「加計ありき」の議事録公開で注目を集めた日本獣医師連盟・北村直人委員長が閉会中審査を急遽欠席!!――北村委員長による緊急記者ブリーフィングの内容を一挙公開! 2017.7.25

記事公開日:2017.7.26 テキスト
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(取材:谷口直哉 文:段田亜由美・谷口直哉 記事構成:岩上安身)

 2017年7月24日午後5時より、東京都港区にある公益社団法人日本獣医師会の会議室において、日本獣医師連盟委員長・北村直人氏による緊急記者ブリーフィングが行われた。

 この日北村氏は、いわゆる「加計学園問題」を審議するため開催されていた衆議院の閉会中審査に参考人として出席を打診されていたが、急遽出席をキャンセルした理由を記者たちに説明した。

 北村氏は7月15日、岩上安身によるインタビュー時、視聴者に向かって力強く「国会に呼ばれれば行く」と訴えた姿が印象的だったが、いったいなぜ、国会での発言のチャンスをむざむざ逃してしまったのだろうか。

▲日本獣医師連盟・北村直人委員長(日本獣医師会顧問、2017年7月15日IWJにて撮影)

 また、この7月15日のインタビューの際、7月19日に「週刊文春」が報じた山本幸三大臣が「加計に決めた」と伝えた際の議事録の存在を、このスクープに先んじて明言したのも、他ならぬ北村氏である。

 24日の閉会中審査において期待されたのは、「岩盤規制で既得権益を守ってきた」という文脈で非難され続けてきた、今回の問題の一方の当事者、日本獣医師連盟委員長である北村氏の証言であり、山本大臣と直に会って「加計に決めた」と通告された本人の言葉が聞けるということだった。国会ではどんな決定的な証言をしてくれるかと、期待した国民は少なくなかったはずだ。

 その北村氏が、突如24日の閉会中審査を欠席し、また26日に予定されていたIWJのインタビューもキャンセルとなった。

 7月15日に行われた2度目のインタビュー、奇しくもその前日14日、加計学園に優先して獣医学部新設候補であったと思われる京都産業大学が、唐突に、わざわざ、「学部新設断念」の会見を開いている。この会見を北村氏は「政府に命じられた」と喝破し、インタビュアーの岩上安身を驚かせた。

 今回の北村氏の国会欠席に、その京都産業大学の不自然な会見と図らずも同じ匂いを感じたのは、うがちすぎだろうか?

記事目次

  • 日本獣医師連盟・北村直人委員長による緊急記者ブリーフィング
  • 獣医師の数は足りている!? 根本的な問題は公務員獣医師の理不尽な環境にあった!
  • 加計学園の新設獣医学部に「バイオハザード」のリスク!? ウイルス実験施設建設の可能性も!?
  • 動物実験を推進!? 加計学園新獣医学部設立の「真意」――思い起こさせるのは動物版731部隊「陸軍第100部隊」!

 以下は24日に行われた北村氏による緊急記者ブリーフィングの記録である。

日本獣医師連盟・北村直人委員長による緊急記者ブリーフィング

  • 日時:2017年7月24日(月)17時~
  • 場所:公益社団法人日本獣医師会 会議室
  • 出席者:日本獣医師連盟委員長・北村直人氏、日本獣医師会専務理事・境政人氏

―閉会中審査を欠席した理由について

北村直人氏(以下、北村)「本日の閉会中審査に出席しなかった理由は、2~3ヶ月前から決まっていた講演の予定をキャンセルできなかったから。物理的に不可能だった。

 会員向け講演で『アニマル・ウェルフェア(動物福祉)』などがテーマ。

 講演内容が私にしか話せない内容なのでキャンセルできなかった。明日(25日)も違う場所で、同じ内容の講演があるので閉会中審査には出られない」

―山本幸三大臣の国会答弁をどう感じたか?

北村「今日の山本幸三大臣の発言を伝え聞いたが、決定的に意見が違うということではない。相手は議事録がない、こちらが一方的に議事録を出すのは不公平になる。私は今でも『加計ありき』だと思っているが、その辺は見解の相違」

―今後、国会へ招致されたらどうするか?

北村「また機会があれば国会へ行く意志はある。スケジュールが合えば出る。

 証人喚問ということになれば行かざるを得ないが、隠蔽をしているような、疑惑をもたれるようなことはしていない。参考人ならありえるかもしれないが、それは国会が決めることで、私からはコメントする立場にない」

―2016年11月17日の山本大臣との面会の議事録について

北村「議事録の中略部分に京都に関する山本大臣の発言があったが、全体の主旨は変わらない。

 京都に関する発言があったかどうかは、言った言わないになるので、委員長としての判断でこれ以上追及しない。

 山本大臣から今治で決まったと言われた時、獣医師連盟として『わかりました』とは言えないので、『これからも4条件をクリアすることを強く求めていく』と言ったのが、印象としては大臣には強く響いてしまったのかな。

 『一校認めれば他はやらないよ』という印象を持ったが、自分が(今治に)反対したので、大臣は『放っておくと京都なども続く』と言ったのだと思う。今思えば一種の『圧力』だったのかなと思う。日本獣医師連盟も日本獣医師会も見解は同じ。今でも『加計ありき』という話だったと考えている。

 日本獣医師連盟としては、獣医療は生命にかかわるので特区に馴染まないと思っている。政府が11月9日に決めた『広域的に獣医師系養成大学が存在しない地域に限り新設を認める』ということは、『四国・今治・加計』だとの認識を持っている」

―議事録を会員向けに公表した意図は?

北村「国会でまた、日本獣医師連盟が抵抗勢力として批判されるだろうから、会員向けの説明として、11月17日の山本大臣との議事録を抜粋して公表した」

―議事録の中略部分の内容について

北村「『広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を認める』とは『今治と読むんですか?』と山本大臣に聞いた。『京都や北信越でも獣医学部を作りたいという意見もありますね』と言ったら、山本大臣は『そうならないようにする』と言った。つまり『一校にする』ということだと思った。

 ダメ押しで私が『成田の医学部は成田と明確になっている。だから、四国ということを明確にしてください』と言ったら、山本大臣は『そのようにする』と言った」

―本日の山本大臣の国会での答弁についての率直な感想は?

北村「まぁ仕方ないんだろうな。担当大臣としてベストの答弁なんだろうと思った。大臣としては、それ以上でも以下でもない答弁をされたということ。私は評価できない」

―安倍総理が「1月20日まで獣医学部設立を知らなかった」と言っていることについてどう感じたか?

北村「安倍総理が今年の1月20日まで加計学園が今治に獣医学部を作ろうとしていたことを知らないのはおかしい。私は2007年2月に赤坂の料亭『佐藤』で加計孝太郎氏に会っている。その時に加計氏から安倍総理と親しいと聞いた。その時、私の政治家としての嗅覚で、間違いなく加計学園に認可が下りるだろうと確信した。

 今、文科省の大学設置審で(獣医学部新設の)審議が進んでいる。聞くところによると『山を超えた』とも聞こえてくる。ということは、8月には認可がおりると私は見ます。今日と明日の国会での議論は不毛。もう山を超えている訳ですから。

 8月には加計学園が認可されます。既にオープンキャンパスもやって、パンフレットにも『設置認可申請中』と書いて、推薦入学の日にちまで書いて、配られてます」

▲「2018年4月開設予定」と大きく書かれた岡山理科大・獣医学部のパンフレット

―閉会中審査を欠席したことに関して、麻生太郎氏や蔵内勇夫氏から圧力があったのか?

(…会員ページにつづく)

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