日刊IWJガイド 「煮え切らない岡田・民主に地方がしびれを切らした!? 鳥取県で民主党の集会に共産党議員が異例の参加! 岩上安身の独自取材では民主党執行部『やる気なし』 野党の支持率低迷でどうする参院選!」2015.11.11日号~No.1155号~


■■■ 日刊IWJガイド 「煮え切らない岡田・民主に地方がしびれを切らした!? 鳥取県で民主党の集会に共産党議員が異例の参加! 岩上安身の独自取材では民主党執行部『やる気なし』 野党の支持率低迷でどうする参院選!」2015.11.11日号~No.1155号~ ■■■
(2015.11.11 18時50分)

 おはようございます。IWJの原です。

 煮え切らない「中央」にしびれを切らしたかのように、「地方」が動きを見せました。

 安保関連法の撤回を求める「鳥取西部怒りの大決起集会」が11月6日夜、米子市の米子駅前広場で開かれました。主催は民主党や連合鳥取西部地協などの実行委です。

 実行委は今回、共産党に対して初めて正式に参加を呼びかけ、福住英行西部地区委員長や県議、市議らが出席。安保法問題での民主・連合系の集会に共産党が正式に参加するのは県西部で初めてだといいます。

 民主・連合の地方組織の元々のルーツは、かつての社会党と総評ですから、民主・連合(社会党・総評)と、共産党との溝は深くて長かったんだなぁ、と改めて思い知ります。両者を、ひとまとめに左翼扱いして終わり、という人は珍しくありませんが、そんなもんじゃなかったんですね、両者のよそよそしさは。

 だからこそ、「個々の政策の違いを乗り越えて、安保法制廃止と立憲主義の立て直しのために共闘を」という共産党の志位さんの呼びかけは、実に思いきった提案だったわけですね。歴史を知らないと、今の出来事の意味もわからないもんだなぁ、と31歳の僕は深くうなづく次第です。

※毎日新聞「安保関連法:民主集会に共産初参加 撤回求め2000人 米子 /鳥取」
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20151107ddlk31010646000c.html

 基調講演には、共産党を含めた野党連合の必要性をいちはやく訴えた憲法学者・小林節慶応大名誉教授が登壇。

 「戦争の危険があるのに私たちは幸せになれない。来夏の参院選で野党が共闘すれば、ねじれ国会を実現できる」と共闘を訴えました。小林節さんは、まだ共産党が提案をする前から、「共産党を含めた野党共闘が必要だ」と訴えていました。岩上さんのインタビューを、ご覧ください!

※2015/07/16 安保法制「予定通り」の衆院突破 小林節氏が岩上安身のインタビューで「共産党を入れた野党連立」を提言!自民党を牛耳る日本会議は「おかしな人たち」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/253214

 会場には連合傘下の労組旗のほか、民主党と共産党の党旗、共産党支持団体の旗が林立し、「国会勢力の地図を塗り替える」というアピールを採択したということです。気合入っています。

 さて、来夏に参院選が控え、共産党が提案した「野党連合」の行方に、地方でもこうして注目が集まっているわけですが、民主党・岡田克也代表などは、共産党との連携についてこれまで何度聞かれても、「国民連合政府構想は、ハードルが高すぎる」などと、一貫して拒否反応をみせています。

 一ヶ月前は、僕も、「まあ、新しい試みは急にできるものではないし、党内の様子を見ながら、徐々に共闘の方向にもっていくんじゃないか」などと様子を見ていたのですが、ひと月経っても岡田代表の言うことに何の変化もなし。

 「え、これじゃ、このまま平行線で時間切れってこともあるんじゃないの?」などと最近思い始めていました。で、岩上さんに聞くと、「民主党の執行部は、共産党の提案に乗る気はほぼなし」ときっぱり。独自に取材して得た情報だそうです。「政治の世界だから、突然、豹変することもありうるが、少なくとも現時点では、まるでその気なし」ですと。

 党内には、確かにはっきりと「共産党とは組めない!」と言い切る議員もいます。どんな思惑や考えが「共闘」の邪魔をしているのかについては、同党右派の代表格である長島昭久議員が岩上さんのインタビューでふんだんに語ってくれていますので、どうぞご参照ください。

※2015/10/06 共産党捨身の「野党共闘」に反対し「7.1閣議決定による解釈改憲」を合憲と主張する民主党右派・長島昭久議員にインタビュー!日本会議、櫻井よしこ氏、アーミテージとの関わりも直撃!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/268897

 長島さんは、政権交代した時は民主党が右の票をとった時だ、と岩上さんのインタビューに答えて言いましたが、あれ、そうでしたっけ? 小泉内閣の構造改革路線、新自由主義路線にNO!と言った人が大半を占めていたように記憶しているんですが。

 その後、政権を取ったあと、民主党は鳩山・小沢氏の路線を転換して、自民党とすっかり変わらない政党になったんじゃありませんか? 民主党は右に寄りましたが、その結果、支持者は激減し、選挙は連戦連敗を重ねてきたじゃありませんか。

 経団連に誉められ、アーミテージに頭を撫でてもらえるような第二自民なんていらない、そういう有権者が多々いて、2009年のリーマンショック後の政権交代を実現したんじゃありませんか?

 とにかく、このままでは参院選は、共産党が単独で票を伸ばすだけで、野党全体としては大敗を喫する可能性が高いかと思われます。一昨日NHKが発表した世論調査から、各政党の支持率を見てみましょう。

 ▽自民党 37.1%
 ▽民主党 8.4%
 ▽公明党 3.4%
 ▽維新の党 0.5%
 ▽共産党 4.1%
 ▽おおさか維新の会 1.1%
 ▽社民党 0.5%
 ▽生活の党と山本太郎となかまたち 0.3%
 ▽「特に支持している政党はない」 36.3%でした。

※「NHK世論調査 各党の支持率」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151109/k10010299551000.html

 野党の支持率が「焼け野原」状態です。民主党は維新の党との連携をやけに一生懸命模索しているようですが、維新の党の支持率なんて0.5%ですよ? 民主党の8.4%と合わせても9%に満たないわけです。「誤差」の範囲です。そこに社民、生活を足しても10%には達しません。

 共産党は4.1%ですから、いまや民主党の2分の1ほどの支持を集めているわけです。喉から手がでるほどほしい数字ではないのでしょうか。そして一番大きな票田である「特に支持している政党はない」の36.3%。これらを取り込むには既存の煮え切らない民主党スタイルでは難しいのではないでしょうか。

 岡田代表をはじめとする民主党執行部は、「共産党と組むことで保守層を逃がす」と考えているとも聞きますが、実際に失ってまずいほどの支持が、保守層から得られているのでしょうか。激しく疑問です。

 他方、橋下徹大阪市長率いる「おおさか維新の会」は1.1%ですが、すでに共産党に次ぐ野党勢力となっています。ここはもう改憲の勢力として「与党」にカウントしてもいいでしょう。自公と合わせて41.6%となります。

 この勢いを維持したまま、選挙に突入すれば、参院で改憲勢力が3分の2の議席を取ることは十分に可能に思えます。すでに衆院の3分の2は自公で占めているので、「改憲発議」がいよいよ現実のものとして迫ってきます。そして、その時にかけられる憲法草案は、例のアレなんですよ。なんでこのおぞましい現実が目に入らないんでしょうか? もう目の前にぶら下がっているんですよ、例のアレが。

 TPPにも辺野古新基地建設にも日米同盟の深化にも集団的自衛権にも新自由主義の問題にも煮え切らない態度で右往左往しているのが民主党です。本当に残念です。

 「いくつかの政党の偉い方が、したり顔で『基本政策の違う共産党とは一緒にやれない』とぬかしているが、万年野党にいるバカが政策政策と言ってどうするんだ」

 こういったのはやはり小林節さんですが、この言葉に、岡田さんたちはどう答えるのでしょう。

※2015/10/08 安倍政権による「戦争と弱肉強食」政治の終焉を、憲政会館で誓う! 773名の熱気に包まれた「オールジャパン平和と共生」総決起集会
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/269520

 煮え切らない岡田さんたちを置き去りにし、鳥取で集会を開いた地方議員の判断に、きちんと目を向けてみてはいかがでしょう。もしかしたら、いろんな地方が今後、鳥取の動きに続くかもしれません。となると、動きの鈍い執行部もさすがに腹をくくるかもしれませんね。今後の動きに注目です。

※ここから加筆箇所

■「この憲法には日本の歴史伝統文化、その香りを感じさせるものは微塵もない!」改憲推進団体が武道館で大集会! 安倍総理もビデオメッセージで「ともに着実に歩を進めて参りましょう」

 本日20時より、「美しい日本の憲法をつくる国民の会主催 今こそ憲法改正を!武道館一万人大会」を録画配信します。

 11月10日の衆院閉会中審査で安倍総理は「(憲法改正の)数をそろえるために衆参両院で大勝する」「緊急事態条項からやる」と憲法改正を目指すことを改めて明言し、翌11日の参院予算委員会の閉会中審査では、「緊急時に国民の安全を守るため、国家、国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」と述べ、「緊急事態条項」の新設が重要なテーマになるとの考えを示しました。憲法改正を本気で実現するつもりです。

 他方で、衆院で閉会中審査が行われた10日には、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(実態は日本最大の極右団体・日本会議)が日本武道館で「今こそ憲法改正を!1万人大会」を開催。会場には、11000人を超える市民や議員などが集まったとされています。

 国会で集会には出席できなかった安倍総理はビデオメッセージを寄せ、「憲法改正の手続きについては、第一次安倍政権で国民投票法が制定され、第二次安倍政権で宿題とされていた、投票年齢18歳への引き下げが実現しました」と述べ、改憲へと向けた環境整備の経過を誇りました。

 さらに、「『21世紀にふさわしい憲法を自らの手で作り上げる』その精神を日本全体に広めていくために、今後とも、ご尽力をいただきたいと存じます。憲法改正に向けてともに着実に歩を進めて参りましょう」と訴えました。

 集会には櫻井よしこ氏や百田尚樹氏も列席し、挨拶。また、ケント・ギルバートなる、その界隈では著名な人物も登壇し、「9条は、『あらゆる事態でも決して武力に頼らずに、平和的な交渉だけで国際紛争を解決できる』とか、『日本のやり方が世界中にひろがっていくよう憧れの的にしよう』とか、『憲法9条を世界遺産に』…妄想もここまでくると怪しい新興宗教のようです」などとまるで“ネトウヨ”のような挨拶を展開。会場は大爆笑、といった具合です。

 また、九州経済連合会名誉会長で九州電力株式会社相談役の松尾新吾氏は、「この憲法には日本の歴史伝統文化、その香りを感じさせるものは微塵もない!」と断じ、「9条2項、環境権、緊急事態から手を付けていくやり方もわからなくはない。しかし、そういうやり方で美しい憲法になるでしょうか!」と主張。つまり、一気に憲法をまるごと書き換えろ、ということですが、会場からは大きな拍手が沸き起こっていました。

 さらに、「心の底には、全部、憲法を変えてやるんだという気持ちを持ち続けたいと思います」とも宣言しました。

 「おかしな人がいるなぁあはははは」と、笑ってはいられません。この会は、全国に「県民の会」という下部組織を持ち、現在、31都府県の地方議会で「憲法改正の早期実現を求める」決議がなされているといいます。この日の武道館にも約200人の地方議員が来場。会が集めている「改憲署名」に署名した国会議員数も422名にも達したということです。

 IWJをご覧の皆様には自民党改憲草案に批判的な方が多いかと思われますが、憲法改正へ向け、裏ではどういった動きが進行しているのか、是非、本日の配信をご覧ください。

【Ch4】
http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=4

※加筆箇所ここまで

■「TRUE DEMOCRACY」を着て街に出よう!

 支持率は0.3%しかありませんが、注目せずにはいられない「生活」。特に山本太郎議員の行動は目を見張るものがあります。安保法制の国会質問でも鋭すぎて、IWJの青木浩文記者が「大丈夫か? 太郎さん、殺されないだろうか?」と本気で心配していました。

 昨日、京都で街頭記者会見をした山本太郎議員はなんと、岩上さんが進呈したIWJの「TRUE DEMOCRACY」のTシャツを革ジャンのインナーとして着ていました!

※証拠画像
https://twitter.com/yokotaroj/status/664034566546452481/photo/1

 もちろんこの街頭記者会見の模様はIWJも中継しています!

http://www.ustream.tv/channel/iwj-kyoto1

 まさか本当に着てくれているとは…ちょっと驚きです。ちなみに、岩上さんが山本太郎議員にTシャツを贈呈した瞬間の映像はこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=EVE38FZPpto

 政治家の方ですから、ここであまりベタベタなことは言えませが、さすがもと俳優、超似合っています。といいますか、「TRUE DEMOCRACY」という言葉がこんなにぴったりくる人は、日本中探してもいないんじゃないか? とおもいます。全国を飛び回り、草の根に訴え続けている。永田町近くの寿司屋で仲良く高級な寿司をつまんでいる官邸の住人や大メディアの政治部のなんちゃって委員とは、全然違いますよね。

 皆さん、山本太郎議員とお揃いのTシャツはIWJ Webストアでご購入いただけます! みなさーん! 本当の民主主義って、常に草の根の民主主義ですよ! エリートや大金持ちや大企業や高級官僚が思う通りに支配していて構わないんだったら、民主主義なんて必要ないはずです。地べたから生えてくる草にこそ、主権がある。それが国民主権、主権在民じゃないですか。みなさーん、主権、手放しちゃ、ダメでしょ? 本当の民主主義Tシャツも、着てくださいねー! 特にブラックカラーは山本太郎効果で売り切れ必至!? お早めのご購入を!

※IWJ ストアはこちら!
https://iwj.co.jp/ec/products/list.php?category_id=3

(後半へ続く…)

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◆中継番組表◆
本日のIWJの中継番組表をお送りします。
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2015.11.11 Wed.**

【再配信・Ch1】16:00~「東シナ海ガス田開発と南沙諸島埋め立て問題『日中間の摩擦は外交で解決すべし』――『中国脅威論』を煽り安保法制を進める安倍政権の狙いとは 岩上安身が矢吹晋氏に聞く(前編)」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/255325
※2015年7月29日、岩上安身が矢吹晋氏へインタビュー。日本は今後、中国に対してどのように接していけばよいのか、そして、米国の世界戦略とはいかなるものか、お話をうかがいました。

【Ch5】18:00~「衆参予算委閉会中審査 ~『TPP絶対反対!命、暮らしを売るな!壊すな!永田町アクション』」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=5
※「TPPいらない!市民連合」が主催の「TPP絶対反対!命、暮らしを売るな!壊すな!永田町アクション」を中継します。

【IWJ_OSAKA1】18:45~「シンポ11・11『新しい大阪を創る』 ―コーディネーター 平松邦夫氏」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-osaka1
※「さらば維新政治中央区勝手連」が主催のシンポジウムを中継します。コーディネーターを務めるのは、第18代大阪市長の平松邦夫氏。

【録画配信・Ch6】19:00~「講演・元農林水産大臣 山田正彦さんが語るTPPの真実 ―TPPが暮らしを壊す―」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6
※2015年11月6日に収録した「講演・元農林水産大臣 山田正彦さんが語るTPPの真実 ―TPPが暮らしを壊す―」を録画配信します。第二部では、山田正彦氏と曽我逸郎氏(中川村長)によるトークセッションも行われました。

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◆明日の中継番組表◆

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

**2015.11.12 Thu.**

【Ch1】15:00~「岩上安身による社会民主党・吉田忠智党首インタビュー」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
※社会民主党・吉田忠智党首へ、岩上安身がインタビュー予定です。

【Ch2】17:30~「東京電力 定例会見」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=2
※東京電力による定例会見を中継します。

【Ch未定】17:30~「第二東京弁護士会主催・安全保障法廃止に向けた街頭宣伝行動」
※「第二東京弁護士会」が主催の、安保法廃止に向けた街頭宣伝行動を中継予定。

【再配信・Ch1】18:00(予定)~「東シナ海ガス田開発と南沙諸島埋め立て問題『日中間の摩擦は外交で解決すべし』――『中国脅威論』を煽り安保法制を進める安倍政権の狙いとは 岩上安身が矢吹晋氏に聞く(後編)」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=1
記事URL: http://iwj.co.jp/wj/open/archives/255325
※2015年7月29日、岩上安身が矢吹晋氏へインタビュー。日本は今後、中国に対してどのように接していけばよいのか、そして、米国の世界戦略とはいかなるものか、お話をうかがいました。

【IWJ_KYOTO】18:30~「『内田聖子TPPアトランタ閣僚会合緊急報告会』~TPPは『大筋合意』で終わりじゃない!」
視聴URL: http://www.ustream.tv/channel/iwj-kyoto1
※TPPアトランタ閣僚会合の緊急報告会を中継予定。内田聖子氏(アジア太平洋資料センター事務局長)が講師として登壇します。

【Ch未定】18:30~「第4回 公正な税制を求める市民連絡会学習会 反貧困の財政学 ―『救済』から『連帯』へ―」
※「公正な税制を求める市民連絡会」が主催の学習会を中継予定。講師は、埼玉大学准教授の高端正幸氏。

【録画配信・Ch6】20:00~「講演・元農林水産大臣 山田正彦さんが語るTPPの真実 ―TPPが暮らしを壊す―」
視聴URL: http://iwj.co.jp/channels/main/channel.php?CN=6
※2015年11月7日に収録した「講演・元農林水産大臣 山田正彦さんが語るTPPの真実 ―TPPが暮らしを壊す―」を録画配信します。

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(…前半の続き)

■大日本国憲法下の日本を再現するであろう自民党改憲草案の恐怖

 国民主権とか主権在民って、当たり前すぎて、もうその価値がわからなくなっているのかもしれませんね。空気とか水とか国民主権とか。想像できないかもしれませんが、じーっと考えてみれば、皆さん、わかるはずです。僕でもわかりました。国民主権、なくなったら大変ですよ。

 僕らの目の前にブラブラとぶら下がっていると先ほど書いた、目障りなアレの話なんですが。そうです、自民党改憲草案の話です。アレが出てくると、大切な大切な国民主権がなくなっちゃうんですよ。

 自民党改憲草案は、「憲法」を謳っていながら、名前だけで中身はなんちゃって憲法です。権力者を国民が制約するのが立憲主義。ところが自民党改憲草案には、その片鱗もありません。

 憲法を守らない自民党というアウトローが保安官を名乗り出して、「いいか、この町の住民の人権は認めてやるが、それはあくまで公の秩序のもとで、だ。誰が公の秩序を決める? それはこの俺様よ。なんかあったら緊急事態宣言で、人権も停止して、法律と同じ効力を持つ政令をバンバン出して、徹底的に言う通りにさせてやるからな。それから、俺の親分が『ショー・ザ・フラッグ!』とか、『プーツ・オン・ザ・グラウンド!』とか、言ったら、地球の裏まで行って戦争もおっぱじめるからな! お前ら全員、総活躍するんだぞ!」と吠えているようなものです。もう民主主義も法の支配もヘチマもありません。

 これが万が一本当に実現してしまえば、いや、民主党のダラ~とした緊張感のなさを見ていると、本当に実現してしまう気がひしひしとしてくるんですけど、非立憲的な「大日本帝国憲法モドキ」が現実と化し、我々は戦前の日本にタイムスリップするがごとく、「ありえない」体験をすることになることでしょう。

 大日本国憲法下では、主権は元首である天皇にあるとされていました。天皇は現人神(アマテラスの直系の子孫で、半分人間で半分神様)、そして国民は一人残らず、天皇の赤子(生まれたての赤ん坊)であって、現憲法下における基本的人権というものは認められず、あるのは天皇の臣下である「臣民」としての身分だけ。戦前、日本人は実は「国民」ですらなかったのでした。

 明治憲法は、天皇が主語で綴られ、「朕が現在及び将来の臣民はこの憲法に対し永遠に従順の義務を負うべし」と書かれています。天皇の臣民たる日本人は永遠に天皇主権の憲法に従え、と命じられていたんですね。いやはや。どこが憲法なんですか、これが。カルトも真っ青じゃないですか。僕は、この寒気がする事実を、『前夜』で初めて知りました。

 天皇主権と言いながら、実際には主に長州閥などで構成される陸軍などが実権を握り、彼らが天皇の権威を都合よく利用することで明治の初めからアジアへの侵略を繰り返しました。自国民の命を鳥の羽より軽いとし(鴻毛よりも軽し)、他国民の命はさらに軽く扱い、膨大な犠牲を払い、破滅的な戦争を突っ走って、悲惨な敗戦を迎えたのでした。

 元外務省国際情報局長・孫崎享さんが今年上梓された『日米開戦の正体』は本当に目からウロコでした。僕のまぶたに焼き付いていた映画「男たちの大和」で出てくるような「美しい戦争シーン」の数々が音を立てて崩れ去っていきました。

 1928(昭和3)年、関東軍が、当時満州で実権を持っていた張作霖を暗殺(張作霖爆殺事件)しました。もちろん、日本の軍部の仕業などとは言いません。中国側に罪を着せる「偽旗作戦」です。のちの満州事変のきっかけとなる柳条湖事件も「偽旗作戦」でしたが、そのプロトタイプとなるものでした。

 この昭和の大動乱の引き金となったこの事件、暗殺の手口が拙かったため、昭和天皇も「これは関東軍の仕業だ」と察知します。天皇は当時の田中義一首相(元陸軍大将)を呼び出し、調査を命じます。田中首相は「了解です。厳罰に処します」などと承っておきながら、結局、半年ほど引っ張ったあとに「関東軍の仕業ではありませんでした。うやむやにしましょう」などと持ちかけました。

 驚いた天皇は激怒し、田中首相に辞職を勧告します。この行為は当時の明治憲法でも違反行為だったそうですが、結局田中は辞職。後に死亡します。この一件で、陸軍が天皇に入れ知恵した天皇の側近らを「君側の奸」と呼ぶようになり、空気もギスギスするようになりました。以降、天皇は、仮に自分とは反対の意見でも、内閣が一致して持ってきた意見は常に「よろしい」と認めることにしたというのだそうです。

 国民には天皇の威光(御稜威=みいつ、と厳しく呼んでいたそうです)を振りかざしておきながら、裏ではしっかり政治利用していた、という仕組みです。軍部を含めた高級官僚集団が実権を握るのです。このあたりは、『日米開戦の正体』の出版を記念して行われた、岩上さんによる孫崎享さんインタビューで存分に語られていますので、是非、アーカイブをご覧ください!

※2015/08/03 日中の軍事バランスは核兵器を含めて1対100!? 「真珠湾攻撃の時と同様、戦争にはなり得ない」岩上安身のインタビューで孫崎享氏が「日米開戦の正体」を暴く!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/256172

 さて・・・自民党改憲草案は、第1条で天皇を「象徴」から「元首」にすることで、まさしくその御稜威(みいつ)を復活させようとしています。国民をたやすく統治するためにまたしても天皇を政治利用しようというわけですね。

 第4条では「天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない」としていますが、現憲法第4条では「この憲法に定める国事に関する行為“のみ”を行い…」となっているんです。「のみ」が抜かれたことで、やはり天皇の権限を拡張する意図があるとみていいでしょう。

 また、自民草案第6条4項 (天皇の国事行為等)では、これまで「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」だったのが、「天皇の国事に関する全ての行為には、内閣の進言を必要とし、内閣がその責任を負う。ただし、衆議院の解散については、内閣総理大臣の進言による」と書き換えられています。内閣の「助言と承認」から「進言」と変わったことで、上下関係が明確にされている、との指摘が多くあがっています。

 また、同じく第6条の5項として「天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う」という条文が新設されています。ここでいう「公的な行為」は4項の「天皇の国事に関する全ての行為」とは違い、内閣の「進言」など、内閣による手続的関与を明記していません。公的行為が無限定に行われるおそれがあり、運用を誤れば(いや、誤りではなくてそれこそが狙いなのでしょうけど)、天皇が政治利用される危険が高いとみられます。

 極めつけは、自民党改憲草案は国民のほうに憲法の尊重、擁護を義務付け、天皇の憲法尊重・擁護義務を取っ払ってしまっていることです。国民に主権があり、憲法を制定して王や貴族、政治家や官僚らに権力の行使について制約を課すのが、近代立憲主義国家のあり方です。自民党改憲草案が、立憲主義を転倒させてしまっている、と言われる所以です。

 他にもまだまだありますが、これだけみてもいかに自民党改憲草案が「大日本国憲法」に近いか、おわかりいただけると思います。

 まもなく、岩上さんが梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士とともに自民党改憲草案を逐条で読み解いた『前夜』の「増補改訂版」が、現代書館から発売される予定です。来夏の参院選前に絶対ゲットし、危機意識を高めていただければと思います。

■弱々しすぎる野党のTPP追及と与党の言い分を垂れ流すだけのマスメディア

 昨日、今日と国会で閉会中審査が開かれています。

 主な争点となったのは、「大筋合意」と大々的に報じられたTPPをめぐる問題です。安倍総理は昨日、農家の懸念が強いことについて、「不安に寄り添いながら政府全体で万全の対策を実行していく。農業を成長産業化させ、夢のある分野にしていきたい」と述べ、農業対策に全力を挙げる考えを強調しました。

 野党からは、「丁寧に説明する、といっておきながら臨時国会を開かないではないか」と、当然の批判を浴びせましたが、もっと本質的な批判をすべきだったのではないか、とも思います。やはり安保法制以外の政策では、多くの野党が自民党と似たり寄ったり・・・という印象が拭えません。

 TPPについてオバマ米大統領は、「米国企業と労働者の利益と成功のために、米国が世界経済のルールを書いています。米国が21世紀を主導する」と強調しています。

 また、「大筋合意」は、米国の要求と各国の国益とのあいだに多くの溝を残しており、米国も合意のために「バイオ医薬品のデータ保護期間」などで多少の譲歩をしたことで、米国内の企業団体やその利益代理人となっている連邦議員などから、大きな反感を買っています。問題は積み残されたままで、TPPの協定文書はおろか、各国の合意文書もなく、国会承認もこれからという状況です。

 このように、実はTPPが「米国企業と労働者の利益と成功のための世界経済のルール」であり、まだ「大筋合意」とも呼べないような状況でありながら、大手メディアは、安保法制には反対の論陣を張った朝日や毎日、東京なども含め(読売、産経は言わずもがな)、軒並み安倍総理の言い分垂れ流し記事を乱発しました。ざっと並べてみます。

※朝日新聞「首相、TPP意義「極めて重要」 衆院予算委閉会中審査」
http://digital.asahi.com/articles/ASHCB3252HCBUTFK001.html

※中国新聞「首相、TPPの万全対策約束 衆院委閉会中審査」
http://digital.asahi.com/articles/ASHCB3252HCBUTFK001.html

※毎日新聞「衆院予算委:安倍首相 TPPで『農業を夢のある分野に』」
http://mainichi.jp/select/news/20151110k0000e010187000c.html

 TPPについては、ずっとこのありさまです。まるで大本営発表を見せつけられているようで気味が悪いと言ったらありませんが、TPP報道に関しては、始まりから今日まで一貫してこういう具合でした。岩上さんが、12年間コメンテーターを務めたフジテレビ「とくダネ!」を降板することになったのも、2011年に、番組中、TPPを真正面から批判したためでした。

 まもなくTPPの最新情報を、岩上さんが、「ニュースのトリセツ」でまとめて発表しますので、是非、大手メディアが報じない「TPPの真実」をIWJでご覧ください。TPPで横並び報道をしている間も、IWJは常に立ち位置を変えることなく、おかしいものにはおかしいと突きつけていきたいと思っています。

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 また、TPPに関連し、昨日は、日本外国特派員協会で行われた、奥野長衛JA全中会長の記者会見の模様を中継しました。

 政府が今月25日にも取りまとめる予定のTPP政策大綱について奥野会長は、「性急な対策ではなく、落ち着いた援助策をしてもらいたい。カンフル剤的な補助金では困る」と述べ、息の長い対策を求めていく意向を示しました。

 安倍政権による農協改革の方針をめぐって、政府・自民党と対立したとされる萬歳章前会長と異なり、政府との協調路線を明確に打ち出している奥野新会長。IWJの平山茂樹記者が、「JAは自民党に裏切られたのに、来年夏の参院選でも自民党を応援するのか?」と質問したところ、「政治活動は、JA全中ではなく農政連(農業者政治連盟)が行うということで整理したところだ」とだけ述べ、まともに回答せず、はぐらかしました。

 ただ、「農家や組合から、自民党に対する大変強い批判があることは、私も十分承知している」と述べるなど、農業の現場に自民党への不信感が広まっていることを示唆しました。

 この会見の模様は急いで記事化しますので、それまでの間に、是非、岩上さんがJAの矛盾を指摘しすぎて日本農業新聞に掲載見送りとなった、TPPに関する「幻の原稿」をお読みになってください。

※【岩上安身の「ニュースのトリセツ」】JAは本当に日本の農業を守る気があるのか――日本農業新聞に掲載を拒否された「幻の原稿」を緊急アップ!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/264723

 本日は、火炎瓶テツさんたちが行う、「衆参予算委閉会中審査 ~『TPP絶対反対! 命、暮らしを売るな! 壊すな! 永田町アクション』」を中継します。こちらもご注目ください。

 さらに、先週末に長野県中川村で行われた、講演「元農林水産大臣 山田正彦さんが語るTPPの真実 ―TPPが暮らしを壊す―」の模様も録画配信しますので、こちらもお見逃しなく。

■「クローズアップ現代」やらせ疑惑で、NHKを厳重注意した総務省・高市大臣、11月10日の記者会見でBPOの意見書に反論!

 ここで、「クローズアップ現代」やらせ問題と政治介入について、城石エマ記者にご登場願います!

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 おはようございます、IWJの城石愛麻(きせき えま)です! 昨日も行ってまいりました、総務省・高市早苗大臣の記者会見です!

 この日の記者会見で焦点となったのは、総務省が行ったNHKへの「厳重注意」問題でした。話題を投げかけたのは、記者クラブ幹事社を務めた朝日新聞記者です。

 この問題は、メディアへの政治的圧力を疑わせる、IWJとしても非常に関心度の高い問題ですので、少し丁寧に追ってみます。

 事の発端は、NHKの報道番組「クローズアップ現代」で2014年5月14日に放送された「追跡 “出家詐欺” ~狙われる宗教法人~」の中で、NHKによる「やらせ」があったとされるものでした。

 番組の内容は、寺院で「得度」の儀式を受けると、戸籍の名前を変更でき、これを悪用した「出家詐欺」が横行している、という実態をドキュメンタリーで伝えるものでした。

 「やらせ」とされたのは、番組中に出てくる「多重債務者」が「ブローカー」を介して得度し、名前を変えて住宅ローンなどの詐欺を行う様子です。この「ブローカー」男性が、今年の3月、「週刊文春」の取材で、「自分はブローカーではなく、記者にブローカーの演技をするように依頼された」などと告発したことで、やらせ疑惑が浮上しました。

 これ以降、NHKは局内に調査委員会を設置し、番組関係者にヒリング調査を行いました。そして4月28日、「過剰な演出」や「実際の取材過程とかけ離れた編集」があったとしつつも、「事実のねつ造につながるいわゆる『やらせ』は行っていない」とする結論を発表しました。

 NHKのこの問題を第三者機関の立場から検証したのが、「放送倫理・番組向上機構」(BPO)でした。BPOは、NHKと民放連により、2003年設置された機関です。

 BPOは、11月6日に意見書を出し、議論となった「クローズアップ現代」の番組内容について、「視聴者に著しい誤解を与える致命的な問題があった」とし、「重大な放送倫理違反」を認めました。

 一方のNHKは、11月6日、BPOの意見を受けて、「再発防止策を着実に実行して、信頼される番組作りにあたっていきます」とコメントしています。

 さて、もちろん「やらせ」や「裏付けの不十分な取材」などは、メディア業界全体に共通する重大な問題であり、これだけでも十分大きな事件でしたが、この問題はこれだけでは終わりませんでした。

 実は、このやらせ疑惑を受け、自民党の「通信戦略調査会」が、NHKに事情聴取を行ったのです。また、NHKの調査委員会が報告をした4月28日、総務省の高市大臣が、NHKの籾井勝人会長に宛てて、「厳重注意」を出していました。

 「厳重注意」の内容は、番組のやらせが『放送法』に反するものとして、「(放送法の)規定に抵触するものと認められる。よって、今後、このようなことがないよう厳重に注意する」というものでした。

 高市大臣はさらに、「情報の共有や、企画や試写等でのチェックなどについて、誰が、いつ、どのように実行するのか。踏み込んだ対応が求められる」として、厳しい生活指導を行う体育会系教師よろしく、NHKに迫っているのです。

 この総務省の「厳重注意」について、BPOは11月6日の意見書の「VI. おわりに」の中で、「行政指導という手段により政府が介入することは、放送法が保障する『自律』を侵害する行為そのものとも言えよう」として、強く非難しました。

 憲法21条の「表現の自由」は、放送の自由にも適応されると解釈されており、放送法1条2項は、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」と定めています。

 ここでBPOは、ここでいわれる「不偏不党」や「真実」や「自律」は、放送事業者側の義務を定めたものではなく、時の政府が政治的な立場から放送に介入するのを防ぐために保障されたもの、だといいます。

 そして、総務省が厳重注意の根拠とした放送法第4条第1項各号についても、政府が放送内容に干渉するための根拠となる「法規範」ではなく、あくまで放送事業者番組編集にあたる際の基準となる「倫理規範」である、としました。

 よって、「政府が放送法を根拠に、個別の番組に介入することは許されない」とし、総務大臣による「厳重注意」は「極めて遺憾である」と、BPOは断言したのです。

 BPOの委員長代行を務める、映画監督の是枝裕和氏は、自身のブログでも、政府による放送法の悪用に反論を述べています。

 是枝氏は、放送法が敗戦のわずか5年後に規定された歴史を振り返り、「『公権力』と『放送』が結託したことによってもたらされた不幸な過去への反省からこの『放送法』はスタートしているわけです」としたうえで、「民主主義の成熟の為に『権力』が『公共』に対して示すべき大人の対応だと思います」と、述べています。

 そして、そのような放送局の自主自律を守るため、BPOが決して「お手盛り」に堕すことなく、総務省の放送への介入を批判した意見書を、「力作」だと語りました。

 ※是枝氏がBPOに関わることになった経緯は、こちらでも取り上げていますので、ぜひ、ご一読ください!

・2015/09/06 「『在野の精神』は死んでいなかった!」――早稲田大学が「知的劣化」の激しい日本の政治に「NO」!吉永小百合氏、澤地久枝氏らOBも賛同!
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/261743

 こうした、BPOや是枝氏からの猛烈な批判を受け、政府がどのような反応を示しているかというと、全く強硬なものです。

 昨日、11月10日に行われた記者会見で高市大臣は、「放送法を所管する総務省は、放送事業者に対して、放送法の規定の遵守を求めるという立場にございます」と、とびきりの「上から目線」を披露し、続けて、「ですから、放送法に抵触する事案があった場合には、放送法を所管する立場から、行政指導等の必要な対応を行うものでございます」として、BPOの意見を退けました。

 さらに、BPOが放送法を「倫理規範」とした点についても、「過去に国会でも答弁されているとおり、正しくは『法規範性』を有するものでございます」と反論しています。

 高市大臣は、11月6日にも、放送法における番組準則に違反したかどうかを最終的に判断するのは、「総務大臣」だとしています。

 ちなみに、朝日新聞によると、安倍首相も、10日の予算委員会で「単なる倫理規定ではなく法規であり、法規に違反しているのだから、担当官庁が法に則(のっと)って対応するのは当然」と述べています(http://www.asahi.com/articles/ASHCB5KPHHCBUTFK00L.html

 …「最終判断は、政府にある」。この言葉、安倍政権になってから、非常によく耳にするようになりました。安倍首相も、よく言いますね。「最後は国が決める」、「政府が決める」。この国の「主権」は、いつから政府のものになったのでしょうか?

 集団的自衛権の行使容認、安保法制の採決の「強奪」だけにとどまらない、政府の圧力が日に日に強まっているように感じられます。

 岩上さんは、先にアップした早稲田での集会でスピーチした時に、トーマス・ジェファーソンの言葉を引いて「真の報道なくして真の民主主義は存在しない!」と訴えました。報道に政府が介入するようになれば、失われるのは報道の自由だけでなく、民主主義そのものです。現政権がやろうとしていることが、どれだけ恐ろしいことか、今回の事件からだけでも、窺い知れるのではないでしょうか。

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 以上、城石エマ記者からの報告でした。NHKが「やらせ」をしたことは許しがたいことですが、そこに便乗する形で不当な圧力をかけた政府、自民党はそれ以上に卑劣ですね。

 政府は、放送局の電波を止められる停波権を持っていると言います。一方で圧力をかけ、他方でNHKの受信料を強制徴収して、NHKの財源を潤し、職員の高額の年俸を維持する。まさにアメとムチです。

 我々は、現在のNHKの報道姿勢はおかしいと常々批判しています。しかし、強権を振るってNHKの報道のあり方に介入する政府の方が断然おかしい。今回、BPOが見せた気概は素晴らしいものでした。是枝さんの発言も、本当に気概に満ちていました。

 まだまだ、気骨のある人々があちらこちらにいて、気概のある人々が、この国の「正気」を支えています。美化された「狂気」に陥らないためにも、全国津々浦々、あらゆる分野から、そうした声や動きが出てきてもらいたいし、我々はそれらをあますことなく可視化し、伝え続けたいと思います。永田町や霞が関や大手町を揺さぶり、誰に主権があるのかを明らかにするためにも。

 再度のお願いになりますが、そんな草の根の国民主権メディアである、IWJへのご支援を、どうかよろしくお願いします! おかげ様で、「TVUパック」は、もう2年間継続できることになりました! 契約更新です!これも皆様のご支援のおかげです。

 岩上さんが、NHKに招かれ、局内のシンポジウムでNHKの「上からの公共」に対して、IWJは「下からの公共」を担うと言い切ったように、僕らはしぶとく粘り強く、雑草のように「下からの公共」を繁茂させていきたいと思います。頑張ってまいりますので、引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いします。

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■「中国を仮想敵国にする安保法制は、とんでもない時代錯誤」

 本日は、岩上さんによる横浜市立大学名誉教授・矢吹晋さんインタビューの模様を再配信します。

 「中国を仮想敵国にする安保法制は、とんでもない時代錯誤だ」――。

 安保法制の「成立」過程で、政府は、軍事力・経済力ともに急成長を遂げている中国の脅威を強調し、法案の必要性を訴えてきました。

 その一環として政府が示したのが、東シナ海で中国がガス田を開発しているとされる証拠写真です。2008年に日中両政府で発表した共同開発の基本合意を中国が反故にして一方的に資源開発を進めたことや、ガス田開発に使う海洋プラットフォームが軍事拠点として活用される恐れがあることから、政府は公表に踏み切ったとしました。

 『チャイメリカ~米中結託と日本の進路』『尖閣問題の核心~日中関係はどうなる』などの著書があり、中国の事情に詳しい横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏は、「日本は冷静に交渉しなくてはならない」と日本側の対応に釘を刺します。

 そもそも、日中関係が現在のように冷え込んだ原因には、尖閣諸島の領有権をめぐる日中間の対立があります。2012年4月16日、当時東京都知事だった石原慎太郎氏が米国の保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」で東京都による尖閣諸島の購入を表明した後、当時の民主党・野田佳彦政権が国有化に踏み切り、中国の対日感情は急激に悪化しました。

 日中間による尖閣諸島の領有権をめぐる対立に関して、米国は「特定の立場は取らない」という姿勢を維持しています。これは、米国の世界戦略「オフショア・バランシング戦略」の一環で、「オフショア・バランシング」とは、自らは外側に引きながら二国を対立させることで、漁夫の利を得るという戦略のことです。自衛隊の海幹校論文や外務省が刊行する雑誌『外交』では、この「オフショア・バランシング戦略」が正面切って議論されています。

このあたりの問題は、岩上さんが共著者の一人として出す新刊『米国が隠す日本の真実』において、岩上さん自身が詳しく論じていますので、ぜひ、ご覧ください!

※『米国が隠す日本の真実』
http://amzn.to/1HuNqBK

 日本は今後、中国に対してどのように接していけばよいのか。そして、米国の世界戦略とはいかなるものか。安保法制が通り、再び「日本が戦争する国」へと舵をきった今、この再配信を目に焼き付けていただければと思います。

※2015/07/29 東シナ海ガス田開発と南沙諸島埋め立て問題「日中間の摩擦は外交で解決すべし」――「中国脅威論」を煽り安保法制を進める安倍政権の狙いとは 岩上安身が矢吹晋氏に聞く
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/255325

■岩上さんのインタビューと講演のお知らせ

 11月に決定している、岩上さんのインタビューや講演情報をお知らせいたします。もちろん、これが全てではありません。他にもアポイントメントの調整をさせて頂いている方がたくさんいらっしゃいます。確定次第、どんどんラインナップを更新していきますので、毎日、このコーナーにご注目ください!

・11月12日(木)14:30~
社民党党首・吉田忠智氏インタビュー

・11月14日(土) 13:00~
ジャーナリスト・浅野健一氏インタビュー

・【録画】11月17日(火)
カレル・ヴァン・ウォルフレン氏インタビュー

・2015年11月19日(木)13:00~
木村朗氏・植草一秀氏・川内博史氏クロストーク

・11月24日(火)16:00~
共同通信編集委員・太田昌克氏インタビュー

・11月26日(木)15:00~
岡山大学大学院教授・津田敏秀氏インタビュー

・12月4日(金)15:00~
阪口徳雄弁護士・上脇博之教授インタビュー

【講演情報】

・12月5日(土)19:00~
場所 : 島根県出雲市民会館
主催 : たたかうデモクラシー島根
※詳細が決まり次第、随時更新します!

 12月4日の阪口徳雄弁護士と上脇博之教授へのインタビューでは、「安保関連法賛成議員を落選させよう・弁護士の会」の活動についてお話をうかがいます。

 17日に行うカレル・ヴァン・ウォルフレンさんへのインタビューは、今回で4度目となります。これまでは毎回、岩上さんがインタビューを申し込んでいましたが、今回はなんと、来日したウォルフレンさんサイドのほうから岩上さんへコンタクトがあったそうです。

 ウォルフレンさんは今年の4月に京都精華大学の白井聡さんとの対談本を上梓されました。長年にわたり、日本統治機構の官僚支配や、主体性なき対米追従に鋭い批判を行ってきたウォルフレンさんですが、今回の新刊の中では、さすがに「疲れてしまいました」と本音を漏らしていました。

 ウォルフレンさんの警鐘とは真逆に進みつづける日本が変わるには、新たな「敗戦」が必要なのでしょうか。ウォルフレンさんに今の心境と考えを、岩上さんがあますことなく聞き出してくれるかと思います。配信日は追って告知しますが、こちらも大注目でお願いします。

■11月12日(木)午前1時から、サーバーメンテナンス作業を行います

 11月12日(木)午前1時~午前5時(11日深夜25時~29時)の予定で、IWJサーバーのメンテナンス作業を行うため、IWJサイトの全ページの閲覧、会員ログインなどが出来なくなります。

 皆さまには、ご不便をおかけし恐縮ではございますが、何卒ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

※メンテナンス作業が終了次第、改めて告知させていただきます。

http://iwj.co.jp/info/whatsnew/post/23233

■IWJスタッフ募集のお知らせ

 まだまだ、IWJではスタッフを大募集中です!

 事務スタッフ、経理・総務スタッフ、テキストスタッフ、中継・動画編集スタッフを募集していますので、みなさまのご応募をお待ちしています!

<一般事務および会員管理スタッフ>

 電話やメールでの外部の方との連絡、岩上さんのインタビューのアポ取り、スケジュール管理、イベント開催の準備などを行うのが、一般事務の仕事です。IWJの屋台骨を支える、とても大切なお仕事です。

 IWJでは現在、特にこの一般事務の人手が不足しています。一般事務がしっかりしていないと、IWJの足腰は立ちません。少しでも事務の仕事にご関心をお持ちの方がいれば、ぜひ、ご応募いただきたいと思います。

 一方、会員管理事務のスタッフは、会員様からのお問い合わせなどの接点になりますので、人当たりのよい方(メール対応中心です!)、メールなどPC操作に慣れている方(エクセルができるとありがたいです!)を募集しています。

◆応募条件
※「-事務スタッフ-」を御覧下さい。
http://bit.ly/1ALJypQ

<経理・総務スタッフ>

 IWJでは、経理・総務スタッフも募集しています。経理および総務の実務経験がある方、経理ならば簿記などの資格をお持ちの方を歓迎いたしますが、経理の経験がなくても、真面目、几帳面、注意力がある、数字を扱うことや計算することが苦ではない、という方、初めて経理を覚えてみたいという方でもやる気があれば大丈夫です。ご応募、お待ちしています。

◆応募条件
※「-経理・総務スタッフ-」を御覧下さい。
http://bit.ly/1ALJypQ

<テキストスタッフ>

 IWJでは、記者およびテキストスタッフも募集しています。IWJと聞くと、Ustreamを使ったライブストリーミングが主体のメディアだと思われる方が多いかもしれません。しかし、IWJではブログやメルマガなどのテキストにも力を入れています。インターネットメディアとしては、配信しているテキスト量はナンバーワンであると自負しています。

 IWJのテキストスタッフの基礎となる仕事は、現場に行って取材をし、それを原稿にまとめることです。さらにそこから派生して、Twitterを使ったリアルタイム実況、メルマガ用原稿の構成・編集、各種リサーチ資料の作成、岩上さんのインタビューや講演で使用するパワーポイントの作成なども行っていただきます。

 もちろん、すべてを一人でこなさないといけない、というわけではありません。本人の適性に合わせて、部分的に業務に携わっていただくことも可能です。

 勤務形態は、在宅でも可能です。地方在住の方でも、パソコンさえあればお手伝いいただくことが可能ですので、どうぞふるってご応募ください。

◆応募条件
※「【職種2】 -テキストスタッフ- (記者・ライター・リサーチャー・編集者etc)」を御覧下さい。
http://bit.ly/1ALJypQ

 各募集スタッフのその他の詳細の項目に関しましては、以下のページよりご確認ください。上記の応募条件は、すべて当てはまっている必要はありません。ぜひ、ふるってご応募ください!

※【 スタッフ応募フォーム 】
http://bit.ly/1ALJypQ

<中継・動画編集スタッフ>

 IWJの記者や中継市民の皆さんが、日々取材してきた映像を、動画編集ソフト(adobe Premiere)で編集したり、サーバーへアップロードしたりする作業をメインに担当していただきます。

 動画編集の経験や知識をお持ちの方はもちろん大歓迎ですが、そうした経験がなくても、映像やIWJのコンテンツに興味がある方なら大丈夫です!

 経験豊富なIWJスタッフが親切にレクチャーいたします。自主性と向上心を持って、学び成長できる方をお持ちしております。

 また、動画編集だけでなくカメラを持って、記者会見やシンポジウム、デモの現場などに取材に行っていただくこともあります。こちらも、ビデオ撮影の経験や知識をお持ちの方は大歓迎ですが、「ホームビデオぐらいしか使ったことないなぁ…」という方でも心配いりません!

 映画やドキュメンタリーに興味があって、ビデオ撮影に挑戦したいという情熱をお持ちの方を募集します。あとは、体力と運転免許があれば、云うことなしです!

◆応募条件
※「【職種5】-中継・動画編集スタッフ-」を御覧下さい。
http://bit.ly/1ALJypQ

■会員の更新と継続に関する大切なお知らせ

 ここで、事務スタッフの中山裕規からお知らせです。

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 IWJ事務局の中山裕規と申します。

 会員様へ、ご更新時期やご継続のお手続きについて、私からご連絡をさせていただいております。

 11月分の会費の納入期限は、11/10とさせていただいておりました。

 会費をお納めいただけていない方は、近日中に、会員限定コンテンツのご利用を制限させていただくことになってしまうため、改めてご案内のメールをさせていただきます。

 ご案内のメールを待たずとも、こちらのページからもご継続のお手続きをしていただけますので、ご継続のお手続きがお済みでない方は、お早めにお手続きをお願いいたします。

→ http://iwj.co.jp/info/whatsnew/information/23022

 会費の納入につきましては、年会費でお納めいただくと、お得にご利用いただけることや、便利な銀行口座自動引落やクレジットカード自動決済による自動更新のご利用につきましても、ご継続いただけますようお願いいたします。

→ http://iwj.co.jp/info/whatsnew/post/23238

 ご不明な点がございましたら、< shop@iwj.co.jp >まで、何なりとお問い合わせくださいませ。

 よろしくお願いいたします。

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■カンパに「足あと」を残してください

 IWJはおかげさまで、皆様からの会費とカンパによって活動を継続することができています。先日来、緊急のカンパをお願いしていた「TVUパック」に関しても、皆様からのご支援のおかげで、契約を更新することができました。誠にありがとうございました。

 ここで、カンパをお寄せいただいた皆様に、ひとつ、お願いがございます。カンパをいただきました際には、お手数で申し訳ございませんが、「足あと」を残していただけないでしょうか。

 実は、金融機関の入金票へ連絡先をご記入いただいても、個人情報保護のため、その連絡先はIWJにほとんどの場合通知されません。IWJに通知される多くは、カタカナ表記のお名前だけです。そのため、どなたか特定できない場合もあります。

 ですので、以下のページより、寄付・カンパをお寄せいただいたことを事務局へお知らせいただけましたら幸いです。

※寄付・カンパの「足あと」はこちらにご記入ください
https://pro.form-mailer.jp/fms/d4d3812d16982

 寄付・カンパをいただいた際には、金額の多寡にかかわらず、そのたびごとに必ず入金確認と御礼のメールを差し上げております。今後とも、IWJの活動にご支援のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。

※寄付・カンパのお願い
http://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

■わとはぷ!のコーナー

 今日は11月11日というゾロ目の日なので、色んな記念日になっています。

・ポッキー&プリッツの日
 江崎グリコが1999年(平成11年)11月11日に制定。「1111」が4本のポッキーあるいはプリッツに見えることに由来しているとか。以後、毎年キャンペーンを実施しています。今日はポッキーを食べましょう。

・きりたんぽの日
 秋田県鹿角市の「かづのきりたんぽ倶楽部」が制定。「1111」が、囲炉裏で焼いている4本のきりたんぽに見えることに由来しているのだそう。きりたんぽ・・・食べたいです・・・。

・もやしの日
 「1111」がもやしを4本並べたように見えるとか・・・うん。

・鮭の日
 新潟県村上市が1988年頃に制定。「鮭」という漢字が魚偏に「十一十一」と書くことに由来しているとか。そうきたか、という感じですね。

・ピーナッツの日
 全国落花生協会が1985年に制定。ピーナッツは1つの殻に2粒の豆が双子のように同居している特徴があるので、ゾロ目の11に由来したとか。深いですね。

 他にも「美しいまつ毛の日(まつ毛っぽいため)」「サッカーの日(11人対11人で行うため)」「煙突の日(1111が煙突が立っているようにみえるため)」…挙げればキリがありません。この強引にこじつけている感じ、たまりませんね。

 ついでに言えば、今日はレオナルド・ディカプリオさんの誕生日でもあります(1974年)。おめでとうございます! 以上、IWJのレオナルドでした。

 それでは今日も1日、よろしくお願いします。

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 http://iwj.co.jp/