることがない生活を営むまでにいたっている。したがって、民族としてのアイヌは既に滅びたといってよく、厳密にいうならば、彼らは、もはやアイヌではなく、せいぜいアイヌ系日本人とでも称すべきものである」

 自民党会派の村山秀哉幹事長によると、聴き取りの際に金子氏はこの百科事典の記述を引用した上で、「民族の歴史、文化を否定するものではない」と説明。村山幹事長は「文献を引用しており、問題ない」と判断したという。

 しかし、金子氏が引用した平凡社の「世界大百科事典 第二版」は、「差別を助長しかねない」などの指摘をうけ、2007年版から改訂されている。金子氏は、改定前の記述を引用したことになり、これでは説明責任をはたしたとは言えない。改訂版の平凡社「世界大百科事典」では、上記の記述は削除され、以下のように記されている。

 「97年には<アイヌ文化振興法>が制定され、文化の復興や人々の理解促進のための事業が展開された。そこには皮肉なことに観光地で受け継がれた伝統文化の知識や技術も生かされているが、同法で定義されるアイヌ文化が根本的に和人の目を通して見た<伝統文化>であり、現在のアイヌ生活とはかけ離れたものであるという問題点も含む。北海道内の観光地には今もアイヌが存在し、創作劇や工芸作品など、伝統を踏まえて生み出される新たなアイヌ文化を見ることができる」

 金子氏は他にも、Twitterで、中国や韓国を攻撃するような投稿を繰り返している。7月11日には、中国や韓国から友好代表団が札幌市を訪問したことをうけ、「札幌市役所に中国の五星紅旗が掲げられています。『ついに占領されたか?』と思ったら、中国の友好代表団が来られているそうです」、「またもや、札幌市役所に韓国国旗が掲げてありました。いったい札幌はどうなってしまったのでしょうか。強く正しい札幌を取り戻さなければなりません」などと投稿している。

 アイヌ民族については、2008年、当時の福田康夫政権時、衆参両院が「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を全会一致で可決し、町村信孝官房長官が、アイヌ民族を「先住民族」と認定する談話を発表した。このことにより、北海道はアイヌ民族に対して、貸付制度や奨学金制度を設けている。金子氏の「アイヌ民族なんて、もういない」という投稿は、貧困といわれなき差別を強いられてきたアイヌ民族を「先住民族」として認定し、保護する制度を決めている国の方針と、真っ向から反対することになる。

 8月17日付けの毎日新聞は、北海道アイヌ協会・阿部一郎副理事長の話として、「いつアイヌがいなくなったのか教えてほしい。国も先住民族と認め、復権に向けて歩んでいるなかで、議員としてあまりにも不勉強で歴史を踏みにじる発言だ。国際的にも恥ずかしい」とする反発の声を伝えている。(札幌市議:「アイヌはもういない」 ネットで自説 毎日新聞、8月17日)

 IWJは、昨年8月、アイヌ民族問題について、旭川市博物館の瀬川拓郎氏、北海道アイヌ協会の竹内渉氏、アイヌ民族博物館館長の野本正博氏へのインタビューシリーズを、連続で配信した。

 『アイヌ・エコシステムの考古学』などの著書がある瀬川氏はアイヌ民族が歴史的に形成してきた経済システムについて、竹内氏は北海道開拓史におけるアイヌ民族に対する差別の歴史について、野本氏はアイヌが形作った豊かな文化的遺産について、それぞれ思いを込めて語った。

 インタビューは、それぞれ以下のURLから視聴できるので、ぜひ、ご覧頂きたい。

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“【IWJブログ】「アイヌ民族なんていない」 暴言の金子快之札幌市義が不処分 過去には反中・反韓を煽るツイートも” への 3 件のフィードバック

  1. 納税者に説明できない不合理か? より:

    金子快之札幌市議の主張とこれを個人的見解として事実上容認支持する札幌自民会派の姿勢を拝読しました。
    自民会派が、金子さんの暴力的な言葉を容認して「まとまっている」としたら、それは「和」に基づくものでなく「束、すなわちファシズム」によるもの、と考えるのは比較的合理性があると思いますよ。

  2. 居残り佐平次 より:

    「強く正しい札幌」って・・・これは頭が痛いですね。「取り戻す」ってどっかの総理大臣の受け売りでしょうか?
     

  3. 勇ましいけど浅ましい人 より:

    一見勇ましいが、本当に立派な人なのかどうかは別ですよ。AIRDOを立ち上げたというが、その後の会社の顛末に責任を感じ、粉骨砕身した人なのだろうか。彼の社内評価・人望はどうだったのだろうか。自分より能力がないと見るや、嵩に懸かる人にしかみえないのだが・・・たぶん。サラリーマン時代を知る人の人物評を聞いてみたいものだ。

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